「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (152) 「再考・小川前法相指揮権発言」 6/15/2012 

#検察なう (152) 「再考・小川前法相指揮権発言」 6/15/2012

「指揮権」というと何やら仰々しい響きがあり、政治に疎い一般人には最初から「無理っ!」と理解を放棄させるものです。ただ、非常に重要な問題ですので、一人でも多くの方にご理解頂き、問題意識を持ってもらいたいと思い、なるべく分かりやすく説明したいと思います。

まず検察と法務省の関係が常人の理解を越えています。

法務省の内部部局に刑事局というところがあり、その仕事は「検察権の行使についての指揮監督に関する事務」をするとあります。つまり、制度上は、検察は法務省外局であり、上下関係は法務省の方が検察より偉いというもののように見えます。ところが法務官僚は要所を全て検事が占めており、「検察ワールド」のトップは、法務官僚トップの事務次官でもなければ、その上の法務大臣でもなく、実は法務省外局にすぎない検察庁トップの検事総長というのが実態です。

つまり検察という組織は、独立国家のような体をなしており、その強大な権力に歯止めをかけるのは簡単なことではありません。

そのために規定されているのが、法務大臣に与えられた「指揮権」なのですが、その規定自体はそれほど仰々しいものではありません。検察庁法第14条には

「法務大臣は、第4条及び第6条に規定する検察官の事務に関し、検察官を一般に指揮監督することができる。但し、個々の事件の取調又は処分については、検事総長のみを指揮することができる。」

とあるだけです。法務大臣に認められた、検察を「指揮監督する権利」という実に普通の権利をいかめしいものにしているのは、その歴史的経緯であり(しかもそれは誤った認識というのは以前のブログで紹介したところです)、本来はもっと機能的に活用されるべきものです。

ここをクリック→ #検察なう (145) 「小川前法相の指揮権発動検討は歴史的大ニュース」

小川前法相の「指揮権発動の検討」発言に戻ります。

例えば、企業監査をする独占企業があったとします。「監査」ですから、いろいろな会社が、正しく法にのっとって活動しているか、ちゃんと企業規定を順守しているか、ということをチェックするものです。

この企業の社長は雇われ社長で、何年かに一度首のすげ替えが行われます。とはいっても社長ですから、会社のやることに口出しすることができます。しかし、それは社内規定で「個々の事案に対しては口出しすべからず。叩き上げの会社ナンバー2の常務にだけ意見することができる」とされています。

なぜこの社長の、社長であれば当然ともいえるような権利が、抑制的に扱われなければいけないかといいますと、ある会社の監査をしようとしていたところ、その会社からこの社長に「ちょっと監査に手心を加えて頂けませんか」と袖の下が渡されたような場合、「この会社の監査をしちゃいかん」と社長に言わせないためにあるものです。

小川前法相の指揮権の発動に関して、「政治の不当介入」という指揮権発動に伴うよくある批判が全く失当なのは、例えて言えば、この社長の指揮監督の対象が、外部のクライアントに関する監査ではないからです。

田代検事の報告書捏造で起こっている問題は、この監査をする独占企業の内部不祥事の問題のようなものです。そこでその独占企業社長が、「外部監査を専門でやる独占企業が、自ら不祥事をしちゃいかんだろ。しかもそれをきちんと処理して、再発防止に努めるどころか、問題を隠蔽しようとしとるじゃないか。全くけしからん!」と、彼に認められている指揮監督の権利を遂行しようと検討した、と発言したものです。

先に述べたように、独占国家検察を制度上抑制できるのは、この法務大臣の指揮権のみです。一番検察に近く唯一権限を持った者がその権限を遂行するというのは、相当重大なことです。

その割にこの問題が大きく取り上げられてないように思うのはなぜか。それは小川前法相の発言が、既存メディアから一斉にシャットアウトされたからです。新聞各紙の社説では判を押したように、小川前法相の発言を軽率であると「軽い」という言葉を使って断じています。

この小川前法相発言においては、検察のメディア・コントロールが実に効を奏したケース・スタディとなるものだと思っています。

「記者クラブ vs それ以外のメディア」と二項対立的に考えるのは、若干時代遅れだと感じていますが、こと検察批判をタブー視することに関しては、依然、既存メディアはその姿勢を変えていないようです。

それに関して、江川紹子氏が週刊朝日今週号掲載の「小川前法相 指揮権発動発言バッシング報道にもの申す」で痛烈に批判しています。

その記事で掲載された小川前法相のインタビューこそ大きく報じられるべきものです。

「大阪地検の証拠改ざんは、元検事一人でやった。でも、今回は、間違いなく田代検事個人の問題ではない。裁判所も(小沢裁判での証拠決定の中で)『組織的な関与が疑われる』と言っています。裁判所がここまで言うことは、めったにありませんよ。検察の体質にかかわる、根が深い、深刻な問題です。だからこそ(検察は)逃げているんですよ」

江川氏も同様の問題意識を持って、この田代検事報告書捏造の問題を捉えています。

「これで本当に自らその体質を変えていけるのか。事件を田代検事一人の問題に矮小化させ、メディアを使って自分たちの方針通りの事前広報をさせる、といった従来型のやり方を見ていると、期待は持てない。」

そして江川氏は論評をこう結んでいます。

「話を聞く限り、小川氏の決意は、決して新聞各紙が非難するような、思いつきの軽々しいものとは思えない。検察改革は国民の重大関心事でもある。大手メディアは、国民と、今の検察組織と、いったいどちらの報道を向いているのか。」

今でも新聞・テレビで報道されていることが絶対正しいと思っている人は少なからずいます。多分、ほとんどの人がそうかもしれません。そうした報道を「鵜呑みにするな」というのは、現代社会では悲しいことのような気がします。戦時下の翼賛報道機関ではないのですから。ただ、受け手はどのような時代・状況でも批判精神を持つことは必要だということは肝に銘じておく必要があります。

Yahoo! 政治クローズアップのコーナーで、この問題に関して「識者の見方」が掲載されています。私のブログも末席に紹介されました。この「識者」がどのような見方をしているか、是非比較検討してみて下さい。

ここをクリック→ 政治クローズアップ「小川氏前法相、指揮権発言の真意は」

6/15/2012




ここをクリック→「20分で分かる『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』~日本の司法を正す会動画ダイジェスト版」

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2012/06/14 Thu. 17:42 [edit]   TB: 1 | CM: 0

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