「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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ブック・レビュー 『全真相 坂本弁護士一家拉致・殺害事件 』 江川紹子著 

ブック・レビュー 『全真相 坂本弁護士一家拉致・殺害事件』 江川紹子著

全真相 坂本弁護士一家拉致

6月初旬に日本の別宅から一駅の北鎌倉の駅に降り立ったのは、梅雨の前の花を見るための散策のつもりだった。円覚寺に立ち寄った際、目に留まったのが坂本一家の墓所を示す案内版。なにげに立ち寄った墓は、きれいにされていて、凛として清々しさすら感じた。

事実としては知っていた坂本弁護士一家拉致・殺害事件。この本はその事件を扱ったものである。わずか一月足らず前に坂本一家の墓を訪れたことが偶然なら、この本を手に取ったのも偶然だった。この6月で、私の住むバンクーバーのダウンタウンにあるブックオフが閉店となり、その閉店セールに出向いた時に目に留まったのがこの本であった。

1989年11月の事件当時、あるいはその後の1995年3月の地下鉄サリン事件当時も、オウムへの関心はさほど強いものではなかった。自分の仕事があまりにも忙しかったためである。

しかし自分の中にもオウムの影響を見ることがある。私があまりにも頻繁に使うものだから、「それって多くの人が分かるけど、誰も使わないよね」と言われたのが、「ポア」という言葉である。その言葉も今では擦り切れて、初めて聞いた時の間延びした音と、人を物のように処理する意味のギャップに感じた戦慄は今ではない。「ポイっとしといて」と同じように「ポアして」と使っているのである。

理由のいかんを問わず、人が人を殺めることは理不尽で残酷なものである。しかし、この本を読んですぐに、これほどまでに理不尽なことがあるのだろうかと、殺害された坂本一家のことを考え、感じてしまった。

次の文章を読めば、私の意味するところが少しは理解頂けるかと思う。これは坂本堤氏が司法修習生の時に、自己紹介文集に寄せた文章である。

「僕には車イスに乗った障害者(脳性マヒ)の友達がいる。はじめ彼らとつき合った時、心のおののきを感じた。彼らの激しい障害の姿を見た時、何といっていいか......自分が健常者であること、それだけで彼らを差別しているような、そんな心のやましさを感じたからだ。つきあってみればそんな危惧は消えるが、それでもある種の『しんどさ』はある。その『しんどさ』とは何か?彼らの生きることの厳しさが、僕に自分の生活の安易さ、怠惰さを無言で糾弾するからである。

本当に彼らの『生』は厳しい。しんどい。しかしその中で、彼らは人に全面的に世話をされることを拒否して、できる限りその範囲で主体性を確立しようと頑張る。

『何故だろう?』『何故自分の寿命をけずるようなことまでして、そうまで頑張るのだろう?』

僕のもの問いたげなまなざしに対し、彼らはゆっくりと答える。

『だって外は、家の外は、車イスで出られる外は、こんなにも素晴らしいからさ』

僕は思う。心に希望を、外へ拡がりゆく世界を持つ者は強いと。小さく、からを閉ざして自分を守ることしか考えられなくなった人間は弱いと。僕が彼らの前で感じたおののきは、そんな弱い自分が、強い人間の前に出た時のおそれだった。

彼らは外へ出たがっている。外へ出してくれる人々の"手"を持っている。僕も外へ出ようと頑張っている。心に希望をもって、外へ拡がりゆく世界を獲得したいと思っている」

この本を読んでいる間中、去来するのが「なぜ?」という疑問である。「なぜこのような善良な人たちが殺されなければならないのか」「なぜこんな非人道的な行為ができるのか」。しかし残念ながら、この本はその疑問には答えてくれない。この本では書き切れない、闇の奥底をのぞく必要があるだろう。

しかし、もしかしたら、奥深く足を踏み入れても、何も見つからないかもしれない。上九一色村のオウム本拠地への強制捜査の際に、隠れ部屋で金を抱えて隠れていたという行動一つに、麻原彰晃の底の浅さを垣間見るからである。

いずれにせよこの本はあくまで序章であり、江川氏のその他の書に答えを期待する。江川氏自身もこの本の終章で叫んでいる。

「私はこの男を絶対に許さない。麻原が行ってきた悪業の真相を後世に伝えるため、そして坂本さんが目指したような形でオウム問題を全面的に解決させるために、事実を記録し続けるつもりだ」

この本と一緒に買った「『オウム真理教』追跡2200日」を読むのが楽しみである。

そして、私は今後、「ポア」と口にする度ごとに、坂本一家の無念の1兆分の1くらいを思い出すことになるのだろうと思う。

ここをクリック→ ブクレコ 『全真相 坂本弁護士一家拉致・殺害事件』










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category: ブック・レビュー

2012/07/13 Fri. 18:27 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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