「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (559) 「第19回口頭弁論報告~変わらぬ検察、変わりつつある裁判所」 9/12/2017 

#検察なう (559) 「第19回口頭弁論報告~変わらぬ検察、変わりつつある裁判所」 9/12/2017

昨日、私の国賠審第19回口頭弁論が行われました。

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これまでの18回の口頭弁論では、準備書面のやり取りが続き、水面下での攻防でしたが、昨日はついに実質審理に入りました。論点の一つである控訴違法に関し、証人が呼ばれました。証人台に立ったのは、私の刑事裁判一審の公判検事です。現役検察官が、検察の違法行為嫌疑に関し証人台に立つのはまさに前代未聞のことです。

被告側主尋問30分に続き、原告側反対尋問60分(小松正和代理人+郷原信郎代理人)が行われました。

私の第一審(2012年2月~2013年3月)からは、4年半が経過していますが、公判検事を目の前にして、あの時の記憶がまざまざと蘇ってきました。そして私の感じたことは、検察は無罪判決にも全く反省の色なく、変わっていないなというものでした。

国税局査察部による強制捜査は2008年12月に私の実家ほかに行われましたが、その時捜査官に言われたのは、「個人の事案なのでそれほど時間はかかりませんが、それでも2ー3ヵ月は覚悟して下さい」でした。しかし、実際には2ー3ヵ月どころか取調べは半年間も行われ、彼らが告発するまで更に半年を要しました。それから特捜部取調べ開始まで1年半、特捜事案の否認事件では逮捕が常識ですが、私は逮捕されることなく、取調べは3ヵ月に及びました。無罪判決後の控訴審では、検察官控訴としては異例の一回結審の門前払いで無罪判決は維持されました。

それらが意味するところは、当初から無理筋の事案であり、振り上げた拳を収めるができなかっただけの告発、起訴、控訴だったということです。

しかし、昨日の口頭弁論で検察官が証言したところは、「無罪の可能性は全く考えられなかった。無罪判決後の検察内の討議でも、不当判決であり棄却されるべき、することができる判決であるという意見のみで、控訴すべきでないという意見は全くなかった」というものでした。

これがもし嘘(宣誓して証言している以上、偽証)でないならば、検察というところは、驕り切った現状認識能力の欠如した組織だと感じました。彼の態度は、今でも「お前は有罪だ」と言わんばかりのもので、無罪判決を受けても反省なく、これでは冤罪がなくなるはずがないと思いました。「反省なきところに更生なし」とは彼らのためにある言葉だと思います。

その後、記者会見が行われました。

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そこで私は、国賠審で控訴違法が論じられることの意義を述べさせてもらいました。先進諸国では、検察官控訴は「二重の危険」として認められていません。捜査権力に対して圧倒的に不利な被告人が一度無罪になれば、推定無罪の精神からそれは確定すべきであり、それを検察側がひっくり返そうとすることは、被告人という非常にストレスの大きい状況を無為に長引かせることになります。

その後、喜多村洋一代理人、森炎代理人により、その点について解説が加えられました。

これまでの常識では、検察官控訴が制度上認められている以上、その権利行使に疑問をもたれることはなく、たとえそれに異議を唱えても、門前払いが必至というものでした。しかし私の国賠審で、初めて検察官控訴に関して、それが適法であったかどうかの審理が行われる程度まで裁判所の意識が変わってきています。

検察が全く変わっていないのに対し、「裁判所は少しずつ変わってきたように見える」という言葉でした。

少し踏み込んだ裁判所が、どこまで踏み込むのか。歴史が変わるのか。是非、今後もご注目頂き、ご支援のほどよろしくお願いします。

9/12/2017














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2017/09/12 Tue. 09:47 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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#検察なう (558) 「明日の(9月11日)第19回口頭弁論にご注目下さい」 9/10/2017  

#検察なう (558) 「明日の(9月11日)第19回口頭弁論にご注目下さい」 9/10/2017

2014年7月に開始した私の国賠審(国家賠償請求訴訟)も、明日で第19回口頭弁論を迎えます。

口頭弁論と聞くと、原告・被告が法廷でお互いの主張を「口頭」で戦わせるイメージがありますが、実際はさにあらず。刑事裁判の公判とは大違いで、ほとんど事務手続きの確認(「準備書面」と呼ばれるお互いの主張を記した書面の受け取りの確認や次回期日の調整等)に終始します。

しかし、明日の第19回口頭弁論は、相当エキサイティングなものが予想されます。

私は、国(国税局、検察)の司法手続きが違法であったと主張しています。有り体に言えば、彼らは私の無実を知りながら(もう少しソフトに言えば、無罪になるべき蓋然性が相当に高いことを知りながら)告発し、起訴をし、控訴をしたと理解しています。外資系証券業界全体で数百人(私が在籍したクレディ・スイス証券だけでも約100人)という株式報酬の無申告を戒めるために、私ただ一人がスケープ・ゴート、「一罰百戒」の見せしめに選ばれたと理解しています。

無実でも有罪にできると思った理由は、いまだかつて国税局査察部が告発し、検察特捜部が起訴をした事案では、無罪判決が一件もなかったという歴史的事実にあります。つまり査察部が告発し、特捜部が起訴をすれば、裁判所は間違いなく有罪を出してくれるという彼らの奢りがあったものです。

そしてその邪まな企ては、諦めの悪い被告人と優秀な弁護人と真っ当な裁判官が惑星直列のように連なって、初めて撃破されました。史上初の無罪判決は2013年3月1日、それが確定したのは翌年2014年2月14日のことでした。

そして彼らの横暴を更に戒めるべく、私は、無謀と言われる国賠審に臨みました。「怪しかったから告発した、起訴した、控訴した。それで無罪になったんだからいいだろう」と言えば通ってしまうのが常識であり、国賠審で私が勝つためには、彼らの司法取引きが違法であったと裁判所に認めさせなければなりません。役人が国民の肩を持って、役人を糾弾する必要があるというわけです。

しかし、私は優秀な弁護士の代理人チームという強力な助っ人を得、ここまで善戦に善戦を重ね、ようやく明日、実質的な審理が法廷で行われます。3年かけてようやく実質審理に入るというのは、国賠審においては、いかに門前払いの個人敗訴、国勝訴というケースが多いかを物語っています。

そして明日の公判では、控訴違法の論点に関し、私の刑事裁判で公判検事を務めた現役の検察官が証人台に立ちます。これは前代未聞の出来事です。被告側主尋問30分、原告側反対尋問60分が予定されています。

明日の口頭弁論は、午後2時30分、東京地裁第611号法廷で開廷されます。是非、傍聴頂き、歴史が動く目撃者となって頂くようお願い申し上げます。

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9/10/2017












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2017/09/10 Sun. 20:30 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (555) 「刑事司法の歴史が動く日、来る9月11日の私の国賠審口頭弁論にご注目下さい」 5/26/2017 

#検察なう (555) 「刑事司法の歴史が動く日、来る9月11日の私の国賠審口頭弁論にご注目下さい」 5/26/2017

国家機関(=国税局及び検察)が犯した過ちを、同じ国家機関(=裁判所)に、「違法性あり」と認定させるという、ほぼ不可能なハードルに挑戦してきた私の国賠審も大詰めを迎えています。

国家賠償法という公務員の不法行為に対しての損害賠償請求権を認めた法律は、一見、日本国憲法第17条「何人も、公務員の不法行為により、損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、その賠償を求めることができる」に基づき、「国家無答責の法理」を排斥しているかのように見えます。しかし実態は、「公務員の不法行為」の認定のハードルのあまりの高さに、それは形骸化し、イギリス中世において「Crown can do no wrong. (国王は悪をなし得ない)」という法格言があった時代同様、やはり国家権力が国民に対し何をしようがお咎めなしという状況が現実となっています。

私は、反則を犯したプレイヤーが笛を吹かれても、何のペナルティもないのであれば、「今度はもっとうまく反則すればいいや」と何の反省もしない今日の刑事司法に大きな危機感を持ち、ほとんど不可能と言われている国賠審に挑戦することを決めました。

その決意は、国賠審を戦うことを決めた後のブログを是非ご参照下さい。

ここをクリック→ #検察なう (392) 「国家賠償に関して (1) ~国家賠償訴訟に懸ける思い」 

私の刑事裁判は、まさに降りかかる火の粉を払わざるを得ない、やむにやまれぬ事情があったものです。勿論多くの冤罪被害者が、可能性ほぼゼロの挑戦を諦めるということはあるでしょうが、諦めが極端に悪い私にその選択肢はありませんでした。しかし、同じ「勝率ゼロへの挑戦」であっても、国賠審に臨んではいささか違う心持ちでした。自分の刑事裁判以上に、義憤がモチベーションと言っていいと思います。

「こんなふざけたことがまかり通っている世の中っておかしくね?」という気持ちは、刑事裁判の頃から持ち続けていますが、国税局、検察には私の無罪判決よりもきついお灸が必要だと感じています。「もっとうまく反則すること」を許さず、将来の冤罪を少しでもなくすためです。

そして、歴史が大きく動こうとしています。来る9月11日、国賠審第19回口頭弁論(14時30分、東京地裁第611号法廷)において、控訴違法に関し、刑事裁判一審の公判検事の証人尋問が行われることになりました。

これがいかに異例中の異例であるかは、私の代理人チームの一人である郷原信郎氏の最新ブログをご参照ください。

ここをクリック→ 『郷原信郎が斬る』「現職検察官が国賠審の法廷に立たされる前代未聞の事態」

国(検察)側の主張は、「一審裁判体の判断は、常識に照らして異常なものであった(=論理則・経験則違背)」というものになります。しかし、彼らがやったことは「何が何でも控訴してやる」という無理筋の控訴であることは明らかです。

刑事裁判においては、上級審は「レフリーを代えて、もう一回チャレンジ!」ではありません。刑事裁判の上級審が「事後審」と呼ばれるように、審理を継続して新たに心証を形成するのではなく、原審の訴訟記録に基づいて原判決の当否について事後的に審査することが大原則です。しかし、私の刑事裁判における検察官控訴は、「控訴審の裁判体は我々検察の肩を持った判断をしてくれるだろう」という愚かな期待に基づいた控訴であり、刑事裁判を「続審」化する、刑事司法に携わる法曹の一員として恥ずべき行為です。

同じ愚行が繰り返されないよう、私と私の代理人チーム(喜田村洋一弁護士、郷原信郎弁護士、森炎弁護士、小松正和弁護士)は戦っています。是非ともご注目頂き、ご支援のほどよろしくお願いいたします。

5/26/2017










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2017/05/26 Fri. 14:17 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (554) 「奇跡、再び!?国賠審で証人請求が認められる」 5/13/2017 

#検察なう (554) 「奇跡、再び!?国賠審で証人請求が認められる」 5/13/2017

先日の5月8日、私が国を相手取って戦っている国賠審の第17回口頭弁論が行われました。私は出廷していませんでしたが、傍聴していた友人・知人からメールやメッセンジャーで速報が届きました。彼らが伝えてきたのは、原告請求の証人が認められたということでした。これがどういう意味を持つのかは法曹関係者でなければなかなか分かりにくいことだと思われます。しかし、これは非常に重要な意味を持ちます。

ここをクリック→ #検察なう (553) 「私の国賠審のこれまでのおさらいと第16回口頭弁論報告」

私の国賠審は2014年の7月に始まりました。しかし、ここまでの約3年間表立った進展はなく、水面下で(期日間に「準備書面」と呼ばれる書面をやり取りして)原告の私と被告の国の主張の応酬が続いていました。

鍵は、原告請求の証人が認められるかどうかでした。「原告と被告の主張が真っ向から対立している争点があるのであれば、関係者を呼んでその証言を聞いてみよう」とする実質的な審理が法廷でなされることが、原告の私が勝つ必要条件です。勿論、十分条件ではありませんが、それがなければ、結論は「門前払い」です。

今回認められたのは、控訴違法に関する証人です。私は、「告発も違法になされた。起訴も違法になされた。控訴も違法になされた」と主張していますが、その最後の控訴違法に関する証人として、第一審の公判検事が証人として認められました(起訴違法に関しての証人は今回「留保」とされ、次回口頭弁論期日でその可否が決定される予定ですが、一旦留保しておいて認めることはほぼ考えにくいと思われます)。

一審公判検事は控訴に関する決定責任者ではありませんが、彼のインプットは非常に重要であったと考えられます。そして彼が控訴に関して消極論を述べたということは、考えにくいものです。野球で、9回を終わった時点で負けているチームのピッチャーが、もし延長戦が許されるなら、延長戦を望まないわけはないのと同じ理由です。証拠を熟知して、真実をかなりの確度で知っていたはずの彼が、「有罪にできる」というプレゼンテーションを検察内部でどのようにしたかは非常に興味深いところです。それが今後の口頭弁論期日で明らかにされるものと思われます。

控訴に関して、国はこの国賠審において、検察控訴は起訴と同じ判断基準でいいのだという主張をしています。そもそも刑事裁判は「事後審」と言って、控訴審では審理を初めからやり直すのではなく、一審の判決が常識に照らしておかしいかどうかのみを審理します。そのハードルが「論理則・経験則違背」と呼ばれるものであり、控訴審において一審判決を破棄するハードルはかなり厳しいことが最高裁判決(平24年2月13日判決)で確認されています。例えて言えば、負けているチームのピッチャーに延長戦を認める代わりに、延長戦においてストライクゾーンは狭くするよと言っているようなものです。

しかし私の国賠審における国の主張は、「それは裁判所が言っているだけで、検察はそんなこっちゃ知ったことじゃない。控訴する場合のストライクゾーンも、起訴する場合のストライクゾーンと同じでいいんだ」というものでした。

これは実に興味深いものです。検察は、明らかにボール球と分かっているボールを投げることがあることになりますが、彼らも全く有罪の可能性がないものを控訴するはずがありません。つまりこのことは、「ボール球を投げても、アンパイアによってはストライクに取ってくれるんだ」と検察自ら認めていることを意味します。

控訴違法に関する証人尋問では、この点が非常に重要になると思われます。

代理人チームの元検事郷原氏によれば、現職検事が国賠審の証人台に立つことは極めて異例のことだそうです。そもそも国賠審で国が負けることはほぼあり得ないので、ケース自体考えにくいのでしょうが。

次回期日は7月31日(月)です。そこで証人尋問の期日が決定します。現時点では、9月4日(月)あるいは11日(月)のいずれかが予定されています。奇跡が再度起こることを期待して、是非ご注目下さい。

(補足)
国賠審がなぜそれほど大変かに関して専門的な資料を添付します。興味のある方は是非お目をお通し下さい。最初から読んでいくと、テクニカルタームが多く、ほとんどの方は挫折すると思われますが(「職務行為基準説」ってなんじゃ??みたいな)、「運がよい冤罪被害者は、無実を勝ち取ることができたとしても、冤罪者の多くが国(警察・検察・裁判所)に対して国家賠償を請求してきたとしても、国は冤罪作りの責任から逃げ切ってきた」と述べる第6章「本件国賠訴訟から読み取れるわが国の司法の在り方について」だけでもお読み頂ければと思います。

ここをクリック→ WLJ判例コラム「氷見冤罪国賠請求事件が司法に問うこと~冤罪被害者は、二度の責め苦を負わされる~」

5/13/2017













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2017/05/13 Sat. 06:02 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (553) 「私の国賠審のこれまでのおさらいと第16回口頭弁論報告」 3/31/2017 

#検察なう (553) 「私の国賠審のこれまでのおさらいと第16回口頭弁論報告」 3/31/2017

先の月曜日、3月27日、私を原告とする国賠審の第16回口頭弁論が行われました。国賠審が始まってから、もう既に2年半が経過していますが、ここまで大した進捗もなく時間のみが経過したかのようです。

ここまでのところを一度整理してみます。

国賠審は、私が受けた経済的不利益の補償を求めるものですが(私は国に5億円を請求しています)、経済的利得が目的ではありません。国賠審のコストも勘案すると、1億円が経費のブレイクイーブン・ポイントと思われますが、それ以上勝ち得た場合には、私のポケットに入れずに、刑事司法改革の基金設立の資金として提供することを約束しています。

また、もしお金が欲しいのであれば、社員の税務調査対象者約300人のほとんどが申告漏れであり、そのうち約100人が私と同じく株式報酬の無申告だった状況を生み出した会社をコンプライアンス違反として訴えれば、脛に傷をもつ彼らから和解金を得ることは容易です。ただ、それは弱い者いじめにしか過ぎません。

私が「強い者いじめ」にこだわる理由があります。それは、私のような冤罪被害者を生まないためです。

日本の刑事司法においては、警察あるいは国税局が告発し、検察が起訴をし、一般市民を刑事被告人としますが、裁判の結果無罪となっても、告発した警察・国税局、起訴をした検察は全くお咎めなしです。

私は刑事被告人とされ、その結果、失職し再就職の道を閉ざされましたが、それが補償されることはなく、「無罪になったんだから、それでいいだろ」というのが国のスタンスです。

それに対し経済補償を求めるのが国賠審です。しかし、そのハードルは著しく高く、それゆえ過去の冤罪被害者の、足利事件の菅谷利和さんや布川事件の杉山卓男さん、東電OL殺人事件のゴビンダ・マイナリさんは国賠審を諦めています。それはいかに不利益を被ろうとも、それが国の違法行為によるものという認定が必要だからです。

それは例えば交通事故で、人を轢き殺したとしても、殺すつもりがなかったとすれば、全くお咎めなしということと同じものです。そして国賠審で、裁判所が国の違法行為を認定することはほとんどありません。

しかし、私がそれでも諦めきれないのは、「無罪になったからいいだろ」と捜査権力の反省のないところから冤罪が生み出され続けるからです。

私は、私が無罪になったからといって国を訴えているのではありません。私が確信しているところは、国税局査察部は私がシロであることを理解しながら告発し、検察特捜部は私がシロであることを理解しながら起訴・控訴をしたというものです。それは明らかな違法行為です。

取調べを受けた私は、肌をもってそのことを確信していますが、合理的に考えてもそれは確かです。国税局査察部や検察特捜部といった日本のエリート捜査権力は、極めて優秀です。その優秀な彼らが、長期間に及び執拗な捜査の結果、真実に到達しないはずはなく、合理的な帰結は「真実を知りながらも、それに目をつぶった」というものです。

そうして始まった国賠審ですが、この2年半、ほとんど進捗はありませんでした。国賠審のハードルの高さは、私の代理人チームの一人、元裁判官森炎氏の「国を負かして、個人を勝たせようなんて裁判官はいませんよ」という言葉に表れています。そして通常門前払いの国賠審を、ここまで我々が押せ押せムードできているのは、被告の国の主張があまりにも弱いためです。

それのみならず、被告の国はとんでもない主張をしています。それは、控訴違法に関する彼らの主張ですが、煎じ詰めれば「有罪の可能性がなかろうが、我々(=検察)が怪しいと思えば控訴してもいい」というものです。

平成24年2月13日最高裁判例は、一審の判決を不服とする控訴のハードルを格段に厳しくしたものです(注)。我々の主張は、私の一審無罪に対する検察官控訴はこの最高裁判例に反するものというものですが、国(そしてその背後にいるのは検察です)の主張は、「それは裁判所が勝手に言ってることであり、検察は、自分たちが怪しいと思えば、控訴も起訴と同じハードルで控訴していいんだ」というものです。

裁判所が上げたハードルを越える可能性がなかったとしても検察は控訴してもいいということは、有罪を得る可能性がない事案でも彼らの恣意的判断で控訴していいことになります。これが刑事被告人としての立場を、不必要に長引かせることになることは明らかです。

法務・検察官僚は、圧倒的に有利な国賠審を利用して、最高裁判例を骨抜きにする狙いだと思われます。郵便不正事件を発端とした刑事司法改革で、密告型司法取引導入や盗聴対象拡大という焼け太りを成し得た彼らの狡猾な戦略が透けて見えます。

こうした横紙破りの主張をする国に我々が負けるわけにはいきません。

2年半、大した進捗がなかったかに見えた私の国賠審ですが、先の第16回口頭弁論で動きが見えました。裁判長が次回期日(5月8日)で証人採用の可否の判断をすると宣言したからです。

国賠審で個人が勝つためには、関係者を証人として呼び実質的な審理を始めることが必須です。逆に国が勝つパターンは、原告が請求する証人尋問を裁判所が認めず、門前払いとするものです。次回期日で、私の国賠審が大きく動き出すことになります。

私の目的は、正しくあるべき捜査権力は正しくなければならないという社会正義の実現のためです。自己満足ではありますが、意義を感じています。是非ともご注目頂き、ご支援のほどよろしくお願いします。

(注)
ここをクリック→ #検察なう (318) 「「チョコレート缶事件」と論理則・経験則違背」

3/31/2017













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2017/03/31 Fri. 13:15 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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