「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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外資系証券なるもの (7) 「Investment Bank 投資銀行とは」 

外資系証券なるもの (7) 「Investment Bank 投資銀行とは」

私が1987年に就職することになるソロモン・ブラザーズは、英語でInvestment Bank、日本語では投資銀行と呼ばれます。

この投資銀行とはどういう業態なのかを説明します。

企業が事業をする際には、資金が必要となります。無借金経営ということも可能ですが、通常は自己資金のほかに追加資金を調達して事業の創設あるいは拡大を行うものです。

そのお金をどうやって調達するかには二通りの方法があります。

一つは「銀行から借りる」です。これは比較的イメージしやすいですね。では銀行はその貸し付ける資金をどこから得ているのでしょうか。答えは「資金の提供者から借りる」です。例えば、個人の預金です。銀行は、預金として預けられた(預金者が銀行に対して貸した)資金を又貸ししているわけです。銀行が預金として借りる場合、その預金に利息を払う一方、その資金を利息をつけて貸し付け、利息を得ます。この利息の差が銀行の収益となります。

このように銀行が、資金の供給者と需要者の間にはいる金融の形態のことを「間接金融」といいます。

これに対して、企業の資金調達の方法としてあるもう一つの方法が「直接金融」と呼ばれるもので、資金の供給者と需要者の間に銀行が入らないものです。

どのようにしてお金を提供したい者と必要としている者を直接つなぐことができるのでしょうか。その媒体となるものが株式や債券といった有価証券です。

間接金融では銀行が資金の貸し手のリスクとなるのに対し、直接金融では資金の借り手それぞれが貸し手のリスクとなることが大きな違いです。

難しいですか?例えばみずほ銀行に預金していて、みずほ銀行がその資金をトヨタに貸し付けているとします。預金者の供給した資金は、最終的にはトヨタに行きつくことになりますが、預金者の取っているリスク(資金が返ってこない貸し倒れリスク)はトヨタではなくみずほ銀行ということになります。それに対し、トヨタの株や債券を買えば、そのリスクはトヨタのリスクということになります。前者が間接金融、後者が直接金融です。

その株式や債券を新規発行し、企業の資金調達を助ける業務を投資銀行業務と呼び、それを行う業態が投資銀行です。

ん?それって証券会社じゃないの、と思われました?そうですね。日本では証券会社がその業務を行いますが、日本の証券会社の場合、収益の多くの部分を個人を顧客とした株式・債券の取引で得ています。投資銀行は、取引相手を機関投資家(会社の財務部など個人ではない投資家)に限定して、資金の調達や企業買収の事業(それを扱うのがインベストメント・バンク部門)と株や債券の売買取引(それを扱うのがセールス&トレーディング部門)を収益の両輪としています。

細かなことを言わなければ、投資銀行も証券会社も同じようなもので、実際日本語では区別なく使っている場合もあります。

ソロモン・ブラザーズは後にシティ・グループに買収されて、その名前の歴史は終わりますが、そのほかの投資銀行も、リーマン・ショック後に全てなくなり、現在アメリカには投資銀行はなくなってしまいました(米五大投資銀行の一番手、二番手のゴールドマン・サックス、モルガン・スタンレーは商業銀行に転換、三番手のメリルリンチはバンク・オブ・アメリカに買収、四番手のリーマン・ブラザーズは倒産、五番手のベア―・スターンズはJPモルガン銀行に買収されました)。

ちなみに株式と債券の違いは分かりますか?一言で言えば、株式は経営権を案分した権利証書、債券は借金の証書と考えてもらえばいいと思います。債券は借金ですから(例えば国債は国がする借金)、返済期限があり(債券の「満期」)、借りている者(債券を発行した者)は利息を払うことになります(債券の「利子」)。株式は経営権の細分化したものですから、会社が倒産すれば紙くずになります。株主総会で、会社の経営に意見を言うことができるのも、株式が経営権(議決権)を表象するからです。

ソロモン・ブラザーズは、1910年にソロモン三兄弟によって設立され、攻撃的にリスクを引き受ける債券ブローカーとして、独自の地位を築いていきます。創業者の血を引くウィリアム・ソロモンが1978年に会長の座を退き、ジョン・グッドフレンドに実権を譲った頃から、急速に事業の幅が広がり、収益も増大しました。1981年、商品取引業者のファイブロ社に吸収合併され、ファイブロ・ソロモンと名前を変えます。ジョン・グッドフレンドは会長の椅子を売り渡し、自らは新会社の債券取引部門の長に納まりました。ところが1982年以降の債券市場の急成長で、ファイブロとソロモンの力関係が逆転し、84年に、ジョン・グッドフレンドは会長の座に返り咲きます。86年には、社名をソロモン・インクとして、完全に母屋を乗っ取りました。

ジョン・グッドフレンドは、85年にビジネス・ウィークの表紙を飾りますが、その時の特集のタイトルが「King of Wall Street」でした。当時、ソロモン・ブラザーズはウォール街の最大手投資銀行だったというわけです。

ライバル会社のゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーは、インベストメント・バンク部門が看板の会社ですが、ソロモン・ブラザーズは圧倒的にセールス&トレーディング部門が主導の会社であり、しかも「ボンド・ハウス」と異名を取ったように、(株ではなく)債券の取引を看板としていました。「Bond ボンド」とは007のことではなく、債券のことです(Fixed Income Securitiesと呼ばれることもありますが、市場ではBondの方が一般的です。また株はEquityあるいはStockと呼ばれます)。

当時、ソロモン・ブラザーズは、「彼がまばたきをすると、株価と為替相場が動く」と言われたエコノミストのヘンリー・カウフマンや、後にLTCMを率いることになるジョン・メリウェザーといった超有名人を擁していました。

このウォール街の巨人に、私は入社することとなりました。

(続く)


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2012/04/21 Sat. 14:39 [edit]   TB: 1 | CM: 0

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