「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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経過報告 (5) 「テレビ朝日インタビュー」  8/7/2010 

経過報告 (5) 「テレビ朝日インタビュー」  8/7/2010

依然、検察からは音沙汰なしです。嘆願書は123通になりました。

昨日、テレビ朝日のインタビューの収録がありました。今回はスーツで臨みましたが、スーツは男の戦闘服なので、それだけで安心します。また全国ネットのテレビ報道といっても、日本人相手のインタビューですから、中国・台湾・韓国・シンガポール・マレーシアといった諸国中央銀行のファンドマネジャーとの折衝に比べれば、随分気楽なものです。

収録時間は40分に及びました。主な内容は以下の通りです。

テ朝 「脱税をしたと告発した国税局と八田さんの主張には随分隔たりがあるようですが」

私  「はい。脱税は所得そのものを隠して初めて可能な犯罪です。サラリーマンが会社からもらう給与を脱税するという発想自体ありえません。外資系金融といっても私もサラリーマンでしたから、会社からの給与に関して(の所得税)は給与天引きだと思っていました」

テ朝 「故意の存否が問題となっているということですね」

私  「はい。過少申告に関しては、全く私の過失で、それは最初から認めております。しかし、それをわざとやった、故意にやったと言われている点に関しては、絶対ないと断固主張しています。

国税局が真実を見抜けなかったということに関しては、二つの可能性が考えられます。それは『国税局が真実を見抜けない程無能であった』ということか、『真実は分かっていたけれども、やむにやまれぬ事情があった、あるいは悪意があった』というものです。私には、徴税権力のトップの捜査機関である国税局査察部がそれ程無能であるとは考えにくいのです」

テ朝 「国税局の事情とはいかなるものが考えられますか」

私  「それは一罰百戒を狙ったのだと思います。私の勤務していたクレディスイス証券では、税務調査対象者が300人程度いましたが、そのうち約100人が私同様株式報酬の無申告となっており、残りの200人に関しても、申告区分の違い等で正しい申告を行った者は極めて少なかったと聞いております。またクレディスイス証券に限らず、ほかの外資系金融でも、同様のケースで申告漏れが多数出ているようです。私も取調べに際し、『特殊な税務処理を周知徹底させるのが税務当局の義務なのではないか』とも述べさせて頂きましたが、彼らは私の告発をもってその仕事をしようとしているのだと思います」

テ朝 「まさに外資系金融を代表するスケープゴートのようなものですね」

私  「残念ながら、そう言えると思います。徴税は国家においては重要なファンクションです。その重要なファンクションを担う、徴税権力のトップたる国税局査察部のモラルの低さに大きく危惧を感じます。

この場で、国家論・文化論を論じるのは場違いかもしれませんが、税収の逼迫は周知の事実です。ギリシャ問題は対岸の火事ではないわけです。税収の増加という重要命題に、彼らのとっている方策は『北風と太陽』のまさに北風というべきもので、高額所得者を狙い撃ちにするようなやり方は長期的には非常に危険なリスクをはらんでいます。それは誤った職業倫理に基づいているわけです。

査察部の取調べに際し、私は担当捜査官では埒があかなかったため、上司との面談を希望し、現場の責任者である統括官の方とお会いすることが出来ました。彼ははっきりと『証拠はありませんが、私たちの仕事はあなたを告発することです』と言い切っているわけです。口が滑ったということもあるでしょうが、私はそれが彼らの本心であり、そしてそうした何が何でもクロにしなければいけないという行動論理は間違っていると思います。

国税局と戦った15ヶ月間、私は話せば分かってもらえると思って弁護士をつけていませんでしたが、国税局に告発された後は弁護士をつけています。その弁護士が国税局に事情を伺おうと接触を試みたところ、彼らの中ではそれは検察に下駄を預けてもう終わったことだという認識なんですね。同様のことを検察にされてはたまったものじゃありません。日本において刑事裁判の有罪率は99.99%なわけですから、検察が『自分たちの仕事はあなたを起訴することだ。あとは裁判所に任せた』とされたのでは、その時点で私は有罪になってしまうわけです」

テ朝 「外資系金融のしかも第一線で20年以上ご活躍になっていたわけですが、そうするとそのような税務処理も当然知っていたのではという気もするのですが」

私  「同様のことは取調べでも言われました。しかし、金融のプロが税務のプロだと考えるのは間違いです。また、外資系金融と言っても、各社様々な給与プログラムをもっており、ひとくくりにすることはできません。私が給与天引きと勘違いした株式報酬も源泉徴収する会社もありますし、私が以前14年勤務していたソロモンブラザース証券では株式を社員に与える給与プログラムはありませんでした。クレディスイス証券に移籍して初めて株式をもらったのですが、その自己申告義務を会社も教えてくれなければ、税務署も教えてくれないという状況下でどのように知ることができたというのでしょうか」

テ朝 「会社の指導はいかなるようなものだったのですか」

私  「会社から株式付与の通知は、毎年5-6月頃にA4紙一枚の英文の通知によってなされます。その文書には後から読めば、私たちが専門用語でディスクレーマーと呼んでいる、法的責任を回避する目的で入れる文言がはいっていました。それは『この通知は、会社の源泉徴収を通知するものではない。税務は専門家の指示を仰ぐべきである』という数行の文言です。それのみが会社の言う『指導』でした。英文の通知を隅々まで読む者もおりませんし、私はその通知を受け取る前に株式の売却を終えていたので、そもそも読む必要も感じていませんでした」

テ朝 「その文書には『確定申告をせよ』とは書いてないのですか」

私  「そのように明示的には書かれてはいません。そもそも読んでいなかったのですが」

テ朝 「株式の売却金を海外口座からほかの海外口座に移したとされていますが、株式を取得した海外口座というのはどのような口座だったのでしょうか」

私  「これは会社から株式を受け取るために会社で開けなくてはいけなかったアメリカの証券口座です」

テ朝 「そこで受け取った株式の売却金を別の海外口座に送金したということですね」

私  「そうです。シンガポールの口座ですが、それは株式取得より随分以前に開設したもので、当時私が外貨の管理運用を中心にしていた口座です」

テ朝 「それはプライベートバンクという守秘性の高いものであったと聞いていますが」

私  「はい。但し、プライベートバンクでも『ナンバーアカウント』と呼ばれる無記名口座もありますが、私が開設していた口座は、別に私の口座であることを隠す必要もなかったので、普通の記名口座でした」

テ朝 「他にも海外口座はもっていらっしゃいましたか」

私  「はい。NYに研修で在住していた際に現地で開設した口座もあります。シンガポールの口座は日本からの送金で開設していますので税務署は把握していましたが、その口座に関しては税務署は知らなかったと思います」

テ朝 「脱税を意図していたのであれば、税務署が知らない口座に送金するだろうと」

私  「はい、その方が自然ですよね」

テ朝 「株式売却金の送金先として、なぜそのシンガポールの口座を選ばれたのですか。日本の金融機関にもってくるという発想はなかったのですか」

私  「日本の金融市場は、特に個人のマーケットに関しては後進です。それは『逆鎖国』とも言える状況だからです。例えば、私たちが香港やオーストラリアに旅行に行って、現地の金融機関の口座を開けることは、日本に住所があったとしても可能です。ところが日本では、居住者でなければ口座を開設することができない。あるいは海外の金融機関は、日本国内では宣伝を規制されているんです。それで非常に使い勝手が悪い状況です。

一番の例が、担当者が英語ができない。私は海外送金をよくするのですが、例えば海外旅行を現地の旅行代理店を使ってアレンジした場合、彼らに送金するような場合ですね。日本の金融機関で海外送金をしようとすると、振込先の特定をしつこく要求されます。これがプライベートバンクのサービスですと、担当者にメール一本で海外送金をしてくれます。先方の連絡先を渡しとけば、分からなければ担当者同士で連絡をとって処置してくれということまでしてくれるわけです。日本の金融機関でそのようなサービスをしてくれるところはないですね」

テ朝 「告発されてから随分時間が経っている様ですが、今はどのような準備をなさってますか」

私  「確かに依然検察からの動きがないので、こちらとしても直接的な行動を取ることはできないのですが、今やっていることは嘆願書を集めています。

私は、犯罪が行われたかどうかの最終的な判断は、動機と人品に関わってくると思っています。人品に関しては、私本人や弁護士が『八田隆はこういう人間だ』と言っても説得力がないので、私の友人知人に『私の知る八田隆はこういう人物である』ということを、嘆願書という形で書いてもらっています。

私にはカナダに留学している高校2年の息子がいますが、彼も嘆願書を書いてくれました。その内容は『国税局には個人として、八田隆個人に向き合って欲しかった』というものでした。子供ながらに組織の論理と個人の論理を分けて認識しているんです。私は深く同意しました。

例えば、私にとって国税局は、拉致家族にとっての北朝鮮のようなものです。その意味するところは、北朝鮮の人たちもそのほとんどは拉致やテポドンとは関係のない無辜な人だと思います。あるいは拉致の実行犯ですら、彼ら個人の意志ではなく、国家の利益が優先しているわけです。国税局の意図するところは、そういった組織の論理、彼らの考える国家の利益が、個人の人権に優先しているものだと思います。私はそういった状況も理解できなくはありませんが、それは正しくないと思います」

テ朝 「この告発によって、決まっていた就職も取り消されたと聞いていますが、それに関してはどのようにお考えですか」

私  「この3月から、香港で働くことが決まっていました。しかしそれも天の配剤といいますか、『人間万事塞翁が馬』で、子供ともっと時間を過ごせとか昔からの友人ともっと交渉を増やせということだと思っています。今までは仕事一辺倒でしたから」

テ朝 「クレディスイス証券100人の株式報酬無申告の中で、八田さんが一番金額が大きかったのではないかと聞いていますが、それは部長格ということがあったからでしょうか」

私  「私の金額が一番大きかったかどうかは分かりません。私に関しては、たまたま税務調査対象期間に会社都合で退職をしていましたので、退職時に付与されていない将来もらうべき株式を前倒しでもらったという事情があったためです」

テ朝 「退職がたまたま税務調査期間中に当たったということですか。それは不運であったとしか言えないないですね」

私  「ははは、そういうものでしょうか」

以上のやりとりはビデオ収録のごく一部です。若干歯に衣着せぬ言い方もしていますが、この映像が報道されるのは、逮捕あるいは起訴の場合のみで、その時点では検察が手心を加えるという段階を過ぎており、全面対決やむなしという状況ですので、失うものは少ないかと思っています。

インタビュー後、テレ朝の記者に印象を尋ねたところ「テレビの人間というのは、映像を通してみた時に胡散臭いかどうかというのは分かります。八田さんの場合は、一点の曇りもないというますか、胡散臭さが全くないので、映像的には全然問題はありません」とのことでした。

弁護士の海外給与の申告に関する他社指導状況の聞き取りも進んでおり、更に2名の協力者を得ました。他にもご協力頂ける方がいらっしゃいましたら、是非お願いします。

月並みではございますが、まだ暑い日々が続いております。お体に気をつけてお過ごし下さい。私は、もし検察の呼び出しがないようであれば、8月31日に子供のカナダ帰国に合わせて一緒にカナダに戻ります。ご支援ありがとうございます。

8/7/2010







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category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2011/09/24 Sat. 17:54 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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