「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (543) 「「査察の概要」に見る無謬性への拘泥」 6/20/2016 

#検察なう (543) 「「査察の概要」に見る無謬性への拘泥」 6/20/2016

先日、札幌のインターネット新聞『北洋新聞』の記事に、私のコメントが掲載されました。タイトルは「有罪率100%復活 国税査察が変質 小粒案件重視へ」。

記事はこちらです。
ここをクリック→ 『北洋新聞』 6.6.2016

元ネタになっている「査察の概要」とは、国税庁が毎年公表しているもので、前年度の国税局査察部の査察調査についての報告です。

今月公表された平成27年度「査察の概要」はこちらです。
ここをクリック→ 平成27年度「査察の概要」

注目すべきは、この「査察の概要」p.6の「査察事件の一審判決の状況」です。平成27年度には133件の査察事案(国税局査察部が脱税事件として告発し、地検特捜部が起訴、公判の判決が下されたもの)の判決は全て有罪になったことが高らかに謳われています。

国税局査察部は、昭和23年7月に発足しましたが、平成24年度の私の一審無罪判決(2013年3月1日)まで、実に65年間、査察事案で一度も無罪判決が下されることはありませんでした。

それが私の無罪判決以降、平成25年度、平成26年度と立て続けに無罪判決が下されたことがこの「査察の概要」から読み取ることができます。

しかし、平成25年度の「史上2番目の無罪判決」は、検察控訴により、今年2月に地裁差し戻しになっています(地裁レベルでの公判のやり直しを高裁が判断したということ)。

この異常なまでに高い有罪率(これは刑事事件一般に見られることですが、査察事案に関しては特に顕著)は、日本の捜査機関の優秀さを証明するものとして、彼らは誇示していますが、私は当事者として、彼らが自分たちの「無謬神話」に拘泥し続けることに大きな危機感を覚えます。

それは二つの点においてです。

彼らが訴追する基準としては、勿論「違法性」が重要な物差しになることは言うまでもありません。しかし、全てを犯罪行為として処罰することは必ずしも正しいとは言えません。もう一つの基準として「悪質性」が重要です。そして実際に検察は、「起訴便宜主義」の名の下に、公訴を提起するか否かに広い裁量権を持ち、犯罪行為が認められても、公訴しない「起訴猶予」処分を下すことが許されています。

それが先ほど述べたように、「悪質性」(被疑者の性格や年齢、犯罪の軽重や情状を考慮)が物差しである以上は、起訴便宜主義もメリットがあると考えられます(注1)。しかし、彼らが高い有罪率を維持することを彼らの金科玉条とする限り、「確実に有罪にできなければ公訴しない」という、いわゆる「逆冤罪」のような状況が生じえます。彼らの事情で、正義がねじ曲げられる状況は、公訴権濫用と言える深刻な問題です。

また、私の公判でも見られたことですが、一旦、公訴した上は、何が何でも有罪にすることが彼らの至上使命になります。彼らは立件を「テイクオフ」と呼んでいますが、それはまさに飛行機がテイクオフ(離陸)したら、何が起ころうと引き返すことは許されず、乗客の安全などクソ食らえで着陸地にただひたすら飛び続ける状況に似ています。

そして彼らが誤っていたと判断された(それが無罪判決です)としても、自分たちの非を認めることなく、あくまで裁判所の判断が間違っているという態度を取り続けます。「反省なきところに更生なし」とは彼らの決まり文句ですが、彼ら捜査権力が一番反省していないというのは皮肉なものです。

私の控訴審に関して、最高裁の判例があっても「それは裁判所の判断の尺度であって、我々検察の判断の尺度ではない」という暴論を吐いている私の国賠審の状況(注2)を見ても、彼らが「無謬性の神話」に拘泥する状況は非常に危険なものです。

彼ら捜査権力が、高い有罪率の維持などという誤ったインセンティブに基づき業務遂行を行っていることの是正は、彼らの意識を変える以外にはありません。そして、それは一朝一夕にできるものではありません。その前にまず、我々国民が正しい認識を持って、彼らを監視することが必要だと思われます。

(注1)
起訴便宜主義のメリット
被疑者が刑事手続きから早期に解放され、公訴的によって受ける可能性のあるダメージを受けずに済むことで社会復帰への障害を最小化するということが考えられます。また刑事司法の効率化、資本の有効利用といったメリットも大きいと思われます。
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(注2)
ここをクリック→ #検察なう (534) 「私の国賠審は、国民全体の利益のためにあると考えています」

6/20/2016













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category: 刑事司法改革への道

2016/06/20 Mon. 04:44 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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