「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (518) 「埼玉愛犬家連続殺人事件 (5) ~ 風間博子死刑囚の無罪性の検証(1)」 11/26/2015 

#検察なう (518) 「埼玉愛犬家連続殺人事件 (5) ~ 風間博子死刑囚の無罪性の検証(1)」 11/26/2015

2012年1月15日、風間死刑囚は、さいたま地方裁判所に対して再審請求を行いました。無罪獲得に向けて、弁護団、支援者共々奮闘しています。

言うまでもなく彼らの闘いは容易ではありません。これまで述べてきたように、風間死刑囚を殺人に関して有罪だとする根拠は、山崎氏の供述しかありません。通常の感覚であれば、その供述に信用性がないことを立証すればいいということになります。

彼女の一審、控訴審に出廷した山崎氏は、調書は検事の作文であり、彼女は無罪だと思うと明言しています。取調べ時の供述は真実ではないということを、その供述を行った本人が認めているわけです。これ以上、供述の信用性を揺るがす事実はないと思いますが、裁判所はそれでも死刑の判決を下しました。

再審への道を開くには、本人が自ら信用性がないと認めた供述に対して、改めて信用性がないと立証しなければならないということです。

裁判官を動かすには、無罪を客観的証拠で立証しなければならないということなのだと思います。勿論、(白鳥決定が判示するように、再審においても)被告人に立証責任がないことは言うまでもないことですが、残念ながら実際の運用は、被告人に無罪立証の責任を課しているということを私も自らの経験から痛いほど理解しています。

ここでは、風間死刑囚の無罪性を積極的に示唆する事柄を拾ってみます。それら論点は確定判決に至るまでに議論され、裁判官に無視された(「無視」という言葉が適当でなければ、無理やりこじつけの論法で却下された)ものです。

風間死刑囚は3人の殺害に関与されたとされています(4人目の殺害に関しては関根死刑囚の単独犯行という認定)。

まず一人目の川崎明男氏殺害に関しては、次の2点から無実である方が合理的であると考えます。

川崎氏が殺害された翌日の昼頃、前夜夫が帰宅しないため眠れぬ夜を過ごした彼の妻は、ペットショップに電話をかけました。彼女は、夫が心当たりのどこにも姿を見せていないことから、このところ続いていた犬のキャンセル話(川崎氏は、数十万円程度の価値しかないローデシアン・リッジバックを騙されて1千万円以上で買わされていました)によるもつれが、夫が帰宅しなかったことと関係があるのではないか、関根死刑囚が何らかの関与をしているのではないかと疑い、電話をしてきたものです。

風間死刑囚はその日は午前10時頃からペットショップに出勤していました(その前の晩、彼女は山崎氏と共に川崎氏の車を東京駅の地下駐車場に「置き」に行っています。判決では「捨て」に行ったとなっていますが、その違いは言葉以上のものがあります)。そして川崎氏の妻に関根死刑囚の居場所を尋ねられ、すぐに群馬県片品村の山崎氏宅の電話番号と住所を教えています。山崎氏宅は、風間・関根死刑囚の離婚後、関根死刑囚が一緒に住んでいたところであり、川崎氏の殺害に際してはその遺体の解体が行われた場所です。

その時点で、もし風間死刑囚が川崎氏の殺害に関与していたならば、事前に遺体解体が完了していないことを確認せずに、遺体の解体が行われている現場を教えることはありえません。それがまず1点。

次に、川崎氏の殺害当日風間死刑囚は、川崎氏とは別の顧客から発注のあったローデシアン・リッジバックの代金を、輸入元のアメリカの業者に送金しています。それ以前に川崎氏が購入し未輸入のローデシアン・リッジバックの代金は、その業者に送金済みです。もし風間死刑囚が川崎氏殺害を知っていたのであれば、川崎氏に犬を引き渡す必要はないため、川崎氏のものとして発注した犬をその顧客に回せばいいだけです。この新たな発注・送金の事実は、風間死刑囚が川崎氏の殺害を知らなかったことを如実に裏付ける事実だと思われます。

第二・第三の殺害の関与に関しては、次回以降のブログで述べたいと思います。

参考文献
『冤罪File』第20号「冤罪疑惑が黙殺され続けた「埼玉愛犬家連続殺人事件」共犯者が被告人の無罪を証言!」 片岡健

『冤罪File』第21号「埼玉愛犬家連続殺人事件 女性死刑囚の子供たちが、知られざる事件の内幕を明かす!「それでも母はやっていない」」 片岡健

『女性死刑囚』 深笛義也

『悪魔を憐れむ歌』 蓮見圭一

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2015/11/26 Thu. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (517) 「埼玉愛犬家連続殺人事件 (4) ~ 山崎氏が風間博子被告人の公判で無実の証言」 11/23/2015 

#検察なう (517) 「埼玉愛犬家連続殺人事件 (4) ~ 山崎氏が風間博子被告人の公判で無実の証言」 11/23/2015

埼玉愛犬家連続殺人事件は、複数の人間が殺害されながら物証はほとんどないという、捜査は困難を極めた事件です。殺害及び死体損壊・遺棄に関与する共犯者は三人。客観的事実を裏付ける物証が存在しないため、事件の有罪立証は共犯者のいずれかの証言に頼らざるを得ないという状況の下で公判は進行し判決が下されました。三人のうち最も動機が弱いと裁判官が判断したであろう山崎永幸氏の証言を元に、関根元(はじめ)死刑囚と風間博子死刑囚の有罪の立証がなされました。しかし、山崎氏の証言の信用性は、実際には極めて低いと考えられるということをこれまでのブログで述べてきました。

ここをクリック→ #検察なう (513) 「埼玉愛犬家連続殺人事件 (2) ~ 山崎永幸氏供述の経緯」

ここをクリック→ #検察なう (516) 「埼玉愛犬家連続殺人事件 (3) ~ 山崎氏供述の信用性」

そして、検察の取調べ段階では、風間死刑囚の殺害関与を供述しながら、驚くことに山崎氏は彼女の公判では彼女の無実の証言をしています。

風間死刑囚を被告人とする一審において、検察側証人として呼ばれているにもかかわらず、以下の証言をします。

弁護人 「もう一度聞きますが、川崎氏殺害事件に関して、風間被告人が車の運搬だけを認めて、殺人、死体損壊・遺棄については、自分はしていませんと、この裁判で言っているのです。その主張について、どう思いますか」

山崎  「本人が言ってんだから、間違いないでしょう。本人が言ってんだから、それで合ってるでしょう」

弁護人 「遠藤さん、和久井さんの方の事件...」

山崎  「私は、博子さんは無罪だと思います。言いたいことは、それだけです。」

そして風間死刑囚を被告人とする控訴審でも、山崎氏は一審同様風間死刑囚の無実を主張しました。

山崎  「人も殺してないのに何で死刑判決が出るの」

弁護人 「浦和の裁判所で話すことができなかった中身は今話せますか?」

山崎  「今話したらめちゃくちゃになります」
「何で博子がここにいんのですよ、問題は。殺人事件も何もやってないのに何でこの場にいるかですよ。それで釈放しないのはおかしいですよ。俺が出てるんだから。もうこの裁判は、そこから根本がおかしいですよ。」
「人を殺せる人かどうか、顔を見れば分かるでしょう。」

それら証言を裁判所は、なんと不合理であり信用性に欠けると一顧だにしませんでした。

風間死刑囚には殺害関与の物的証拠もなければ、自白もありません。殺人の有罪の根拠とされたのは、関根死刑囚・山崎氏という共犯者の証言だけです。それも、関根死刑囚は警察の取調べの初期段階では風間死刑囚の関与について何も述べてはいませんでしたが、その途中から彼女を主犯とする供述を始めています。一方、山崎氏は取り調べ段階では関根死刑囚と共に風間死刑囚を事件の主犯としていたのですが、風間死刑囚の公判では彼女の殺害関与を否定する証言を始めました。そしてその証言はその後一貫して変わっていません。つまり、風間死刑囚の場合、何らの証拠もなく死刑判決を下されているというのが実情ではないかと疑われるケースです。

しかも重要なことは山崎氏にとってみて風間死刑囚を擁護する理由は全くないということです。それどころかむしろ、風間死刑囚は第二、第三の殺人では、山崎氏が殺害の実行犯だと証言しています。自分を殺人犯だとする人間の足を引っ張るのであればまだしも、その人間を擁護するというのはよほどのことだと考えられます。

風間死刑囚の一審最終弁論で弁護人は、山崎氏について、捜査段階では最小限度の刑事責任を負って切り抜けるため、自分の罪を風間死刑囚にかぶせるような供述をしたのだと主張しました。そして、そんな山崎氏が公判で風間死刑囚のことを無実だと証言したのは「ぎりぎりの良心」だったのだという見解を述べています。

日本の刑事司法では、公の開かれた場である公判での証言よりも、密室で検察官の作成した調書の方が信用されるという素人には到底理解できない決めごとがあります。やはり裁判所が直接取り調べた証拠のみを事実認定の基礎とする直接主義や、審理の際当事者及び裁判所の訴訟行為は口頭で行われなければならないという口頭主義を徹底し、結果、公判での証言を重視するという方向にあるべきなのではないでしょうか。

風間死刑囚は、司法取引や調書至上主義の犠牲になったのではないかと考えています。

参考文献
『冤罪File』第20号「冤罪疑惑が黙殺され続けた「埼玉愛犬家連続殺人事件」共犯者が被告人の無罪を証言!」 片岡健

『冤罪File』第21号「埼玉愛犬家連続殺人事件 女性死刑囚の子供たちが、知られざる事件の内幕を明かす!「それでも母はやっていない」」 片岡健

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2015/11/23 Mon. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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2015/11/22 Sun. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (516) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(3)~山崎氏供述の信用性」 11/19/2015 

#検察なう (516) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(3)~山崎氏供述の信用性」 11/19/2015

これまでのブログで述べたように、山崎永幸氏が供述をする経緯には、その信用性を疑問視するだけの重大な問題があるように伺えます。

ここをクリック→ #検察なう (513) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(2)~山崎永幸氏供述の経緯」

裁判官はこうした事情を知りながらも、なぜ山崎氏の供述を信じるに至ったか。勿論、検察の主張を追認しただけという可能性もあります。彼の供述がなければ、事件全体の立件自体怪しくなるという事情から、「闇司法取引」を暗黙したという可能性もあるでしょう。

しかし私が考えるのは、裁判官は、山崎氏が殺害に関与したとするには共犯者3人の中で一番動機が弱いと考えたのだと思います。殺害の動機が弱い=虚偽供述の可能性が低いと考えたということです。

山崎氏の警察や検察での取調べの態度、あるいはその後の公判での態度を見ると、とても『冷たい熱帯魚』で吹越満氏が演じたような気弱な人物でないことは明らかです。彼自身(あるいはゴーストライター)の書いた事件に関する本の中でも、「死体遺棄は脅かされ、恐怖の中で手伝ってしまった」と書かれていますが、彼の人物像を伺い知る限りそれはないだろうと感じます。

そうであればこそ、山崎氏が殺害に関与したとなると、能動的な動機が必要であり、それは考えにくいと裁判官が考えたからこそ、彼の供述を採用したのだと思われます。

殺人の動機には一般的に、怨恨、金銭目的、愉快犯とありますが、関根元死刑囚、風間博子死刑囚には、金銭目的の動機が考えられるものの、山崎氏が殺しを手伝った報酬を受け取った形跡がなかったことから(勿論、怨恨や愉快犯でもないことから)、動機がないと考えたものだと思います。これが私にとって事件が不可解である一つの大きな要素です。

山崎氏の供述の概要は、彼自身の名前で書かれた本や、内容の全く同じであるゴーストライターが書いた本で伺うことができます(但し、後に公判で否定した箇所あり)。それらは、一読して一般人ではなく文章を書くことに手慣れた人間によって書かれた文章であることが分かります。そしてそのディテールがかなりフィクション交じりであると感じざるを得ないのは、それがあまりにも非現実的だからです。

(死体損壊に際し)「博子はTシャツと派手な花柄のスパッツに着替えていた。普段は地味な格好をしている博子だが、水商売の女でも履かないような派手なラメ入りのサンダルを履いている」「その時、久しぶりに博子の声を聞いた。正確に言うと、それは鼻歌だった。まな板の上で忙しく人肉を刻みながら、博子は鼻歌を歌っていた」(『悪魔を憐れむ歌』より)

勿論、殺人者の心理は常人には伺い知れないものがあるにしろ、普段全く地味な格好の風間死刑囚が、死体損壊の際してのみ「花柄のスパッツ、ラメ入りのサンダル」に着替えるなどや、人肉を刻みながら鼻歌を歌うなどということは、ドラマ性を高めるため筆が滑ったとしか考えられないものです。

それと比較してこちらはどうでしょうか。

「車を走らせていたところ、関根と山崎が「掛かったか。」などと言いながら和久井の首に紐のような物を掛けて、二人で何度も「せえの。」などと声を掛けながら引っ張り合っていた。」(風間博子供述)

裁判所は、第三の殺人である和久井奨氏(遠藤安亘氏の運転手、関根死刑囚や山崎氏は彼の名前すら知らず「あんちゃんこ」と呼んでいた)殺害に関する風間博子死刑囚の証言を、「人を殺害する際に「せえの。」などと声を掛けることはゲーム的であり真実味に欠ける」と排除しています。勿論、結論ありきの詭弁なのでしょうが、事件の資料を読んでいて、この対比は興味深く感じました。

また、「死体遺棄は脅かされ、恐怖の中で手伝ってしまった」ということに対する違和感は、それほど恐れていたのであれば、なぜ警察に通報しなかったのだろうかということに尽きます。

山崎氏は、第一の殺人である川崎明男氏殺害の後、川崎氏の車の処分を関根死刑囚から指示されます。彼は、群馬県片品村の遺体損壊現場から一人で埼玉県熊谷市に向かい、そこで川崎氏の車に乗り換えた後、武蔵丘陵森林公園の駐車場で風間死刑囚と待ち合わせるまでやはり一人で運転しています。その間、逃げるチャンスがあったのに、なぜ山崎氏は警察に逃げ込まなかったか。

また、なぜ関根死刑囚は殺害を目撃されながら、山崎氏に車の処分を一人で行かせたか、その際に警察に通報されるという危惧はなかったのかという疑問が起こります。

それは連続した第二、第三の殺人の後、遠藤氏と和久井氏の遺体を片品村へ運ぶ際にも言えることです。遺体を積んだ車で遠藤氏宅から犬舎まで同乗したのは、関根死刑囚・風間死刑囚と山崎氏ですが、犬舎で車をもう一台拾った後、分乗したのは、関根死刑囚・風間死刑囚の二人が一台に、そして山崎氏一人がもう一台にというものでした。もし関根死刑囚が山崎氏を疑っており、脅かす必要があるのであれば、彼は山崎氏と同乗したはずです。

その道中、山崎氏が沼田インターチェンジで降りようとしたところ、検問を見て、とっさに逃げ、そのことによりその後関根死刑囚の信頼を得ることになったとしていますが、その前から関根死刑囚は山崎氏を信頼していたのではないかと考えられます。

その沼田インターチェンジの料金所手前で、検問を見て急旋回し折り返した後の叙述です。

「あのまま沼田インターで下りていれば、恐らく事件はそこで終わっていたはずだ。それなのに、どうして俺は検問を避けたりしたのだろう?裁判所でも散々訊かれたが、うまく答えることができなかった。正直に言えば、この時、俺は何も考えていなかったのだと思う。なぜ逃げたのか?高速隊員の姿が見えたからだ。そうとしか言いようがない。それは一つの条件反射だ。」(『悪魔を憐れむ歌』より)

この本の中でも一番不合理だと感じる部分です。このように山崎バージョンの(それは即ち捜査当局バージョンの)事件の様相ですが、かなり虚構に満ちていることが推認されます。

その山崎氏が、風間死刑囚の公判に証人として呼ばれ、衝撃的な証言をします。それについて次回以降のブログで取り上げたいと思います。

参考文献
『冤罪File』第20号「冤罪疑惑が黙殺され続けた「埼玉愛犬家連続殺人事件」共犯者が被告人の無罪を証言!」 片岡健

『冤罪File』第21号「埼玉愛犬家連続殺人事件 女性死刑囚の子供たちが、知られざる事件の内幕を明かす!「それでも母はやっていない」」 片岡健

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『大きな愛に包まれて 無実を訴える死刑確定囚 風間博子の声』
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Pray For Paris 

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ここをクリック→ 後藤健二氏ツイート

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フィルム・レビュー 『007 スペクター』 『スティーブ・ジョブズ』 『Paper Towns』 『インサイドヘッド』 

フィルム・レビュー 『007 スペクター』 『スティーブ・ジョブズ』 『Paper Towns』 『インサイドヘッド』

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ここをクリック→ フィルム・レビュー 『007 スペクター』 (2015) サム・メンデス監督

steve jobs

ここをクリック→ フォルム・レビュー 『スティーブ・ジョブズ』 (2015) ダニー・ボイル監督

paper towns

ここをクリック→ フィルム・レビュー 『Paper Towns』 (2015) ジェイク・シュライアー監督

inside out

ここをクリック→ フィルム・レビュー 『インサイドヘッド』 (2015) ピート・ドクター監督
















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category: フィルム・レビュー

2015/11/15 Sun. 00:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (515) 「佐藤真言氏、刑期満了。おめでとうございます」 11/12/2015 

#検察なう (515) 「佐藤真言氏、刑期満了。おめでとうございます」 11/12/2015

このブログでも応援している佐藤真言氏の刑期満了が彼のツイッターで伝えられました。

ここをクリック→ 佐藤真言氏11月7日ツイート

彼は懲役2年4ヵ月の判決を受け、この3月に仮釈放で出所していたものです。

ここをクリック→ #検察なう (310) 「佐藤真言氏、本日収監!」 7/8/2013

ここをクリック→ #検察なう (458) 「おかえりなさい!佐藤真言さん!!」 3/16/2015

さっそくツイッターのDMでメッセージを送りました。(勝手に)掲載させて頂きます。

「刑期満了おめでとうございます(という挨拶でいいのかな?)。とにかくお疲れ様でした。今後の引き続きのご活躍を期待します。行政書士の試験ですね。そしていずれは司法書士?また塀の中の話も聞かせて下さい。とりあえず。」

「ありがとうございます。八田さんには本当にお世話になりました。行政書士は通過点です。まだまだ行きますよ~!泥の中から這い上がる姿をよろしければ見ていてください!囚人リク購読しています笑」

出所後にお会いした時には、以前の経営コンサルタントのお客さんとのビジネスを継続していると話し(彼の人徳ですね)、新たなチャレンジも語っていた佐藤真言氏。その前向きな姿勢には、見ていてすがすがしいものがあります。これからも彼を応援し、何かあればこのブログでも皆さまに報告していこうと思っています。

もし彼の巻き込まれた事件をご存知でなければ、是非こちらのブログをご一読下さい。

ここをクリック→ #検察なう (341) 「法律守って法を守らず~佐藤真言氏著『粉飾 特捜に狙われた元銀行員の告白』再読」  

粉飾1

彼からのメッセージにある『囚人リク』についてはこちら。

ここをクリック→ #検察なう (332) 「マンガ『囚人リク』」

11/12/2015














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category: 佐藤真言氏 『粉飾』

2015/11/12 Thu. 02:34 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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#検察なう (514) 「杉山卓男氏の訃報」 11/09/2015 

#検察なう (514) 「杉山卓男氏の訃報」 11/09/2015

先日の名張毒ぶどう酒事件冤罪被害者奥西勝氏の死去(注)に続き、布川事件冤罪被害者の一人杉山卓男氏の訃報に接しました。杉山氏は享年69歳でした。

タカオ
杉山卓男氏(右)、隣は桜井昌司氏

知ったのはもう一人の布川事件冤罪被害者の桜井昌司氏のブログによってです。

ここをクリック→ 桜井昌司ブログ『獄外記』 「悲しいねえ」

ここをクリック→ 桜井昌司ブログ『獄外記』 「お願い」

雪冤を果たした後、精力的に冤罪撲滅のため日々活動している桜井氏に対し、失われた時間を少しでも取り返そうとするのか、家族との時間を大切にしたいと、表立っての活動に控え目だった杉山氏でした。それゆえ、2011年6月の無罪確定以来、心安らかな時間がわずか4年半という後に旅立たれたのは、非常に残念です。

杉山氏は何度か冤罪支援関係の集会でお目掛けしていますが、お会いしたのは一度、桜井・杉山さんを守る会解散集会でした。

ここをクリック→ #検察なう (142) 「『明るく楽しい布川事件』 桜井・杉山さんを守る会解散集会」

二次会での差し向かいで「酔ってない時にまた電話する」とおっしゃっていましたが、実は後日、本当に電話がかかってきました。内容は、私の専門分野の金融に関することで、アドバイスをさせて頂きました。

杉山氏の訃報に触れ、「#検察なう FBコミュニティ」にも度々コメントをアップしてくれている市川寛氏が、杉山氏との交遊を振り返っています。

ここをクリック→ 『検事失格 弁護士 市川寛のブログ』 「杉山卓男さんの思い出」

杉山氏の人柄が伺えます。

また事件に関して語るこの動画にも、彼の人柄がよく出ています。

ここをクリック→ えん罪・布川事件 杉山卓男さんが語る「自白はこう作られた」

布川事件を扱った井手洋子監督映画『ショージとタカオ』は、エンターテイメント映画としても楽しめるよく出来た作品です。機会があれば、是非ご覧になって頂きたいと思います。

ここをクリック→ 映画『ショージとタカオ』予告編

ここをクリック→ #検察なう (128) 「『ショージとタカオ』を読んで」

杉山氏のご冥福をお祈りいたします。

(注)
ここをクリック→ #検察なう (504) 「巨星墜つ、奥西勝氏逝去」

11/9/2015













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category: 布川事件

2015/11/09 Mon. 02:08 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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フィルム・レビュー 『Victoria』 『Room』 『FRANK -フランク-』 

フィルム・レビュー 『Victoria』 『Room』 『FRANK -フランク-』

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ここをクリック→ 『Victoria』 (2015) セバスチャン・シッパー監督

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ここをクリック→ 『Room』 (2015) レニー・アブラハムソン監督

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ここをクリック→ 『FRANK -フランク-』 (2014) レニー・アブラハムソン監督















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category: フィルム・レビュー

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#検察なう (513) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(2)~山崎永幸氏供述の経緯」 11/5/2015 

#検察なう (513) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(2)~山崎永幸氏供述の経緯」 11/5/2015

埼玉愛犬家連続殺人事件では、殺害の様態を裏付ける物証がほとんどないため、関係者、しかもそれは共犯者である山崎永幸氏の供述のみに基づき事件が組み立てられています。

共謀共同正犯とされ死刑判決を受けた2人以外の第三の共犯者である山崎氏が勾留され、供述をするまでの経緯をドキュメンタリータッチで記します。(以下敬称略)。

マスコミ報道によって、稲川会系高田組組長代行遠藤安亘殺害の犯人として関根元を疑った高田組は、その共犯者として山崎に対する圧力を強めていた。捜査当局も、周辺捜査から山崎の妻の詐欺事件を見出し、1994年9月以降、事件の最も弱い環として山崎にターゲットをしぼっていた。

同10月17日、山崎に対する任意の事情聴取が行なわれた。翌日、山崎は妻と共に逃走。これを機に捜査当局は、山崎に対する圧力をかけることを最大の目標として彼の妻の逮捕令状を取得し、指名手配を行なうこととなった。

逃走も一ヵ月もすると金も尽きてきた。山崎はその年の2月に交通事故に遭ったが、その際に急誂えで入れていた仮歯もぐらぐらする。病院に電話すると新しい歯ができているという。警察に見つかったら、その時はその時と、山崎は妻と二人で東京に戻った。11月24日、山崎が向かったのは、板橋の帝京大学附属病院。彼は張込みの刑事を見て逃走したが、彼の妻はその場で逮捕された。

山崎の妻の詐欺事件とは、勤務先の建設会社から5千万円を横領したというものだったが、そもそも痴話喧嘩のもつれに端を発する事件であり、被害者の処罰感情も低いものだった。妻の詐欺事件の立件の主目標が山崎に対する圧力とゆさぶりであることは明らかだった。山崎は高田組に加えて、捜査当局の重大な圧力を受けることとなった。

その結果、山崎は、11月20日に担当刑事との接触を図り、事態の打解を図ることとなり、その後の取調べに応ずることを承諾することとなった。ここでの山崎の目的は、無論自らが殺人事件に関与していないとの主張を捜査当局が受け入れるか否かのさぐりであった。

そのような目的を持った山崎がその後、取調べにおいて簡単に事件についての関与を認めるわけはなかったが、「お前が目的ではない。関根の逮捕が目的なんだ」という担当刑事の言葉から、捜査当局は自分の描いたストーリーに沿って捜査を行うとの見通しを持った山崎は、遂に12月8日から、既に考えつくした筈であるストーリーを語り始めるに至った。

山崎は事件についての供述を始めるに至ったが、常に彼の妻の処分が念頭にあった筈であり、捜査当局もこれを利用して取調べを行なっていたものであった。山崎としては、自らの逮捕が当然予想されたことから、逮捕勾留以後の接見及び差し入れの担当者として彼の妻が必要だったからである。

山崎の逮捕前の取調べ過程の異常性を示す事件は、彼の妻の保釈手続きにまつわる一巡の経過である。彼の妻が逮捕・起訴されて以降三回保釈請求がなされたが、いずれも証拠隠滅の恐れがあるために不相当との検事の意見が出され、保釈は実現しなかった。

山崎は、地検熊谷支部で、岩橋義明検事の取調べを受ける。「裁判でひっくり返されたら困る、しっかり話してくれ」と岩橋検事は低姿勢だ。「自分は刑務所に行くのか」、と山崎は聞いた。「死体遺棄での逮捕、勾留はあるかもしれないが、起訴猶予か不起訴処分にする、最悪でも執行猶予を付ける」岩橋検事はそう明言した。更に山崎は、妻の保釈を頼み、岩橋検事は、「年内は無理だが年明け一番に出す」と約束した。

岩橋検事による聴取は、12月27日まで続いた。年の明けた1月5日、山崎は妻の国選弁護士の事務所を訪れ、保釈申請するように頼んだ。三度の保釈申請却下の時と何ら状況は変わっていない。渋る弁護士に対して、山崎は言った。

「自分は大きいヤマで警察に協力している。協力しなければできない事件なので自分がしゃべらなければ警察が困る。しゃべる代わりに自分は捕まっても起訴されないし女房は保釈されると、検事と約束ができている。申請さえしてくれればよい」

そのような約束などありえないと弁護士は訝しんだが、山崎の申し出に応じ、12時直前に保釈申請した。ところが、山崎の言った通り、その日のうちに保釈が許可され、彼の妻は釈放された。さらに保釈の検事の意見書には保釈相当かつ保釈金200万円と記載されているのである。弁護士にとって、保釈申請当日に保釈が許可になって釈放されるなどということは異例というより前代未聞と言うべきことであり、さらに保釈相当かつ保釈金額まで記載された検事の意見書など全くお目にかかったことはない。さらに、指摘すべきことは山崎の妻の保釈申請に対しては、それまで証拠隠滅の疑いがあったはずだが、何ら状況が変わっていないにもかかわらずその理由が消滅していたことである。しかも、逮捕が予定されている山崎自身が身柄引受人になっているのである。これら一連の山崎の妻の保釈申請の過程は、まさに警察・検察一体となった、山崎の供述を得るために、彼の妻の保釈について最大限の便宜を図るべしという完全な意思統一ができていたことを意味するものに他ならない。そして、山崎が述べる通り、捜査当局と山崎との間に取引が完成していた証左であると考えるべきだろう。

(更に、逮捕された山崎氏には検察による利益供与の疑惑があります。通常、4人の殺人事件に関わる被疑者逮捕であれば、接見禁止が付けられますが(注1)、山崎氏には接見禁止どころか、様々な利益供与がなされました。それを再現すると....)

山崎は1月8日に逮捕され、鴻巣署と地検熊谷支部を往復して、取調べを受けた。20日間の勾留期間中に、第一の殺人である川崎明男殺害事件の調書ができあがった。その後山崎は再逮捕されるが、その容疑を見て、山崎は驚愕する。第二の殺人である遠藤安亘に対する殺人容疑となっていたのだ。これでは刑務所行きは確実、弁護士の話ではよくても無期懲役だという。

約束が違う、と翌日、山崎は岩橋検事に噛みついた。岩橋検事は、熊谷支部で扱うはずだった事件だったが、興味を示した浦和地検が主導権を握ることになった、自分の力ではどうにもならない、と弁解する。

「それはそっちの都合だろう。俺には関係ない。暮れの約束はどうなった」
「あの約束はなかったことにしてくれないか」

岩橋検事の言葉に、「お前には何も話さん」と山崎は激怒する。「帰るぞ」と腰紐持ちの警官に言うと、「いいんですか」という警官に岩橋検事は頷いた。山崎は出際にドアを思いっきり蹴飛ばした。

鴻巣署に帰ると、山崎は担当刑事に詰め寄った。「4件の死体遺棄で執行猶予などつきようがない」、と担当刑事は岩橋検事の空約束をなじった。「殺人の容疑だけは自分の責任で消す」、と担当刑事は約束した。

翌日から、岩橋検事に呼ばれても、山崎は何もしゃべらなかった。「コーヒーにするか、紅茶にするか」、と岩橋検事はしきりに機嫌を取る。岩橋検事の取った幕の内弁当と、山崎に出された200円の官弁を交換しろと言うと、岩橋検事はその通りにした。それでも山崎の腹の虫は収まらない。しまいには、地検に行くことさえ拒否した。

その後、担当検事に頼み込まれて、山崎は久しぶりに地検に行ったときのことである。

「一体どうしたら協力してくれる?食事でも煙草でも何でも用意する。僕にできることなら、なんでもする」

頭を下げる岩橋検事に、山崎は法外な要求をする。

「女でも抱かせてくれるって言うのか?」

それなら自分の権限でできる、と岩橋検事は言う。呆れた山崎は、「女を用意するまで呼ぶな」と言い捨て、ドアを蹴飛ばしながら部屋を出た。

翌日の1月20日。山崎を呼び出した岩橋検事は、「済まなかった、反省している」と頭を下げた。そして驚くべきことを口にする。

「お前の妻を呼んだ。別室で待たせているんだ。だけど、30分だけにしてくれよ。これは絶対に内緒だよ」

事務官に案内されていくと、図書資料室に山崎の妻がいた。事務官が去ると、書棚の間で二人はセックスをした。一度ノックの音が聞こえたが、無視して続ける。二度目のノックで外に出ると、事務官が待っていた。(注2)

それでも山崎はしゃべる気になれなかった。担当刑事の書いたものを写して調書を作れ、と山崎は言い放った。呼ばれても岩橋検事のデスクに足を載せているだけだった。

4月1日。できあがった調書を、書記官が読み上げる。速すぎて、山崎には何を言っているのか分からなかったが山崎にはどうでもいいことだった。調書にサインをして拇印を押すと、やおら腹が立ってきた山崎は、調書を手に取り、ライターで火を付けようとする。慌てる岩橋検事に、「土下座しろ」と山崎が言うと、岩橋検事は床に額を押しつけた。

関根元と風間博子は、4月4日殺人罪で起訴された。ちなみにこの一件で、岩橋検事は東京地検特捜部に栄転した(注3)。

(注1)
「殺人・死体損壊・遺棄事件、それも4名もの犠牲者が出ている重大事件において、それが共犯事件であれば接見禁止が付せられるのが常識である。/とりわけ、本件の如く物証が少なく、一年余も経過し、さらに共謀関係、事件への関与の関係の捜査のために共犯者に接見禁止が付せられるのは、常識というよりも絶対に必要なことであると言わなければならない。/なぜなら、これらを解明するためには、共犯者各人と共犯者以外の関係者を取調べることにより、証拠物の発見や、犯行に関連する会話等がなされているか否かが判明し、右共犯者各自の関与についての客観的な証拠が収集されることになるからである。/このような場合、自由な接見が許されれば、これらの証拠の発見が不可能となるおそれがあるからである。/然るに、山崎には一切接見禁止は付せられなかった。まさにこれは捜査当局と山崎との間において取引と約束がなされていたことの証左であると共に約束の実現に他ならない。」『一審弁論要旨』より

(注2)
関根・風間死刑囚の控訴審第3回公判
弁護人 「資料室で会った時でも、執務室で会った時でも、どんな場面でもいいんですが、奥さんとはお話をしただけですか?」
山崎   「いや、違うよ」
弁護人 「どんなことをしましたか?」
山崎   「おまんこしたよ」
弁護人 「それは、セックスをしたということでしょか?」
山崎   「そうですよ」
弁護人 「岩橋検事はそれを知っていたのでしょうか?」
山崎   「知ってるでしょう。子供じゃあるまいし」

山崎氏は「セックス供与」は2回あったと証言しています。検察は大方の利益供与については事実を認めたものの、「セックス供与」に関しては、事実と異なると否認しています。

(注3)
浦和地検(現さいたま地検)熊谷支部 岩橋義明検事
2012年12月 最高検公判部長
2013年4月 辞職

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ここをクリック→ 「最高検察庁 岩橋義明検事を列車運行妨害の疑いで事情聴取」

参考文献
『冤罪File』第20号「冤罪疑惑が黙殺され続けた「埼玉愛犬家連続殺人事件」共犯者が被告人の無罪を証言!」 片岡健

『冤罪File』第21号「埼玉愛犬家連続殺人事件 女性死刑囚の子供たちが、知られざる事件の内幕を明かす!「それでも母はやっていない」」 片岡健

『女性死刑囚』 深笛義也

『悪魔を憐れむ歌』 蓮見圭一

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#検察なう (512) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(1)~風間博子死刑囚は殺人犯なのか」 11/2/2015 

#検察なう (512) 「埼玉愛犬家連続殺人事件(1)~風間博子死刑囚は殺人犯なのか」 11/2/2015

ずっと興味を持って追っている事件に、埼玉愛犬家連続殺人事件があります。これが単なる猟奇殺人であれば、さして私の興味を引くものではありませんが、この事件がもし冤罪であるならば、やはり冤罪で苦しむ人には理解を示し、何かできないかと考えます。

この事件が起こったのは1993年。当時、私は仕事に忙殺される毎日で、世の中の状況に全く疎かったため、事件が起こったことさえ知りませんでした。この事件を知るきっかけになったのは、2010年公開の園子温監督の映画『冷たい熱帯魚』を観たことです。

ここをクリック→ 園子温監督『冷たい熱帯魚』予告編

実際の事件では珍しい犬種を扱うペットショップが、映画では熱帯魚店に置き換わっているものの、ストーリーは実際の事件とシンクロしています。埼玉愛犬家連続殺人事件の概要は『冷たい熱帯魚』のファンサイトにうまくまとめられています。

ここをクリック→ 『冷たい熱帯魚』ファンサイト 「ベースとなった事件」

かいつまんで言えば、シベリアン・ハスキーを日本に輸入して大儲けをした業界の有名人である関根死刑囚が、当時日本に未輸入の犬種(ローデシアン・リッジバック)を実際には数十万円でありながら、「子供が産まれたら高く買い取りますよ」と持ちかけ、法外な(つがいで1千万円以上)値段で売りつけていたが、購入した客とトラブルになり、その客を殺害。その殺害に気付き強請ったヤクザとその運転手を殺害。その後、他の客も殺害したという4人の連続殺人事件です。

埼玉愛犬家連続殺人事件の共犯は3人、関根元死刑囚、風間博子死刑囚(関根死刑囚の元妻)、それと山崎永幸氏(ペットショップ役員)です。前2者の確定判決は死刑、山崎氏は懲役3年で満期出所しています。

主犯(共謀共同正犯)とされた2人のうち、風間博子死刑囚が殺人罪に問われるべきなのかをずっと調べていますが、全くすっきりしません。現時点においては、クロという確証は私には少なくともありませんが、まだシロというには疑問点がいくつかあるというのが正直なところです。

共犯3人の供述は、関根死刑囚は「実行犯は自分と山崎だが、それは風間博子の指示で行ったもの」、風間博子死刑囚は「殺人は関根と山崎が行ったものであり、殺人には自分は関与していない」、山崎氏は「殺人は関根と風間が共謀して行った」と食い違っています。

犯人とされれば死刑が想定され、彼らが保身のために嘘をつくことは当然予想されるものです。この3人のうち誰が嘘をついているか。あるいは全員が嘘をついている可能性もあります。

捜査当局は、山崎氏の証言を元にストーリーを組み立てていきます。私は逆に、山崎氏の証言が捜査当局のストーリーに沿ったものでもあったと考えています。

山崎氏は、服役出所後に、実名で事件のことを記述した本を執筆していますが、これはゴーストライターによるものであることが分かっています。

映画『冷たい熱帯魚』は、裁判の経過と山崎氏(のゴーストライター)執筆の本を下敷きに製作された、いわゆる山崎バージョン(それは捜査当局バージョン)の事件の様相だということが言えます。つまり、これが真実であると信じることは、相当慎重であるべきです。共犯者の証言、特に共謀共同正犯に関する証言は、特別な利害関係があるため「汚染」されていると考えるべきであり、その採用には慎重になる必要があることは以前にブログで述べたところです(注1)。

3人の共犯の相反する供述があった場合、どの供述に信用性を置くか。通常であれば、「客観的事実と最も合理性が高いもの」ということになると思います。しかし、この事件が非常に難解であるのは、4人もの殺害が行われながら、物証が極端に少ないことです。

それは、この事件で有名な「ボディを透明にする」ことから、証拠の隠滅が巧妙に図られたことによります。「ボディを透明にする」とは、関根死刑囚の殺人哲学で、遺体が見つからなければ殺人は立証されない、だから遺体を完全に解体し、肉は細切れにして川に流し、骨は灰になるまで焼却することを言います。この事件の猟奇性を物語るものです。

つまり、客観的な証拠(物証)で犯罪の様態を立証できないため、供述、しかも信用性の乏しい共犯者の供述によってのみ事件が立証されたという特殊な事情が、埼玉愛犬家連続殺人事件にはあります。

次回以降ブログで、山崎氏の供述が得られた状況を検証したいと思います。

(注1)
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参考文献
『冤罪File』第20号「冤罪疑惑が黙殺され続けた「埼玉愛犬家連続殺人事件」共犯者が被告人の無罪を証言!」 片岡健

『冤罪File』第21号「埼玉愛犬家連続殺人事件 女性死刑囚の子供たちが、知られざる事件の内幕を明かす!「それでも母はやっていない」」 片岡健

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