「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

09« 2017 / 10 »11
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

#検察なう (106) 「初公判報告」 2/22/2012 

#検察なう (106) 「初公判報告」 2/22/2012

疲れた―!ってのが正直なコメントです(まあ、そりゃそうだ)。でも今日は沢山の友人・知人の方に傍聴に来て頂き、本当にうれしかったです。フェイスブック・ツイッターつながりで、初めてお会いする方もいたり。

私は朝からテレビの取材を受けて、比較的ぎりぎりに弁護士と入廷したのですが、東京地裁前でツイートした時には、江川さんのツイートを読んでいた友人からは「余裕の到着?」の揶揄も入りました。

ここをクリック→江川さんツイート

傍聴に来てくれた方々の実況ツイートを後から読んで、「おー、すげーっ」と感動していました。ツイッターで状況をフォローしていた海外の友人の「東京地裁からのツイートが止む......いよいよ始まるというサイン」。やはりソーシャル・ネットワーキング・サービスの即時性には感動しました。

傍聴席はほぼ満席。遅れて入ってきた傍聴マニアの方が、あまりの満席さに気押されて出て行ったくらいでした。

今日、傍聴に来られた方は、私が座っている位置が、普通の被告人席と違っていることに気付きました?(って、裁判の傍聴をしたことがなければ分からないですよね)。映画でアメリカの法廷シーンでは被告人(今回の私)は弁護人と並んで座っています。ところが日本の法廷では、通常、被告人は弁護士席の前にぽつんと(逮捕されている場合は、両側を刑務官にはさまれて)座っています。これは差別的だと、日本でもようやく弁護人と並んで座らせるという運動が弁護士の世界で始まっています。これは「SBM(Sit By Me)運動」と言われます。私の弁護人があらかじめ裁判所の許可を得ることで、私は弁護人と並んで座ることができたものです。

そして開廷。

私の人定質問、検察の起訴状朗読があり、その後、私の罪状認否、そして続いて意見陳述を行おうとしましたが、そこで「事件」勃発!

私の意見陳述が途中で裁判長に遮られてしまいました。うーん、気合い入れ過ぎたかなあ。終わってから、友人に「気合い十分だったね」と言われたくらいだったので、その気合いに裁判官もビビったのでしょうか。通常は、一言、二言で終わる罪状認否に続き、私の思いのたけをぶつけようとした私が悪かったんですけど。失礼しました!って感じです(不完全燃焼は、記者会見で思う存分解消させて頂きました)。

その後、検察の冒頭陳述(「冒陳」って言うと、ちょっと分かった風です)。多分、傍聴されてる方の半分以上が脳死してたと思います。まず数字の羅列。そして、会社は何度も注意喚起していたということを印象付けたいのでしょうが、訳分かんない英文の隅っこにあるような文言を拾って、公判検事がぐだぐだ繰り返します。「そんなもん、仕事が忙しくて、読んでる奴いるわけねーじゃん!」というような内容です。こっちは生き馬の目を抜くような相場の世界で勝負してるんですから、会社のそんな書類をちまちま読んでるようなちんけな奴は給料もらえませんって、とあきれて聞いていました。多分、実社会で働いたことがないセンスのなさなんでしょうね。あ、もしかしたら彼らは保険の契約をする際も、約款をひっくり返して読むような人たちなのかもしれません。30分近くこちらが驚く内容も全くない冒陳が展開されました。国が人を無実の罪に陥れようとするんなら、こっちがぎゃふんと言うくらいのもっとまともな証拠出してみろよ、って感じです。

その後は、検察側請求の証拠に対して弁護側の同意・不同意の意見を述べ、採用決定された証拠に対して検察の「要旨の告知」が行われました。今回、検察が証拠調べ請求をした証拠は約150件。それに対し現時点で同意したものは約30件。残りの120件に関してはまだ読み込みが不十分なため、同意・不同意は留保しました。この150件というのは、全て私に不利益なものと彼らがこじつけるもので、そのほか検察が収集した証拠の少なからず私に有利なものは提出されません。

検察というところは強大な権力をもって捜査して、いろいろな証拠を集めることができるのですが、そこでなぜ被告に不利な証拠のみを抽出して裁判に提出して、それでよしとするのか素人考えでは全く理解できません。郵便不正事件では証拠の捏造が強烈な批判を浴びましたが、証拠の全面開示をしないのも五十歩百歩だと思います。

最後に弁護側の冒陳でした。これは普通は行われないのですが、せっかく傍聴に来てくれた大勢の私の支援者が検察の言い分だけ聞いて帰るのも気分が悪かろうと、弁護士が配慮してくれたものです。簡潔にまとめられた弁護側主張は、私がこれまで散々言ってきたことと全く同じ主張だと言うことは聞いた方はご理解頂けたと思います。

そして更にその弁護側の冒陳で付け加えられた新たな論点が「公訴権の濫用」です。

国税局も検察も私の無実は理解していたと思います。彼らは私の無実が分からない程無能ではありません。しかし、告発・起訴するのが彼らの正義だという誤った使命感で私を告発・起訴したと私も弁護士も感じています。これは公権力の恣意的な発動、濫用です。

これまでの報道では、それに触れられていないのですが、私の無実の主張と並んで意義のある重要な論点だと思っています。

また、私の株式報酬のうち、非常に大きな部分が退職時の未払い分の株式を前倒しでもらったものです。これは税務署的には給与扱いで税務処理されていますが、私たちはこれは退職金として税務処理すべきだと主張しています。

給与と退職金では税率が違うため、検察が主張するほ脱税額(免れたとする税金の金額)とは異なってくるのですが、私は別にそのお金を取り返そうとして主張しているわけではありません。それは次のようなことがあったからです。

修正申告の際、税理士と一緒に国税局に出向いたのですが、税理士はこれは退職金として税務処理すべきだと考えていました。しかし、修正申告の金額を国税局に提示され、その金額が税理士の計算とは大きく異なるため、計算根拠を求めたところ、「それは提示できません。この数字に従った方が、八田さんのためですよ」と言われました。「黙って修正申告に応じれば告発はしない」ということだと私たちは理解し、敢えてその場で争うことなく彼らの言うなりの数字で修正申告の納税をしたものです。結局のところ、数字に従おうが従わなかろうが告発されてしまいました。彼らの人の弱みに付け込む卑劣なやり口を糾弾するために付け加えた論点です。公訴権の濫用の延長線上のものです。

公判の後、記者会見を行いました。その状況はこんな感じでした。

ここをクリック→記者会見風景

そしてお土産を持って帰ってもらいました。

ここをクリック→お土産

(吉見さん、写真ありがとうございます)


私は公判の後、弁護士とミーティングがありましたが、上京して傍聴した私の両親はその後、御記帳に行ったようです。「隆の分も頼んどくさけえ」と言われても、天皇はそんなこと聞いてくれないだろうな、とは思いましたが。ま、田舎の年寄りは好きにさせときましょう。

第2回目公判は4/11(水)10:30より同じ東京地裁7階718号法廷です。

でも次回は傍聴の必要は全くないものらしいです。検察が証拠調請求をしたもの(残りの120件の証拠)に対し、次回公判までにこちらが同意・不同意の意見を述べ、それを採用決定したものに対して、検察が要旨の告知をすることに延々時間がつぶれるそうです。単なる手続きというか儀式みたいなもので、その内容を聞いた時弁護士に「先生、それって私が出なくてもいいんじゃないですか。代わりにやっといて下さい」と言ったくらいです。勿論、「それはダメです」と言われましたが。残りまだ公判は何度も続きます。傍聴して面白いライブ感がある回には事前に告知しますので、その時は奮ってご参加下さい。

引き続き応援のほど、よろしくお願いします。

2/22/2012


category: 刑事裁判公判報告

2012/02/22 Wed. 07:33 [edit]   TB: 1 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://fugathegameplayer.blog51.fc2.com/tb.php/200-58eb6d5c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

[税務・会計]クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件 初公判のまとめ

こんにちは。Victoriaです。 さて、田中周紀著「国税記者 実録マルサの世界」を読み、 クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件を初めて知ったのは、約1ヶ月前。 昨日、2月22日は、 クレディ・スイス証券の社員・元社員で申告漏れを指摘された約300人のうち、 たった一人起訴

Victoriaの日記 | 2012/02/23 20:23

go page top