「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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外資系証券なるもの (6) 「就活 その5」 

外資系証券なるもの (6) 「就活 その5」

就活を通して実社会の学生生活とは違う厳しさを垣間見て、自分の電通の志望動機が単なる憧れであったことを思い知らされたことが、電通内定を断った理由でした。解禁日の拘束にほかの内定者を見て、彼らに自分の姿を見て取ったことが決定的でした。

バブルの絶頂期に、超一流企業の内定を蹴るとは、今考えても大胆だったと思います。就職協定の元では、ほかの日本の企業の採用活動はその時点で終わっており、結局そのため外資系企業に入ることになるので、運命とは実に偶然・奇妙なものです。

ただ不安というより、何か自由になったような気分だったのが不思議です。とはいえ就職浪人をするつもりも全くなく、鎌倉の電通の研修所から戻ってすぐにソロモン・ブラザーズ証券のリクルーターに連絡しました。

「石野さん、電通に入るの辞めました。ソロモンに入れて下さい」

石野さんは一年先輩の東大出身の方で、二年先輩の稲村さんと二人で東大のリクルーターをしていました。

「僕も稲村さんも八田のことはいいと思ってるんだけど、ほかの人の評価がみんな『すごくいいような気もするが、分からないから他の人の判断を優先して欲しい』ってのばっかりなんだよ。だからこれまで何人にも会ってもらったんだ。これから一人会ってもらうことになるけど、彼が採用決定では一番重要だと思ってもらってもいい」

私は常識にかからないということなのでしょうか。その後、面接をすることになったのが、当時の東京オフィスのドン、小嶋さんでした。

外資系証券では収益を上げる部門は大きく分けて、セールス&トレーディング部とインベストメント・バンク部に分かれます。前者は、株や債券の売買を、顧客相手に行ったり(「対顧客勘定」と呼ばれます)、会社の資本を使って行ったり(「自己勘定」と呼ばれます)する部署です。後者は、企業の資金調達を手伝う部署で、株式の新規発行や債券の起債、あるいは企業買収の仲介をしたりします。

企業買収は英語でMerger and Acquisitionと言われ、その頭文字を取って「M&A」と呼ばれることもあります。

小嶋さんの面接前は、こちらも背水の陣ですので、付け焼刃ながら「M&A」という言葉くらいはチェックして臨みました。「M&A」は外資系証券でも花形の事業と言われていたものです。

面接のやり取りはほとんど記憶にありませんが、一つだけ聞かれた事を覚えています。

「君は、入社したら何をやりたいと思っている」

「できればM&Aをやってみたいと思っています」

「一つの取引に何ヶ月もかかるようなM&Aは君には向かないな。君はセールス&トレーディング向きだ」

今考えると、その言葉が採用決定だったように思えます。

更に後日行われた最終面接は、英語での面接でした。こちらは純ジャパで日本の英語教育しか受けていないので、「英語での面接なんてどうすんだよ」という感じでした。就活期間に知り合った帰国子女の女の子に想定問答をいくつも用意してもらい、それを丸暗記して臨みました。

私は大学の第二外国語の選択はフランス語でしたが、全くちんぷんかんぷん。教科書はサン=テグジュペリの「夜間飛行」でした。試験には「夜間飛行」の翻訳全文を丸暗記して臨んだものです。問題文のいくつかの単語から対応する部分を類推して、全くフランス語本文を読まないで、記憶した文章をだーっと書いて試験を通りました。そのフランス語の試験での対応策を、ソロモン最終面接に応用したものです。

当然、想定外の質問が出ればしどろもどろ。今でも覚えているのが、明神さん(「シュガ―」の愛称で知られた業界では超有名な伝説のトレーダーです)に聞かれた「何でこんなに学校の成績が悪いの」でした。私の答えは「学業以外も勉強だと思っていました」(しどろもどろ)。それに対し、明神さんには「学業も勉強だ」と言われました。ごもっとも。

大学の成績は確かに褒められたものではありませんでした。成績優秀者は、選択科目を絞って「エビ固め」(成績をAとBで占める、東大の場合は「優」「良上」「良」「可」「不可」の五段階です)を狙っていましたが、私はとにかく卒業単位を取るため、他学部聴講も含め目一杯に科目選択し、成績は「コンパクト・ディスク」(CとDしかない)でした。

それでもなんとか最終面接も通ったようで(入社してるんですから当たり前ですが)、就活は終了とあいなりました。

(続く)


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category: 外資系証券なるもの

2012/04/15 Sun. 14:46 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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