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1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.
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#検察なう (567) 「国循サザン事件 体制表を送ったことに犯意がない証明」 3/11/2018
#検察なう (567) 「国循サザン事件 体制表を送ったことに犯意がない証明」 3/11/2018
明日3/12には、私の国賠審の判決があります。今更ジタバタしても何も変わらないので、支援している冤罪被害者のアシストを。
検察が主張している桑田氏の不法行為は、以下の3つの公訴事実。
1) 2012年3月に行われた(当時、現行業者はNEC)通信システムの保守運用の入札において、NEC提出の入札関係資料の一部である「体制表」をダンテックに送付したこと。結果、ダンテックが落札。
2) 2013年1月に行われた(当時、現行業者はダンテック)通信システムの保守運用の入札において、仕様書案の作成に、ダンテック一社のみを関与させ、ダンテック以外の会社にとって不利な条件を加えたこと。システムスクエアがダンピング入札をして落札。
3) 先の入札が不調で終わったため(落札したシステムスクエアには履行能力がないと国循が判断)、2013年5月に行われたやり直しの入札において、ダンテック一社入札を避けるため、エヌデーデーに「おつきあい入札」を依頼したこと。
2)と3)は吹けば飛ぶような、箸にも棒にも掛からない言い掛かりなので(実は3つともなのですが)、ここで言及は割愛します。
やはり、15年以上国循のITシステムを独占していたNECの牙城を崩すことになる、2012年3月の入札に関わる第1の公訴事実が最重要かと思われます。
まず、その時点で桑田氏は国循移籍後わずか半年であったことと、桑田氏は通信システムの責任者ではなかったこと(彼は、医療電子カルテの導入のためヘッドハンティングされ国循に移籍)は、強調してし過ぎることはないと思われます。官と民の癒着である官製談合は、まず官の当事者がその組織内で確固たるポジションを築いていることが前提です。そのポジションを利用して私腹を肥やすというのがパターンだからです。
「入札に当たって『入札競争相手の体制表を送る』ということが、入札の公正を害しうる」というものが検察の主張になります。
入札に際して、もし一社に便宜を図り、その会社を勝たせようとするのなら、他社の入札価格を類推させる情報を漏洩するということになるでしょう。じゃんけんに際して、レフリーが「あいつはチョキを出すからね」と言うようなものです。
NECの入札資料の中にあった体制表を桑田氏がダンテックに送付したことは、争いのない事実ですが、弁護団は、それはあくまでも過失であり、桑田氏に入札の公正を害する意図はなかったと主張しています。
弁護団による故意の不存在としての立証は、次の2点に基づきます(ちなみに私の事件での争点は、申告漏れが故意であったか過失であったかのただ一点で、故意の不存在の立証のハードルは、かなりというかむちゃくちゃ高いという認識があります)。
1) 送付されたPDF(桑田氏は、体制表をスキャンしてメールにアタッチして送付していました)には、ホッチキスの跡が、左と右の2ヶ所にありました。左はオリジナルにもあり、右は誰かが止めたもの。検察は、桑田氏がNECの入札資料から体制表を抜き出して、ダンテックに送付したとしていますが、もしそうであれば、スキャンする資料をわざわざホッチキス止めする必要はないであろうと思われます。実際には、桑田氏はダンテックに依頼され、許される範囲内での情報として「現行の体制表」を事務方に依頼しており、入札当日の朝、彼のデスクに置かれていた体制表を、自分が依頼していた「現行の体制表」と思って「入札資料の中の体制表」を送ってしまった、というものです。
2) 桑田氏が既に入手していた資料の中には、入札価格をダイレクトに示す「見積書」がありました。もし、ダンテックを勝たせようとするならば、それを渡せばすむはずです。
1)はテクニカルに聞こえますが、よくよく考えてみると、確かにその通りだという説得力があります。2) は誰が考えても納得のいく論点ではないでしょうか。
私は、「体制表によって入札価格を類推することができるのか」ということは、桑田氏がダンテックを利するために送ったかどうかを議論する際に、とてつもなく重要だと考えています。
公判においては、検察側の証人ですら、体制表によって入札価格を類推できると証言した者はいませんでした。それもそのはず。入札価格となる「通信システムの保守運用費用」は、「人件費+機器保全費」ですが、体制表はそのうちの人件費の、しかもその一部分だけの情報です。人件費は一人頭均等ではなく、技術レベルによって大きく異なります。それは、会社で社長と新入社員の給料が違うのと同じです。「社員~人」と言っても、それで会社全体の人件費が割り出せるわけではありません。そして機器保全費も、必要経費の約半分を占める重要な部分です。つまり、入札価格を決めるに当たって、数多くのムービングパーツがある中で、体制表はそのわずか一つの情報でしかありません。ゆえに、体制表によって入札価格を類推することができると証言した者がいなかったということになります。
こういう例を挙げましょう。
ある人物が、憎む相手を毒殺しようとしたとします。もしその人物に薬物に知識がなく、塩化ナトリウムが殺傷能力があると錯誤して、服用させた場合を考えます。これは犯罪に当たるでしょうか。そもそも塩化ナトリウム(=食塩)には殺傷能力がないため、殺すことはできず、「不能犯」となり犯罪には当たりません。
不能犯の場合、故意があろうがなかろうが、それは問題になりません。それ以前の問題として、取った行為では犯罪を為し得ることができないからです。
それでは入札に際し体制表を送ることは、この不能犯と同じと考えられるでしょうか。
そもそも、犯罪を成し得ない以上、桑田氏が取った行動は、この不能犯と同じであると考えられる部分もあります。しかし、それ以上に重要なことは、体制表を送った桑田氏に故意がなかったことを証明できると、私は考えます。
もし「塩化ナトリウム=食塩」という知識があれば、それを人を殺すために「故意に」服用するでしょうか。答えは「否」です。
桑田氏は、「体制表が入札価格を類推させることはない」という、公判で証言した全ての者と同じ常識は持ち合わせていたと容易に想像できます。つまり、そうした知識がある者が、「故意に」体制表を「入札の公正を害するために送付した」ということはあり得ないことです。それは、薬物に知識がある者が、人を殺そうとして塩化ナトリウムを服用すると同じくらい、馬鹿げた話です。
検察の主張は、これほど馬鹿げています。3/16の判決では、この馬鹿げた検察主張を、裁判所が忖度するかどうかという一点にかかっています。
是非、刑事司法が正しくあるかどうかを皆さんの目で見極めて下さい。私も大阪入りします。それが3/16の判決です。
あっ、明日の私の判決にもご注目を。
3/11/2018
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検察が主張している桑田氏の不法行為は、以下の3つの公訴事実。
1) 2012年3月に行われた(当時、現行業者はNEC)通信システムの保守運用の入札において、NEC提出の入札関係資料の一部である「体制表」をダンテックに送付したこと。結果、ダンテックが落札。
2) 2013年1月に行われた(当時、現行業者はダンテック)通信システムの保守運用の入札において、仕様書案の作成に、ダンテック一社のみを関与させ、ダンテック以外の会社にとって不利な条件を加えたこと。システムスクエアがダンピング入札をして落札。
3) 先の入札が不調で終わったため(落札したシステムスクエアには履行能力がないと国循が判断)、2013年5月に行われたやり直しの入札において、ダンテック一社入札を避けるため、エヌデーデーに「おつきあい入札」を依頼したこと。
2)と3)は吹けば飛ぶような、箸にも棒にも掛からない言い掛かりなので(実は3つともなのですが)、ここで言及は割愛します。
やはり、15年以上国循のITシステムを独占していたNECの牙城を崩すことになる、2012年3月の入札に関わる第1の公訴事実が最重要かと思われます。
まず、その時点で桑田氏は国循移籍後わずか半年であったことと、桑田氏は通信システムの責任者ではなかったこと(彼は、医療電子カルテの導入のためヘッドハンティングされ国循に移籍)は、強調してし過ぎることはないと思われます。官と民の癒着である官製談合は、まず官の当事者がその組織内で確固たるポジションを築いていることが前提です。そのポジションを利用して私腹を肥やすというのがパターンだからです。
「入札に当たって『入札競争相手の体制表を送る』ということが、入札の公正を害しうる」というものが検察の主張になります。
入札に際して、もし一社に便宜を図り、その会社を勝たせようとするのなら、他社の入札価格を類推させる情報を漏洩するということになるでしょう。じゃんけんに際して、レフリーが「あいつはチョキを出すからね」と言うようなものです。
NECの入札資料の中にあった体制表を桑田氏がダンテックに送付したことは、争いのない事実ですが、弁護団は、それはあくまでも過失であり、桑田氏に入札の公正を害する意図はなかったと主張しています。
弁護団による故意の不存在としての立証は、次の2点に基づきます(ちなみに私の事件での争点は、申告漏れが故意であったか過失であったかのただ一点で、故意の不存在の立証のハードルは、かなりというかむちゃくちゃ高いという認識があります)。
1) 送付されたPDF(桑田氏は、体制表をスキャンしてメールにアタッチして送付していました)には、ホッチキスの跡が、左と右の2ヶ所にありました。左はオリジナルにもあり、右は誰かが止めたもの。検察は、桑田氏がNECの入札資料から体制表を抜き出して、ダンテックに送付したとしていますが、もしそうであれば、スキャンする資料をわざわざホッチキス止めする必要はないであろうと思われます。実際には、桑田氏はダンテックに依頼され、許される範囲内での情報として「現行の体制表」を事務方に依頼しており、入札当日の朝、彼のデスクに置かれていた体制表を、自分が依頼していた「現行の体制表」と思って「入札資料の中の体制表」を送ってしまった、というものです。
2) 桑田氏が既に入手していた資料の中には、入札価格をダイレクトに示す「見積書」がありました。もし、ダンテックを勝たせようとするならば、それを渡せばすむはずです。
1)はテクニカルに聞こえますが、よくよく考えてみると、確かにその通りだという説得力があります。2) は誰が考えても納得のいく論点ではないでしょうか。
私は、「体制表によって入札価格を類推することができるのか」ということは、桑田氏がダンテックを利するために送ったかどうかを議論する際に、とてつもなく重要だと考えています。
公判においては、検察側の証人ですら、体制表によって入札価格を類推できると証言した者はいませんでした。それもそのはず。入札価格となる「通信システムの保守運用費用」は、「人件費+機器保全費」ですが、体制表はそのうちの人件費の、しかもその一部分だけの情報です。人件費は一人頭均等ではなく、技術レベルによって大きく異なります。それは、会社で社長と新入社員の給料が違うのと同じです。「社員~人」と言っても、それで会社全体の人件費が割り出せるわけではありません。そして機器保全費も、必要経費の約半分を占める重要な部分です。つまり、入札価格を決めるに当たって、数多くのムービングパーツがある中で、体制表はそのわずか一つの情報でしかありません。ゆえに、体制表によって入札価格を類推することができると証言した者がいなかったということになります。
こういう例を挙げましょう。
ある人物が、憎む相手を毒殺しようとしたとします。もしその人物に薬物に知識がなく、塩化ナトリウムが殺傷能力があると錯誤して、服用させた場合を考えます。これは犯罪に当たるでしょうか。そもそも塩化ナトリウム(=食塩)には殺傷能力がないため、殺すことはできず、「不能犯」となり犯罪には当たりません。
不能犯の場合、故意があろうがなかろうが、それは問題になりません。それ以前の問題として、取った行為では犯罪を為し得ることができないからです。
それでは入札に際し体制表を送ることは、この不能犯と同じと考えられるでしょうか。
そもそも、犯罪を成し得ない以上、桑田氏が取った行動は、この不能犯と同じであると考えられる部分もあります。しかし、それ以上に重要なことは、体制表を送った桑田氏に故意がなかったことを証明できると、私は考えます。
もし「塩化ナトリウム=食塩」という知識があれば、それを人を殺すために「故意に」服用するでしょうか。答えは「否」です。
桑田氏は、「体制表が入札価格を類推させることはない」という、公判で証言した全ての者と同じ常識は持ち合わせていたと容易に想像できます。つまり、そうした知識がある者が、「故意に」体制表を「入札の公正を害するために送付した」ということはあり得ないことです。それは、薬物に知識がある者が、人を殺そうとして塩化ナトリウムを服用すると同じくらい、馬鹿げた話です。
検察の主張は、これほど馬鹿げています。3/16の判決では、この馬鹿げた検察主張を、裁判所が忖度するかどうかという一点にかかっています。
是非、刑事司法が正しくあるかどうかを皆さんの目で見極めて下さい。私も大阪入りします。それが3/16の判決です。
あっ、明日の私の判決にもご注目を。
3/11/2018
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