「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (153) 「裁判所速記官」 6/16/2012 

#検察なう (153) 「裁判所速記官」 6/16/2012

公判を傍聴した方から様々なフィードバックをもらいます。参考になる意見も多く、弁護士共々非常に喜んでいます。

第三回公判のフィードバックの中で、複数あったコメントが「小松弁護士の声が聞き取りにくかった」というものです。

初公判のときには、傍聴人無視で長広舌をふるった検事に対し、「傍聴人に配慮があった」と評された小松弁護士がどうした?と思ったものです。

本人に聞いたところ「あー、そうでしたか。すみません。速記官に顔を向けて話していたものですから、傍聴人は聞きづらかったかもしれませんね」とのこと。

第三回公判では証人尋問が行われましたが、前2回の公判と異なったのは、裁判記録が裁判所速記官によって行われたことです。

裁判所速記官というのは馴染みの薄い職業なのですが、調べてみると超ディープな世界でした。

まず速記というものがどのようになされるかご覧下さい。

ここをクリック→ 速記単語帳

録音を書き起こす反訳と比較すると、速記は「早くて正確」というものです。特に今は「はやとくん」というシステムが開発されて、速記と同時に通常の言葉に書き換えることができ、例えば会話の文字字幕を同時進行でつけることもできるそうです。耳の聞こえない方にとっては、すばらしいテクノロジーの進歩です。

裁判記録の場合、速記では当日内にできるものが、録音の反訳ですと、どんなに急いでも3日(通常1週間から10日)はかかるようです。

また正確度も高く、速記官はよくある言い間違いを正しく書き取る訓練もされています。

例えば、「眉間にしわを寄せる」の読みで「『こかん』にしわを寄せる」と言い間違えても、速記官は「股間にしわを寄せる」とは書かずに、正しく「眉間」と書いてくれます。

また「せいかんたいいしょく」と言い間違えた場合、録音の反訳だと「性感帯移植」とされますが、速記官は「生体肝移植」と正しく書きます。

公判に臨んでは、基本的な裁判知識のほかに、事件に関する情報も裁判所書記官からブリーフィングを受けているようです。速記官のために、小松弁護士は「語彙集」を作成して事前に手渡していました。「しーえすえふびー」とか「ますたー・しぇあ・ぷらん」とか「こんぺんせーしょん・こみってぃー」とか横文字が多いので、聞き取れないことがあると困ると思ったものです。

彼ら速記官は、耳で聞きとることの補助として口の動きを見ているらしく(読唇術の要領ですね)、小松弁護士は彼らに口元を見せるように話していたため、傍聴人には聞きとりずらいものとなったようです。

速記官は相当集中力が必要とされるのでしょう。二時間の第三回公判でも、2回交代で3人の速記官が記録を取っていました。

公判が終わってから、一台4-50万円(しかも自費購入らしい)するという速記タイプライターを見せてもらったのですが、キーがすごく少なくて(15-20程度)、どうしてこれで一字一句打てるんだろうと思ったものです。また公判中も音がしないので、傍聴人の中には彼らの存在を気付いていない人も多いのではないかと思います。

このような特殊技能をもった裁判所速記官ですが、実は新規の採用がなく、絶滅危惧種らしいです。

依然、世界の同じような場面では、人間の優れた能力に頼るところが多く、速記官の活躍の場は多いのですが、日本の裁判の世界では、1997年に最高裁が速記官の新規養成の停止を決定した結果、その当時800人以上いた裁判所速記官は、現在ではその1/3にまで減っているそうです。

いろいろ改革すべき点が多い日本の制度で、しなくてもいい変更が行われ、実態にそぐわなくてもそのままという例のような気がします。

速記官は、重要な公判の時に登場しますので、今後、私の公判傍聴の時に彼らの活躍にも是非ご注目下さい。

ここをクリック→ 「裁判員制度を支える速記官~充実した評議のために」(約13分)

P.S.
日本音楽界の至宝「教授」のメッセージです。私もあきらめずに頑張ろうと思います。

ここをクリック→ 坂本龍一メッセージ

6/16/2012



ここをクリック→「20分で分かる『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』~日本の司法を正す会動画ダイジェスト版」

ここをクリック→ 嘆願書まとめ

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category: 刑事事件一般

2012/06/15 Fri. 16:33 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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この記事に対するコメント

メモ、といえば――

 私の絵も、現場で描いているのは「色、形を記憶するため」のスケッチであって、あとから思い出す手がかりにするためのメモであることが多いです。
 したがって、現場で描いている絵は、他人様に見せると「なんじゃこりゃ」なものが多いです。(自分がしっかり記憶するために、かなーり失礼なコメントも書いています。)
 私は自分の目をカメラ代わりに使っています。だから、裁判所からの帰りはなるべく物を「見ない」ように気を付けています。

…このコメントを見られた皆様、傍聴が終わったあとは、あまり私を引き留めないでください。絵描きからのお願い。

…それにしても、速記者ってすごい技能なのね…知らんかったわ。

高杉ナツメ #- | URL | 2012/06/16 Sat. 13:37 * edit *

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