「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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外資系証券なるもの (4) 「就活 その3」 

外資系証券なるもの (4) 「就活 その3」

電通の最終面接の話をする前に、ソロモン・ブラザーズ証券の面接の話をします。

ソロモン・ブラザーズ証券の面接を知ったのは、偶然のことでした。私の東大の友人が「アメリカの証券会社らしいんだけど、一緒に話聞いてみないか」と誘ってくれたことがきっかけでした。

当時、既にソロモン・ブラザーズ証券は新卒の学生を採用しており、私が入社する3年前に東大卒が1人、2年前に東大卒・慶応卒の2人、前年に東大・京大・慶応・早稲田卒の計6人の新卒採用実績がありました。2年上と1年上の東大卒の先輩がリクルーターとして窓口になり、面接が行われました。

当時は金融にさしたる知識も関心もなく、株と債券の違いも分かっていませんでした。正直なところ、ソロモン・ブラザーズ証券が、アメリカの超優良大証券会社であることを知ったのは入社してからだったと思います。

会社は当時、内幸町の富国生命ビルの中にあり、社員数は200人程度だったでしょうか。外資系証券で200人というのは、当時としては一番大きいサイズですが、日本の証券会社と伍してやっていくには、ぎりぎりのサイズです。その数の社員数でも機能できるのは、アメリカ本社のサポートがあることと、営業対象が個人ではなく、機関投資家(銀行・保険会社・一般事業会社の財務部)に限定しているからです。

その面接というのが、少し変わっていました。何度も面接を繰り返すのですが、「第~次面接」という感じではなく、ただ現場のスタッフと面通しを繰り返すだけです。これは外資系証券においては、人事部がリクルートに関与することは全くなく、あくまで現場のスタッフが将来一緒に働く部下・同僚をリクルートするというものだからです。

とにかく彼らがモーレツに忙しいのは分かりました。面接となると30分なりのまとまった時間が必要なのですが、彼ら現場の人間がそれだけの時間デスクを離れるというのはなかなか大変なようで、約束の時間にオフィスに行っても、平気で30分や1時間待たされることはざらでした。

面接の最初と最後はリクルーターの先輩と会うのですが、最後は決まって、「じゃ、また興味があったら電話してきて」と言われてその日の面接は終わりです。つまりこちらから連絡しなければ、面接はその時点で終了です。勿論、電話して「またお会いしたいのですが、次いつお伺いすればいいですか」と尋ねても、「あー、残念だけど今回は縁がなかったことで」と言われることもあるのでしょうが、私は結局そういうことはありませんでした。

電通の最終面接の段階では、面接を受けていたほかの企業で、話が進展していたところは全て断ったと前回書きましたが、ソロモン・ブラザーズ証券だけは「こちらからの連絡をしていない」という状態で、テクニカルにはまだつながっていたものです。ただ継続中というだけで、入れるという段階ではありませんでした。

さて、電通の最終面接。

部屋に入って驚いたのは、面接の場が、役員が目の前に10人ほどずらっと並び、学生もそれに向かい合って10人ほどずらっと並んでというものだったことです。

面接の内容はあまり記憶していません。役員の一人が全員に一言ずつ解答を求めたのか、それともアトランダムに学生に質問したものだったか、よく覚えていません。しかし、最後の質問だけは、忘れることはありません。

役員の一人の方が、「それでは弊社が内定を出したとして、入社して頂けますか。その方は挙手して下さい」というものでした。

「おい、踏み絵かよ。そりゃないんじゃないの」と私は思いましたが、私以外の学生は迷うことなくサッと手を挙げました。そりゃそうでしょうね。質問の意図は計りかねるものの、最終面接まで来て「入社しないかもしれない」という気弱なスタンスはネガティブに取られるかもしれません。

私以外の全員が手を挙げる中で、躊躇している私に、当然質問が来ました。

「あー、君は、八田君ね。なぜ手を挙げないのかな」

「御社が第一志望ではありますが、まだ決めたわけではないので、手を挙げることはできません」

「そうか、なるほど、結構」

これで電通の面接は全て終了です。

私の逡巡は、就活をしていくうちに、自分の電通志望が、学生の単なる憧れに基づくもので、自分にとってそれがベストな選択なのかを迷い始めたことによります。

また当時、非常に仲のよかった高校の同級生が博報堂で秘書をしており、彼女に「業界志望なんだね。でもどうかなあ。40過ぎて広告マンやってても仕方ないんじゃないの」と言われたことがどうしても引っ掛かっていました。

それでも電通に入るつもりだったので、最終面接まで辿り着いたのですが、「あの質問はないよなー」と自分に嘘をつけなかったことが手を挙げなかった理由です。

その後、数日は就活のことを忘れて過していました。

数日後、電通の人事部から電話をもらいました。

「~月~日に、鎌倉の弊社研修所で、研修を行いますので来て下さい」

電通内定の瞬間でした。

(続く)


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category: 外資系証券なるもの

2012/04/02 Mon. 16:06 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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