「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (376) 「日本の司法を正す会 三度目の正直」 2/27/2014 

#検察なう (376) 「日本の司法を正す会 三度目の正直」 2/27/2014


(「三度目の正直」は本来の意味ではなく、三回目の正直というつもりです)

村上正邦事務所・週刊金曜日主宰のワークショップ「日本の司法を正す会」に三度招かれ話をしました。今回は、一審・控訴審の主任弁護人の小松正和弁護士と共演でした。

その模様は岩上安身氏主宰のインターネットメディア「IWJ」で同時中継されました。そのアーカイブが以下のリンクです。

ここをクリック→ 第60回日本の司法を正す会

是非、ご覧頂ければと思います。

会の参加者であった清武英利氏(元読売巨人軍取締役球団代表)の質問は、元読売新聞国税庁担当記者だけに相当鋭いものでした。私の事案は「リョウチョウ」(国税局資料調査課)→「マルサ」(国税局査察部)→東京地検特捜部と多数の人間が関与し、それでも歯止めがかからなかったものだが、その原因究明が必要であるとの指摘でした。検察のみならず、国税局の責任は多大なものがあると思われます。その原因究明をするのが国家賠償請求訴訟です。

攻守を入れ替えての第2ラウンドに是非ご注目頂ければと思います。

2/27/2014















法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は sienhatta@gmail.com までご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

#検察なう


ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

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category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2014/02/27 Thu. 03:03 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (375) 「『週刊金曜日』記事「検察を追い込む”常識的”な判断」&「日本の司法を正す会」に三度招かれました」 2/24/2014 

#検察なう (375) 「『週刊金曜日』記事「検察を追い込む”常識的”な判断」&「日本の司法を正す会」に三度招かれました」 2/24/2014


『週刊金曜日』2月7日号(第978号)に私の記事が掲載されました。編集部(03-3221-8521)の許可を得て転載しますので、是非ご覧下さい。

ここをクリック→ 『週刊金曜日』記事「検察を追い込む”常識的”な判断」伊田浩之氏 

これまで同誌に掲載されたクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件関連の記事はこちら。

ここをクリック→ #検察なう (199) 「『週刊金曜日』掲載記事「税金天引きの会社員が意図的に脱税するのか」」

ここをクリック→ #検察なう (326) 「『週刊金曜日』記事「検察と国税の無謬の砦に穿たれた貴重な判決」青木理氏」

前2回の記事は「日本の司法を正す会」に招かれた時の模様を司会の青木理氏がまとめたものです。

その「日本の司法を正す会」に三度招かれることになりました。前2回は私一人が参加しましたが、今回は一審・控訴審の主任弁護人であった小松正和弁護士も登場します。

2月26日(水)1400-1600

前2回同様、IWJ(岩上安身氏主宰のインターネットメディア)で同時中継されると思われます。要チェックです。

青木理氏とはメディアの事件報道のあり方を、早川忠孝氏とは国賠請求審の意義をディスカッションしたいと思っています。村上正邦氏の一刀両断のコメントも楽しみです。

以下、案内文。

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二審でも無罪判決を勝ち取った八田隆さん(クレディ・スイス証券元部長)をゲストに招く『日本の司法を正す会』開催のお知らせ

拝啓 時下、益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

「マルサ」の通称で知られる国税局査察部が告発、特捜検察が捜査・起訴した事件で初めての無罪判決が維持されました。

賞与として支給されたストックオプション(自社株購入権)などの行使で得た報酬を申告せず、2006~07年分の所得税約1億3200万円を脱税したとして、所得税法違反に問われたクレディ・スイス(CS)証券元部長・八田隆氏(50歳)の控訴審で、東京高裁(角田正紀裁判長)は1月31日、東京地裁の無罪判決を支持し、検察側の控訴を棄却する判決を言い渡しました。

八田さんをお招きする会は、一審途中の2012年5月、一審無罪判決後の2013年7月に続いての3回目です。二審での無罪判決の意義を弁護士とともにうかがいたいと思います。開催要領は下記の通りです。ご多忙中とは存じますが、ぜひご出席いただきたくご案内いたします。

参加希望は、『日本の司法を正す会』事務所(村上正邦事務所、千代田区永田町2-9-8パレロワイヤル永田町203号室)電話3500-2200までお願いいたします。

『日本の司法を正す会』は、国策捜査や冤罪事件、人質司法や密室での取り調べなど捜査の問題点をはじめとする日本の司法の現状について、司法やメディア関係者が論議を交わすことを通じて司法のあり方を考えるワークショップです。

          記

【日時】2月26日(水曜日)午後2時から4時ぐらいまで

【場所】『日本の司法を正す会』事務所(村上正邦事務所)
千代田区永田町2-9-8 パレロワイヤル永田町203号室 電話3500-2200

【ゲスト】八田隆さん(「クレディ・スイス証券」元部長)
     小松正和さん(主任弁護人)

【インタビュー及び進行】青木理さん(ジャーナリスト)

【その他】ワークショップの内容は原則として報道可能です。そのほかの条件がある場合は当日説明します。

2/24/2014











法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は sienhatta@gmail.com までご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

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2014/02/24 Mon. 00:15 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (374) 「控訴審第二回公判検察控訴棄却法廷画 おまけ」 2/22/2014 

#検察なう (374) 「控訴審第二回公判検察控訴棄却法廷画 おまけ」 2/22/2014



説明不要。とにかく楽しんで下さい。「明るく楽しいクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」です。

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「どくせんじょう」が本来の言い方なんだ。へええー。

ここをクリック→ 「どくだんじょう」?「どくせんじょう」?


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トゥギャッタ―もリアルタイムの雰囲気を伝えるものとしてお楽しみ下さい。

ここをクリック→ 控訴審第二回公判検察控訴棄却トゥギャッタ―

2/22/2014












法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は #検察なうフェイスブック・コミュニティのメッセージでご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

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2014/02/22 Sat. 03:50 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (373) 「控訴審第二回公判法廷画 by 高杉ナツメ」 2/20/2014 

#検察なう (373) 「控訴審第二回公判法廷画 by 高杉ナツメ」 2/20/2014



皆さまお待ちかねの法廷画です。お楽しみ下さい。さあ、行ってみよー!

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次回はNG集ならぬ、法廷画「おまけ」です。乞うご期待。

2/20/2014










法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は sienhatta@gmail.com までご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

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2014/02/20 Thu. 01:15 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (372) 「無罪確定なう!」 2/17/2014 

#検察なう (372) 「無罪確定なう!」 2/17/2014


強制捜査から5年余り、1886日を経ての無罪確定の瞬間は穏やかに訪れました。

先週金曜日最初に連絡を受けたのは、2時半頃記者クラブの月主幹事会社の記者からの電話でした。検察が上告断念を発表したから、コメントが欲しいとのこと。上告期限は金曜夜中の12時で、検察はそれをしれっと渡過させると思っていたためそれ以前に発表することは若干意外だったのですが、テレビが昼ニュースで取り上げることができない時間帯をわざわざ選ぶという相変わらず姑息な検察のメディア・コントロールだったのでしょう(控訴審判決も同じ時刻に徳洲会の初公判をぶつけられたし)。

私が記者に答えたのは
1) なぜ最後まで捜査当局は引き返す勇気がなかったのか、それが残念。
2) 無罪が維持され確定したのは、正しい判断をした一審裁判体、控訴審裁判体にとってよかった。
3) 弁護戦略上、ターゲットは検察に絞ってきたが、国税局も同様に責任があり、彼らを聖域化するべきではない。人権を容易に侵害する強大な権力をもった捜査当局は責任感をもって任に当たってほしい。
の3点でした。特に3点目はあまりこれまで言って来なかったことなので、強調したつもりです。「確定申告前というタイミングで報道各社さん、記事にしにくいんじゃないですか」と言ったところ、「それは各社の判断ですから」とその記者の方は言っていましたが、やはり見事に記事になることはなかったようです。

その後、主任弁護人の小松正和弁護人と話しましたが、彼の第一声が「えー、それは残念だなあ」でした。実家に電話しても、母親は「仕方ないがいね(「仕方ないよね」の金沢弁)。ツイッターやフェイスブックで状況を知った友人も「なーんだ、ざんねーん」のリアクション。おいおい、一応そこは「おめでとう」じゃないの、みんなどんだけ上告にやる気満々なんじゃ(笑)って感じでした。

その後、インターネット上ではお祭り状態。

堀江貴文氏がブログで検察の上告断念の一枚ペラのコメントを批判しています。
ここをクリック→ 「検察が世の中舐めきってることを証明する一つの文書。」

確かにひどいですねえ。上告理由どころか、起訴の理由も控訴の理由もないだろがー!って感じです。でも、検察が虚勢を張っていることは明らかなので、むしろ哀れな感じもします。「反省に更生なし」とは日々犯罪者と向き合っている彼らは心底理解していると思いますが、その彼らをしてこの態度では、検察改革の道は遠いとしか思えません。というか、そもそも変わらなければという意識が全くないんでしょう。

更に深刻なのはメディアの機能停止です。江川紹子氏の最新記事をご覧下さい。
ここをクリック→ 江川紹子氏Yahoo!ニュース「無罪確定。されど・・・」

冤罪の直接加害者は検察や警察、国税局ですが、彼らの暴走を止めることができない裁判所やメディアの責任は重大だと思っています。今回、それを未然に食い止めた裁判所のファインプレーをメディアがきちんと報道しないという事実は、彼らに社会の木鐸としての自覚はなく、大本営発表を続けるだけの捜査権力の広報部となっている状況を露呈しています(その中で、実名報道をした産経新聞、TBS、テレ朝は健闘しているのではないでしょうか)。

私の気持ちを代弁するかのような高校友人のフェイスブック書き込みを是非ご覧下さい。
ここをクリック→ 高校友人フェイスブック・コメント

これから、攻守を入れ替えての第2ラウンドとして国家賠償請求訴訟に突入します。日本の司法には、冤罪の原因追求という機能がないため、そのためには国賠請求審で戦うしかないという事情があります。

私のような公権力の恣意的な行使による被害者を生まないためにも、またこれ以上無駄な捜査、公判で税金の無駄遣いを防ぐためにも、なぜこのような事件が捜査権力によって作られたかを解明していきたいと思います。具体的には、外資系証券業界で数百人の株式報酬申告漏れがありながら、なぜ私一人が告発・起訴されたのか。記者の取材に対し、国税局は「彼は悪質である」と答えていますが、私のいかなる行為をもって悪質であるとしたのか(それが金額なら「金額が一番多かったから」と答えればいいものを、敢えて「悪質」というからには、金額以外の何らかの要素がからんでいるはずです。そして私は仮装・隠蔽工作を全くしておらず、それは国税局も分かっています)。

一般人の刑事司法に対する理解度はとても低いものです。それは私が当事者となる以前の状況を考えるとよく分かります。しかし、当事者になってみると、とんでもないことがたくさんあります。それを当事者の立場から警鐘を鳴らし続けることで、刑事司法が正しい方向に進み、少しでも我々国民が安心して生活できるようになればいいと思っています。

これまでのご支援本当にありがとうございました。そしてこれからも引き続き応援して頂ければと願っています。

2/17/2014











法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は「#検察なう フェイスブック・コミュニティ」のメッセージでご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

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2014/02/17 Mon. 00:23 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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ブック・レビュー 『名張毒ブドウ酒殺人事件ー六人目の犠牲者』 江川紹子著 

ブック・レビュー 『名張毒ブドウ酒殺人事件―六人目の犠牲者』 江川紹子著 

名張毒ブドウ酒殺人事件―六人目の犠牲者

江川紹子氏による『名張毒ブドウ酒殺人事件』を再読。この間、映画『約束 名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の生涯』の公開もあり、色々な資料を目にする機会もあって、自分の事件に関する理解も深まっていたはずだが、やはり再読すると新たな発見もあった。

公判の流れを俯瞰すると、裁判官が奥西勝氏を有罪とする判決が依拠しているものには二つあることが改めて理解できた。それは自白と村人たちの供述である。物的証拠はないに等しく、王冠や農薬の科学鑑定はただ単に有罪立証を補強するためだけに用いられている。

自白を重要視し過ぎることが冤罪を生むことは、この事件だけではなく数多くの冤罪事件で明らかにされている。しかも、拷問まがいの取調べが過去の遺物となった現代でも、虚偽自白が取調べにおいて生まれている厳然とした事実は、もはや自白には全く証拠としての証明力がないとしてもいいのではないだろうか。

今回読み返して以前読んだときにはそれ程記憶に残らなかったのだが、奥西氏が最初に自白した理由があまりにも単純で驚いた。彼は、家の配電線に細工をして盗電をすることで電気代をごまかしていたのだが、取調べ翌日あたりと思われた電気会社の検針前にその細工を外したいがため、どうしても家に帰りたかったというのがその理由であった。盗電を隠すために殺人の自白をするというのは、虚偽自白にありがちな実行犯ではないがゆえの現実感の欠如であるが、その後の彼の運命を考えるとあまりにも悲しすぎる。

そしてこの事件の特殊性は、もう一つの有罪の根拠となっている村人たちの供述を巡る事情である。非常にナイーブな事柄だが、やはり「なぜ彼らが事件直後の供述を自ら進んで捜査当局のストーリーに合わせて変遷させたか」ということの解明なくして、この事件の全容は理解されないだろう。江川氏のこの書は、村人たちを指弾することを避ける最大限の配慮が払われながら、この論点の重要性をあぶり出した良書であると感じた。

そして単行本あとがきの末尾の日付を見て改めて暗澹とした。あとがきは1994年1月に書かれていたが、それから20年、司法が奥西氏にしたことは彼を更に絶望の淵に突き落とすだけだった。

文庫本化は2005年4月の再審開始決定を機になされている。そのため最終章は「40年後の再審決定」と題され、再審開始に喜ぶ弁護団の姿が描かれている。映画『約束』でも弁護団長の鈴木泉弁護士が男泣きするシーンである。文庫本本編は次の一文で締めくくられている。

「名古屋城の桜はまだ開花してないけれど、奥西さんと弁護団は春爛漫という気持ちです」

彼らの夢と希望を情け容赦なく打ち砕くことがなぜ許されているのだろうか。

死刑囚にとって法律的には、収監そのものは刑罰ではなく、刑罰は絞首刑のみである。そのため、彼らは刑務所ではなく未決囚と共に拘置所に留め置かれている。奥西氏は、1969年9月の控訴審逆転死刑判決以来、45年もの間、死刑の恐怖に怯えながら塀の中に自由を奪われ、死刑囚であるがゆえに外界との交渉が極端に制限されて閉じ込められている。これが刑罰でなくてなんであろうか。

死刑囚を彼らの命の火が消えるまで恐怖の中に幽閉することは、現代日本において法律的には正しいのかもしれないが、人道的には明らかに間違っている。それを看過することで、我々は人としての道を踏み外していないだろうか。

奥西氏の時間は限られている。そして、もしそのタイムリミットが非情にも訪れたとしても、我々はこの司法の犯罪を忘れるべきではない。

FREE OKUNISHI!!

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2014/02/16 Sun. 17:47 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (371) 「「完全勝利」のびろーんに込められた思い」 2/13/2014 

#検察なう (371) 「「完全勝利」のびろーんに込められた思い」 2/13/2014

(強制捜査から1885日、検察上告期限まであと1日)

びろーん

先日の控訴審判決で検察控訴棄却を受け、「完全勝利」のびろーんを掲げました。これを書いてくれたのは、私のフェイスブックつながりの友人岡田筆銀(ぺんぎん)さんです。彼女にこれを依頼したのは、控訴審が始まる前の昨年夏でした。その時、彼女に送った手紙を掲載します。これがびろーんに込められた思いです。

「びろーんの件、ご承諾頂きありがとうございます。
正式名称は「判決等速報用手持幡」と言うらしいのですが、弁護士もその正式名称を知っている人が少ないくらいだそうです。

一審無罪判決の直後は非常に複雑な気持ちで、素直に喜ぶことができませんでした。それが何かよく分からなかったのですが、最近理解したことがあります。

自分が冤罪に巻き込まれて、「なぜこのようなことが起こるのか」非常に悩みました。国税局査察部も地検特捜部も私が無実であることは理解していると信じています。それは証拠上明らかだからです。彼らも真実が分からないほど無能ではありません。

「それなのになぜ」という答えを求めて、冤罪のことを調べ始めました。そして、冤罪は起こるべくして起こる構造的な問題、即ち、初動ミスを捜査権力が認めず突き進み、裁判官が検察に全幅の信頼を置いてそれを追認することが最大の原因だと分かりました。

判決の前には、「まあ仕方ない。犬に噛まれたとでも思って諦めるしかないな」という境地でした。有罪だとしても自分の人生は変わないという自負がありました。それでも判決の瞬間までは全力を尽くすというのが自分の性分です。

判決は、査察部告発、特捜部起訴の事案で日本の歴史上初めての無罪。まさに奇跡的な無罪と言えます。たまたま諦めの悪い被告人と、たまたま非常に優秀な弁護人と、たまたま非常に真っ当な裁判官とが惑星直列のようにして生まれたようなものです。

その無罪判決がなぜうれしくなかったかということに関して、最近理解したことというのは、世の中に非常に多くの人が冤罪で苦しんでいるのに、自分一人がこんなラッキーでいいのかというサバイバーズ・ギルトです。

冤罪についての世の中の関心はとても低いものです。それは、冤罪に巻き込まれる前の自分の状況を思い起こせば容易に理解できます。それを変えたいと思い、当事者の立場から言えば、聞いてもらえることもあるかもと情報発信に努めてきました。そうすると少なからずの冤罪被害者の方々から、連絡を頂き「勇気をもらっています。ありがとうございます」と言われました。その時はとてもうれしかったのですが、無罪判決の時に彼らのことを思い出して、申し訳ない気持ちになったものです。

私はむしろ有罪でもいいと思っていました。私より本当に無罪を望んでいる人たちがいるのに、これでいいんだろうかという思いです。

そうした人たちに、「勇気を下さってありがとうございます。この無罪判決がそのお礼の気持ちで、勇気を返すことができたらと思います。心折れずに頑張って下さい」というメッセージをびろーんの「完全勝利」に込められたらと思っています。力強い文字を是非お願いします。
9.1.2013 」

私の気持ちと岡田筆銀さんの気持ちが見事に込められた筆跡だったと思います。素晴らしいびろーんを書いてくれた筆銀さんに感謝です。

傍聴に来てくれた岡田筆銀さんと。

ペンギン

2/13/2014


















法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は#検察なう フェイスブック・コミュニティのメッセージでご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

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2014/02/13 Thu. 00:27 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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#検察なう (370) 「検察上告を促すべく、不服審判請求をしました」 2/10/2014 

#検察なう (370) 「検察上告を促すべく、不服審判請求をしました」 2/10/2014

(強制捜査から1882日、検察上告期限まであと4日)

主任弁護人の小松正和弁護士といつも考えを巡らせているのは「次の一手は何にするか」ということです。控訴審で検察控訴棄却後も、いつも同様次の一手をディスカッションしました。

小 「八田さん、次は重加算税の返還を求めて不服審判ですね。結論は刑事(裁判)と連動していますから、(無罪が)確定してからすればいいと思います」
八 「いや、先生、検察に上告させたいと思ってるんです」
小 「真剣に言ってるんですか」
八 「真剣です」
小 「それならただちにしましょう」

この会話を理解するための背景として、この事件と国税局・検察の関わりを説明します。

国税局ですら「証拠はない」(私と面談した統括官の言葉)と言っていたこの無理筋の事件の告発の段階では、佐久間達哉元特捜部部長率いるイケイケドンドンの特捜部がむしろ積極的であったと思われます(彼の功名心が引き金となっているという点では、「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」の背景には、一連の小沢氏の事件との相似性が認められます)。

その後に起こった郵便不正事件は、状況を一変させました。本来告発=起訴というのが彼らの常識でしたが(注)、あまりにも脆弱な証拠に、弱体化した特捜部は起訴を躊躇します。そして特捜部の取った行動は、捜査を全て最初からやり直すという異例中の異例のものでした。告発を受理しておきながら、国税局査察部の捜査が不十分であるとする自己撞着がそこにはあります。

特捜部取調べは3ヶ月の長期に亘りますが、その間も役所間の責任のなすり付け合いがあったと思われます。検察は土・日も営業していますが、国税局は週末休みであるため、取調べが行われなかった月曜日に彼らの間の調整が行われていたようです。週終わりに向けて、こちらが押し込んだと思っていたところ、週明けの火曜日にはまたねじを巻かれた検事が態度を硬化させて取調べが再開するということが度々ありました。

結局、はしごをはずされたくない国税局が押し切る形で、私は起訴されました。やはり「誰のおかげで飯を食ってられるんだ」という財布のヒモを握った役所の強さです。

それでも起訴の段階では、特捜案件は裁判所が救ってくれるであろうという甘い読みが特捜部にはあったと思います。一審の判決は「そんな阿吽の呼吸はない」という一審裁判体の強いメッセージでした。3月1日の無罪判決というのは、確定申告シーズン真っ盛りの折、国税局にとっては最悪のタイミングでした。国税局は無罪を確定させたくなかったものと思われます。起訴に続いて検察が泥をかぶる形で無理筋控訴がなされました。

さすれば、もう一度国税局に一働きしてもらって、検察に上告を無理強いしてもらおうというものです。そのための国税不服審判所への審判請求です。先週金曜日に、餅は餅屋ということで税理士の加賀聡先生と小松先生を代理人とした審判請求を東京国税不服審判所に行いました。

ここで国税の不服申立制度をご説明します。次の添付資料「制度の概要図」をご覧下さい。

ここをクリック→ 国税の不服申立制度の概要図

私の過少申告が故意の脱税であったとして、国税局は重加算税を課しています。私はそれを一旦払った上で、それを不服として納税地の目黒税務署長に異議申立をしています。「制度の概要図」で、「3か月を経過しても意義決定がない場合」に国税不服審判所への審査請求をしたという状況が現段階です。

異議申立は2010年6月にしており、通常は概ね3ヶ月以内に決定がなされるところが、なんとこれまで放置されていたものです。その間、2010年末に目黒税務署長から「審査請求をすることができる旨の教示書」なるものが届いています。つまり異議申立の決定はパスして次の段階に進んでくれというものです。

その教示書には「原処分の理由」として重加算税の賦課決定の理由が書かれています。重加算税の要件は仮装・隠蔽(国税通則法第68条)ですが、私の行った仮装・隠蔽とは「所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の本件各確定申告書を原処分庁へそれぞれ提出したこと」とされています。確定申告書への誤った金額の記載のみが仮装・隠蔽ということが国税局によっても認定されており、それは勿論、過失であれば仮装・隠蔽でないことは明らかです。

冒頭、小松先生の言葉の中の「結論は刑事(裁判)と連動」しているというのは、私がこれまで戦ってきた刑事裁判で脱税の故意性が否定されれば、私は全く仮装・隠蔽をしていないことになり、重加算税を課す理由が消滅することを意味しています。

元々国税局の付属機関である国税不服審判所が、国税局の決定が誤りであったという審判を避けるには、検察が上告するしかないということを我々は計算しています。

是非とも、検察には上告してもらい、検察司法に開けた風穴を更にドでかいものにして、今後の検察改革に拍車をかけたいと思っています。

我々は依然追撃の手を緩めていません。引き続きご注目下さい。

(注)
このあたりの経緯は元特捜部主任検事前田恒彦氏の『週刊ダイヤモンド』今週号掲載「クレディ・スイス証券元部長に再び無罪判決 当局が告発や起訴に至った背景とその問題点」に詳しいので是非、ご参照下さい。

ここをクリック→ 「クレディ・スイス証券元部長に再び無罪判決 当局が告発や起訴に至った背景とその問題点」

これは有料記事になります。本誌を購入し(690円)掲載のパスワードを入力するか、Web版を1回購入(690円)すればそのまま読めます。

2/10/2014

















法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は「#検察なう フェイスブック・コミュニティ」のメッセージでご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

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2014/02/10 Mon. 01:05 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう Tシャツ・プロジェクト (93)  

#検察なう Tシャツ・プロジェクト (93) 「フィリピン・エルニド島からの応援メッセージ!」 (by M.K ♂)

日本全国を寒波が襲う中、むっちゃうらやましい応援メッセージが届きました。仕事の出張でフィリピンのエルニド島に行っての営業活動中らしいです(どんな仕事だ?)。仕事とはいえなんともうらやましい。

エルニド

ちなみにエルニド島とはここ。

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ソチより雪が降っている日本では、ソチオリンピックの応援で盛り上がっています。なんでもこの寒波は修造がソチに行ったからとのこと。

ソチ

帰って来い!修造!!



















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2014/02/09 Sun. 13:46 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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#検察なう (369) 「検察よ、遺憾というのなら正々堂々と上告せよ」 2/6/2014 

#検察なう (369) 「検察よ、遺憾というのなら正々堂々と上告せよ」 2/6/2014

(強制捜査から1878日、検察上告期限まであと8日)

青沼隆之東京高検次席検事の話
「主張が認められず遺憾。判決内容を精査・検討し適切に対処する」

想像してみて下さい。もし私が有罪になって、「遺憾である」と発言しようものならどういうリアクションになるか。「盗っ人猛々しい」「何言ってる、この犯罪者野郎が」という石礫が飛んでくること間違いなしです。

私は言いたい、「一審裁判体及び控訴審裁判体の判断が誤っているとする検察の姿勢こそ遺憾である」と。

私は、彼ら検察に謝罪を求めるものではありません。「反省上手」の表面的な反省は、むしろ真の反省につながらないからです。とはいえ、捜査当局が自分は誤っていないとする傲慢さが冤罪の大きな一因であることはこれまでに指摘してきたところです(注1)。

私はこれまで、国税局査察部・検察特捜部は優秀であるがゆえに真実に到達しないわけはなく、彼らは私の無実を知りつつ告発・起訴している確信犯であると何度も主張してきました。

しかし、この「遺憾である」発言は、私を含めた多くの人にとって「我々は真実も見抜けない程の無能集団である」と宣言しているに等しいと聞こえないでしょうか。彼らが自らの正当性を主張すればするほど、その不細工さが際立つという皮肉な状況です。

検察という公的な組織が、多くの検察官の稟議・決裁を経て一人の個人を犯罪者にしようと起訴するその責任は軽々しいものではありません(注2)。「遺憾である」などと、司法の判断が信頼できないと国民に喧伝するのであれば、その信念は行動に移してこそ検察の正義は一貫性があるといえます。口先だけで行動が伴わないとすれば、卑怯千万との誹りを免れないと思われます。

検察は是非、上告すべきです。一審、控訴審でいかに裁判所が完膚なきまで彼らの主張を退けていようと、ここまで散々被告人にコケにされていて引き下がるようでは、敵前逃亡同様の腰抜け行為です。

私も愚かではないので、有罪になりたくて上告せよと言っているわけではありません。そして私は、裁判所を過信するものでもありません。過去に累々と築かれた冤罪の責任の大きな一端は、裁判所にあると思っています。それではなぜ上告せよと言えるのか。私が信頼するのは裁判所ではなく、一審裁判体の判決文だからです。佐藤弘規裁判長、渡辺美紀子裁判官、小泉健介裁判官の気持ちがこもった判決文が、検察の姦計に破られるはずがないからです。私の望みは一審裁判体の判決文を最高裁調査官の目に触れさせ、彼らの判断を仰ぐことです。

もう一度言います。検察は、遺憾であるなら正々堂々と、事実誤認を理由として、上告してその正義が本物かどうかを司法の判断に委ねるべきです。

不遜な態度を取り続ければ、彼らの威厳が損なわれないなどということは幻想に過ぎません。是非ともこれまでの愚かな検察らしく、虚勢を張ってでも上告してほしいと思います。三タテを食らわせて、完全勝利の完璧なフィナーレを飾る所存です。

(注1)
ここをクリック→ #検察なう (364) 「なぜ冤罪はなくならないか」

(注2)
検察官決裁の実態を、元検察官落合洋司氏が、私の無罪に関してのご自身のブログを引用して書いています。是非、ご一読下さい。
ここをクリック→ 落合洋司氏ブログ『主任検事』

2/6/2014


















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2014/02/06 Thu. 00:27 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (368) 「控訴審第二回公判報告~検察控訴を棄却!」 2/3/2014 

#検察なう (368) 「控訴審第二回公判報告~検察控訴を棄却!」 2/3/2014

(強制捜査から1875日、検察上告期限まであと11日)

「判決を言い渡します。主文、控訴を棄却する。」
傍聴席から漏れた「よしっ!」という声は、私の心の中の声でもありました。検察控訴の棄却は、私の一審無罪が維持されたことを意味します。検察の無理筋控訴を一刀両断した歴史的瞬間でした。

その後に、判決理由が続きます。印象的だったのは、角田正紀裁判長の語る判決理由が、終始傍聴人を意識した分かりやすいものだったということでした。「ロザリン、これは株式報酬の担当者ですが」と関係者の名前に言及した後、その者が会社のどのような部署にいたかという我々当事者にとっては自明なことの説明を付け加えたりすることがその顕著な例です。

その判決理由では、まず検察主張が列挙されました。この部分だけ聞くと、それだけで有罪が書けるのではと不安に思った方もいたと思います。しかし、それは検察お得意の「過失であっても矛盾のない証拠」の我田引水的推認でした。そして、続く角田裁判長の言葉はその検察主張を一つ一つ排除していきます。

一審の無罪判決は、弁護側主張の「故意であれば矛盾がある証拠」(これを検察側から見て、有罪の「消極証拠」と言います)を採用せずとも、検察の主張はそれ自体不十分であり、有罪とするには「合理的疑いがある」とする刑事司法の大原則である推定無罪原則に則ったものでした。

勿論、99.9%を越える有罪率の刑事裁判では、裁判官の無罪心証を取るのは容易なことではなく、彼らも十分に消極証拠を検討したことは言うまでもありません。しかし、一審裁判体が敢えてほとんどの消極証拠を採用することなく推定無罪原則を強調した判決文を書いたのは、それが一番控訴審でひっくり返されにくい王道だからです。がちがちの耐震構造より、遊びのある免震構造の方が揺れに強いことと同じ論理です(あれ、違うかな。でも気分、気分)。

控訴審の判決理由は、一審の無罪判決を更に一歩進めて、消極証拠に踏み込んだ「より真っ白」な判決でした。「会社が税務当局に報告すればただちに発覚する状況であった」中で、「仮装・隠蔽工作が全く認められないこと」「会社元同僚の多く、特にコンプライアンス部長が同じく株式報酬が源泉徴収されているという思い込みで申告漏れとなっていたこと」が判決理由で述べられたその消極証拠の主たるものでした。

最高裁判例では、控訴審裁判体の心証がたとえ有罪であったとしても、原判決が論理則・経験則違背でなければそれを覆すことはできないとされています(注1)。角田裁判長の語る判決理由は、ただ単に一審判決が論理則・経験則違背ではないとするだけではなく、控訴審裁判体の心証も無罪なんだよと言っているように感じられました。

検察主張を排除する際も、一審判決では「検察主張を採用するには躊躇する」といった遠慮がちな表現もありましたが、控訴審の判決理由では、「検察主張を採用することはできない」と断定的な言い方に終始していました。

判決理由の中で、あまりに滑稽な検察主張が苦笑を誘う場面もありました。「高額所得者の方が金に細かい場合があることは、日常よく経験する」とする検察主張を、「逆の経験もあって、結局どちらともいえない」と裁判長は一蹴しましたが、傍聴人のリアクションは「おいおい、検察特捜部の、人を有罪に陥れる論理ってそんなにお粗末なの」というものでした。

私の個別の事案の判決でありながら、さすが法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」のメンバーにもなっている角田裁判官を擁する裁判体です。控訴審にあるべき判決の指針のような判決だったと思います。私が注目したのは、間接証拠の積み重ねによる立証に必要とされる要件を明確に示したことです。本件においては私の故意性を裏付ける直接的な証拠は一切ありません(あるはずもないのですが)。そこで検察は間接的な証拠をうず高く積み重ねることになりますが、そのような立証には次のような要件が必要であると示していました。
1) 有罪立証を補強する積極方向の証拠のみだけではなく、消極方向の証拠の評価が必要不可欠である
2) 起訴事実に範囲を限定するのではなく、周辺の事情もその評価の対象としなければならない
1)は既に上で述べたところですが、2)に関して付け加えます。

私の所得税法違反嫌疑は、平成18年度及び19年度を対象年としていますが、税務調査は平成17年度もその対象年とされていました。そして平成17年度の確定申告においても同様に株式報酬は申告漏れとなっています。検察は、この税務調査対象年でありかつ株式報酬が申告漏れとなっている年を敢えて起訴対象年からはずしています。そしてその理由には一切触れていません。これは私が被告人最終陳述で述べたところですが(注2)、そうした評価を避けて有罪立証足りるとしてはいけないということが判決理由の中で述べられました。

そして最後に、一審佐藤判決で味をしめた傍聴人が皆期待した説諭が角田裁判長から語られました。

「決着しても以前の仕事には戻れないようだが、あなたは能力に恵まれているし、是非再スタートを切って欲しい。裁判所も迅速な審理に努力したが、難しい事件であり、一審で1年3ヶ月、控訴審で9ヶ月かかってしまった。もっと早くと被告人の立場からは思うだろうが、これは裁判所の課題です」

閉廷後の記者会見で、この説諭の前半部分に関し、喜田村弁護人が「裁判所ができることは無罪のものは無罪にするだけだが、それだけで被告人が元の生活に戻れるものではないと裁判所も理解しているというメッセージでしょう」と語りましたが、まさにその通りだと思います。ありがたいお言葉です。

また後半部分に関しては、公判が長期に亘ることが被告人の精神的負担につながるというものですが、それを言うなら強制捜査から起訴まで、国税局と検察は丸3年費やしているわけで、そうした捜査に対する非難でもあると感じました。

閉廷直後、退廷する裁判体に支援者の方が、「(公正な判断)ありがとうございました!」と声を上げると、角田裁判長が振り返り、軽くうなずくかのように見えたのは私の見間違いでしょうか。我々の気持ちが伝わったと思いたいものです。

確定申告直前という国税局にとっては最悪のタイミングゆえ、残念ながらメディアの報道も幾分遠慮がちですが、これまでほぼ全ての公判を傍聴してくれた江川紹子氏の記事は、さすが過不足なくダイレクトに状況を伝えています。
ここをクリック→ Yahoo! ニュース『国税告発・特捜起訴で初の無罪判決は維持された』 江川紹子氏

そして私の公判恒例のトゥギャッタ―。是非、そのライブ感を味わって下さい。
ここをクリック→ 控訴審第二回公判トゥギャッタ―

この控訴棄却を受け、2週間以内に検察は上告の判断をすることになります。「遺憾である」などと風呂の中でこく屁(注3)のようなコメントを出すのであれば、正々堂々と上告して、自らの正義を問うべきだと思います。国家組織として一人の国民を犯罪者にしようとした判断の責任は重いものです。自らの過ちを認められないのであれば、最後までその信念を行動で示すべきです。もし検察特捜部にそれだけの根性があればの話ですが。

(注1)
ここをクリック→ #検察なう (318) 「「チョコレート缶事件」と論理則・経験則違背」

(注2)
ここをクリック→ 被告人最終陳述

(注3)
周りの者に聞いても一般的でないようですが(金沢弁?)、はっきりしない物言いのことです。「卑怯な」「陰険な」というニュアンスもあります。

2/3/2014















法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は sienhatta@gmail.com までご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

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2014/02/03 Mon. 01:51 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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フィルム・レビュー 『アメリカン・ハッスル』 デヴィッド・O・ラッセル監督 

フィルム・レビュー 『アメリカン・ハッスル』 デヴィッド・O・ラッセル監督

american hustle

これはあかんねえ。前作『世界にひとつのプレイブック』がよかったデヴィッド・O・ラッセル監督なので、少し期待はしてたんですが。役者は前作のブラッドレイ・クーパーとジェニファー・ローレンスを脇役にして、主演はクリスチャン・ベールとエイミー・アダムス。

コンゲーム物ってのは、やはり最後に悪い奴がだまされないと痛快さに欠けるんだよね。詐欺師が自分の保身のためにFBIのおとり捜査に協力させられるけども....って話なんだけど、結局、「何なの?いい奴だましてどうすんの?」ってストーリーは納得いかんなあ。

ヘルニアになるまで20Kg近く体重を増やしたクリスチャン・ベールの演技はまあまあ。一番よかったのはジェニファー・ローレンスの演技。こういうビッチな役をやらせるとはまるね。エイミー・アダムスは、『サンシャイン・クリーニング』の大人になって負け組の寂しい高校時代の元チアリーダーって役回りがぴったりなので、こういう役にはちょっと貧相でした。ブラッドレイ・クーパーは前作や『ハングオーバー』の方が魅力的だったな。

ということで、よかったのはロバート・デニーロがマフィアの大親分として交渉のテーブルにつくシーンと、ジェニファー・ローレンスが典型的鬼女(きじょ)を演じる一連のシーンかな(でも、浮気相手の女=エイミー・アダムスを噛みちぎらんばかりのシーンは男として背筋が凍りました)。

ま、観る人はあまり期待しないで。

ここをクリック→ 『アメリカン・ハッスル』予告編

(Facebook 1/22/14より転載)



















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2014/02/02 Sun. 20:52 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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