「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (545) 「松橋(まつばせ)事件に驚くこと」 7/4/2016 

#検察なう (545) 「松橋(まつばせ)事件に驚くこと」 7/4/2016

先週、1985年1月に熊本県で起こった殺人事件(1990年に懲役13年の有罪確定)の再審開始が決定されました。

ここをクリック→ NHKニュース 「31年前の殺人事件 再審開始が決定 熊本地裁」

「針の穴にラクダを通す」より難しいとされる再審の扉をこじ開けた弁護団の努力には、心から敬意を表します。

この事件のこれまでの経緯を知って、驚くことがあります。

その一つが、今更ながらですが、再審の扉の重さです。再審開始の決め手となったと思われる、自白と矛盾する決定的な証拠は、凶器の小刀に巻き付けたとされたシャツの一片です。自白では、布を犯行後燃やしたとしていました。しかし再審請求を準備する弁護団が、この証拠を検察の任意開示証拠の中から偶然見つけたのは1997年のことでした。当時、冤罪被害者の宮田浩喜さんは服役中でした。2012年に始まった再審請求審で、弁護団はこのほか証拠100点を提出しましたが、それほどまでに確実を期さなければ再審開始はままならないということでは、冤罪被害者救済の負担が重すぎると感じます。特に今回のケースでは、服役中の刑の停止がかなえば宮田さんは早くに釈放されたはずです。それから更に20年というとてつもない時間が経過しているだけに、冤罪被害者の救済のためにある再審である以上、その請求審手続きのハードルを下げるべきだと思います。

そしてもう一つ驚くことが、弁護団が検察任意の証拠開示でこの証拠を見つけた偶然です。検察が隠していた証拠をうっかり出してしまった検察事務官のミス(注1)という偶然がなければ、この事件はいまだに未解決冤罪事件であった可能性が高いと言えます。

上に添付のNHKニュースで、門野博氏も指摘しているように、証拠の事前一括開示の義務化は、再審請求審も含めて不可欠です。東電OL殺害事件における被害者乳房に付着した唾液の血液型鑑定(注2)や、袴田事件におけるズボンのタグの記号がサイズではなく色を示す報告書(注3)といった、公判時に提出されていれば、無罪の可能性が高い証拠を隠してでも有罪を得ようとする検察のやり方は、法律で縛らなければこれからも変わることはないと感じます。

特に今回のケースは、検察は「無罪を示す検察にとって不利な証拠を隠した」というより、「警察捏造の証拠を隠した」のではないかと強く疑われます。あたかも犯行に使われたように切り刻まれたシャツ(宮田さんの自白に基づき、自白通りの色・柄のシャツが押収)に血痕がついていないのは、いかにも不自然であり、それを検察が隠したのは、警察捏造の事実を検察が知りそれを隠すためだったと思われます。

犯行に使われたとされる小刀に指紋も血痕もなく、「犯行後、研ぎ直した」「犯行時に布を巻き付けた」と嘘を嘘で固める虚偽の自白を取ったことがそもそもの問題ではありますが。

警察の証拠捏造は、袴田事件の味噌樽の中の血染めの着衣や、高知白バイ事件のスリップ痕の例を見ても、驚くことには当たらないのかもしれません。再審には冤罪の原因究明の機能はないため(冤罪の原因究明がなされることはないということが、冤罪がなくならない一大要因です)、宮田さんが無罪になったとしても、この件は闇の中ということになるでしょう(よほど意識の高いメディアが追求しない限り。検察広報のほとんどのメディアでは無理でしょうが)。

そして検察が、破廉恥にも即時抗告をして自分たちの非を認めようとしない態度も、これまた驚くことには当たりません。郵便不正事件~「検察の理念」(注4)を経ても、旧態然とした「有罪ありきの検察」というのは彼らにとってもイメージを損ねるだけだと残念に思います。

琉球新報の「(検察は)自省して真実に向き合う姿勢のかけらも感じられない」と書かれた社説も合わせてお読み下さい。

ここをクリック→ 「松橋事件再審決定 全証拠開示の法制化急げ」

(注1)
個人的には、再審開始なった今、この事務官がどのように感じているか非常に興味のあるところです。

先日、証拠金の現金を盗んだ元横浜地検事務官の公判があり、彼の被告人陳述では、国民に謝るのではなく、「検察の皆さんに謝罪したい」とする一幕がありました。

ここをクリック→ 証拠品の現金盗んだ元横浜地検事務官「ギャンブルに使った」

松橋事件で証拠開示をした事務官が、この元横浜地検事務官のように公僕であることの意識の全く欠如した方ではなく、「自分は悪に加担することなく正義を貫いたのだ」と思ってほしいと思います。

(注2)
ここをクリック→ #検察なう (294) 「犯人血液型当てクイズ」

(注3)
ここをクリック→ #検察なう (385) 「犯行着衣が捏造でないことと袴田氏が犯人であることは両立しない」

(注4)
郵便不正事件を受け検察は「検察の理念」を発表しましたが、理念はあくまで理念であると言わんばかりのその後の所業は、「検察の理念」が、その場の風当たりをかわすためだけのポーズであったことを物語っています。そして彼らの実態は、私の記した「新・検察の理念」そのままだと言えます。

ここをクリック→ #検察なう (248) 「新・検察の理念」

7/4/2016












ここをクリック→ Amazon 『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』 カスタマーレビュー

表紙1


ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

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category: 冤罪事件に関して

2016/07/04 Mon. 00:03 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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