「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (515) 「佐藤真言氏、刑期満了。おめでとうございます」 11/12/2015 

#検察なう (515) 「佐藤真言氏、刑期満了。おめでとうございます」 11/12/2015

このブログでも応援している佐藤真言氏の刑期満了が彼のツイッターで伝えられました。

ここをクリック→ 佐藤真言氏11月7日ツイート

彼は懲役2年4ヵ月の判決を受け、この3月に仮釈放で出所していたものです。

ここをクリック→ #検察なう (310) 「佐藤真言氏、本日収監!」 7/8/2013

ここをクリック→ #検察なう (458) 「おかえりなさい!佐藤真言さん!!」 3/16/2015

さっそくツイッターのDMでメッセージを送りました。(勝手に)掲載させて頂きます。

「刑期満了おめでとうございます(という挨拶でいいのかな?)。とにかくお疲れ様でした。今後の引き続きのご活躍を期待します。行政書士の試験ですね。そしていずれは司法書士?また塀の中の話も聞かせて下さい。とりあえず。」

「ありがとうございます。八田さんには本当にお世話になりました。行政書士は通過点です。まだまだ行きますよ~!泥の中から這い上がる姿をよろしければ見ていてください!囚人リク購読しています笑」

出所後にお会いした時には、以前の経営コンサルタントのお客さんとのビジネスを継続していると話し(彼の人徳ですね)、新たなチャレンジも語っていた佐藤真言氏。その前向きな姿勢には、見ていてすがすがしいものがあります。これからも彼を応援し、何かあればこのブログでも皆さまに報告していこうと思っています。

もし彼の巻き込まれた事件をご存知でなければ、是非こちらのブログをご一読下さい。

ここをクリック→ #検察なう (341) 「法律守って法を守らず~佐藤真言氏著『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』再読」  

粉飾1

彼からのメッセージにある『囚人リク』についてはこちら。

ここをクリック→ #検察なう (332) 「マンガ『囚人リク』」

11/12/2015














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2015/11/12 Thu. 02:34 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (458) 「おかえりなさい!佐藤真言さん!!」 3/16/2015 

#検察なう (458) 「おかえりなさい!佐藤真言さん!!」 3/16/2015

2月19日、佐藤真言さんが593日の収監を経て仮釈放となりました。桜の季節に間に合うかなと思っていたので、喜ばしい限りです。通常の「ヨンピン(刑期の1/4残し)」ではなく、「サンピン(刑期の1/3残し)」でのスピード仮釈放でした。

早速、彼の労をねぎらう機会がありました。久しぶりに会った彼は、特に人相が悪くなったということもなく(笑)、元気な真言さんでした。

久しぶりで話がはずみました。一番大変だったのは何でした?の質問には「食事がおいしくなかった」とのこと。特に米が「超古古米」らしくまずかったようです。それでは、出所して一番食べたかったのは?の質問には「TKG(たまごかけごはん)とビール」でした。

最初は雑居房に入ったそうですが、雑居房の中のヒエラルキーは年齢に関係なく入った順。最初は馴れずに気苦労もあったようですが、「八田さんが差し入れてくれた『囚人リク』がみんなに好評で助かりましたよ」だったそうです。

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比較的ラッキーなことに、雑居房で先に入った人が早々と抜け、彼は早くに房頭になったそうです。不自由ながらも、「どうせいるなら楽しまなきゃ」的なポジティブ思考で、結構楽しそうな収監生活だったように聞こえました(とは言っても大変だったでしょうが)。未経験者には「へええ」と驚かされることも少なくありませんでしたが、それらはまた機会を改めて。

友人と彼の話になった時、「佐藤真言さん?あの『粉飾』を書いた人だよね。経営コンサルタントだっけ?粉飾決算なんてどの会社でもやってるんだろうけど、運が悪いというかかわいそうだよね」と言う友人に、「それは事件の本質を理解していない」ときっちりレクチャーさせてもらいました。

彼の巻き込まれた事件は、検察によって作られたと言えるものです。株式を上場していない会社においては、粉飾決算自体は違法ではなく、それにより銀行から赤字決算では借りられない資金を引き出したことが詐欺罪に当たるものです。しかし、当初から返済の意思はあり、実際に十分な返済能力があったにも関わらず、それでは可罰性が低いからと、返済させないように会社社長を逮捕して倒産に追い込んだと見られます。一罰百戒のターゲットとされたであろう彼らの行為は、当初から計画倒産を企て、私的流用していたようなケースとは明らかに異なり、執行猶予相当の罪に対して実刑判決という、著しい量刑不当の冤罪というものです。

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そうした捜査権力によってフレームアップされた事件の被害者であることを、なかなか人は理解してくれないという悔しさはあると思いますが、そうしたところは微塵も見せず、収監前と何ら変わらない明るい真言さんでした。

「中に入るまでは気にも留めなかった何気ないことにも、喜びを見出すことができるというのはありますね」

やっぱり人間万事塞翁が馬だなあ。

「11月の満期までは、完全にリラックスもできないのでしょうが、とにかく出所おめでとうございます!」といったところでした。

佐藤真言

3/16/2015











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2015/03/16 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (408) 「佐藤真言氏からの手紙」 7/14/2014  

#検察なう (408) 「佐藤真言氏からの手紙」 7/14/2014

私の応援する佐藤真言さんが収監されて一年が経過しました。

丁度一年前のブログです。

ここをクリック→ #検察なう (310) 「佐藤真言氏、本日収監!」

佐藤さんの巻き込まれた事件を知るには、是非彼の著書をお読みください。

粉飾1

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その佐藤さんから手紙が届きました。彼のポジティブさが表れた文面には多くの人が勇気をもらえると思い、ここに公開させて頂きます。彼が復帰するはずの来春が待ち遠しいものです。

八田さんへ

梅雨のまっただ中、外界がどれほどの暑さなのか想像がつきませんが、窓から入る風や天気予報などから、蒸し暑い日が続いているのだろうと思っています。お元気ですか?

さてとまずは無罪判決、いや完全無罪判決おめでとうございます!歴史を変えた判決でしたね。私も新聞でその情報を知り、一人心の中で拍手喝采をしていました 笑。そして次なる戦いは国賠訴訟ですね。これは世の中にもクローズアップされるべき裁判。どのような戦いをされるのか、興味をもってみています。頑張って下さい。

私のほうはおかげ様元気にやっております。入った当初は大きな不安もあり、刑務作業においてもミスを連発しておりましたが、今ではすっかり慣れ、不自由な中でもささやかなことに幸せを見出して、日々楽しみながら一日一日を過ごしています。そして出所後という、真の勝負処を見すえて、所内で色々とチャレンジをしています。そして何より多くの方々に応援をしていただいているというのが、何とも心強いです。逮捕されて収監されている私のような人間に、本や温かい言葉を毎日のようにいただき、生きていく支えになっています。これは本当にオーバーではなく。囚人リク15巻、ありがとうございます。いつも楽しみに読ませていただいています。忙しいのに気にかけていただいて、ありがたく思っています。

衛生係の仕事は、一日がとても早く感じられる仕事です。一日が早い、というのはとても良いことで、又、仲間や刑務官の先生にも恵まれ、ほとんどストレスを感じることなく過ごしています。

八田さんと最後に会ったのは、赤坂のランチでしたか?早いものでもう一年が経ちましたね。あれは楽しい時間でした。あの時に食べた麦飯を今は毎日食べています 汗。収監までにゴールデン街で店を出すつもりだったのですが、収監日の延期が認められなかったので断念せざるをえなかったんですよ。出所したら記念イベント(お手紙や本を差入れをいただいた方への感謝を込めて)をゴールデン街で行いたいと思っていますので、よろしければ遊びにきて下さい!

あと、本の出版もおめでとうございます!読み始めたら止まらずに一気に読了しました。NHK(ハゲタカの枠)などでドラマ化されると良いですね。

バンクーバーと日本との行き来、大変かと思います。又、猫ちゃんのことも聞きました。何と申し上げてよいか。でも八田さんの裁判をちゃんと見届けて守護神の役目を果たしてくれたのではないでしょうか。

お会いできる日を楽しみにしております。紹子さんからもお手紙やすてきな写真をいただき、とても癒されています。

不自由な世界におりますが、けっして不幸ではありません。折り合わない人からは、自分の足らない点を教えてもらえますし(←これは無料の人生勉強!)。多くの仲間とは笑顔で語らっています。

規則正しい生活で、健康状態は良好です。そのあたりのことはどうぞご心配なく 笑。

ではでは、再会を祈って!八田さんのますますのご活躍を獄壁の中から願っています。マザーテレサの言葉(注)、いつも励みにさせていただいております。

ありがとうございます。乱筆失礼いたしました。

二〇一四年七月三日

佐藤真言

(注)
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7/14/2014










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2014/07/14 Mon. 06:09 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (360) 「朝倉氏/佐藤氏への手紙」 1/6/2014 

#検察なう (360) 「朝倉氏/佐藤氏への手紙」 1/6/2014

(強制捜査から1848日、控訴審判決まで24日)

朝倉さん/佐藤さん、あけましておめでとうございます。と、書きだしたものの、単なる時間の一区切りに過ぎないとはいえ、年明けを塀の中で迎えるということに今更ながら衝撃を感じています。

寒さも厳しさを加え、不自由な思いをなさっているのではないでしょうか。それでも、多くの応援してくれる人たちの思いが朝倉さん/佐藤さんの心を温めてくれていると信じています。

直接話すことがかなわないので、どのようなお心持であるかは測りかねますが、やはりご自分が巻き込まれた状況を繰り返し思い起こしていらっしゃるのではないでしょうか。私もなぜ朝倉さん/佐藤さんが自由を奪われなければならないかを度々考えています。

私は絶対的存在を信ずる者ではないので、「神は乗り越えられない試練は与えない」とは言いませんが、やはり朝倉さん/佐藤さんがそこにいるには何らかの目的があると思っています。そして人は、意識をもって行動を目的化することはできます。

刑務所の社会的意義は、受刑者の更生にあると思っています。それは受刑者本人にとってより、社会にとっての利益だからです。ところが最近の犯罪の減少傾向の中でも再犯者は初犯者ほど減らずに再犯率が高くなっていたり、深刻な累犯者が増えていたりという状況に鑑みるに、刑務所が受刑者の更生装置としてはうまく機能していないようです。それは刑務所が単に罰を与える場所としてしか機能していないからだと思います。その変革を促す一助として朝倉さん/佐藤さんがその場にいると考えることはできないでしょうか。

話が一足飛びになりました。説明します。

朝倉さん/佐藤さんはさぞかし不公平に感じていると思います。世の中には私腹を肥やすために不法行為を行う者がおり、彼らが罰せられていないにも関わらず、彼らと同じ行為ではあっても私利私欲に基づかずに行ったご自分が罰せられているという状況であれば、人間、そういう気持ちにならない方がおかしいと思います。

しかし、不公平であると考えることは何の利益にもならないどころか、ご自分を卑しめるものだと思います。世の中はそもそも不公平なものだと受け止めることです。そうした上で、表面的な反省を取り繕うのではなく、心から模範囚を目指して下さい。

本来、不平不満を持っても仕方がないであろう朝倉さん/佐藤さんが、現実を受け止め、点数稼ぎではなく模範囚でいようとする姿にほかの受刑者の方々が心を動かされないはずはありません。

強制ではなく自発的に本当の反省を促すということは刑務官・刑務所にはなかなかできないことです。それがほかの受刑者の方々の再生につながると私は信じます。

模範囚でいようと取り繕う必要は全くありません。朝倉さん/佐藤さんの善人格は、誰であれ理解できるものです。むしろ、心にもない反省はすべきではありません。それは後のあなたの人生にとって悪影響すらあると思います。繰り返しになりますが、現実をそのまま受け止めることです。そして前向きに生きることを心掛けて下さい。

朝倉さん/佐藤さんと接するほかの受刑者によい影響を与えることで、刑務所を彼らにとっての更生装置として機能させることができると私は信じています。そしてそれが、あなたがそこにいる目的だと考えています。

最後にマザー・テレサの言葉を贈ります(マザー・テレサと私のキャラは全くかぶりませんが、笑)。

「人は不合理、非論理、利己的です。気にすることなく、人を愛しなさい。

あなたが親切であれば、人々はよからぬ思いを秘めてあなたを非難するかもしれません。気にすることなく、親切であり続けなさい。

あなたが正直で誠実であれば、あなたを騙そうとする人が現れるでしょう。気にすることなく正直で誠実であり続けなさい。

あなたが幸せを見つけたら、人々が嫉妬するかもしれません。気にすることなく、幸せでいなさい。

あなたが善い行いをしても、おそらく次の日には忘れられるでしょう。気にすることなく、善を行い続けなさい。

あなたの中の最良のものを世に与え続けなさい。全く足りないかもしれません。気にすることなく、最良のものを与え続けなさい。」

くれぐれもお体に気をつけて、ご自分に正直に頑張って下さい。応援しています。

2014年新年を迎えて

(一昨日彼らに投函した手紙を転載しました。彼らが巻き込まれた事件を知るには以下の2冊の書籍をご参照下さい。

ここをクリック→ #検察なう (209) 「何が社会正義かを問う 『四〇〇万企業が哭いている 検察が会社を踏み潰した日』を読んで」

ここをクリック→ #検察なう (341) 「法律守って法を守らず~佐藤真言著『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』再読」 )

1/6/2014



















ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

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category: 佐藤真言氏 『粉飾』

2014/01/06 Mon. 00:20 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (341) 「法律守って法を守らず~佐藤真言氏著『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』再読」 10/28/2013 

#検察なう (341) 「法律守って法を守らず~佐藤真言氏著『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』再読」 10/28/2013

(強制捜査から1777日、控訴審初公判まで18日)

Kindle版『粉飾』を再読しました。Kindle版には、佐藤氏書き下ろしの特別章と郷原信郎氏との巻末対談が新たに収録されています。

ちなみにKindleは初体験でしたが、思いのほか快適でした。最近、老眼がとみに進み暗いところでは文字が読めなくなってきましたが、Kindleはバックライトのおかげで映画の待ち時間の薄暗い劇場でも快適です。また本に線を引くのが好きではないので、Kindleのブックマーク機能は超便利です。私はiPadアプリでKindle版を読んだのですが、Kindle端末でできる語句検索がアプリでもできるようになると最強なのにと思いました。

時間をおいて再読すると、以前読んだときと変わらぬ印象もあれば、少し違った印象もありました。

変わらぬ印象は、この事件はやはり検察特捜部によって作られた事件であり、不当に人権が蹂躙されたというものです。しかし違った印象は、この弁護活動であれば、この判決も仕方ないかなというものです。それらは矛盾するかのように感じられるかもしれませんが、少しお話しさせて頂ければと思います。

この事件の検察特捜部の筋書きは、経営コンサルタントである佐藤氏が、赤字決算の中小企業社長の朝倉氏ほかに決算を黒字化する粉飾決算をさせ、銀行から不正に融資を引き出し、結果的にその中小企業が倒産することで、銀行に実損を負わせたとされているものです。

佐藤氏や朝倉氏を擁護する声は小さくないのですが、批判もあります。特に法律関係者の評価は厳しいようです。上場企業が粉飾決算をすることは違法行為ですが、株式公開をしていない中小企業では、粉飾決算そのものは犯罪ではありません。しかし決算の数字をごまかして融資を引き出したことが欺罔行為に当たり、佐藤氏や朝倉氏は詐欺罪に問われたものです。

検察特捜部が佐藤氏や朝倉氏を罰する目的は、一義的には、粉飾決算が蔓延しているという状況を改善するというものです。その目的の前では粉飾決算が必要悪であるという主張は全く意味をなしません。そして、捜査当局が粉飾決算はよくないことだという立場を取る以上、粉飾決算をしている中小企業から悪質なケースを選んで「一罰百戒」的に誰かを罰するということは必然です。

それでは次の2つの粉飾決算のケースを比較して下さい。

「ある経営コンサルタントは、会社社長と結託し、最初から融資金を踏み倒すつもりで、実稼働していない赤字会社の決算を粉飾して融資金を引き出した。そして会社を計画倒産させた上で、その融資金を私的に流用した(例えば、3億円を着服してホテル住まい、キャバ嬢と海外旅行に行ったり、高級外車やヨットを購入したり、といったディテールを加えましょう)。」

「ある経営コンサルタントは、会社から依頼を受けた時点で、その会社は一時的に赤字になっていて以前から粉飾決算をやっていたが、ひたむきに事業を続けたいという会社社長の強い意志と会社の成長性を確認した上で、銀行融資も返金できる見込みが高いと判断した後、粉飾決算の継続を選択した。そして赤字の解消に会社社長と共に額に汗しながら働いていた。」

「一罰百戒」のターゲットとすべきはどちらかということは言うまでもないことです。

佐藤氏や朝倉氏のケースが後者であることは、検察特捜部は百も承知でした。

そして倒産したことによって銀行に実損を与えたとされた朝倉氏の会社ですが、アパレル業界という季節産業の資金繰りのタイミングにより、朝倉氏の逮捕がなければ会社も存続し、資金の回収ができたであろうことは事件後の会計士の検証で明らかになっています。これも検察特捜部は理解していたことであり、敢えて銀行に実損を与えるための逮捕のタイミングであったことが事件の経緯から伺われます。

また佐藤氏は郷原信郎氏との対談の中で、まじめに仕事をしながらも赤字決算で粉飾をしなければいけない状況に陥った会社の場合でも2パターンあると言っています。引用します。

「私のところに相談に来られる中小企業には二通りあります。

一つは、そもそも撤退すべき会社というのがある。粉飾決算をしていても、売り上げが上がらない、今後の見通しが立たない、ただただ延命したいだけという会社もありました。そういう会社の場合には、弁護士さんを紹介して破産手続きをするということも説明します。あるいはリスケジュールと言いまして、粉飾をすべて明らかにし、銀行への返済を止めるやり方をとる会社もありました。

もう一つは、エス・オーインク(注:朝倉氏の会社)のように、未来が非常に見える会社。コストを削減して、きっちり経営すれば黒字になる、債務超過が消えていくという会社の場合は、どうしても資金調達が不可欠なものですから、そこで粉飾決算を継続し、容認していく。いずれは利益をもって粉飾を消していく。これは何年かかるかわかりませんが、数年かかって粉飾の水増し分を減らしていく。決算書を正しい形に戻していくというやり方を取ります。」

佐藤氏や朝倉氏が行ったことをただ単に法律に抵触しているからといって、実刑という厳しい処罰に処すことに社会正義があるのかを私は問うています。これが表題の「法律守って法を守らず」の意味です。もし彼らが捜査の網にかかったとしても、それを実刑に処すべきかの判断ができないのであれば、何のための起訴便宜主義であり、何のための執行猶予制度かと思います。

しかし、もし私が裁判官だとした場合、かなり判断には窮するところです。

私が違和感を感じたのは、佐藤氏の弁護人であった宗像紀夫氏の「戦うのではなく、やはり謝った方がいい」「この事案自体は執行猶予が当然の事案だ」という言葉です(『粉飾』Kindle版 佐藤氏x郷原氏対談より)。

なぜ「戦う」と「謝る」の二者択一なんだろう。「謝りながら戦う」という方法もあるだろうに、と思ったものです。被告人の佐藤氏自身が「このケースで私を罰することは社会正義にもとる」と主張することは愚の骨頂です。ですから、彼が公判で全面的に非を認めたことは正しかったと思います。しかし、被告人、弁護人ともに罪を完全に認めることは、検察の主張をそのまま許容することだと裁判官は受け止めるのではないでしょうか。全面的に白旗では、裁判官が十分に証拠調べをしない可能性があり、事件の特殊性を理解しないことが考えられます。ですから、「謝りながら戦う」即ち、被告人は罪状認否で罪状を認め、反省の意を表すると共に、弁護人が「この事案で被告人を罰することは社会正義にもとる。無罪にすることこそが正しい判決である」と敢然と無罪を主張するということを選択すべきではなかったのかというのが素人の謙虚な意見です。

自分が無罪を戦った経験から言えば、「無罪であるべきだ」「執行猶予となるべきだ」という「べき論」で通用するほど、刑事司法は被告人に甘くありません。むしろ推定有罪原則が刑事司法のディフォルトであり、知力を尽くし全力で事に当たらないと望む結果は得られないと考えるべきです。(注1)

私が裁判官であれば、検察官の「粉飾決算を叩くことが社会の秩序維持につながる」という主張には一理ありと考え、それに全く被告人、弁護人が異を唱えなければ、検察官求刑に7掛けで判決を書いて実刑やむなしとするのではないかと感じました(佐藤氏に対する検察求刑は懲役4年、判決は3年の実刑)。

ここで考えて頂きたいのが、刑罰の意義です。犯罪を罰することの重要な意義は、因果応報的に犯罪者を罰することよりは、罰により社会秩序を保つことなのではないでしょうか。そしてその社会秩序保持には、捜査権力に対する国民の信頼は必要不可欠なものです。

捜査権力は悪人を罰するからこそ、その対立項として善であるとみなされるものです。いかに外形的に法律に抵触していようと、善人を厳罰に処していたのでは彼らが悪にみなされかねないのではないでしょうか。そのための起訴便宜主義であり、検察は本来そののりしろを最大限に活用しています(検察の起訴率の低さは、刑事裁判の有罪率の高さと同じく異常なほどです)。

再読して、特に朝倉氏の男気には再度感服しました。佐藤氏も犠牲者ですが、そのとばっちりを受けながらも佐藤氏を責めない朝倉氏。私が新宿で一度個人的にお会いした時も、彼自身傷つきながら、人を赦し、当然持つ怒りを社会の仕組みそのものに向けていたことを思い出しました。

佐藤氏と朝倉氏を厳罰に処したことが法律的に正しかったかどうかは論を措いても、捜査権力に対する信頼は確実にダメージを受けたことは、この事案を扱った石塚健司氏著『四〇〇万企業が哭いている 検察が会社を踏み潰した日』(注2)や佐藤氏自ら著した『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』(注3)が売れていることからも明らかです。

検察特捜部は独自捜査が看板ですが、その独自捜査で、検察全体の看板を汚すようなことをしていたのでは、まったくもって特捜部の名折れです。エリートを認ずるのであれば、小手先ではなく、もっと大きな視野で物事を考えるべきだと思います。私の事件を通しても全く同じことを考えました。 

先日10月25日に獄中で誕生日を迎えられた朝倉氏と、来たる12月27日に同じく獄中で誕生日を迎える佐藤氏に、塀の外からエールを送りたいと思います。

ここをクリック→ 『You'll Never Walk Alone』

(注1)
これに関しては、私が前回、日本の司法を正す会に招かれた際に、早川忠孝氏が「どんなにお粗末な弁護であっても、無罪になるべきものは無罪になるのが理想だが、現実はそうではない」と語られ、御大村上正邦氏に私は散々「刑事司法、裁判は甘くない」と厳しくお叱りを受けたものです。

ここをクリック→ #検察なう (329) 「「日本の司法を正す会」『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』動画」

(注2)
ここをクリック→ #検察なう (209) 「何が社会正義かを問う 『四〇〇万企業が哭いている 検察が会社を踏み潰した日』を読んで」

(注3)
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10/28/2013














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category: 佐藤真言氏 『粉飾』

2013/10/28 Mon. 02:22 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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