「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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経過報告 (12) 「村木厚子氏に手紙を書く」 11/22/2010 

経過報告 (12) 「村木厚子氏に手紙を書く」 11/22/2010

バンクーバーは既に雪景色で、最高気温が氷点下の毎日が続いています。カナダでも東海岸ほどの冷え込みは経験しないバンクーバーですが、今年の冬はオリンピックでの雪不足に悩まされた去年の反動でしょうか厳しい冷え込みが予想されています。

本日、内閣府政策統括官の村木厚子氏に手紙を投函しました。以下がその全文です。

「村木様

突然のお便り失礼します。貴方は私のことを知りませんが、私は貴方が全国の苦しむ人達に勇気を与えたことを知っています。私もその一人であり、それゆえ筆を取った次第です。

私は今年の2月に、それに先立つ15ヶ月に及ぶ国税局の調査の結果、刑事告発され全国に実名報道されました。その取調べに際しては、国税局自らが「証拠はない。しかし告発することが私たちの仕事だ」と明言していました。勿論、告発に際しては検察に打診し、検察も力技で起訴できると踏んでの告発であることは想像に難くありません。

私は長く外資系金融機関に勤めておりました。勤務していた会社が吸収合併された際に、一線から身を引くことを考え、中学に通う息子とカナダに移住しました。税務調査はその後着手されました。前職での退職金を含む海外給与の申告漏れで過少申告となったことは私の重大な過失です。ただ会社関係の給与は源泉徴収されると思い込んでおり、故意にやったことでは絶対ありません。サラリーマンを対象とする日本の徴税システムを私が過信していたことの結果です。長期に亘る取調べで国税局は存在していない故意の証拠を探し続け、彼らは結局それを見つけることはできませんでしたが、それでも告発に踏み切ったのはまさに「証拠がないのであれば作ればよい」ということなのでしょう。

現在は東京地検特捜部の取調べを待っている状態です。貴方の受けた精神的・肉体的苦痛に比べれば、私の窮状など取るに足らないことは重々承知の上で、さぞ苦しまれたことと心から感情を共にさせて頂きます。

また貴方は「家族のきずなと人の優しさ、いい友人をたくさん持っていることを再確認することができた」とおっしゃいましたが、まさにその通りのことを私も感じ入っています。地検特捜部に私の人となりを理解してもらおうと、友人・知人に嘆願書という形で、私の人物評定を文章にしてもらうよう頼んだところ、129通が集まりました。彼らの勇気ある行動には本当に力づけられています。また、私のことを当初より疑いもしない両親には申し訳ない気持ちで一杯です。国税局・検察の人間も同じく家族をもつ人間であるはずなのに、やはり組織の論理というのは日本の社会精神風土では個人の善悪の価値判断も歪めてしまうのかと、思い悩む日々です。添付させて頂いたものは、先の嘆願書を書いてくれた人たちへの経過報告です。お目汚し頂けましたら光栄です。

末筆ながら今後のご活躍を心から祈っております。」

彼女がこの手紙を目にするかは分かりません。また何かをしてほしいと期待するものでもありません。彼女も気付いているであろう、彼女のケースが氷山の一角であるということを知らせる機会になればいいと思ったものです。

日本は先進国でも犯罪率が突出して少ない国です。絶対神が監視するキリスト教や祖先・家族の名誉を重んじる儒教とは違う精神作用が日本人にはあるのだと思います。共存体での和を尊とむ村社会的な発想は、もしかすると組織の論理が個人の価値判断に優先しやすいのではないかと考えます。看守と囚人の役割分担を疑似的に経験させたスタンフォード監獄実験の例を引くまでもなく、権力は人間の善悪の感覚を麻痺させてしまいます。公務員という国民の権利を嘱託された彼らが、一個人のレベルを越えて自分を絶対的なものであると考えてしまう危険は、特に検察のように絶対的でかつ抑止力のないところでは恐ろしいまでに増幅していったのだと思われます。

国対個人の刑事裁判での一審有罪率が99.99%であることを異常であるとするバランス感覚が、裁判員制度の開始や今回の村木氏の事件が明るみに出ることで、日本人にも戻ってくればいいと思います。何ら難解な理論・知識ではなく、むしろごく普通の感覚が必要なのではないでしょうか。

私ですら、さすがにこの2年、特に告発後嘆願書を皆さまにお願いする過程で、人に支えられて生きているということを実感します。ありがとうございます。

11/22/2010


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2011/09/24 Sat. 18:10 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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