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「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (573) 「栃木小1女児殺害事件「無罪判決をめざす緊急集会」」 7/18/2018 

#検察なう (573) 「栃木小1女児殺害事件「無罪判決をめざす緊急集会」」 7/19/2018

一昨日、東京都文京区で行われた、えん罪今市事件・勝又拓哉さんを守る会、日本国民救援会主催の「無罪判決をめざす緊急集会」に参加しました。

栃木小1女児殺害事件では、勝又拓哉氏は、一審の裁判員裁判で無期懲役の判決を受け、来る8月3日に控訴審判決が下されます。

資料のパンフレット。

IMG_0313.jpg

弁護団報告として、今村核弁護士から「東京高裁の審理で明らかになった事実」の説明が1時間ありました。

IMG_0312.jpg

控訴審で注目されているのは、検察による訴因変更です。

一審有罪判決で認定された事実は、勝又氏が当時7歳の女児を、「2005年12月2日午前4時頃」「茨城県常陸大宮市三美字泉沢1727番65所在の山林西側山道」で殺害したというものです。その場所は、遺体が発見された場所であり、その時刻は遺体発見のしばらく前の時刻です。

訴因変更は、殺害時刻を「2005年12月1日午後2時38分から同月2日午前4時頃」、殺害場所を「栃木県か茨城県内とその周辺」とするものです。「2005年12月1日午後2時38分」とは女児が最後に目撃された時刻であり、その場所は、栃木県内の彼女の学校からの帰り道でした。つまり、検察の訴因変更は、「何でもあり」というものです。

そもそもこの事件では、客観的物証がないに等しく、勝又氏の自供の模様を録画したビデオが裁判員の心証を決定したということがあります。その自供内容により一審判決にある事実が特定されていたにもかかわらず、控訴審でのいきさつから、検察は自供の信用性を自ら否定する暴挙に出たという印象があります。

今村弁護士の説明では、控訴審で明らかになった事実の最も重要なものが「現場性の否定」と「殺害様態の矛盾」でした。

刺創から血液が1L以上体外に流出したことが検死で明らかになっていますが、現場には血だまりのようなものはありませんでした。しかし、広範囲にルミノール反応が見られたとする警察写真が発見現場での殺害の証拠となりました。過酸化水素を分解する物質がルミノール反応の触媒であり、血液はその一つですが、血液だけがその触媒ではありません。そして、弁護団の実験で、現場の枯れ葉がルミノール試薬に反応することが示されました。

また、10ヶ所の刺創は、全て刃の向きが垂直方向に対して横向きであり、全てが同じ角度で、(1ヶ所を除き)胸部を貫通せずに背部に傷をつけただけで止まっていました。自供では「女児を立たせて、左手で肩をつかみ、正面から右手で刺し、5回くらい刺したときに女児が崩れて膝立ちになった以降も刺し続けた」とされます。正対する相手に刃物を片手で刺す場合、通常、刃は縦向きであると思われます。また、直立の状態から膝立ちに崩れた後も、刺創の角度が変わっていないのは不自然です。そして刺創が貫通していないのは、女児の体の後ろに硬いものがあったことを物語っています。女児は横たわった状態で横向きに刺されたとする方が合理的です。しかも、傷口からの血痕は体の足の方に流れたものはなく、体の上方や左右に流れる血痕のみであったことからも、それは決定的だと考えられます。

今村弁護士の説明後、私は挙手して質問を二つしました。

一つ目の質問は、
「この事件の鑑定でもあったように、鑑定人が細心の注意を払っても付着するのがDNAだと思われますが、勝又さんの自白通りのわいせつ行為が行われても、なおかつDNAが付着しなかったことに関して、一審判決が科学的客観事実と矛盾するという主張はなさらないのですか」

二つ目の質問は、
「「日常とは異なる特異な経路の走行」の証拠とされているNシステムに関してですが、勝又さんが事件日の4日後に撮ったと証言している、朝日の写真の証拠請求はなされたと思いますが、不見当という回答だったのでしょうか」
でした。

それらに関して今村弁護士の返答は、少々意外なものでした。

まず一つ目の質問に関しては、
「再現実験ができない。同じような状況の実験は人道的にも無理であり、そうなると科学的な実証は難しい。そうした主張だけはしているが、主張だけしているということに留まっている」
というものでした。裁判官が、いかに常識外れであるかを物語るものだと思います。

そして二つ目の質問に関しては、
「朝日の写真は、自分のブログのプロフィール写真にするつもりで撮ったと言っている。その写真が見つかれば、事件が「飛ぶ」との期待が当初あった。画像、動画のコピーを証拠開示請求したが、膨大な量を物理的にコピーすることがそれほど容易ではないらしく、時間が経ってしまった。ようやく最近になってそのコピーの開示がされて、現在作業中である。しかし、どうもその画像は見つからなそうな印象である」
とのことでした。その口ぶりから、あまり期待していないようでした。もし写真が存在しないとなれば、事件日に朝日を撮りに行ったが撮れずに帰ってきて、4日後に撮り直しに行ったという勝又氏の証言が微妙になると思っているのかもしれません。

当日資料の中にあった、この日の集会の参加者に向けての勝又拓哉氏のメッセージです。

ここをクリック→ 「今市事件・無罪判決をめざす緊急集会へのメッセージ」 勝又拓哉

8月3日の控訴審判決には注目したいと思います。

事件の詳細に関しては、こちらをご覧下さい。
ここをクリック→ 冤罪ファイル その16 「栃木小1女児殺害事件」

7/19/2018









ここをクリック→ 「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」 経緯説明 2017


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2018/07/19 Thu. 21:03 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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#検察なう (551) 「『日本大百科全書(ニッポニカ)』に冤罪問題掲載」 12/11/2016 

#検察なう (551) 「『日本大百科全書(ニッポニカ)』に冤罪問題掲載」 12/12/2016

かつてはどの家庭にもあった百科事典。私の家にも『ジャポニカ』(小学館、1967年)がありました。

『日本大百科全書(ニッポニカ)』は小学館を代表する百科事典。1984年から5年をかけて刊行されました。現在は、その電子版が随時増補され、小学館の関連会社が運営する知識活用支援サイト「ジャパンナレッジ」において、ニッポニカは「キラーコンテンツ」として現在もその中核的役割を果たしています。

nipponica.jpg

そのニッポニカ電子版の最新増補に、冤罪問題として「足利事件」と「氷見事件」が掲載されました。とかく関心の低い冤罪問題が、権威ある百科事典に掲載されたことは、画期的なことです。

この経緯は「#検察なう」コミュニティに編集者自らの投稿によって明らかにされています。実はこの編集者、私の高校時代の同級生です。

ここをクリック→ 「#検察なう」コミュニティ 吉田兼一氏投稿

今回取り上げられた冤罪二事件の原稿の寄稿は江川紹子氏によるものです。

ここをクリック→ 『日本大百科全書』「足利事件」

ここをクリック→ 『日本大百科全書』「氷見事件」

編集者の吉田兼一氏には、「#検察なう」コミュニティの管理者として参画してもらいました。今後もアップデートを期待しています。皆様も是非、ご注目下さい。

12/12/2016










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2016/12/12 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (546) 「豊川市男児連れ去り殺害事件で再審請求」 7/18/2016 

#検察なう (546) 「豊川市男児連れ去り殺害事件で再審請求」 7/18/2016

先週、「豊川市男児連れ去り殺害事件」で再審請求がされたことが報じられました。

ここをクリック→ NHK 「豊川男児殺害事件で再審請求」

14年前に起こったこの事件では、一審無罪判決が控訴審で逆転有罪、そして2008年に17年の懲役が確定したものです。

夜中の駐車場に停められていた車の中から、何者かが1歳10ヵ月の男児を連れ去り、近くの海に投げ捨てて殺害したという事件です。赤ん坊が車から出て数km離れた海に短時間の間に一人で行くことは不可能であるため、殺人事件であることは確かな事件(世の中には、実際に事件性がない事故にもかかわらず事件とされている冤罪も少なくない)です。

自白以外に客観的な証拠は皆無で、唯一有罪を補強する証拠は、目撃者の証言で、犯人とされた田辺雅樹さんと同型の車が、連れ去られた男児の乗っていた車の近くにあった(そして事件をまたいだ時間に、駐車場内のほかの場所で確認された)というものです。

私は、一審無罪判決の判決文と控訴審有罪判決の判決文を比較し、あまりの有罪認定の杜撰さに驚きました。

私は、田辺さんが嘘をついている可能性(目撃者の証言通りの場所に車を停めていたが、その後移動した)も多分にあると考えますが、その理由を、控訴審裁判体が認定したような「殺人を犯したから」などという荒唐無稽なものではないと考えます。しかし、単に車の駐車位置を変えたことが殺人の証拠とされるのも(勿論、そのことに関し嘘をついていると裁判官が考え、心証を悪くしたということですが)、ものすごいことのように感じます。

是非、添付のブログをお読み頂き、ご一緒にお考え頂ければと思います。真犯人でなくとも、犯人らしき人を罪に問うことができれば、それで事件は解決とする捜査権力の論理が透けて見えます。

ここをクリック→ 冤罪ファイル その15 「豊川市男児連れ去り殺害事件」

先日の松橋(まつばせ)事件(注)のように再審開始となり、田辺さんの雪冤が叶うよう祈っています。

(注)
ここをクリック→ #検察なう (545) 「松橋(まつばせ)事件に驚くこと」

7/18/2016
















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2016/07/18 Mon. 07:43 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (545) 「松橋(まつばせ)事件に驚くこと」 7/4/2016 

#検察なう (545) 「松橋(まつばせ)事件に驚くこと」 7/4/2016

先週、1985年1月に熊本県で起こった殺人事件(1990年に懲役13年の有罪確定)の再審開始が決定されました。

ここをクリック→ NHKニュース 「31年前の殺人事件 再審開始が決定 熊本地裁」

「針の穴にラクダを通す」より難しいとされる再審の扉をこじ開けた弁護団の努力には、心から敬意を表します。

この事件のこれまでの経緯を知って、驚くことがあります。

その一つが、今更ながらですが、再審の扉の重さです。再審開始の決め手となったと思われる、自白と矛盾する決定的な証拠は、凶器の小刀に巻き付けたとされたシャツの一片です。自白では、布を犯行後燃やしたとしていました。しかし再審請求を準備する弁護団が、この証拠を検察の任意開示証拠の中から偶然見つけたのは1997年のことでした。当時、冤罪被害者の宮田浩喜さんは服役中でした。2012年に始まった再審請求審で、弁護団はこのほか証拠100点を提出しましたが、それほどまでに確実を期さなければ再審開始はままならないということでは、冤罪被害者救済の負担が重すぎると感じます。特に今回のケースでは、服役中の刑の停止がかなえば宮田さんは早くに釈放されたはずです。それから更に20年というとてつもない時間が経過しているだけに、冤罪被害者の救済のためにある再審である以上、その請求審手続きのハードルを下げるべきだと思います。

そしてもう一つ驚くことが、弁護団が検察任意の証拠開示でこの証拠を見つけた偶然です。検察が隠していた証拠をうっかり出してしまった検察事務官のミス(注1)という偶然がなければ、この事件はいまだに未解決冤罪事件であった可能性が高いと言えます。

上に添付のNHKニュースで、門野博氏も指摘しているように、証拠の事前一括開示の義務化は、再審請求審も含めて不可欠です。東電OL殺害事件における被害者乳房に付着した唾液の血液型鑑定(注2)や、袴田事件におけるズボンのタグの記号がサイズではなく色を示す報告書(注3)といった、公判時に提出されていれば、無罪の可能性が高い証拠を隠してでも有罪を得ようとする検察のやり方は、法律で縛らなければこれからも変わることはないと感じます。

特に今回のケースは、検察は「無罪を示す検察にとって不利な証拠を隠した」というより、「警察捏造の証拠を隠した」のではないかと強く疑われます。あたかも犯行に使われたように切り刻まれたシャツ(宮田さんの自白に基づき、自白通りの色・柄のシャツが押収)に血痕がついていないのは、いかにも不自然であり、それを検察が隠したのは、警察捏造の事実を検察が知りそれを隠すためだったと思われます。

犯行に使われたとされる小刀に指紋も血痕もなく、「犯行後、研ぎ直した」「犯行時に布を巻き付けた」と嘘を嘘で固める虚偽の自白を取ったことがそもそもの問題ではありますが。

警察の証拠捏造は、袴田事件の味噌樽の中の血染めの着衣や、高知白バイ事件のスリップ痕の例を見ても、驚くことには当たらないのかもしれません。再審には冤罪の原因究明の機能はないため(冤罪の原因究明がなされることはないということが、冤罪がなくならない一大要因です)、宮田さんが無罪になったとしても、この件は闇の中ということになるでしょう(よほど意識の高いメディアが追求しない限り。検察広報のほとんどのメディアでは無理でしょうが)。

そして検察が、破廉恥にも即時抗告をして自分たちの非を認めようとしない態度も、これまた驚くことには当たりません。郵便不正事件~「検察の理念」(注4)を経ても、旧態然とした「有罪ありきの検察」というのは彼らにとってもイメージを損ねるだけだと残念に思います。

琉球新報の「(検察は)自省して真実に向き合う姿勢のかけらも感じられない」と書かれた社説も合わせてお読み下さい。

ここをクリック→ 「松橋事件再審決定 全証拠開示の法制化急げ」

(注1)
個人的には、再審開始なった今、この事務官がどのように感じているか非常に興味のあるところです。

先日、証拠金の現金を盗んだ元横浜地検事務官の公判があり、彼の被告人陳述では、国民に謝るのではなく、「検察の皆さんに謝罪したい」とする一幕がありました。

ここをクリック→ 証拠品の現金盗んだ元横浜地検事務官「ギャンブルに使った」

松橋事件で証拠開示をした事務官が、この元横浜地検事務官のように公僕であることの意識の全く欠如した方ではなく、「自分は悪に加担することなく正義を貫いたのだ」と思ってほしいと思います。

(注2)
ここをクリック→ #検察なう (294) 「犯人血液型当てクイズ」

(注3)
ここをクリック→ #検察なう (385) 「犯行着衣が捏造でないことと袴田氏が犯人であることは両立しない」

(注4)
郵便不正事件を受け検察は「検察の理念」を発表しましたが、理念はあくまで理念であると言わんばかりのその後の所業は、「検察の理念」が、その場の風当たりをかわすためだけのポーズであったことを物語っています。そして彼らの実態は、私の記した「新・検察の理念」そのままだと言えます。

ここをクリック→ #検察なう (248) 「新・検察の理念」

7/4/2016












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2016/07/04 Mon. 00:03 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (529) 「鹿児島強姦事件で逆転無罪判決が確定~捜査権力により作られる冤罪の実相」 1/28/2016 

#検察なう (529) 「鹿児島強姦事件で逆転無罪判決が確定~捜査権力により作られる冤罪の実相」 1/28/2016

性的犯罪事案で、一審有罪が控訴審で逆転無罪となるケースは本当に稀有です。平成24年2月13日の最高裁判例(注1)以降、そもそも控訴審で一審判決が逆転することが抑制的になっている上に、性的犯罪事案の場合、どうしても被害者女性に肩入れするケースが多いからです。

2012年10月に起こった事件に関し、14年2月の一審判決は懲役4年の実刑、それが今月12日の控訴審判決で逆転無罪となり、26日の上告期限に福岡高検が上告を断念して無罪が確定したものです。

事件の概要は以下の通り。

鹿児島市で2012年、当時17歳だった女性に暴行したとして強姦罪に問われた当時23歳の男性の控訴審判決で、福岡高裁宮崎支部(岡田信裁判長)は12日、懲役4年の実刑判決とした一審鹿児島地裁判決(14年2月)を破棄し、逆転無罪を言い渡した。

控訴審で新たに行われたDNA型鑑定で、女性の体内に残された精液から被告人とは別人の型が検出されたことが判明。高裁宮崎支部は昨年3月に被告を保釈しており、判決が注目されていた。

被告人は12年10月7日午前2時過ぎ、鹿児島市内の繁華街で女性に声をかけ、近くの路地に連れ込んで暴行したとして、逮捕・起訴された。

捜査段階から一貫して「酒に酔っていて記憶がない」と無罪を主張して、弁護側も「『暴行された』とする女性の証言に信用性がない」と訴えていた。

最大の焦点は、女性の体内に残された精液のDNA型鑑定の結果だった。

捜査段階で行われた鹿児島県警の鑑定は「精液は確認されたが抽出されたDNAが微量で型の鑑定はできなかった」との結果で、一審判決はこれを事実上、被告人の精液と位置づけて有罪判決を導いた。

ところが、控訴審で行われた日本大学の押田茂實名誉教授(法医学)による再鑑定では、「簡単に」(押田名誉教授)DNAが抽出され、被告人と異なる第三者の型と判明。しかも、女性が当日はいていたショートパンツから検出された第三者の型とも一致した。

これを受け、高裁宮崎支部は昨年3月、被告人を保釈した。弁護側はこの再鑑定を踏まえ「一審の誤りは明らかだ」と主張。

さらに(1)女性の証言通りなら、アスファルトの上で服を脱がせて暴行したことになるが、女性はけがを全くしておらず常識的に考えて不可能(2)被告人は酩酊状態で「自転車に乗りながら女性の腕をつかみ、強引に約200メートル離れた現場まで連れて行った」とする女性の証言も不自然などと訴えていた。

控訴審では、検察側も新たに別の大学教授にDNA型鑑定を依頼し、「被告の関与を裏付ける結果が出た」として証拠採用を求めたが、高裁宮崎支部が退けた。

さらに、捜査段階の鑑定を担当した県警技術職員が数値などを書き留めたメモを廃棄したことが明らかになっている。

検察側は女性の胸の唾液のような付着物から被告人のDNA型が検出されていることから「女性の証言に信用性はある」と反論していた。

事件を解説したテレビ報道の動画はこちらです。

ここをクリック→ 辛抱さんが解説 これはひどい!「強姦罪 逆転無罪 DNA再鑑定で別人」記憶がない人を警察が犯人に仕立て上げる 朝刊早読みニュース

有罪ありきの捜査権力の違法捜査を断罪した高裁裁判体の判示は賞賛に値するものだと思いますが、これが高裁裁判体も一審裁判体のように、捜査権力の判断を追認するだけの「木偶の坊」であったとしたら(そしてその可能性は決して低くない)、実に恐ろしいことです。

この事件の最大の問題点は、科学鑑定の危険性にあります。

女性の乳房に唾液、膣内に精液の存在が確認され、その唾液(想像するに相当少量)から被告人のDNA型を検出できた科捜研(科学捜査研究所)が、膣内の精液からは「抽出したDNAが微量であったため型が判定できない」と主張するのはそもそも不合理です。そして、鑑定できていたことを検察も知っていたことは、控訴審で検察が再鑑定を実施し、その鑑定結果を証拠調請求した(裁判所は採用せず)事実からも明らかです。

それを、捜査機関の証拠捏造とせず、「鑑定技術が未熟」としたのは、裁判所の捜査権力に対する最大限の配慮だったと感じます。

防御権の観点から、科学鑑定は無罪立証には積極的に活用されるべきものですが(アメリカのイノセンス・プロジェクト=DNA型鑑定によって冤罪証明を行う非営利活動機関の例を挙げるまでもなく)、有罪立証には抑制的であるべきだと考えます。

そして科学鑑定は、再鑑定を担保しなければ、有罪立証に用いることはできないという法的なしばりが必要だとも考えます。

「DNA型鑑定をした結果、被告人の型が検出された。ちなみに資料は全量消費して、再鑑定はできない」とされてしまったら、弁護のしようがないからです。

DNA型鑑定は、ファジーな事実認定と異なり、裁判官にはシロクロはっきりとした証拠として受けがよいように感じますが、今回のケースのように、捜査権力の恣意的な活用によって、逆手に取ることもできるということは肝に銘じておくべきだと思います。

捜査権力もこの武器を最大限利用するために、現在は大学研究所に外部委託しているDNA型鑑定を今後は科捜研で独占的にする方向であることが報じられていますが(2014年11月6日朝日新聞、注2)、とんでもないことだと思います。

科学鑑定は、公平な立場の第三者が行うべきであり、有罪立証の証拠作りとしてされるものでないのは言うまでもないことです。

この事件に関する江川紹子氏の論稿も合わせてお読み下さい。
ここをクリック→ [鹿児島・強姦事件、逆転無罪] またも繰り返された冤罪 裁判所・捜査当局の「罪」

(注1)
ここをクリック→ #検察なう (318) 「「チョコレート缶事件」と論理則・経験則違背」

(注2)
ここをクリック→ 「「詭弁なんだが」 DNA検査の委託中止へ 警察庁「経費減」、独占懸念も」

1/28/2016












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2016/01/28 Thu. 10:07 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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