「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

06« 2017 / 07 »08
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

#検察なう (145) 「小川前法相の指揮権発動検討は歴史的大ニュース」 6/5/2012 

#検察なう (145) 「小川前法相の指揮権発動検討は歴史的大ニュース」 6/5/2012

昨日、野田再改造内閣が発足しました。それに伴い退任した小川敏夫前法務大臣が、陸山会事件をめぐる虚偽捜査報告書の問題で検察の捜査を徹底させるため、検事総長に対する指揮権発動を野田首相に相談していたことを会見で明らかにしました。

これは指揮権の意義を考える限り、退任後とはいえ前法相がその発動の可能性があったとコメントすることは、歴史的な大ニュースと言えるものです。

まず、確認すべきは、過去に一度だけ行われた指揮権発動の歴史的評価が誤った認識であることです。

一般には、1954年の造船疑獄事件における指揮権発動において、「政治の圧力」によって「検察の正義」が阻まれたという印象が国民に誤って植え付けられ、以降、指揮権発動は事実上封印されています。

しかし、そこには重大な誤謬があります。私の私淑する郷原信郎氏も、彼の著書「組織の思考が止まるとき」で以下のように述べています(ちなみにこの書は検察関連本では、最良の書だと思います)。

「この造船疑獄での検察捜査は、『暴走』に近いもので、佐藤栄作自由党幹事長の逮捕を延期させた犬養法務大臣の指揮権発動は、捜査に行き詰った検察側が『名誉ある撤退』をするために、吉田茂首相側に持ちかけた『策略』だったとの見解が、有力になっている(『歪んだ正義』宮本雅史2003年、『指揮権発動』渡邉文幸2005年)。」

また2006年6月14日付朝日新聞夕刊の「(ニッポン人脈記)秋霜烈日のバッジ」では、当時東京地検特捜副部長だった神谷尚男氏の「あのままでは佐藤を起訴するだけの証拠がなかった」との証言や、当時、捜査を担当した検事栗本六郎氏の「捜査は行き詰まっていた。指揮権発動を聞き、事件がストップして正直ほっとした」という証言のほか、「日本の検察には『正義の特捜』対『巨悪の政界』という単純化された構図による呪縛と幻想がある」との渡邉氏の指摘も紹介されています。

造船疑獄における指揮権発動が検察側の策略によるものだったことは、ほとんど疑う余地のないものと言ってもよいものです。

ここをクリック→ 郷原信郎氏「『法務大臣の指揮権』を巡る思考停止からの脱却を」

小川氏発言の報道で、最も良質の報道は、今朝の東京新聞朝刊です。

小川氏との一問一答にも十分なスペースを割き、一面記事での小川氏のコメント要約も問題点を過不足なくまとめています。記事から引用します。

「会見で小川氏は、『検察が身内に甘い、いいかげんな形で幕引きをすれば信頼回復はできない』と指摘。『検察が内部のことについて消極的な場合に、積極的にさせるのは法務大臣の本来の姿ではないか。そういう意味では指揮権の発動はふさわしいケースだと思った』と説明した。

田代検事は虚偽の記載の理由を『記憶の混同』と主張し、検察は故意を示す証拠はないとみているが、小川氏は『報告の中身と捜査状況の録音を詳細にみれば、記憶違いではないと誰しも思うのでは』と批判した。」

また東京新聞の社会面では、「政治の事件介入不当」と「検察に自浄能力ない」と批判・支持の両者の立場からの意見を見出しとして掲示し、公正中立を図っています。

これに対して非常に残念なのは、一部報道で検察に無批判なヤメ検のコメントのみを掲載し、報告書偽造の問題を「小さな事件」と矮小化するものがあることです。そうした報道では、見出しも「政治家として愚か」と一方的に小川氏を貶める内容のものです。

我々もこうした機会をメディア・リテラシーを高める機会と捉えて、どの報道機関が公正中立か、またどの報道機関が体制におもねっているかを見極めるべきだと思います。

以前から、この報告書偽造の問題は、郵便不正事件を上回る重大な問題であると指摘してきました。同じ意識を前法相が持っており、抜かれることがない「伝家の宝刀」を抜くところまで考えたというのは、事態が非常に由々しいということを物語っています。

ここをクリック→ #検察なう (134) 「郵便不正事件より重大な検察の犯罪 田代検事報告書の検証」

新しく法務大臣となった滝実法相は、指揮権発動に関しては明言を避けていますが、今季限りで政界を引退するとのこと。もしも彼により、指揮権発動ということになれば、検察が自浄能力がないということが国民に広く知れ渡ることとなります。検察が正しくあることが、国民全員の利益です。彼らの勇気ある判断を期待したいと思っています。

6/5/2012













ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 被告人最終陳述

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

ここをクリック→ 検察なう フェイスブック・コミュニティ





TwitterやFacebookでの拡散お願いします。

category: 刑事司法改革への道

2012/06/04 Mon. 19:05 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://fugathegameplayer.blog51.fc2.com/tb.php/299-3987d469
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top