「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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経過報告 (23) 「映画『ショージとタカオ』」 6/3/2011 

経過報告 (23) 「映画『ショージとタカオ』」 6/3/2011

ベアー・スターンズ時代の戦友である同僚及び部下(当時就職内定者)の両名から嘆願書が届き、嘆願書は計135通になりました。一人でも多くの方に私の現状を知って頂き、捜査権力の暴走や冤罪の問題を、経過報告を読んで頂く瞬間でも気に掛けて頂ければとこだわっています。

一昨日の報道(JPモルガン証券の元社員が海外給与5000万円を脱税容疑で国税局により刑事告発)に関し、多くの方からメールを頂きました。ご心配頂きありがとうございます。

ただ、彼に関する報道を注意深く読む限り、過去に、2008年の税務調査でそれまでの海外給与を一度修正申告をしており、今回の脱税容疑はそれ以降の所得に関してのようです。もしその記事に誤りがなければ、残念ながら再犯ということであり、さすがに過少申告に故意はなかったとの主張はできないと思っています。

クレディスイス証券で、私以外に強制捜査を受けた者はもう一人おりましたが、彼は9000万円の過少申告で刑事告発はされておりません。今回の、5000万円の過少申告で、顔も映像で公表されての実名報道は、相当悪質と看做されたと思われます。しかし、「外資系金融憎し」の世論形成を国税局が意図していることも考えられ、私も震災後に被災地の人々が余震を怖がるような不安を感じています。

JPモルガン証券では約120人、クレディスイス証券では約100人、またそのほかの会社でも相当数の過少申告が報告され、それらを全て同じく悪意ありと断じることには少なからず憤りを感じます。全員が全員、過失であったということはできないのかもしれませんが、私はこの時点でも彼らの大多数が私と同じく過失であったと強く信じています。私にはそれ程、サラリーマンが会社の給与を脱税するというのは馬鹿げた話にしか聞こえないからです。

先日、映画「ショージとタカオ」を観ました。これはつい2週間前に44年間の冤罪に終止符を打った布川事件(注)を扱ったドキュメンタリーです。映画は、元被告の桜井昌司氏と杉山卓男氏の仮釈放後、再審開始決定までの二人を追いかけた、見事なロードムービーになっています。私が観た当日の上映後、桜井昌司氏の舞台挨拶があり、ロビーで彼と握手をしました。「私も、つまらない事件ですが、冤罪と戦っています」と言う私に、桜井昌司氏は「真実は必ず貫き通せます。頑張って下さい」と返してくれました。

映画を観て、支援者の支えがどれだけ彼らの心を強くしたのかということがよく分かりました。また一番驚いたのは、普通自白強要というとほとんど拷問に近い取り調べを想像しますが、彼ら両名は桜井氏が取調べ開始から5日後、杉山氏が2日後で否認から自白に転じ、その間の取調べは私が想像するものとは違ったということです。桜井氏は、検察官の「お前のおかあさんもお前がやったと思ってる。そして全てを白状してほしいと言ってる」という言葉や、嘘発見器にかけられた後「残念な結果だったよ」という、検察官の虚偽の言葉に全てを諦めたと言っていました。杉山氏も、共犯と看做されている桜井氏が彼の犯行を認めていると言われたり、アリバイを証明すべき人がアリバイはないと言っているという検察官の虚偽の言葉に同様に諦めたと言っていました。ここで共通しているのは「絶望」です。彼らは希望を失ったがゆえに、自分に不利な証言をしてしまったということが映画を観てよく分かりました。

桜井氏の舞台挨拶で、「30年近い投獄生活で何が一番辛かったですか」という問いに、「鳩が鉄格子の向こうに止まったんですね。そしてその鳩を見ようとした瞬間に、その鳩が横に飛び去った。でも、それを追って見ることができないんです。その瞬間に、自分には全く自由がないんだな、と思いました。それが辛かったですね」と言いながら、言葉を詰まらせいまだに涙ぐんでしまう彼の姿を見て、冤罪の重さを感じました。ただ、彼の「今までの人生は本当に充実していたと言えます。牢屋に入ってた29年間も含めて。今は、風呂に入っただけでも幸せだなあって思えます」と言う言葉には励まされました。映画の中でも、超ポジティブな二人の頑張りが爽やかに描かれていました。ハリウッド作品と異なり、大々的に興業はされていませんが、是非観て頂きたいと思います。

梅雨が始まり、うっとおしい季節ですが、皆さまにおかれましてはお体に気をつけてお過ごし下さい。私は来週一旦カナダに戻りますが、子供の夏休みに、彼を連れて親友数人と東北被災地の炊き出しを計画しています。またご連絡させて頂きます。

6/3/2011

(注)
布川事件(ふかわじけん)は1967年に茨城県で発生した強盗殺人事件。捜査が手詰まりになる中、犯人として近隣に住む青年2人(桜井昌司氏、杉山卓男氏)を別件逮捕し、被告人の自白とあいまいに二転三転する目撃証言のみで検察は起訴、1978年に最高裁で無期懲役が確定した(一審1970年、二審1973年)。しかし、物的証拠がないことから当初より冤罪の可能性が指摘されており、2009年再審が開始され、今年2011年5月24日無罪判決が下された。桜井氏、杉山氏は1967年の逮捕以降、仮釈放の1996年まで29年間を獄中で過ごした。事件から無罪判決までは44年間の時間が経過している。



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category: 布川事件

2011/09/24 Sat. 18:52 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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