「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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嘆願書 (33/146) 米村望 

嘆願書 (33/146) 米村望

犯罪の契機は、結局動機と人品に関わると思っています。その人品に関して、私の友人・知人に「あなたの知っている八田隆を文章にして下さい」と依頼しました。そして集まったのが146通の「嘆願書」です。検察特捜部に提出したものですが、本人の了承を得て実名公開します。

33通目の嘆願書は、私のワインつながりの友人、米ちゃんからのものです。

説明よりまず彼のスパイスの効いた嘆願書をお読み下さい。

<嘆願書>

私は、資産運用というものをまったくしない人間であることもあって、八田隆さんが従事していた職業に関しては、ネガティヴに捉えておりますし、また私と同じ年齢である八田さんが得てきた報酬が、私個人とは比べようもないくらい巨額であることには、正直申し上げて、妬みや僻みを感じてしまいます。

しかし、今回の「脱税」というものの経緯を、八田さんから教えてもらった情報に則して、また八田さんという人間を知る友人としての観点から申し上げると、そこに「故意」や「悪徳」が介在するとは、考えにくいと思っております(もちろん今後新たに、「自白」以外の「物的証拠」や「状況証拠」が出現しない、という前提ではありますが・・・)。

われわれ一般人も「地検特捜部の国策捜査」というものの一端を知ることになった現在、もしこの裁判が、「外資金融業界で大儲けした金持ち」を、「有罪という結論を導くためのストーリー」に沿って行われるとしたら、「特捜部」「国策捜査」というものに対する疑念はいよいよ増し、「日本の正義というものは、恣意的なものだ」という認識が、広がっていくような気がします。

八田隆さんは、いい加減なところも多々ある人物ですが、不正なことを意図的にするには、モラルが邪魔をしてしまう性格であると、私は思っております。

検察におかれましては、八田さんのことばに、真摯に耳を傾けていただきますよう、お願い申し上げます。

米村望

<以上>

この米ちゃんの嘆願書が弁護士の元に届けられたのが、2010年の3月。村木氏が郵便不正事件で無罪判決を受ける6カ月前のことです。

勿論、彼の普段からの政治的関心や知識というものが人より長けていたということもあるのでしょうが、あの時点でこのように物事を俯瞰的に見ることができたというのは大したもんだな、と思います。

実は、私は「国策捜査」という言葉を知りませんでした。ある機会に別の者(彼はベアー・スターンズの同僚だったのですが)と話をしている際にも、「えー、八田さん、それって国策捜査じゃないですか」と言われても、それが何か聞き返すのが恥ずかしかったので、知ったかぶりをして「そうなんだよ。よく分かってんじゃん」と答えたものです。

国策捜査という言葉は、先日日経ビジネス掲載の記事のタイトル「クレディ・スイス『国策捜査』の真実」にも使われています。

ここをクリック→ 日経ビジネス「クレディ・スイス『国策捜査』の真実」

Wikipediaで「国策捜査」を検索してみました。

ここをクリック→ Wikipedia 「国策捜査」

「国策捜査(こくさくそうさ)とは、捜査方針をきめる際に、政治的意図や世論の動向にそって検察(おもに特捜検察)が(適切な根拠を欠いたまま)『まず訴追ありき』という方針で捜査を進めることをいう。」

「政治的意図」に「役所のメンツを保つため」とか「国税局に押し切られたため」といったものを含ませるならば、私が巻き込まれたクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件における捜査も、文字通りの国策捜査です。本事案は笠間検事総長も了承の(彼が起訴を後押ししたということではありません。彼のこれまでの言動を見る限り、彼は、検察庁の中で孤軍奮闘改革を進めようとしている人物だと私は思っています)、高度に政治的判断を巻き込んだものであると思っています。

国策捜査における権力の行使者を検察と限定した用語に「検察ファッショ」という言葉もあります。同じ意味です。

検察には、効果的に捜査を行い、正義を遂行してもらうために強大な権力が与えられています。同時に、彼らを監視する組織・機関はありません。彼らを律するものは彼らが身につけるバッジ「秋霜烈日」が表象する、自らに厳しくあれという精神だけです。そして国民の誰もが(多分、裁判官も含め)、彼らの無謬性を信じて疑わないというのが、これまでの状況でした。

ところが国策捜査という言葉があること自体、一部の人間はその無謬性に疑いを持っているということを表しています。そして私も、実体験を通して、検察が公権力を濫用して、真実を捻じ曲げるということを知ったものです。

これをお読みの方の中で、「彼らが、無実の者を罪に陥れるなんて、そんな悪いことをするのだろうか」と思われた方がいらっしゃったとしたら、まだ認識は不十分だと思って下さい。私は、彼らはそれが悪いことだとは思っていないと思います。だからこそできることです。彼らも人間ですから、(性善説信奉派の私は強く信じていますが)、それが悪いことだと思ったら、彼らもそんなことはできないはずです。国家権力の権益と個人の人権の間でのプライオリティーの問題です。彼らが信ずる正義と一般的に信じられている正義との定義の違いと言ってもいいかもしれません(田原総一朗氏はそのように説明しています)。

ちょっと概念的過ぎるかもしれませんね。それではこういう説明はどうでしょうか。彼らの仕事だと彼らが思い込んでいるものが「法と証拠に基づいて起訴できるものは起訴する」ことだということはご理解頂けるでしょうか。

私は、検察の取調べで、検事に何度も何度も「検察は真実の追求をすべきだ。起訴をするということがあなたたちの仕事ではない」と訴えてきました。そして彼らに私の訴えが届くことはありませんでした。

確実に言えることは、検察官としての任務遂行の上には、「人間としての良心は必要ない」ということです。むしろそれを殺してこそ恣意的でない捜査が行えるとすら彼らは思い込んでいると思います。

検察が、私たちの知っている「正義」を遂行しないということは、国民全体の脅威だと思います。そのためにも「冤罪はこうして作られる」という現場中継的情報発信をこれからも継続していこうと思っています。

引き続きご支援の程、よろしくお願いします。


ここをクリック→ 米村望嘆願書


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2012/02/11 Sat. 15:52 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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嘆願書 (32/146) 松本直久 

嘆願書 (32/146) 松本直久

犯罪の契機は、結局動機と人品に関わると思っています。その人品に関して、私の友人・知人に「あなたの知っている八田隆を文章にして下さい」と依頼しました。そして集まったのが146通の「嘆願書」です。検察特捜部に提出したものですが、本人の了承を得て実名公開します。

32通目の嘆願書は元クレディ・スイス証券の同僚からのものです。

彼の嘆願書には重要なインフォメーションがありますので、是非じっくりお読み下さい。

クレディ・スイス証券で税務調査対象者は約300人。その大部分が申告漏れ、そして実に約100人が私と同じく株式報酬の無申告であったことは既に報道されています。

正しいとされる申告は、株式取得時に給与所得として総合課税申告というものです。

これを、取得時ではなく売却時に申告であるとか、退職時にもらったものを税率の低い退職金として申告とか(ことこれに関してはかなりの議論がありますが)、全額ではなく譲渡益分だけ総合課税で申告とか、給与所得ではなく一時所得として特別控除額(50万円)を引いた残りの1/2を総合課税で申告とか、あるいはそれらの組み合わせといったように、間違った申告のパターンは様々だったようです。

これは会社の指導が周知徹底していたとは程遠い状況だったということの証左です。

私は今までも、あるいは今後も、会社に責任転嫁して事なきを得ようというつもりはありません。あくまで「過少申告は100%私の責任。そして脱税は犯罪そのものが存在しないから、誰も悪くない」というスタンスは変えないものです。

むしろ犯罪を作り出しているのは、国税局であり検察です。彼らは、犯罪の対立項としてしか自分を定義できないため、このようないびつな状況を引き起こしているのだと思います。

国税局・検察は、給与プログラムや雇用契約書や株式受渡時の通知といった大部の英文書類の隅々を探して、「会社は源泉徴収する義務はない」といった文言をいたるところで拾って、私がそれを意図的に看過したという状況証拠を固める作戦でしょうが、社員の申告状況という事実は、何よりも雄弁に真実を語るものだと言えます。

給与プログラムの書類など、極端な話、社員が何万人いてもそれを書いた人間しか読まないのではないかと私は思ってしまいます。別にその内容の隅々を理解したところで給料が上がるわけでもなし、もし私の部下がそのような書類を読んでいたら、「そんな暇があれば仕事しろ!」と怒鳴ったものだと思います。

外資系証券で働く人間は、報酬金額にこだわる人間は多いと思います。私も、勿論、その中の一人です。しかし、そのこだわりとは、経済的価値ではなく、それが会社の自分に対する評価、通信簿の成績のようなものだからです。

私は21年間外資系証券に働いて、一度たりとも報酬金額に文句を言ったことはありません。それはナンセンスだからです。通信簿の成績が悪いからといって、その点数をつけた先生に文句を言うものなのでしょうか。少なくとも私はそう考えていました。

勿論、私がマネージャーであった時、報酬金額に文句を言う部下もいました。彼らには、「俺は交渉には応じないよ。もっとパフォーマンスを上げれば、希望する金額は喜んで払うから、もっと頑張んな」と言ったものです。

もし会社の評価が自分の実力より低いと考えているのであれば、会社を辞めればいいだけの話です。それだけの自信があるのであれば、自分を高く売ることに何ら不安はないはずです。

私は、報酬金額の点で、会社を辞めようと思ったことは一度もありません。実際のところ、ソロモン・ブラザーズに14年間、あるいはクレディ・スイスに6年もいるよりは、早く転職した方が、よっぽど金銭的には恵まれていたはずだと思います。

他社からの誘いは、14年間の間に数えきれないほどありましたが、結局行くことはありませんでした。それらは、私の心を動かすものではありませんでした。なぜなら、私はソロモンの仲間が好きだったからです。ソロモンでの成功、それは昇進ということですが、それが夢だったからです。

刑事告発の報道後、私が元クレディ・スイスの者に株式の税務処理の件を尋ねたのは20人あまりですが、彼らのほぼ全員が無申告でした。

彼らはフロント・オフィス(日本の企業でいう総合職)に属していますが、そこで無申告が多いのは、彼らの納税意識が低いからではありません。業務の多忙さにかまけて、税務をおろそかにしていたことは確かですが、税金を逃れようという意識はなかったものだと思います。

その中で正しく申告をしていたのはわずか2人でした。

その正しい申告をしていた数少ない者の一人が今回、嘆願書を公開する松本直久氏です。

私は、彼に直接嘆願書を依願していません。私の元部下が口を利いてくれ、彼自身申し出てくれたものです。彼自身は正しい申告をしているわけですから、何ら自己弁護する必要もなく、また私を弁護するメリットもありません。むしろ、間違った者たちを嘲笑ってもいいようなものです。彼の正義心が嘆願書という形になって現れたものだと思います。

検察は執拗に関係者の取調べをしていますが、その選択は恣意的なものです。会社に在籍する正しい申告をした数少ない者を探し出して、彼らに「八田は悪い」と言わせたところで、何の説得力もないということを理解できていないようです。

彼らは、会社に在籍しておりかつ申告漏れであった人間から「なぜ申告漏れであったか」ということを聞くべきです。あるいは、逆に会社を辞めかつ正しく申告していた人間から「どうして正しく申告できたか」ということを聞くべきです。

もしかしたら、そんなことは分かっているのかもしれませんが、彼らの仕事が、真実の追求ではなく犯罪を捏造することである以上、そうした合理的な行動も取れないのかもしれません。

<嘆願書>

松本直久と申します。クレディ・スイスで1998年から2006年まで勤務しました。八田さんは外債で私はデリバティブ担当でしたが、同じ債券部門で近くに席があり、部門のミーティングでは一緒になることも多くありました。彼は、仕事の結果だけでなく、その内容に真剣に取り組むタイプでした。

外資系の金融機関では上に行けば行くほど収益さえあげればよしとする者が多いのですが、彼は単純に外債が好きなのか彼なりの美学なのか、自分にも他人にも合理的で美しい仕事を求めていました。当然、お客さんのことを考えた提案になるので評判は良かったようですが、怠慢やつじつまの合わない行動には厳しく、部下の中にはついていけないと感じていた者もいるようです。

今回のクレディ・スイス社員の申告漏れ報道には、驚くと同時に「やっぱり」とも思いました。私自身も非常に面倒に感じていましたが、そもそも株式を支給された場合の納税のルールや仕組みの理解が難解なのにもかかわらず、会社からは積極的な説明はなく、個人の納税は個人の責任でというだけでしたので。今回100人を超える申告漏れがあったという報道でしたが、クレディ・スイスが納税意識の低い人間を選んで採用したとも考えられないので、やはり会社の説明不足だったのだと思います。

給与所得になるのか、いつの時点で収入があったとみなすのか、いつ申告するのか、など会社は何にも教えてくれませんので個人で必死に調べないとわかりません。しかも、外資系金融はどこでもそうだと思いますが、社員の間でも申告や納税の話題はつっこんでしづらい雰囲気があり(結局金額を類推できてしまうので)、納税に詳しい人がいても口コミで広まりません。

クレディ・スイス株の受け取りにあたって、日本の証券会社ではなく米国の証券会社を指定したのも会社側です。すべての社員はいやおうなく米国の証券会社で株を受け取らざるをえませんでした。脱税目的であえて海外に口座を作るわけではありません。社員の側は、ボーナスは全額現金で欲しいと思っていますし、やむをえず一部を株式にするのであれば、支給時に自動的に売却して現金化して振り込んで欲しい、とにかく、納税とかそういう面倒な手間から解放してほしいと考えています。

外資系金融の社員は、世間との比較でいえば高い給料をもらっていますので、脱税というリスクをとるのは割に合いませんし、日本で外資系に勤務するような人間は、社長になる夢を放棄した「小物」ですので、脱税なんて大それたことをする度胸もありません。

八田さんの場合は金額が大きいだけ目を引いてしまいますが、他の単純な理解不足の人と同じで、理解が不足していただけだろうと思います。一方、知りませんでしただけで済むような金額でないのも事実です。非常に不運なのは、もっと早く申告漏れを指摘されていれば、金額も大きくならなかっただろうし、その後はきちんと納税しただろうと思うことです。

もし、それでも同じことを繰り返したのであれば、それは故意または重大な過失ということになるのでしょうが、誰からも何も教えてもらえず、指摘も受けず、いきなり重罪では厳しすぎるのではないでしょうか。ひとつの会社に長く勤めるという真面目であったことが仇になるのではやりきれません。

すでに加算税なども支払い、実名で報道されてしまったり、もう社会的な制裁は十分に受けていると思います。これ以上の処分がないことを望んでいます。

松本直久

<以上>


ここをクリック→松本直久嘆願書


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2012/02/10 Fri. 21:31 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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嘆願書 (31/146) 氏川真理 

嘆願書 (31/146) 氏川真理

犯罪の契機は、結局動機と人品に関わると思っています。その人品に関して、私の友人・知人に「あなたの知っている八田隆を文章にして下さい」と依頼しました。そして集まったのが146通の「嘆願書」です。検察特捜部に提出したものですが、本人の了承を得て実名公開します。

31通目の嘆願書はワインつながりの友人、最近は最強のゴル友です。

私は、外資系証券で債券トレーディングという比較的特殊な業務に従事していました。仕事をしていた当時、時々人に、「八田さんの仕事ではどういった能力が必要とされるんですか?」と聞かれました。お客さんにも、「モーゲージ証券は複雑ですから、さぞかし数学的な才能が必要なんでしょうね」と言われました。

確かに、複雑な構造をもつ債券の理論価格算出のためには最新の金融テクノロジーが必要とされます。しかし実際の業務上、必要なのは四則計算くらいなものでした。但し、米国の債券の価格は32進法を用いて表示されるため、若干の慣れが必要です。そしてその四則計算をする状況というのが、とてつもないプレッシャーの中です。電話口でNYのトレーダーと話しながら、目の前にはお客さんの電話を握る営業がいて、「八田さん、早くお願いします!」と叫んでいて、その中で絶対間違えることができない何百億円という金額の「単純な四則計算」をするものです。私はストレスに強い方とは思いませんが、こと仕事のプレッシャーは全然プレッシャーと感じていませんでした。戦争の最前線で、銃弾が飛び交う中、公文の算数のペーパードリルを制限時間ぎりぎりで間違えることなくできる人には向いているかもしれません。

あと、ご自分でFXや株を取引なさっている方は是非参考にして頂きたいのですが、投資行動で絶対的に必要な資質は「自分の過ちを自ら正す勇気」です。ある商品を「買う」場合には、その商品が値上がりすると思っているからこそ買うわけですが、そのポジションの損益がマイナス(=損をしている)という状態は、「買う」=「値上がりする」という最初の判断が間違っていたということです。勿論、その後値上がりするということも可能性としてありますが、「そうなればいいなあ」という「希望」は正しい投資戦略とは言えません。市場はあなたの希望など知らないし、もし万が一知っていたとしてもそれをかなえる必要はありません。自分が間違っていたのであれば、淡々とそれを認めて正し(=損切り)、また次のアクションを最初から取る方が結果的によいということは私が保証します。

そういう状況下に長くいた影響なのか、物事にこだわらないのはよいのですが、物忘れが極端にひどくなったような気がします。というか最初から覚えていないという感じです。クリストファー・ノーラン監督の映画「メメント」のガイ・ピアースとまでは言わないものの、記憶のネットの網目がすごく粗くて、それに引っかからないと何も覚えていないという感じです。

ここをクリック→ #検察なう (82) 「アスペルガー」

今回嘆願書を紹介する彼女と一緒にいて、いつも「すげーっ」と思うことは、その観察力と記憶力です。卓越した観察力は嘆願書をお読み頂けるとお分かりになると思います。

記憶に関して、私の場合は非常に文系的な記憶構造になっています。つまりストーリーと必然性が記憶の定着に必要です。私は、東大の二次試験を日本史・世界史で受けた超文系指向なのですが、歴史はストーリーと必然性があるため記憶できても、同じ社会の地理は全く苦手です。例えば北欧のスカンディナビア半島にある二国は北がノルウェーで南がスウェーデンですが(さっきWikipediaで調べました)、なぜ逆に北がスウェーデンで南がノルウェーだといけないのか、その必然性が理解できないため、記憶に全く定着しません。彼女の記憶の定着の仕方は、実に理系的な感じです。脈絡のない断片的な記憶が、脳のどこかに整理されてるんでしょう。この3年間の取調べの過程でも、彼女の記憶に助けられることはよくありました。

不思議なもので、彼女はそこまでベーシックな知的能力が高いのに、外国語が全くだめらしいです。仕事で時々海外出張があるようですが、「どうしてんの?」と聞くと「全部、日本語で無理やり押し通す」だそうで、それも一種の才能なのかもしれません。よく英語の手紙の代筆を頼まれます。

ゴルフは私のマイ・ブームですが、彼女は女だてらに特注マッスル・バック・アイアンをぶん回すアスリート系ゴルファーで、一緒にラウンドする我ら男性陣はいつもやられてます。私は師と仰いでるので、楽しくラウンドさせてもらってますが。

<嘆願書>

八田隆の友人の氏川真理と申します。

私たちは7年前ワイン会で知り合い、それ以来親しくしております。
共通の友人も多く、当時からの仲間とは今でも月に1~2度集まっています。
今回の告発に対し、私から見た八田隆という人物像を嘆願書という形で提出させていただきます。

八田隆は、仕事と趣味には没頭するのですが、その反面一般常識にはやや欠けた、浮世離れした人物です。

六本木ヒルズなどの豪邸に住まず、駅から10分歩くワンルームのマンション暮らし。タクシーもほとんど乗らず、電車移動。
家にテレビが無く、話題のアイドルや流行りのお笑い等俗世間には全く興味なし。あまりに質素で、当初はとても億稼いでいる人の生活とは思えませんでした。
でも松屋の豚丼の夕食の後、家での晩酌が1本数万円のワインだったり、定食屋のポイントカードを忘れて悔しがり、わざわざお店を変えた先で何万も使ったり、ワイン会で偶然行ったレストランで好きなワインがあったら何十万円分も買い占めたり。
ケチなのではなく、金銭感覚が普通の人とは違うようです。
一時期はスノーボード教室とワインバーを開くのが夢で、儲からなくても自分の好きなことを仕事にしたいなどと子供のようなことを言い、ワインバーの在庫用にワインを12本単位で買っていたこともありました。
子供と過ごす休日のためだけに鎌倉に一軒家を買ったり(しかもキャッシュで)、年に数回の家族旅行が海外だったり、子供に関して使うお金も桁外れです。

前の税理士さんが確定申告をし忘れていても気付かず、時効で還付がもらえなかったことは笑い話になっていました。
飲み会の幹事で自分のカードで精算したことを忘れていて、口座引き落としに間に合わない、とお金を貸したこともあります。
「金貸してくれ。300万円。明後日引き落としだった。」と、OLの年収にあたる金額を平気で言うのです。
貸した直後に「やっぱりお金あった。」と返されたこともあります。通帳記帳をずっとしていなかったそうです。
普通の人の理解の範疇を超えた、お金に無頓着な人なのです。

また、ストレスに弱く病気恐怖症でもあります。
クレディスイスの後半は上司と合わなかったようで胃を悪くし「きっと胃癌だ」と大騒ぎしましたが、結局胃潰瘍にもなっていない軽い胃炎で、退職した途端に治りました。
国税局の取調べが始まってからは下痢が続き、どう考えても原因はストレスなのですが大腸癌だと心配し、昨年夏に無保険なのに虎の門病院で大腸内視鏡を受けたほどです。
そんな人が、たかが1億ちょっとのために、ベアースターンズで1年働けば稼げてしまう額のために、時効まで毎日胃に穴のあくような生活を送ることになる脱税を選ぶでしょうか?

病院好きなので「毎月の保険料の元は十分取ってるね」と言ったところ「会社だけじゃなくて俺も払ってるの?」と。
ベアースターンズをやめる時には「外資系なのに失業手当もらえるらしい」と本気で驚いていたことも。
毎月の給与明細書は封を開けるだけで見ていないらしく、税金どころか保険や年金を支払っている感覚も知識もなかった人です。

今回の脱税騒動も、見知らぬ第三者の話なら「億もらい過ぎてて気づかないものなのかな?」と思うかもしれませんが、八田隆を知っている人なら「八田さんなら気付かないでしょ」「八田さんらしいミス」と受け取っているはずです。

払うべき税金は払わないといけないと思います。
税金のことを会社に任せきっていて自分で調べようとしなかったことも、注意が足りなかったと思います。
でも、八田隆が知っていながらわざと税金を払わなかったとは思いません。
他の100人の人達と同じように、気付かなかった、抜けていただけだと思います。

どうか、八田隆という人間を理解していただき、寛大な処分をしていただけるようお願いいたします。

氏川真理

<以上>

ここをクリック→ 氏川真理嘆願書



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2012/02/09 Thu. 15:02 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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嘆願書 (30/146) 倉永良通 

嘆願書 (30/146) 倉永良通

犯罪の契機は、結局動機と人品に関わると思っています。その人品に関して、私の友人・知人に「あなたの知っている八田隆を文章にして下さい」と依頼しました。そして集まったのが146通の「嘆願書」です。検察特捜部に提出したものですが、本人の了承を得て実名公開します。

30通目の嘆願書は、ソロモン・ブラザーズでの先輩、倉さんからのものです。

アメリカでのサブプライム・ローン危機は全世界規模での経済不況を引き起こしました。勿論、日本も例外ではありません。

かつて日本においては常に右肩上がりの成長を続けていたため、国の税収は安泰でした。むしろ減税を繰り返し行うことで、自民党の長期政権が実現したものです。なんだかんだ言っても、民衆というのは生活がうるおっていれば大概文句は言わないものです。

そしていつのまにか政権維持のためには消費税増税がタブー視されるようになり、日本は先進国では突出して消費税率が低い国となりました。私の住むバンクーバー市のあるカナダ、ブリティッシュ・コロンビア州の消費税率は12%です。ヨーロッパ諸国では20%に達する国もあります。日本は5%という低率にも関わらず、これを上げようとすると、国民は一斉に文句を言います。

国が国民を養うには当然、お金がかかります。医療保障は必要です。老人やシングル・マザーの面倒も見なければなりません。橋や道路も作らなければいけません。その財源はどこから来るのでしょうか。その答えは、税金と、国債発行による借金です。

日本は既に国債発行による財源調達は限界に来ています。借金時計というのをご存知でしょうか。映画「バブルへGo!!」でも紹介されていましたね。これです。

ここをクリック→ 借金時計

日本の借金の残高は、国が生産することができる価値(GDP)の150%に達しています。つまり稼ぐ以上に借金の残高が多くなり、その利子負担だけでもどんどん借金がかさんでいる状況です。借金を返すには税収を上げて、その税金で返済すればいいのですが、税金が借金返済に回る程十分ではなく、新たな債券を発行して満期償還に充当しています。サラ金の期限が来たら、ほかのサラ金から借りて返す状況に似ています。

同じような状況はギリシアでもあり、経済破綻したことは記憶に新しいと思います。ギリシアと日本の違いは、ギリシアの場合、借金の相手(国債の買い手)が外国であったのに対し、日本はその借金のほぼ全てを日本国民が負担しています(日本国債の国内消化率=94.8%)。日本国民の誰も日本がつぶれるとは思っていないので、貯蓄の代わりに日本国債を買っています。海外に売ろうとすると当然リスク・プレミアムとしてより高い金利を要求されますから、何も知らずに買ってくれる国民にその借金を押し付ける方が、国としても有り難いということです。

消費税を上げることはできず、それでも経済が伸びているうちは会社からの法人税と一部富裕層からの個人所得税でなんとか国の税収はまかなえていました。消費税以上にフェアな税制は、必要な税額を国民全員で頭割する人頭税ですが、そうすると一人当たりの税負担は数百万という金額(大体300万円くらい)というものになります。それだけの税金を払えない人が大勢いるのは明らかなので、個人所得税は累進課税となって、収入が高い人はより多く負担するという構造になっています。国民の多くは(その300万円より負担税額の低い人は)、法人税を払う会社や一部高額納税者にパラサイトしているということです。

そこにサブプライム・ローン危機です。ブーン!

国家の財政は火の車。「何とか税金をかき集めろ。日本が沈没するぞ」と当然、徴税吏にプレッシャーがかかります。飢饉の時に鬼のように年貢を取り立てるような感じですね。ま、そうした構造は時代がいつでも変わらないということです。

そこで彼らが注目したのが、外資系企業の海外給与でした。内偵してみると、かなりの申告漏れがありそうです。「おほっ!金鉱見っけ!」とほくそ笑んだことでしょう。彼らは、「うーむ、これは問題だ。ちゃんと指導しなければならない」などとは考えなかったのでしょう。「よっしゃ、一網打尽で、税金を絞り取れるだけ絞り取ってやろう」と思ったのだと思います。ねずみ小僧を義賊だという思考回路に近いものです。金持ちから盗むのは罪じゃない。高額納税者が「じゃあ儲けるのや―めた」と言ったら国が衰退の一途だということを考えていない、行き当たりばったりの税収かき集め作戦とも言えます。

そこで一番最初にターゲットになったのが、当局から覚えの悪いクレディ・スイス証券です。

ここをクリック→ #検察なう (74) 「クレディ・スイスへの差別」

案の定、300人の税務調査対象者のほとんどが正しい申告をしておらず、修正申告の山です。そしてそのうち約100人が完全申告漏れという状況でした。

私は、国税局の取調べの際に、「ほかにも大勢の申告漏れが出ています。その状況をどうお考えですか」と査察官に尋ねました。彼は、うれしそうに「八田さん、みなさんそうおっしゃるんですよ。『みんな脱税してるのに、何で自分だけつかまるんだ』って」と言いました。私は色をなして、「私はそんな下等な考えは持ち合わせていません。彼らも私と同様に過失だと信じています。ただ300人のうち100人もの申告漏れがでるというのは、異常ではないですか。それは例えば、『道を歩いている人300人のうち100人が万引きしていた』というよりも異常なことなんですよ。おかしいと思いませんか」と言いました。査察官は全く腑に落ちないという表情でした。「納税者を見れば脱税犯と思え」という発想しか彼らは持ち合わせていないのかもしれません。

別の機会に、同じようなことを述べた時も、査察官の言葉は「それでも200人の人は、正しくないかもしれないけれど、何らかの申告はなさってるんですよね」と、あくまで完全無申告=脱税を決めてかかっている様子でした。

その「200人は申告」というのは、個人の注意力の差ということもあるでしょうが、それよりも大きいのは彼らの社歴の差だと思います。外資系証券の給与プログラムや指導のあり方は各社まちまち。クレディ・スイスで指導らしい指導が全くなかったことは明らかとしても(でなければ、300人のうち100人が無申告ということにはなっていないでしょうから)、以前に働いていた会社で、「株式による海外給与は自己申告、別途納税の義務あり」ということを知らされていたのであれば、クレディ・スイスに来ても同じ税務処理をしたということでしょう。

私は、クレディ・スイスが2社目で、それ以前はソロモン・ブラザーズにいました。私の知る限り、ソロモン・ブラザーズ→クレディ・スイスという社歴の者は私を含めて5人おり、その5人が5人とも完全無申告です。そこでは1/3どころか、100%という高い確率での無申告の状況です。

私は、クレディ・スイスで株式をもらったということは当然理解していました。そして思ったのが、「あれ、ソロモンにいた時、株もらってたっけな。なんかもらってたような気もするけど、もしかしたらあれも申告漏れだったのかな」と、税務調査の対象期間ではありませんでしたが、自分がかつても同じ過ちを犯していたかと少し不安になり、後輩に確認しました。「なあ、ソロモンってさ、社員に株って渡してたっけ?」。答えは「株そのものじゃないけど、株みたいなもん。価値が株価に連動して変動するシンセティック(=「合成」という意味です)でもらってたよ」というものでした。それは経済価値としては株と同じなのですが、形態はあくまで現金なので、税務処理は会社の源泉徴収で完結していました。先に公開したソロモンの別の後輩、中野和美の嘆願書にある「条件付株式報酬制度」というのがそれです。

ここをクリック→ 中野和美嘆願書

私は、外資系証券に長く勤めていましたが、毎年同じ税務処理をして(といっても関連書類を税理士に渡すだけのことですが)、全く問題になることはありませんでした。それが突然、脱税犯扱いです。「勘弁してくれよー。今までいくら俺が税金払ったと思ってんだよー」とくさる気持ちを少しはご理解頂ければ本当にうれしく思います。まして、私は本税以外に追徴課税として、過少申告加算税や延滞税を払っています。その時点で原状回復以上の経済効果は得られたはずです。それを3年もかけて、莫大な捜査費用をかけて、メンツを保つために個人を犯罪者としたいとする役所の経済センスのなさには辟易してしまいます。本末転倒も甚だしいものです。

倉さんは、私がソロモンにいた頃お世話になった先輩です。外資系証券では、「フロント・オフィス」「バック・オフィス」という役割分担があります。前者を「プロフィット・センター(=収益を上げる部署)」、後者を「コスト・センター(=費用を使う部署)」とも言います。フロント・オフィスは取引の際、前面に立って執行、トレーダーの私はフロント・オフィスです。バック・オフィスはその取引の後、決済処理(債券の引渡や決済金額の受渡)といった事務処理を担当します。彼らは縁の下の力持ちです。私が取り扱っていたモーゲージ証券は、商品構造が複雑で、それは事務処理も複雑であることを意味します。日本のお客さんは、とにかく事務処理の煩雑さを嫌いますので、モーゲージ証券のビジネスをやる上で、一番重要なことは、私や営業の能力ではなく、彼ら事務スタッフが間違いなく事務処理をしてくれることにかかっていたと思っていました。彼ら、バック・オフィスの方々には、本当にお世話になったものです。

倉さんの嘆願書は、私が先に述べた外資系証券各社での税務指導の違いについて、非常に正しい論点の指摘をしています。仕事でも助けられ、ここでもまた助けられました。ありがとうございました。

<嘆願書>

私、倉永良通は、平成22年2月19日のマスコミ報道により、八田隆氏(以下八田さん)がクレディ・スイス証券株式会社(以下クレディ・スイス証券)在職中に親会社株の取得及びその売却で得た利益の所得を申告していなかったことから、所得税法違反の疑いで東京国税局から貴庁に告発されていたことを知り大変驚きました。しかし、クレディ・スイス証券の100人以上の社員が集団で申告漏れを指摘されている状況の中で、八田さんが故意に所得を隠した容疑については疑義が生じます。

以下におきまして、八田さんの人物像をまじえながらに今回八田さんの申告漏れは過失であったという私の所見を述べさせていただきたく思います。検事殿には、今後の寛大なご配慮にお役に頂ければと思い嘆願いたします。

私が八田さんと知り合ったのは、平成5年のことです。当時私は、ソロモン・ブラザーズ・アジア証券会社東京支店(以下ソロモン・ブラザーズ)に勤務しており、業務部債券事務課の課長補佐として人事異動した直後でした。八田さんは、モーゲージ債券のトレーダーとして活躍していました。私が最初に八田さんの人柄に好印象を抱いたのは、八田さんが私に対して年上の者としての敬意を払ってくれたことです。

日本人社会であれば年上の者に敬意を払うのは当然のことですが、外資系証券という組織では、収益をあげるトレーディング、セールス方のフロント・オフィスの若手社員の中には、費用をつかう事務方のバック・オフィスの社員に対して、たとえ年上の者であっても横柄な態度をとる社員がいました。そのような中でも八田さんは、私に対して、倉永さんと「さん」づけでと接してくれた数少ないフロント・オフィスの一人です。

検事殿には、ごく当たり前の話と思われるでしょうが、その当たり前のことができない社員がいた中で、八田さんはモーゲージ債券のトレーダーという優秀な立場でありながらも傲慢さが無く、私は、八田さんが社会人としての根源にある常識、礼節をわきまえている人間であることを知りました。もちろん、私はモーゲージ債券のトレーダーとしての八田さんに敬意を表していましたので、時が経つにつれて、八田さんが親しみをこめて私の名前を、倉さん、と呼んでくれることに全く気になりませんでした。

当時、私は債券事務については不慣れであり、毎日が残業の連続でした。特にモーゲージ債券については理解が足りない状態で、私と部下が残業している席に八田さんが立ち寄りに来てくれて、モーゲージ債券の商品知識を説明してくれたことがしばしばありました。八田さん自身も私たちに教えることが好きだったようで、楽しんでいたと思っています。夕食を取らずに遅くまで残業をしていた私たちを、八田さんは一緒に食事に誘ってくれ、仕事以外の雑談をしたものです。私は八田さんの気配りと面倒見の良さを感じていました。当時のソロモン・ブラザーズのフロント・オフィスの中で、このような気さくな付き合い方ができたのは、八田さんだけでした。八田さんに対して同様な印象を持っていた事務方の社員は他にも多くいたと思います。

業務上においても、私は八田さんの助けを借りることがありました。モーゲージ債券の仕組み上、顧客に支払い済みの利払い金額が遡及して訂正される不測の事態が発生しました。顧客から苦情を受け事態の収拾に悩んでいる私に、八田さんは何故そのような不測の事態が発生するかを丁寧に説明してくれました。私自身の知識を理解力が未熟であったため、もし私の説明で顧客が納得しなければ八田さんも協力してくれると応援してくれました。モーゲージ債券を熟知している八田さんは、事務方、顧客、セールスのそれぞれの立場を理解しながらも、感情に流されず、事実関係に基づいて、自分が扱った商品のアフター・サービスを忘れない職人気質の冷静な論理構成で問題解決に協力してくれました。

クレディ・スイス証券は、今回の社員の集団申告漏れに関して、「社員個人に関することでコメントする立場にはないが、納税義務などについては社員に対して適切に通知している」と発表しています。しかし、私は、本当にその通知とは適切なものであったかについて疑義を抱いています。100人以上の社員が申告漏れをしていた状況下で、私が考えたことは、
1. クレディ・スイス証券には、会社の通知を無視して所得隠しを働く社員が集団で雇用されていた
2. クレディ・スイス証券が行った通知は、実は社員が親会社株の取得や売却に伴う納税義務を理解するには十分なものではなかったために集団申告漏れに発展した
ということです。

1についてですが、クレディ・スイス証券は、スイスのチューリッヒに本社を置く金融グループであるクレディ・スイスの中で、証券・投資銀行業務を展開する中核事業会社として知られています。クレディ・スイス証券は、日本で事業を展開しているトップクラスの外資系証券会社であり、社会的信用力があるクレディ・スイス証券だけにこのような社員が集中的に雇用されてきたとは考えにくいことです。

2についてですが、発表されている「適切な通知」について、私は、その通知の内容が、今回所得の申告漏れを指摘された社員たちが親会社株の取得や売却で得た利益の申告方法について十分理解するに値する内容のものであったかの事実を精査する必要があると思います。

会社が親会社株によって賞与を支給する制度を運用するのであれば、会社は十分な社内体制を確立して、例えば、親会社株の取得や売却で得た利益の課税基準について社員に説明会を開き、会社側がすること及びしないこと、社員側がすべきこと、それらの責任の所在を明確にし、社員が説明会に参加した記録を取るなど周知徹底をはかり、社員の申告漏れを事前に防止する手段を講じることが可能であると思います。

それにも拘わらず、今回のような100人以上の社員が申告漏れを指摘されるような事態が発生したのであれば、それは社員が故意に脱税を働いたと認定されるべきでしょう。しかし、クレディ・スイス証券がいう「適切な通知」というものが、もし親会社株を取得・売却した社員たちが課税基準を理解するに十分な内容のものでなかったとすれば、社員たちの間で申告方法の解釈が一様でなくなることは十分に予測されると思います。

八田さんを含めて100人以上の社員が集団で申告漏れを指摘された状況下では、「適切な通知」と呼ばれるものが実は適切なものではなかったために、このような混乱が生じたと思慮せざるを得ないかと思います。今回クレディ・スイス証券において100人以上の社員が集団申告漏れを指摘されたことは、未然に十分防止できた案件でありながらも、親会社株による賞与支給についての申告方法が社員に十分周知されていなかったために起こるべきことが起こった必然の結果であり、社員による故意の所得隠しではなく過失から発生したものであったと私は考えます。

八田さんは、優秀なモーゲージ債券のトレーダーですが、内面は礼節をわきまえた職人気質の実直な人です。外資系証券会社のフロント・オフィスで高額の報酬を得ていたと思いますが、金銭に執着した性悪な人間ではありませんでした。過失とは言え、申告漏れという事態に及んだのは八田さんの責であるものの、その過失は、クレディ・スイス証券内において親会社株の取得や売却で得た利益の課税基準について社員の間で理解の統一性が取られていなかったことに起因した集団申告漏れの一例であったと思います。

八田さんの申告漏れは、故意ではなかったと私は信じております。それは給与所得という税務調査ではガラス張りの分野で、八田さんが故意に所得を隠ぺいするとは思えないからです。八田さんは全国に脱税容疑者として実名報道されたことで、すでに社会的制裁を受けております。ご親族や友人に心配をかけていることを反省しています。しかし、私は、八田さんにはプライドがあると信じています。それは、自分を大切にしてくれる人たちを裏切らないように、いわれのないことに対して正直を貫く八田さんの職人気質のプライドです。何卒検事殿には、以上の考慮をご勘案頂き、寛大なご配慮をお願いする所存であります。

倉永良通

<以上>


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2012/02/08 Wed. 12:20 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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嘆願書 (29/146) ジョワ由紀 

嘆願書 (29/146) ジョワ由紀

犯罪の契機は、結局動機と人品に関わると思っています。その人品に関して、私の友人・知人に「あなたの知っている八田隆を文章にして下さい」と依頼しました。そして集まったのが146通の「嘆願書」です。検察特捜部に提出したものですが、本人の了承を得て実名公開します。

29通目の嘆願書は古くからの友人、フェイスブックで私とつながってる方は私の漫才の相方としてご存知の者からのものです。

彼女と初めて会ったのは、私が就職活動をしている時、彼女がある企業の人事部にいたものです。それが1986年ですから、既に25年の付き合いということになります。現在は、スイス人の旦那とマニラで彼女のブログのタイトルにあるように「ゆるゆるマニラ生活」を送っているようです(ブログは主婦のたわ言を毎日書いていますが、コンスタントに4-500人のビジターがいるようです)。

しばらく音信不通であったのがフェイスブックでつながった時は、私に既に国税局の調査は入っていましたが、告発以前の状況で、彼女も私同様、私が告発されるなどとは思いもしなかったものです。告発以来、彼女も現実の理不尽さに憤り、惜しみない協力をしてくれています。主婦業は相当ひまなのか、いろんなところで検察関係、冤罪関係の記事を見つけてきて「ほれほれ、リツイート」と私を遠隔操作している、「#検察なう」の影のフィクサーでもあります。

案外しっかり者の彼女には、周りの人望もそこそこあるようで、彼女を通してフェイスブックで知った彼女の友人の方々にも今回の件に関して強力サポートしてもらっています。多分、そこは彼女のキャラクターによるところが大きいのかもしれません。学生時代はスッチ―になることに人生を賭けていたようですが、その気合が入社試験で逆噴射して、垂直飛びを前に飛んで入社試験に落っこちたという武勇伝の持ち主です。

福島原発の事故の時は、正しい情報の開示はパニックにつながらないとする私の主張に、ある程度の情報のコントロールは必要だと反論して、マニラとバンクーバー間でスカイプ・チャット上で喧嘩寸前の大激論をして一歩も引かないハードコアな部分もあります。お互い日本にいなかったもどかしさもあったのでしょうが、自分が正しいと思うところにはきちんと筋を通す性格は似ているのだと思います。

彼女のブログでは私のことも時々登場していますので、主婦の戯れ事も覗いて見てあげて下さい。

ここをクリック→ 「ゆるゆるマニラ生活」


<嘆願書>

私、ジョワ由紀は、八田隆さんが大学生時代から彼の事を良く知る友人の一人です。今回、八田さんへの告発をニュースを通じて知る事になり、驚きを隠せません。

八田さんは学生時代、社会人になってから、そして今も、自分の目標に向かって努力を惜しまない人です。
まっすぐ自分の信じた方向に走る、そのためか周囲を振り返らない事もあり、誤解をされる事もあるようですが、特に今回の告発については明らかに誤解が生じているように思えてなりません。

八田さんとは、彼が大学時代から社会人になって暫くお付き合いしていましたが、勿論、学生時代はお金もなく、電車賃だけしかない状態で食事に出たり、「なんとかなるだろう」という行き当たりばったりという面があり、何度も驚かされた事があります。これは社会人になった後も変わらず、NY駐在時代からその後、一般のサラリーマンよりも多いであろう給与を手にするようになった後も同じです。

ガソリンを入れるにしても「あっちの店の方が2円安い」、レストランの割引クーポンは必ず貰う、使う。景気がいい時代だっただけに、あくまで自分のスタイルを変えない、自分の金銭感覚を持ち続ける彼を見て、時に呆れ、時に尊敬していました。長年、八田隆さんを見てきて思うのは、彼くらい、自分が自分である事にこだわって生きている人は珍しいという事です。格好良い、悪いは自分が決める事であって、自分が良いと思えば、映画に出てくるようなNYのオフィスで目の不ぞろいな手編みのセーターを着る事も格好悪くない。お洒落な店で割引券を使う事も厭わない。

他界した私の妹が彼を見て「欲があるんだか、ないんだかわからない」と言っていましたが、その通りです。1円10円の無駄を嫌う割には、いい加減なところがある。スキーには一緒に頻繁に出かけていましたが、そういう時はかなり大雑把でした。人が組んだプランには言われた金額を払ってしまう。チェックなどしない。これも長い間、お付き合いしてわかった事ですが、彼は、信じた人には物事を隠さない、自分を出してしまう。彼の「頼んだ」には重みがあって、頼んだ以上、後は全てよろしくという意味なのです。今回の告発を知り、まず、彼に限って脱税なんてありえないと思いました。自分なりにネット、ニュースで内容を読み、きっと会社や税理士、周りに任せ過ぎてしまったんだろうなぁと、自分できちんと確認もしてなかったのだろうなぁと残念に思うばかりです。彼の「脇の甘さ」がこんな形で出てしまった事が非常に残念です。

八田さんとはこの10年ほど音信をとっていませんでしたが、久しぶりに再会して、相変わらず自分である事にこだわり、相変わらず学生時代と同じような金銭感覚を持っている彼を見て、ほっとしました。本は中古を買うし、物は捨てられない。着ていた服を見て「それ、学生時代の?」(違いましたが)と聞いてしまいましたが、彼が20年以上前の服を着ていても、驚くことではないのです。霞を食べて生きていけるとは思いませんが、彼は恐らく、本と音楽があれば無人島で生きていけるタイプなのでしょう。

この10年ほどの彼の交友関係は殆ど存じませんが、そういう彼の人となりに魅力を感じ、今回告発されるという、会社員にとってはスキャンダルが起こったとしても、恐らくは、親しい友人は私同様に、彼を信じていると思います。また、彼はその友人達を裏切る事はない、それが自分である事を貫く彼のスタイルなのだと思います。

どうぞ、私の嘆願書をもって、少しでも八田隆さんの事を理解され、判断の材料となれば幸いに存じます。

ジョワ由紀

<以上>


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2012/02/07 Tue. 14:35 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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