「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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経過報告 (64) 「帰国前日メッセージ」  11/29/2011 

経過報告(64) 「帰国前日メッセージ」 11/29/2011

ご無沙汰しました。明日、再度帰国します。

検察からは先日弁護士に連絡がありましたが、私の帰国日を再確認したのみで、今後の予定に関しては私の帰国後の12/2金曜に連絡するとのことでした。再度の取調べはないのではと思われます。もしそうであれば、起訴・不起訴の結果は早ければ来週中にも出るものかと思われます。3年の苦悩の終結となるのか、これから公判が始まりまた年単位の雌伏の時間となるのか、乞うご期待です。

先日、「逮捕の夢を見た」件で、ツイッター・フェイスブックにぼやいたため、少なからぬ方々にご心配をおかけしました。少なくとも起きている普通に生活している間は全く気に病むこともなく、この段階で逮捕の可能性は全くないと思われますが、夢を見るというのはPTSDに似た潜在的恐怖心があるのかもしれません。

これまでも何度か、逮捕の夢を見てきました。一つのパターンは、アメリカの映画に出てくるような外開きのドアを開けると捜査官が立っているというもの。まさに映画のように、安普請の白い木の扉と網戸の向こうのポーチに捜査官が立っているシーンです。もう一つのパターンは、取調べの終了時に「ではお前は逮捕だ!」というものです。これは「それでもボクはやってない」のイメージそのものです。今回の夢のシーンは、また新しい状況で、朝パソコンを立ち上げると弁護士からメールが入っていて、件名が「令状が出ました!」というものでした。夢の中で、逮捕令状のことだとすぐ分かりました。朝起きて、余りの生々しいイメージに、そのままやり切れない気持ちをツイッターしたため、何人かの友人が励ましのメッセージを送ってくれました。申し訳ありませんでした。

今朝は本当に興奮しました。福井女子中学生殺人事件で再審開始が高裁で決定されたためです(注)。今日が可否の発表とは事前に知っていましたが、9時半とは知らず、ツイッター・フェイスブックに今日発表があることを書き込んだ直後にツイッターのタイムラインで結果を知りました。ツイッターの適時性に改めて感動した次第です。検察には、盲目的に既定路線であるかのような異議申立をせず、引く勇気を見せて、抗告しないという選択をしてほしいものです。注目しましょう。

今後、わずかの間に東電OL事件、袴田事件といったメガトン級の冤罪と思わしき事件の再審請求関連のニュースが続くはずです。村木氏の郵便不正事件はまさにパンドラの箱を開ける事件だったのではないでしょうか。そして箱の中に残ったものが希望であったギリシャ神話のように、国家権力の横暴を国民が監視することによってこの国にも希望が生まれることを切に望むものです。

そして今、個人的に注目しているのが西武池袋線痴漢冤罪小林事件です。是非添付のビデオを見て下さい。日本帰国後に、市民団体による支援集会があるので参加してみようと思っています。

最後に、元テレビ朝日国税担当であった田中周紀氏による単行本「国税記者 実録マルサの世界」が12/21発売されます。日刊ゲンダイ連載の記事をもとに編集され、私の事件の記述に関しては記事に加筆修正されたものが収録されます。嘆願書を書いて頂いた皆さまには、著者のサインを入れてもらったものを私から謹呈させて頂ければと思っています。

今回の帰国後、カナダに戻るのは来年1/8の予定です。日本も寒くなってきたと聞いております。お体には気をつけて下さい。また連絡します。

(注)
再審請求とは、最高裁まで有罪判決で結審した事件に対し再度裁判のやり直しを求めるものです。再審請求には無罪を裏付ける新しい証拠が必要とされ、長らく「開かずの扉」とされていました。1990年の足利事件の再審開始が2009年6月に決定されたのは実に22年ぶりの再審開始決定で、翌2010年に無実が確定したのは記憶に新しいところです。また2009年12月には布川事件の再審開始も決定し、これも今年5月に無罪が確定しました。ただ福井女子中学生殺人事件の再審開始の「決定」は決定ではなく、検察が異議申立の抗告をし、最高裁が再審棄却をする可能性が残っています。過去に再審開始決定後に検察の異議申立で再審開始が取り消された事件としては、1961年名張毒ぶどう酒事件(2005年地裁決定、2006年高裁棄却)、1967年日産サニー事件(1992年地裁決定、1995年高裁棄却)、1979年大崎事件(2002年地裁決定、2004年高裁棄却)があります。

ここをクリック→n西武池袋線痴漢冤罪小林事件

ここをクリック→ 12/9 小林さんの命を守り再審を実現させるつどい

11/29/2011



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2011/11/30 Wed. 01:05 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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経過報告 (63) 「取調べ一段落」 11/17/2011 

経過報告 (63) 「取調べ一段落」11/17/2011

バンクーバーに戻って参りました。こちらは朝には霜が降りる季節となりました。日中の最高気温も4度から6度程度とかなり冷え込んでいます。遠くに望む山にはうっすらと雪が積もり始めました。

12月のファイナルステージに先立ち、日本を離れる前に、こちらの最後の一手として、私からは先の陳情書に続き現在の心境をしたためたもの、弁護士からは外人の参考人の調書には(調書が日本語で作成されるため)彼らの理解できる外国語の翻訳文を作成・添付し、それに署名を求める要請書を提出しました。弁護士の要請書は、今後起訴され、公判となった場合に、調書の証拠能力を担保するための意味合いがあります。日本語の調書を通訳が翻訳して読み聞かせ、それに署名をしただけでは、調書のニュアンスが正確に伝えられていない可能性があるからです。

日本再帰国の予定は12/1です。それまではしばらくのんびりしようと思っています。ゴルフ+Facebook+昼寝(時差ぼけ)の毎日です。

皆さまにおかれましては季節の変わり目ゆえ、お体にはお気をつけ下さい。また連絡させて頂きます。

P.S.
先の経過報告で紹介した日本国民救援会による「なくせ冤罪!全国いっせい行動」が今週展開され、全国各地で宣伝行動が行われています。東京では本日18時から有楽町マリオン前で行われます。

また、冤罪の可能性が高い袴田事件においても新証拠の発見(しかし依然検察は開示を拒否)により再審請求の見通しが立ってきました。こちらも注目すべきだと思います。

冤罪の問題は他人事ではありません。あなた自身、あるいはあなたの愛する家族・友人が冤罪に問われることも十分可能性としてあります。冤罪を少しでも減らすための第一歩が現状を知ることです。そして、その次の一歩が情報をシェアすることです。是非、夕食で家族が顔を合わせた際、話題にしてみて下さい。Facebook、Twitterで情報を見かけ、気になったらシェア、RTしてみて下さい。冤罪のない社会の実現のために。

11/17/2011



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category: 地検特捜部との死闘実況

2011/11/16 Wed. 20:47 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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経過報告 (62) 「検察取調べ第十七回 ストック・オプション行使指示書」 11/8/2011 

経過報告 (62) 「検察取調べ第十七回 ストック・オプション行使指示書」 11/8/2011

本日は朝から取調べがありました。最終ラウンドです。今日の取調べの検察の切り口は、これまで同様、会社が交付した書面にディスクレーマーとして書かれた「会社は源泉徴収をするものではない」という一文を読んだかどうかという点でした。最後の最後まで代わり映えのしない取調べ内容だと私は思いました。

しかしながら、取調べ後の弁護士とのミーティングでは「うーん、これは効果、もしくは有効まで取られたかもしれません。技ありまではいってませんが」とのことでした。

私は、税務調査対象期間の3年間で、株式による海外給与を4回(通常支払いの株式+退職時に未取得分の前倒し給付)とストックオプションによる海外給与を1回受領していました。今日の取調べでは、そのストックオプションの権利行使に伴う文書に関しての取調べです。

株式の場合には、ただ単に受け渡しを受けるだけですが、ストックオプションの場合には、権利を行使するというアクションが入ります。その権利行使とは、私が、定められた価格で株式を購入し、同時に時価で売却するというものです。その権利行使に際し、契約書にいくつかの選択肢を選びかつ署名をしていたのですが、その選択肢の一つに「会社が源泉徴収をしている場合に限り以下のいずれかを選べ」というものがあり、私はその選択肢に該当しない旨の消去(斜線を引く)をしていました。「会社が源泉徴収をしている」という条件に、自らそれは該当しないと言っていることになります。

実際のところ、私はその契約書に記入する際には、シンガポールの経理部の人間に電話をして、彼女の指示通りに記入しており、全く内容を確認することはありませんでした。まともに読んで回答すれば相当時間がかかる複雑な行使書の記入を私が一人ですることは、私の行動原理からしてありえません。電話をすぐにピックアップして、「どのように記入すればいいか教えて」と、以前から懇意にしていた経理担当者に尋ねたことを覚えています。

今日の取調べを踏まえて、検察は当然そのシンガポール人の経理部の人間の聴取を行うものと思います。彼女が真実通り、私に説明することなく記入を指示した、あるいは記憶にないと証言すれば問題なし。もし検察の誘導(それは当然あるでしょう)により、「はっきりとした記憶はないが、説明したと思う」と証言の調書は私にとって不利益になりうるという状況です。私が契約書に記入をし、その記入の際に、会社の経理部の人間が「会社は源泉徴収をしていない」という説明をしていれば、合わせ技で「有効」となるものです。

これまでのところで、検察にとって有利な一番強力かつほぼ唯一有効な間接証拠だと思います。といっても、たかが知れていますが。

脱税の意図があったとすると不合理な間接証拠が山積みの中で、さすがにこの証拠一本で起訴をして公判が維持できるのかどうか、素人考えでは甚だ疑問ですが、やろうと思えば何でもできる検察のこと。全く予断は許せません。

取調べは一通り終わったものの、このリカバリーをどうするか、短期間のうちに対処の必要があると思われます。

帰宅後、弁護士から連絡をもらいました。事態は急速に展開します。

本日の取調べ後、検察から弁護士に連絡があり、今後の予定を告げられたものです。「12月の第一週ないし第二週に、もう一度取調べをするかもしれない。但し、それはないかもしれない。いずれにせよ、結論は年内に出す。そしてその際には、弁護士と被疑者の二人で出頭されたし」というものでした。

弁護士曰く、いまだかつて、起訴にしろ不起訴にしろ、被疑者が呼ばれて、面前で処分を言い渡されたことはないとのことでした。そして今回の事案の行く末を握るのは、現場レベルでは到底なく、特捜部のトップレベル、あるいはその上まで行かないと結論は出ないのではということでした。

11月中に検察の動きはないということで、来週、急遽カナダに帰ることにしました(飛行機の予約変更をしなければなりません。カナダで買ったチケットなので、明日、カナダ時間に現地に電話して予約変更)。明日はゴルフ。明後日、車で金沢帰省。金曜は両親とゴルフ。土曜日に帰京。日曜は友人の結婚式出席。そして来週早々にカナダに戻る予定です。

大詰めです。昨日から今日の取調べ前に、沢山の方から「最終ラウンド頑張れ」のメッセージを頂きました。ここまで応援して下さったことに感謝します。

P.S.
郷原さんから、Twitterの返事がありました。

「1994年1月、『検察の正義』でも書いているように、ゼネコン汚職事件で「政治家逮捕の最高検判断」を待つ特捜部検事が、麻雀ゲームなどで暇を持て余している時に書き始めたのがこの小説。密室のトリックが完成せず、2万5千字のところで中断。それが17年ぶりに完成したのが今年夏です。 」

それに対する私の返信です。

「郷原さんならではの検察愛に溢れた作品とお見受けします。そして検察に正義を希求する気持ちを忘れて欲しくないという、織田の姿勢そのものが郷原さんのそれだったのではないでしょうか。現実の世界でも、検察にはこの小説同様引く勇気を持つよう切に望みます。次作が17年後となりませんよう。 」

11/8/2011


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category: 地検特捜部との死闘実況

2011/11/08 Tue. 05:57 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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経過報告 (61) 「検察取調べ第十六回」 11/8/2011 

経過報告 (61) 「検察取調べ第十六回」 11/8/2011

前回、炎上した後だったので、若干緊張して取調べ室に入りました。驚いたことに、今日はいきなり検事が上着を着ていました。今までもクールビズ終了後はネクタイはしていたのですが、上着を着ていたのは初めてです。そして通常であればすぐに取調べ+調書作成ということになるのですが、今日は検事が「取調べを開始する前に、これからの方針を確認させてほしい」と切り出しました。前回、調書に署名しなかったことがよほど応えているようです。

彼は「もし質問の内容が意に沿わないことで署名できないということなら、すぐにその場で言ってほしい」と言ってきました。随分と低姿勢です。それから30分ほど、調書を取らずに取調べの進捗や内容について議論しました。

私「この事案は起訴をしても到底公判が維持できない無理筋であり、通常の検察の基準からすると、流すのが適当なのではないか。それをここまでこだわっているのは、やはり国税局とのしがらみで諦めきれないのではないか」
検事「そう言っても信じてもらえないかもしれないが、あくまで検察の判断が付きかねるということで時間がかかっている。そして、今、私の立場から言及するのは不適当な部分もあるが、この時点でも起訴・不起訴の決定はできていない」

私「どうしてここまで時間がかかっているのか。脱税事案としては、むしろ単純なものであり、税務調査開始から既に3年も経過しているというのは異常ではないか」
検事「告発からも既に相当時間が経過しており、それに関しては個人的に謝りたい。私が事件を担当してからはそれ程時間が経っているわけではないが、最初に資料を見た時の印象は『これはよく分からない』というものだった。独自調査ではなく、外部から持ち込まれた案件を一旦受理した以上、『分からない』ということで付き返すわけにもいかず、全て最初から調べ直している」

私「先日の取調べで署名を拒否した際、検事は『もし署名ができないということであるなら、取調べをすること自体考えないといけない』と言ったが、それは、取調べが真実を追求しようとするものではなく、単に公判のための証拠作りをしているだけなのではないか。私は、以前にも述べたように、この検察の取調べ自体が日本の司法の実態では第一審の性格を有していると思っており、そこで真実が追求されないというのは甚だ忌々しいことではないか」
検事「これも言っても信じてもらえないかもしれないが、私たちの取調べが単なる証拠集めであるということは決してない。勿論、起訴ということになれば、検面調書は重要な証拠として公判に提出されるが、私たちは取調べにおいては、私たちが疑問に感じて確認したいことを聞いている。初めから八田さんのことを有罪だとか、無罪だとか決めつけて取調べをしているわけではない」

その後、彼は上着を脱いで取調べが開始しました(上着はそれほど意味がないのかもしれませんが、ちょっと印象に残りました)。

取調べの内容は、先日署名をしなかったものを繰り返すものでした。前回の調書の「源泉徴収の言葉の意味を知っていたか否か」の部分以前のみを生かすということは、私が認めたとしてもできないとのことでした(通常の検面調書とは証拠能力に差があるものだそうです)。そして取調べは、会社から提示された各々の書面に、“There are no employers tax withholding obligations (会社には源泉徴収をする義務はない)”という例の一文が入っている個所を示し、「これを読んだのではないか」ということに終始しました。私の主張は、仕事に忙殺される中で、膨大な資料の中に入っている一文を読んだということは可能性として極めて低いのに加え、給与の所得税は天引きという常識の中で、もしこの文章を読んでも、その思い込みを覆すには至らなかったであろう、というものです。また、「会社が真摯に税務指導をするという姿勢があるのであれば、日本人の従業員に対しては、日本語で、誤解のないよう明示的に記載する必要があるのではないか。“There are no employers tax withholding obligations ”という英文の記載と、『確定申告の際には自己申告の必要がある』という日本語の記載では、意味するところは同じでも、説明能力には格段の差があると思う」と述べました。

1時半に開始した取調べが終了したのは6時半。そして取調べは明日で終了とのことです。「聞きたい点はあと一点ありますが、このまま続けると少し遅くなるので、明日にしましょう。それで取り合えず、聞きたいところは全てカバーできます」と言われました。明日は朝10時半から最終ラウンドのゴングです。

ここまで私がリングに立ち続けることができたのも、皆さんの支援のおかげだと思っています。嘆願書を皆さんに頼んだ時は、皆さんもここまで大事になるとは思ってらっしゃらなかったかもしれません(私は告発まで既に国税局と15ヶ月も戦ってきたので、ある程度の覚悟はありましたが、それでもここまでしんどいとは思っていませんでした)。本当に感謝しております。最後までリングに立ち続けることができれば、判定は勝利であるはずです。今しばらく経過を見守って頂ければと思います。

P.S.
この10月末に出版された由良秀之著「司法記者」読了。由良秀之は、時の人、あの郷原信郎氏のペンネーム(のはず)。現場にいた人間でしか書けないリアリティーにあふれています。さっき、彼にTwitterのDMを送りました。

「『司法記者』読ませて頂きました。渾身の一作ではないでしょうか。ここまで完成度が高いと、小説家としては一発屋で終わってしまうのではと危惧すらしてしまいます。検察小説という新ジャンルの次作を切に希望します」

まだ返信はありません(3分前に送ったばかり)。

11/8/2011


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2011/11/07 Mon. 08:40 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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経過報告 (60) 「検察取調べ第十五回で大バトル」 11/5/2011 

経過報告 (60) 「検察取調べ第十五回で大バトル」 11/5/2011

やっちゃいました。ツイッターでお知らせしたように、久々の大バトル。帰国後再開した取調べの下らない内容に辟易していたことが背景にあったんですが。

本日の取調べの内容は、株式報酬受け渡し通知のメールに関してでした。これは国税局の取調べでも提出されていない新資料です。本当に検察もよく調べるものです。これまで株式の受け渡し通知の資料として取調べに提出されてきたものは、メモランダムというハードコピーでした。しかし、そのメモランダムは株式受け渡し後に後入れで交付される書面で、私はそのメモランダム受け取り以前に株を売却していたことから、「読む必要のない書面」と主張してきたものです。そして、実際の株式受け渡しの実質的通知が、今回資料提出されたメールでした。

メモランダムはA4の紙一枚の文書ですが、このメールというのは、プリントアウトするとA4、5枚にびっしりと英文が書かれています。「この3ページ目に、会社は源泉徴収をするものではない(例のお馴染みの文言です)と書かれていますが、これをあなたは読みましたか」という問いに対する私の回答は、「私は、生き馬の目を抜く外資系金融の世界で、一線で活躍してきたという自負があります。そして人様より幾許か高い給与を得ていたことは、私が全身全霊仕事に打ち込んだ結果だと思っています。私には、こうした総務関係の事に時間を割く余裕は全くなく、そうした時間があるのであれば、一本でも多く顧客と電話をし、少しでも多くの仕事の資料を読むということが求められていたと思います。私にとって、会社や顧客のことではなく、自分の身の回りに気を取られている人間は仕事ができないと思わざるを得ません」でした。「仕事で忙殺されているのに、英文でちんたら書かれてた総務関係の資料なんて、そんなもん読むわけないだろ!」というのを少しばかり丁寧に説明したつもりでした。

税務調査対象年は3年ありますので、その間の同じように株式受け渡しに伴う英文の冗長な資料が提示され、「税務に関する記述があるが、それを読んだのではないか」の執拗な追及に切れそうになるのを我慢して対応をしていました。

そして過去3年間の取調べで、何度も何度も目にした、「この文書は会社が源泉徴収をするものではない」という英文を「この文章を訳して下さい」と言われ、「おいおい、これで同じ文章を何度訳せばいいんだよ」と思いながらも訳した後、「その文章を読んでいないと主張なさっていますが、もし読んだとしたらどのように感じたと思いますか」と聞かれたので、「税務調査開始前までは税務の関心・知識共に乏しく、源泉徴収という言葉すら知らなかったくらいですから、ピンとこなかったと思います」と、私としてはいつもの通りの回答をした積もりでした。

一旦、休憩に入り、戻った後の検事の最初の質問が、「あなたは先程、税務調査開始前には源泉徴収という言葉を全く理解していないと主張しましたが、これまでそうした主張をしていないのに、なぜ突然今日になってそういう主張をなさるのですか」という、いわゆる供述内容の変遷を問い質すようなもの。こちらが「私が言った意味は、源泉徴収というコンセプトを強く意識したことがないというもので、その言葉の意味を全く知らないとか、一度も使ったことがないと主張したわけではない」と言うのに対し、「それではどういう意味だと理解していたのか」とか「どういう局面でその言葉を使ったのか」とか「何度くらいその言葉を用いたか」とか延々20分。

切れました。

一旦、席をはずす許可をもらって、弁護士に「今日の調書には署名しないから」と断った上で、戻ってからそう宣言。調書はそこで打ち切りですが、裁判所に提出する証拠能力がなくなった後でも上司に報告の必要があるのか、手書きの付記は続きます。

「あなたは自分が言った通りの供述内容を認めるつもりがないのですか」

「私はこれまで、誠意を持って取調べに対応してきたつもりです。過去の調書も、私の真意と合致し、捜査上意味があると認めたため署名したものです。ところが先日の取調べ以来、取調べの内容が、私の記憶違いによる証言が事実と異なることをもって嘘をついていると邪推したり、今日のやり取りのように、言葉尻を捉えて揚げ足を取るのは、全く時間の無駄であり、捜査において重要であると認められません。税務調査開始以来、明日をもって3年が経過し、去年の刑事告発からも、既に1年と8カ月が経過しています。取調べがもっと実のあるものであるよう強く要請するものです」

「あなたの供述をそのまま録取しているのですが、それではどのような記録方法を取ればいいというのですか」

「記録方法のことを言っているのではありません。取調べの内容それ自体をもっと意義のあるものにしてほしいと言っているのです」

これが今日の(署名をしていない)調書の最後です。

記録を止めた後に検事が「取調べ内容が意味あるものにのみ署名をするということは、取調べが意味があるかどうかを決めるのはあなたであるということですか」と悔し紛れに言い放った問いに、「勿論、そうです」と答えた時の憮然とした検事の顔。

「署名をしないとなると、取調べをする必要があるかどうかともなりますが、取調べを受ける気持ちはありますか」「喜んで受けさせて頂きます」「今後も出頭する気持ちはあるということですか」「勿論です」

ということで、今日は取調べの途中で炎上、終了でした。次回の取調べは来週月曜1時半からです。

明日をもって、税務調査開始当初から実に3年が経過します。もう捜査権力の戯言に付き合うのも本当にいやになります。奴らには「喝!」です。

すいません。今日はこんな感じです。また連絡します。

11/5/2011




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2011/11/05 Sat. 04:35 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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経過報告 (59) 「JPモルガン証券平氏の裁判傍聴」 11/4/2011 

経過報告 (59) 「JPモルガン証券平氏の裁判傍聴」 11/4/2011

カナダから帰国したばかりだと日本は暑いです。

本日、海外給与の脱税で起訴をされた元JPモルガン証券の平氏の初公判を傍聴してきました。彼は今年6月に刑事告発され、10月初頭に起訴されたものです。私は、自分が起訴されるイメージは持っていませんが、備えあれば憂いなし。

9時半に内幸町の弁護士事務所で弁護士と待ち合わせ。歩いて日比谷公園の反対側にある東京地裁に向かいました。公判は10時開始。東京地裁前で写真をツイート(敷地内で写真撮影をしてはいけないと警備員に怒られました)。

裁判傍聴は初めてだったので勝手が分からず弁護士にヒョコヒョコ付いて行きましたが、拍子抜けするほど簡単に法廷に入ることができました。名前や住所を書いたりするのかと思いきや、全くその必要もありません。傍聴席が30席程度の小さな法廷でした。テレビで見るあの雰囲気。節電なのか若干薄暗い感じでした。

平氏が弁護士を伴って、傍聴席を通って被告人席に。公判検事も同様に検察官席に着きました。裁判官到着で全員起立。審議が開始しました。さすがに平氏は緊張した面持ちでしたが、そのほかの人たちは比較的リラックスムード。裁判官は一人。全ては彼の胸先三寸というわけです。

被告人の氏名、住所、本籍、職業等をきく人定質問に続いて、検察官が起訴状を朗読。裁判官が被告人に黙秘権の告知をしますが、語りかけるようで平氏の緊張をほぐそうとするかのような感じが印象的でした。「起訴状の公訴事実に対する弁護人の意見は」と裁判官が問うと、弁護人である年配の弁護士が「その通り間違いありません」と言うのですが、形式化しているのか、立ちながら言葉を発し、言うか言わぬかの間に腰を下ろすと言う感じ。

その後、検察官の冒頭陳述が始まりましたが、滑舌が悪い。しかも早口。事務的に読み上げます。途中までは「インセンティブ報酬として得た権利行使制限付き株式及びストック・オプションを殊更過少申告申告し........ほにゃらかほにゃらか」と、自分と全く同じだなあ、と聞いていました。ところが途中から、状況が私のケースと違っていました。彼は、税務署による税務調査で海外給与の過少申告を指摘され、平成18年度の修正申告をしたのですが、その時に指摘されなかった平成19年度、20年度にも海外給与を得ていたにもかかわらずそれを申告しなかった旨、税理士から「株式を取得していませんか」と問われたにもかかわらず「もらっていない」と答え申告しなかった旨、会社から株式配当の源泉徴収票が交付されたにもかかわらずそれを敢えて提出しなかった旨が、検察官により述べられました。未納分の税金を払えず、不動産を差し押さえられているところからすると、資金に逼迫していたようです。背に腹は代えられずやむなくリスクを取ったということだと思います。

そしてこの後の日程を確認。次回公判は11月29日11時。どうやらそこで結審、三回目の公判で判決となるようです。そこで閉廷。開始から15分程度でした。ふーん、自白しているとこんなものなのかという印象でした。儀式です。否認していると全く状況は違うのだと思います。ただ雰囲気は分かりました。

私の取調べは明日1時半から。昨日の感じからすると検察のネタ切れも近いように思われます。この時点では、私はオセロゲームで盤上に白のコマを支配的に置いていると思っています。検察は何とか逆転しようと黒のコマを打ちますが、私の白のコマをひっくり返せない印象です。但し、油断は禁物。どこかで一気逆転もありうるのはまさにオセロゲームと同じです。そして私が一番懸念しているのは、検察が玉砕覚悟でむりやり起訴した場合に、裁判所が「一見すると白のコマが多いようにも見えるが、それは黒の勝ちを否定するものではない」とする、これまで歴史上何度も繰り返された不可思議で理不尽な判決がされることです。最終的には私の内心のことなので、検察がやる気になればいかようにもでき、これまでの裁判所は特捜案件は検察の主張を丸飲みしてきたという事実があります。そうなれば仕方ないかな、と達観しているのが現在の心境です。

また連絡します。

11/4/2011



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category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2011/11/04 Fri. 07:08 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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経過報告 (58) 「検察取調べ第十四回」 11/3/11 

経過報告 (58) 「検察取調べ第十四回」 11/3/2011


久々に取調べ再開です。前回までの取調べで一通りの取調べが終わっていたため、このインターバルの間にどんな新事実の発見があるかと思いきや、今日の取調べは本当にがっかりするものでした。彼らの取調べの方針が決まったようです。それは、私の記憶違いを、「嘘をついている」→「なぜ、嘘をつかなければいけないか。それはやましいことがあるから」とこじつけることに終始するものです。

彼らの取調べは、何ら事実の究明ではありません。彼らは自分たちが質問する問いの答えを既に持っています。そしてその答えと、私が記憶違いで少しでも違ったことを言おうものなら、それを全て「分かった上で虚偽の供述をしている」という解釈をするというものです。

例えば、押収物件の中に給与明細があります。それがある時期以前のものしかなく、以降のものがない理由を問われました。私は、あまり給与明細の内容を確認することもなかったので、「保管するのが面倒になり、読まずに捨てることもあったのではないか」と答えました。しかし実際には給与明細がある時点からペーパーレスになり、web上で確認することになったようです。私は、今日の今日までそのことすら知りませんでした。そこから彼らの導く結論は、「私が給与明細の内容を確認していないという虚偽の主張をするために、捨てたなどと言った」というものです。

また、会社は給与関係の事務をアウトソーシングしていたため、私の認識では「東京オフィスには経理部はない。シンガポールに担当者がいる」というものでした。ところが、今日取調べで提示された会社の書類には、東京オフィスの経理担当の名前の記載がありました。これは私の思うところでは、アウトソーシングしていても、総務部に窓口となる人間がいて、しかし実務は全くタッチしていないというものだと思います。しかし、そこから彼らの導く結論は、「株式給与はシンガポール・オフィスが担当し、現金給与は東京オフィスが担当するのが事実であるのに、東京オフィスに経理部がいないと嘘をつくのは、株式と現金で支払い者が異なることで税務の違いに気付いたことを隠すものだ」というものです。私は、「それならその東京オフィスの担当者に、実際の業務がどうであったを調べてほしい」と言いましたが、検事は「その必要はない。あくまで東京オフィスに経理部の人間がいて、それをいないと言った事実が重要だ」と取り合ってくれませんでした。

私が「会社の給与に関する所得税は全て天引きされている」と思っていたという根幹の事実から随分と遠い周辺事実から、なんとかほころびを見つけて無理やりつなげようとしている感じです。

とにかく検察の取調べというものは、真実の追求からは程遠く、有罪にするためのストーリーのつぎはぎをしているだけのものだということがよく分かりました。こうした不毛な作業を、血税を使って優秀な公務員がやっているという事実には、国家権力に対して本当に幻滅するものです。

最近、フェースブックで知り合った友人の友人が私のブログを見つけて、励ましの言葉をくれました。マハトカ・ガンディーの言葉です。
「あなたがおこなう行動がほとんど無意味だとしても、それでもあなたはそれをやらなければなりません。それは世界を変えるためにではなく、あなたが世界によって変えられないようにするためです」
腑に落ちる、という言葉が適当でした。しかしそれでも私は世界を変えたいと思っています。いかにそれが無謀な試みであったとしても。

11/3/2011


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category: 地検特捜部との死闘実況

2011/11/03 Thu. 05:52 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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