「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (294) 「犯人血液型当てクイズ」 5/6/2013 

#検察なう (294) 「犯人血液型当てクイズ」 5/6/2013

(強制捜査から1602日、検察控訴から55日)

皆さんに、殺人事件の犯人の血液型を推理してもらいます。事件はこのようなものでした。

事件概要

空室のアパートの一室から女性の死体が見つかった。歳の頃は40手前といったところ。死因は絞殺であった。

女性の着衣は、バーバリーのベージュのコートの下に青のツーピース。OLらしい服装である。下着に乱れはなかった。

死体の頭部近くには取っ手が取れたショルダーバッグがあり、口が開いていた。バッグの中にあった財布の中には現金が473円しか入っていなかった。現金は抜き取られた可能性があり、物取りの犯行を伺わせた。そして不思議な事に未使用のコンドームが28個も入っていた。

身元はすぐに判明した。所持品の中に名刺入れがあったからである。一流企業の本社企画部副室長という肩書であった。

死体の発見者は、このアパートの管理を任されていた男性。被害者との面識はないという。

発見の状況は以下のとおりである。

前日、この男性が部屋の前を通りかかると、空室であるはずの部屋の玄関脇の小窓が10センチほど開いていた。そこで覗くと仰向けに寝た状態の女性の上半身が見えたので、玄関のドアノブを回すと鍵はかかっておらずドアは開いた。そこには女性用の靴が一足きちんと揃えてあった。声をかけたが、返事がないので熟睡しているものと思い、その場を立ち去った。しかし、さすがに気になって、翌日、部屋をもう一度覗いたところ、同じ状態だったので、もしやと思い、警察に通報した。

検死の結果、死後10日ほど経過していることが判明した。

物取りの犯行であったとして、なぜ空室のアパートの一室に死体があったのか。アパート周囲の状況、及び殺害現場の状況からは、ほかの場所で殺害されて運び込まれたとは考えにくかった。

警察の聞き込みで、驚くべきことが判明した。この女性は、昼間は一流企業に勤めるOLでありながら、夜は売春をしていたという。これでバッグの中の未使用のコンドームが説明された。

売春と殺害は関係あるのだろうか。その女性が売春をしていた「縄張り」は確かにそのアパート近隣のホテル街を中心にしていたことがさらなる聞き込みで明らかとなった。

抵抗なく部屋に入ったと思われる状況では、犯人は顔見知りか、買春客であることを伺わせる。怨恨という線はなさそうである。

以上が、死体発見の状況です。これで犯人の血液型は?と聞かれても分からないですよね。それでは、血液型に関する証拠を一つ提示します。

証拠1) 死体の口唇周り及び乳房から血液型O型の唾液が検出された。

どうですか?お分かりになりますか?この時点で、あなたは「それなら分かり切っているじゃないか」とお思いかと思います。早まらないで下さい。更に証拠を追加します。

証拠 2) 更なる聞き込みにより、犯行当日と思われる日に、その女性は常連客と性交渉を行っているが、その常連客にはアリバイがあり、その常連客が犯人である可能性はない。そしてその常連客の血液型はO型である。

どうですか?おやおや、ですね。更に証拠を追加します。

証拠 3) 空室のアパートの和式水洗便所の便器の中から使用済みのコンドームが見つかり、中に残留した精液の血液型はB型であった。

おっと。少なくともこの部屋に出入りした人間の中には、あなたが最初に思ったであろう血液型と違う血液型の人間が出入りしてた可能性が出てきましたね。

「その精液ってのはいつのもの?犯行の月日と近いものなの?」

いい質問です。その答えは「不明」としときます。ちなみにコンドームの外袋は部屋の中からは発見されていません。この便器に捨てられたコンドームが犯人が残したものであるなら、犯人は外袋は持ち帰ったものの、自分の精液が入ったコンドームはわざわざ残していったことになります。更に証拠を追加します。

証拠 4) 常連客は、性交渉の後、その女性がシャワーを浴びたと証言。ホテルを午後10時過ぎにチェックアウト、10時半頃別れている。そしてその日、11時25分頃から45分頃までの間に、その女性と別の男性がそのアパートに入って行くのが目撃されている。

さあ、どうでしょう。犯人の血液型が何型か、合理的な推認はどのようになるでしょうか。

血液型O型の常連客と性交渉した後に、シャワーを浴びたのであれば、口唇周りや乳房についた唾液は常連客のものではありません。そしてその常連客と別れた時間からすると、殺害されるまでに、ほかの客を取って、そして三人目の客に殺害されたという可能性もないでしょう。まさか、誰かが死体を見つけて、その死体をなめまわしたと考える人はいないでしょう。

そうです。証拠から合理的に推認される犯人の血液型はO型です。簡単でした?ですよね。

さて、この事件の様態から、この事件が実際のものであることは、少なからずの人がお気付きかと思います。1997年(平成9年)3月に起こった東電OL殺人事件です。

犯人とされたゴビンダさんの血液型は何型かご存知ですか?B型です。

彼が犯人ではないと合理的な推認をするためにDNA鑑定は必要でしたか?上に示した証拠とDNA鑑定は全く関係ないことがお分かりかと思います。

先日、私がブログで紹介したジャパンタイムズの記事でも「新たなDNA鑑定により」という文言がありました。また、最近、本屋で見かけた書籍で、全国紙の社会部が書いた東電OL事件に関する本のサブタイトルは「DNAが暴いた闇」というものでした。捜査権力による見事なメディア・コントロールです。

真犯人がゴビンダさんでないと合理的な推認をするのにDNA鑑定は全く必要ありません。

こんな簡単なことをなぜ弁護側が主張できなかったか。それは証拠1)を警察・検察が隠蔽していたからです。

証拠1)の唾液の血液型鑑定は、事件発覚から半月しか経っていない1997年4月3日、警視庁科学捜査研究所の久保田寛研究員によって鑑定されました。その証拠は長らく開示されることなく、昨年(!!)9月2日の再審請求審での証拠開示によって開示された証拠の一つでした。

ゴビンダさんの逮捕は、その鑑定の1ヶ月半も後の1997年5月20日です。つまり警察も犯人の血液型はO型であることを分かりながら、B型のゴビンダさんを逮捕し、彼を有罪とするのに不都合な証拠を検察は15年も隠し続けたのです。

それを、足利事件同様、「新たなDNA鑑定が事実認定を変えた」かのように見せかけているのは、捜査権力による明らかな情報操作です。この事件を追い続けているメディア関係者であれば、そのことは分かっているはずです。

足利事件で菅家さんに謝罪をした捜査権力は、東電OL殺人事件では、頑なにゴビンダさんに謝罪を拒んでいます。なぜか。それは彼らが確信犯だからです。

ゴビンダさんは再審で無罪になりました。しかし、再審制度の非常に大きな欠陥は、誤判の原因追求を行わないことです。「無罪にしてやったんだから、それでいいだろう」というのが日本の再審制度です。冤罪の再発を防止するために、なぜその冤罪が起こったか、どのように冤罪が作られたかを全く検証しないというのは、日本の刑事司法が、大きな病巣を見て見ぬふりをするものです。

個人的には、是非、ゴビンダさんには国家賠償請求をして、国家の犯罪を日の当たるところに引きずり出してほしいと思います。

現在、布川事件の冤罪被害者、桜井昌司さんはそのために戦っています。過去の過ちを認めるところから明日への再生があるものです。司法の英断を期待します。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

参考資料: 『冤罪File 2012年11月号』「東電OL事件 再審開始が確定 裁判所に届いた15年の無実の訴え」 今井恭平

5/6/2013















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2013/05/06 Mon. 02:26 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (293) 「ジャパンタイムズ ゴビンダさんインタビュー翻訳」 5/2/2013 

#検察なう (293) 「ジャパンタイムズ ゴビンダさんインタビュー翻訳」 5/2/2013

(強制捜査から1598日、検察控訴から51日)

ジャパンタイムズの4月30日付記事に、昨年11月にネパールに帰国した東電OL殺人事件の冤罪被害者ゴビンダ・マイナリさんのインタビューが掲載されていました。

英文の記事だったので、紹介するために日本語訳を探したのですが、見当たらなかったので勝手に翻訳してみました。

取調べ官の暴言は同じ日本国民として恥ずべきものです。ゴビンダさんの手記も出版予定です。

末尾にオリジナルの記事のURLを添付してあります。

ジャパンタイムス記事翻訳
「Mainali eyes wrongful imprisonment suit against Japan」 4/30/2013

カトマンズ発
犯してもいない罪によって15年もの間日本で投獄されていたネパール人が、昨日の月曜日、日本国政府に対し、誤った投獄と不当な扱いの賠償を求める訴えを考えていると語った。

ゴビンダ・プラサド・マイナリ氏(46歳)は、日本人女性を殺害したとして誤って有罪とされたが、その嫌疑が晴れたのは長年経過した後であった。

カトマンズにある3階建の彼の家での共同通信記者の独占インタビューに答えて、その決断をするためには、同様に冤罪に問われた桜井昌司氏の国家賠償請求の結果を待つと語った。

1967年の強盗殺人の容疑で40年間塀の中に閉ざされていた後、2011年に無罪宣告を受けた2人のうちの1人である桜井氏は、昨年、日本政府と茨城県に対し、賠償請求の訴えを起こした。

「私は、負けることが分かっている告訴はしたくないのです。十分に成功するチャンスがあると楽観的でいたいのです。」マイナリ氏は言った。

帰国後10キロ減量したマイナリ氏は、日本国政府が、彼の受けた精神的苦痛に対して正式に謝罪することを願っているとも語った。

昨年11月の無罪判決後、法務大臣による言葉少ない謝罪では不十分であると彼は言った。

「私は、日本国政府の役人がカトマンズに来て、記者会見を行って謝罪するまでは納得しません。」と、マイナリ氏は言う。

誤った投獄の補償を求める、二人の娘の父親は、1997年の逮捕以降の尋問や投獄されている間の肉体的虐待を生々しく語った。

「逮捕された後、渋谷警察署の警官が、尋問中ブーツを履いた足で私を蹴り上げたり、つま先を踏みつけたりしたのです。彼らは『お前は、文化の劣った国から来たんだ。そういうお前の国から日本に来る奴は、強姦や強盗、殺人しかしないんだ』と言いました。」怒りと共にマイナリ氏は説明する。

「私は着ていたものをひきちぎられたり、頭を壁に打ち付けられたり、私の足が腫れるまで非常に高い椅子に長時間座らされることを強要されました。」

マイナリ氏によれば、彼は朝の9時から夜の9時まで取調べられた上、カメラで監視された部屋に入れられたと言う。

「私は、誰かが私を監視していると感じて、夜に眠ることができませんでした。」と語る。

こうした不当な扱いは、彼が刑務所に送られてからも続くことになる。

「看守は私を言葉で虐待し続けました。卑劣な言葉の限りを尽くして私を苦しめました。」

ほかの受刑者ですら彼には辛く当ったという。

「刑務所で、私はほかの7人と数ヶ月間同房だったことがあります。一度ならず、私の頭から醤油をかけ、そして私の割り当ての食事をさせてくれなかったのです。私は、彼らにとっては「日本人女性をレイプした殺人犯の外人」でした。ですから、彼らにはそれが正当な行為だったということです。」彼はそう言った。

マイナリ氏は、刑務所での最悪の日々は、最高裁が彼の無期懲役を認めた2003年だったと言う。

「最初は狂ったように泣いたものです。」彼は言う。「しかし、気を取り直して、自分が犯していない罪で残りの人生を塀の中で過ごさなければいけないと信じることを拒絶しました。楽観視することで私は自殺しなくてもすみました。」

マイナリ氏は、長い監獄生活の中でほとんど運動ができない状況であったにもかかわらず、さほど健康上の問題はないが、監獄にいる時から睡眠障害には悩まされ、睡眠導入剤を常用していたという。

「ネパールに帰国してから薬を飲むことをやめていますが、例えば、昨晩も私は3時間寝付けませんでした。」

マイナリ氏は、一人になるのが怖いとも言った。

「一人でいることができないのです。誰か家族が近くにいてほしいのです。」と彼は言う。「できることなら、家族の誰かが私の掌を優しくなでていてほしいのです。そうすれば私は監獄の中のことを忘れることができます。」

マイナリ氏は、誘拐されることを恐れるあまり、一人で外に出ることはないとも付け加えた。

「最近はネパールも物騒になりました。昨年帰国した際、カトマンズ空港職員に最初に聞かれたことは、私がいくらの賠償金を所持しているかということでした。」と彼は言った。「昔からの知り合いですら、私の受けた苦悩について聞く前に、同じ質問をしました。人々は、私が大金を持っていると誤解しているのです。」

マイナリ氏の最大の悔みは、父親が、彼が自由になるのを生きて見ることができなかったことと、二人の娘を自分の手で育てることができなかったことだ。

「もう彼女たちは大きくなりました。彼女たちを子供のようにハグすることはできません。膝の上にのせてあやすこともできません。」と言った。

インタビューの間、マイナリ氏は日本の司法制度や警察当局を厳しく非難し、「冷酷で非情だ」とも罵倒した。

しかし、彼は、日本人が非常に働き者であることに尊敬の念を持っている。

「ネパールに帰って気付いたことは、この国の人々はあまりに宗教に囚われ、近代化に遅れを取っているということでした。」彼は言った。「日本では、人々は行動を起こして勤勉に働くことの成果を信じています。それゆえあのような国を作ることができたのです。」
刑務所での日記を元にした手記が、編集の遅れはあったが、今月ネパールで出版されることになっている。

マイナリ氏は、彼の刑務所でのできごとを記録に残すため、日本語での著作も手掛けていることを付け加えた。

海外からの出稼ぎ人であったマイナリ氏は、1994年日本に向けて旅立った。

彼は1997年に、知り合いであった東電の女性社員を殺害したとされ逮捕された。

2000年に東京地裁は、決定的な証拠に欠けるとして無罪判決を言い渡したが、東京高裁は彼に無期懲役を言い渡した。

数多くの新しいDNA鑑定による証拠が再審開始につながり、マイナリ氏は昨年6月釈放され、その後11月に無罪判決が確定した。

現在、マイナリ氏は、彼の妻、二人の娘、それから母親と一緒にカトマンズに暮らしている。

ここをクリック→ Japan Times "Mainali eyes wrongful imprisonment suit against Japan"

5/2/2013














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category: 東電OL殺人事件

2013/05/02 Thu. 04:33 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (221) 「東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点~Part II~再審制度の限界」 11/24/2012 

#検察なう (221) 「 東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点~Part II~再審制度の限界」 11/24/2012

(強制捜査から1439日)

再審無罪決定後のゴビンダさんのコメントを引用します。

「もちろんうれしいけれどくやしいきもちもあります。どうして私が15年かんもくるしまなければならなかったのか日本のけいさつけんさつさいばんしょはよくかんがえてわるいところをなおして下さい。無実のものがけいむしょにいれられるのは私でさいごにして下さい。」

ここをクリック→ 再審無罪後のゴビンダさんコメント

「無罪になったからいいじゃないか」というのは、全くお門違いだということは冤罪に苦しんだ人の全てが感じることです。それは「なぜ自分が?なぜこんなことが?」という答えを、渦中にいる間中、常に求めているからです。私が今まさにその状況であるがゆえによく分かります。

「再審制度の限界」と題した今回のブログの結論を先に述べます。

再審が誤判の原因追求の機能を持っていないことは大きな間違いだと思います。再審無罪といって、「無罪になったからいいじゃないか」というのが現在の再審制度の精神です。

そしてそれは更に大きな問題を含んでいます。それは、再審制度が、確定判決は決して間違っていないという前提に立っているということです。

再審が「無罪を言い渡すべき明白な証拠が新しく発見された」場合に開始されるということは前回のブログで述べました。

つまり、「確定判決は間違ってはいなかったが、『新規明白な証拠』が出てきたから、審理をし直す」というのが再審制度の大前提です。

それが再審をして「針の穴にラクダを通すより難しい」と言わしめる理由となっています。「新規明白な証拠」の発見・立証を弁護側に課していることは、無罪の立証責任を弁護側に求めているもので、推定無罪原則にもとるものだと思います。

「いや、そんなことはない。『白鳥決定』(1975年)というのがあってだな、再審制度においても『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の鉄則が適用されることは確認されている。」とおっしゃる方もいらっしゃると思います。

それがその通りであれば、ゴビンダさん弁護団も苦労しなかったことだと思います。

東電殺人OL事件の一審(無罪)、二審(有罪、確定判決)の判決構造を対照してみます。

非常に多くの争点がある東電OL殺人事件ですが、重要なものとして以下のものを挙げます。

① 「殺害現場トイレに捨てられたコンドームの遺棄時期はいつか」

② 「被害者は、殺害現場となった渋谷区神泉のアパート喜寿荘101号室を自由に使えたか」

③ 「殺害現場にゴビンダさん以外の第三者がいた可能性はあるか」

④ 「被害者手帳にある記載がゴビンダさんを指すのか」

⑤ 「なぜ被害者の定期入れが巣鴨に捨てられていたか」

それぞれの争点に関し、一審と二審では180度異なる見解を示しています。

① 「殺害現場トイレに捨てられたコンドームの遺棄時期はいつか」

一審 - 精液の腐敗進行度によって判断すると、捨てられてから20日以上経過したものと考えられる。コンドームは犯行から10日後に発見されていることから、捨てられたのは事件よりさらに10日程度前ということになる。

二審 - 鑑定実験は清潔な水を使って行われたが、現場のトイレの水は汚れていたので、大腸菌によって腐敗が早く進行した可能性がある。清潔な水では20日間かかった腐敗が、汚れた水では10日程度で起こったと考えても矛盾しない。

② 「被害者は、殺害現場となった渋谷区神泉のアパート喜寿荘101号室を自由に使えたか」

一審 - 被害者は以前にもこの部屋を使用しており、空室で鍵がかかっていないことを知っていた可能性がある。

二審 - この部屋が空室だと知っていたのはゴビンダさんだけであり、被害者がここを独自に使用して、他の売春客とともに立ち入ることはあり得なかった。

③ 「殺害現場にゴビンダさん以外の第三者がいた可能性はあるか」

一審 - 殺害現場の部屋にはゴビンダさんのものでも、被害者のものでもない複数の体毛が落ちていた。従ってこの部屋にはゴビンダさん以外の者も立ち入った形跡があり、第三者が犯人である可能性も否定できない。

二審 - それら体毛は数ヶ月前まで住んでいた前居住者やその友人などのものである可能性もあるから、ゴビンダさん以外の第三者が侵入した形跡とは断定できない。

④ 「被害者手帳にある記載がゴビンダさんを指すのか」

一審 - 被害者は売春の内容(売春客の名前、住所、電話番号、金額等)を克明に記入していた。「2月28日?外人0.2万」との記載はゴビンダさんを指しており(ゴビンダさんはその手帳の記載を知ることなく、その前後に被害者の客となったことを主張していた)、ゴビンダさんが被害者と会ったのは事件当日ではなく、それより10日程度前と考えられる。

二審 - 被害者手帳の記載は、きわめて正確であり、以前にも客になったことのあるゴビンダさんに「?」の記号を付けることはありえず、支払い金額も「4500円かそれよりも少なかったかもしれない」というゴビンダさんの記憶とは矛盾がある。

⑤ 「なぜ被害者の定期入れが巣鴨に捨てられていたか」

一審 - ゴビンダさんに全く土地勘も関連性もない巣鴨付近から被害者の定期入れが発見されたことは、ゴビンダさんが犯人と考えると説明がつかない。

二審 - 定期入れがこのような場所で発見されたことは謎であるが、そのことが解明されなくても、ゴビンダさんが犯人であるという認定を妨げない。

明らかに二審の確定判決では、あいまいな状況証拠を恣意的に解釈し、全て被告人に不利益になるよう推認したものです。即ち、それ自体が刑事裁判の鉄則である推定無罪の原則に真っ向から反する違法な認定です。

そして再審前に開示された証拠がなくても、一審でも裁判官は無罪判決に到達することができています。

即ち、二審は検察の主張を無批判に取り入れた誤判であり、本来、「新規明白な証拠」がなくても是正されるべきものです。ここでは「白鳥決定」が全く考慮されていないことは明らかです。

この責任は、二審の裁判体のみならず、それを追認した最高裁の裁判体も負うものです。

裁判体の明らかな誤判を是正することを要求するためにも、弁護団に「新規明白な証拠」を求め、無罪の立証責任を負わせていることが再審制度の大きな問題点であり、冤罪回避の制度としての深刻な限界を認めます。

なりすましPC遠隔操作事件の例を取るまでもなく、冤罪はほぼ日常茶飯のように捜査権力によって作り出されています。三審制が機能せず、冤罪を防ぐ最後の砦である再審制度にもこのような限界があることを国民は十分に理解し、是正を求めるよう働きかけ続ける必要があると思います。

冤罪は特殊なことではなく、誰にでも降りかかるものであることを心に留め置いて下さい。

参考資料
冤罪File 第14号 (2011年9月発行) 「真犯人は別にいた!『東電OL殺人事件』検察の証拠隠しがまたもや発覚!」 本誌検証取材班
冤罪File 第17号 (2012年9月発行) 「『東電OL殺人事件』裁判所に届いた15年の無実の訴え」 今井恭平

11/24/2012














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category: 東電OL殺人事件

2012/11/24 Sat. 07:52 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (220) 「東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点~Part I~検察による証拠隠蔽という犯罪行為」 11/22/2012 

#検察なう (220) 「東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点~Part I~検察による証拠隠蔽という犯罪行為」 11/22/2012

(強制捜査から1437日)

散々報道されている東電OL殺人事件ですが、私なりに総括すべく、「東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点」と題して、二回に分けて論じてみたいと思います。

その一回目は「検察による証拠隠蔽という犯罪行為」です。

まず東電OL殺人事件で、ゴビンダさんが無実を勝ち得た再審制度を確認しておきます。

日本の司法制度が三審制に基づいていることは勿論ご存知だと思います。そして最高裁まで審理を経て確定した判決に対し、再審理をすることを「再審」といいます。

再審について定めた法律は、刑事訴訟法第435条で、その6号には次のように定められています。

「無罪を言い渡すべき明白な証拠が新しく発見された」場合に再審を開始するとあります。

ゴビンダさんは、この刑事訴訟法の条文にある「新規明白な証拠」が見つかったため再審が行われ、無罪となったと思われている方も多いと思います。

報道を注意深く読んでいる方の中には「いや、新しい証拠といっても、実は検察が元々もっていたサンプルを新たにDNA鑑定して判明した事実なんだよね」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

もしあなたがそう思っているのであれば、それは、被害者の膣内に残された精液を新たにDNA鑑定した結果、殺害現場の室内に残された陰毛と同じDNA型が検出されたことを指していると思います。

そしてそのDNA型検査がこれまでなされていなかったことを、「初動捜査の誤りだったんだな。最初から調べていればよかったのに。」と考えているとしたら、問題の本質を見誤っていると私は考えます。

事実関係を整理します。

2005年3月の再審請求以来、弁護団は粘り強く証拠の開示を請求してきました。そして6年経た昨年3月、検察はようやく42点の証拠を開示し、そのDNA鑑定が行われることになりました。

そして昨年7月、この鑑定から、確定判決を完全に覆す新証拠が発見されました。それが先に述べた、被害者の膣内残留の精液のDNA型と殺害現場から発見された陰毛のDNA型の一致でした。

事件のことを少しご存知の方は、ゴビンダさんが犯人とされた有力な証拠の一つが、殺害現場の室内のトイレに捨てられたコンドームの中の精液のDNA型が、ゴビンダさんのものと一致したことであることはご承知かと思います。

「ん?なんでいつか分からない、もしかしたら殺害の随分前に捨てられたかもしれないトイレのコンドーム内のDNA鑑定をわざわざしながら、被害者の膣内残留という、犯人に一番近いであろう精液のDNA鑑定をしなかったのだろう。」と思われた方には、座布団一枚です。

それに対し、「あー、それはね、その精液の血液型はO型だったのだけど、犯行当日被害者は常連客の男性を客として取っていて、彼の血液型がO型だったんだよ。で、彼にははっきりとしたアリバイがあったから、彼は容疑者リストからは最初からはずされてたんだ。で、警察・検察は、その常連客の精液だと思い込んだってのが、DNA鑑定をしなかった理由なんだよ。それが大きな間違いだったんだけどね。」と答えた方に、もう一度、先の疑問を問い直してみて下さい。あなたの答えは、単に警察・検察の言い訳だと思いませんか。

私は、そうした理由を聞いたときに、それは実に不自然なものだと思いました。捜査当局が、血液型がB型のゴビンダさんを犯人とするために、意図的に検査をサボタージュしたのではないかと考えました。そして、それはしかも、もし捜査当局がDNA検査をして、ゴビンダさんのものではないという結果を得ていたにも関わらず、それを隠していたということがなかったとしたらという場合です。

それほど私には、捜査当局が間抜けにも被害者の膣内残留の精液のDNA鑑定をしなかったということが信じられませんでした。日本の捜査当局は、かなり優秀だと私は思っています。

それで、私は今年7月16日に開催された「無実のゴビンダさんを支える会 再審開始決定報告集会」に出席した際に、ゴビンダさん弁護団の弁護士に質問をしました。

私は、膣内の残留精液から、被害者と未知の男性(証拠番号から「376の男」と呼ばれます)の2人分のDNAしか検出されなかったことに着目しました。

「常連客の男性は、犯行当日、コンドームを付けることなく性行為をしたことを証言しています。なぜ彼のDNAが検出されなかったのでしょうか。つまり、膣内からは2人ではなく3人分のDNAが検出されるべきなのではないでしょうか。2人分のDNAしか検出されていない以上、常連客の偽証の可能性があるのではないでしょうか。」という疑問を問いかけました。

そのココロは、「常連客はコンドームをつけてたんじゃないの?そういう偽証をするメリットはその常連客にはないはずだから、それは捜査当局が偽証させたんじゃないの?もっと言えば、捜査当局は初めからゴビンダさんが犯人でないと分かってたんじゃないの?」という意味の質問でした。

弁護士は、私の質問の意図が読めなかったようで、「被害者はその常連客との行為の後シャワーを浴びたと証言があるので、完全に洗い流されたのではないか。常連客が偽証をすることは考えにくい。」との回答でした。

おいおい、それって検察の言い分でしょ。弁護士ならなんでそこを疑わんの?と思ったものです。

そこで登場が、冤罪File記者の今井恭平氏です。彼が言ったことは衝撃の事実でした。

「そんなことは重要じゃないよ。重要なのは、事件直後の捜査の段階で既に、被害者女性の口唇や乳房にO型の唾液があったことを警察・検察が知っていたことだよ。」

ここをクリック→ #検察なう (166) 「無実のゴビンダさんを支える会『7・16再審開始決定報告集会』」

検察は、昨年3月の証拠開示に続き、9月にも追加の「新証拠」を開示します。3月の証拠開示の時点では、「DNA鑑定可能な証拠はこれで全てである」と言いながらです。つまり最初の証拠開示は、自分たちに極めて都合の悪いものだったと分かった途端に、後出しジャンケンをしようとしたということです。

しかしこの後出しジャンケンも、こっちがグーを出してるのに、チョキを出してくるようなものでした。

被害者の左右の乳房付近と口唇周辺から唾液が検出され、その血液型がO型であることが判明していた、というのがそれです。その唾液の血液型鑑定は、事件から半月後で、「ゴビンダさん逮捕の1ヶ月半も前」のことです。

よく考えて下さい。被害者は常連客を客として取った後にシャワーを浴びています。乳房付近や口の周りの唾液などは、完全に洗い流されてしまうはずです(膣内の精液を洗い流すより難易度は低いことは言うまでもないでしょう)。

被害者女性の遺体にO型の血液型の唾液が各所から検出されているという事実だけで、「犯人は最後に被害者と買春客として接した血液型O型男性の可能性が高い」と100人の人に聞けば、100人が答えるのではないでしょうか。

つまり、DNA鑑定をするまでもなく、検察が15年前に持っていた証拠で、十分に血液型B型のゴビンダさんが犯人ではないであろう(少なくとも合理的な疑いは入る)ということは分かっていたものです。

この証拠を始め数々の重大な証拠、ゴビンダさんが犯人ではないと「合理的な疑いが入る」に足る十分な証拠を検察が隠していたことは、証拠の捏造と全く同じことです。無辜の者を罪に陥れる、完全な犯罪行為です。

もう一度言います。

東電OL殺人事件の被害者女性を殺害した真犯人は、数々の証拠から「376の男」であると思われますが、その真犯人は野放しにされています。そしてゴビンダさんを被害者とする「もう一つの東電OL殺人事件」の犯人は、検察の中にいながら、これも刑事追及されずに野放しにされています。

これが犯罪を摘発する強大な権力をもった捜査権力の真の姿であり、冤罪を作り出すリバイアサンに我々は怯えて暮さなければならないというのが現実なのです。

郵便不正事件や、陸山会事件の虚偽捜査報告書問題という一連の検察不祥事でも全く自浄能力を見せず保身に務める検察からは、「彼らが常に正しい」という前提に立った強大な権力を剥奪しなければ我々国民の安全、平和は望めません。

検察が、異常なまでに強大な権力を持っていることの背景については以前のブログで書いたところです。

ここをクリック→ #検察なう (185) 「検察制度の根本的問題 その (2)~国民の信頼こそが検察制度の基礎」

我々は「人は過ちを犯すものである」という当たり前のことに立脚した制度作りを考えなければならないのではないでしょうか。

次回は、第二部として「再審制度の限界」について述べさせて頂きます。

参考資料
冤罪File 第14号 (2011年9月発行) 「真犯人は別にいた!『東電OL殺人事件』検察の証拠隠しがまたもや発覚!」 本誌検証取材班
冤罪File 第17号 (2012年9月発行) 「『東電OL殺人事件』裁判所に届いた15年の無実の訴え」 今井恭平

11/22/2012











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category: 東電OL殺人事件

2012/11/22 Thu. 07:54 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (168) 「無実のゴビンダさんを支える会『7・16再審開始決定報告集会』・おまけ」 7/19/2012 

#検察なう (168) 「無実のゴビンダさんを支える会『7・16再審開始決定報告集会』・おまけ」 7/19/2012

先日の無実のゴビンダさんを支える会主催の「7・16再審開始決定報告集会」には、出席できない方からのお祝いメッセージも届けられていました。

仙台北稜クリニックえん罪事件の守大助さんのご両親、大崎事件・原口アヤ子さんの再審をかちとる首都圏の会や名張事件東京守る会の方や東住吉事件の朴龍晧氏からのメッセージが配布資料に紹介されていました。

そして、東電OL殺人事件といえばこの方、佐野眞一氏からのメッセージもありました。ここで紹介します。

佐野眞一

東電OL殺人事件の再審がついに決まった。同時に「刑の執行停止」も決まり、ゴビンダ氏は妻のラダさんや、娘のメティラさん、エリサさんとともに十八年ぶりに懐かしい故郷のネパールに戻ることができた。まず、おめでとうと言いたい。

これは、足利事件、布川事件、そして厚労省の村木厚子元局長に対する大阪地検特捜部の証拠改竄事件など、不祥事続きで信頼性が完全に地に堕ちた司法の世界に大きな希望の風穴を開ける第一歩だったといえる。勇気ある決定だったと率直に評価したい。

この決定を導き出したのは、十五年も異国の獄舎に閉じ込められながら、無実の主張を一度も曲げなかったゴビンダ氏の強靭な生命力である。もし、ゴビンダ氏の精神力が途中で折れていたら、再審決定が出ることは絶対になかった。

だから私はこう言いたい。日本の司法への信頼性を土壇場でどうにかつなぎとめることができたのは、ゴビンダ氏のおかげである。日本の司法関係者は全員頭を丸めてネパールに謝罪に行くべきだと。

ところがこの決定に対して検察庁の幹部は「到底承服できぬ決定」とコメントした上、再審決定に異議申し立てをした。この期に及んでの悪あがきは笑止千万というほかない。検察はこれ以上恥をかきたくなかったら、組織防衛と自己保身だけが目的のこのみっともない異議申し立てを即刻取り下げるべきである。

ゴビンダ氏無罪の決定的な証拠が出た昨年は、日本が大津波と原発事故とという未曽有の大災害に見舞われた年だった。そこの司法の動きをからませると、歴史的暗合を感じる。

福島第一原発事故を一言で言えば、私たちが信じ込んできた「安全神話」の崩壊だったといえる。では、司法の世界はどうか。数々の不祥事を見てもわかるように、本当はとっくに信頼性は揺らいでいるのに、いまだに「無謬神話」にしがみついていないか。それはあまりに子どもっぽいふるまいである。

人間は時として誤りを犯す。そのとき素直にそのことを認めて謝罪できるかどうかで、その人間の価値と信頼性は決まる。私たちはそのことを昨年の「三・一一」で骨身にしみてわかったはずである。

そうであるなら、検察はこの事件の再審では同じことを蒸し返すのではなく、どこでどう誤ったかを率直に検証する場にすべきである。

それが、「三・一一」から私たちが汲み取るべき最大の教訓であり、冤罪を根絶することにもつながる最良の道でもある。

(以上)

先日の報告集会の模様はこちらです。

ここをクリック→ 無実のゴビンダさんを支える会「7・16再審開始決定報告集会」

また17日付朝日新聞朝刊の記者有論では「東電社員殺害事件 再審でも証拠開示を」と題して、このような記事が掲載されていました。

 「『有罪が確定した事件なのに、なぜ今さら証拠を出さなければならないのか』。消極的な対応からは、検察のそんな意識がうかがわれる。しかし、税金と強制捜査権を使って集めた証拠は本来、正義を実現するために使われるべき『公共の財産』だ。検察が独占できるものではない。

 検察に『有利な証拠だけを出し、裁判で勝てばいい』。そんなゲーム感覚はないだろうか。検察は今も有罪を主張している。メンツや組織防衛ばかりにこだわるのは、最近の検察不祥事に通じると私は感じる。 」

注目に値する記事だと思います。

ここをクリック→ 朝日新聞「記者有論」

7/19/2012



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2012/07/19 Thu. 08:57 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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