「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (171) 「脱税の悪質性の尺度=仮装・隠蔽」 7/28/2012 

#検察なう (171) 「脱税の悪質性の尺度=仮装・隠蔽」 7/28/2012

犯罪を企図する者の心理として、なるべくばれたくないと思うことは至極当然だと思います。ゆえに、かっとして突然に暴行、殺人を行うというような場合を除き、普通は用意周到に準備をし、そして、犯罪行為の後は、それを隠そうとするものです。

脱税をかっとして行う者はいないので、当然、その準備及び犯罪行為後の仮装・隠蔽を伴なうのが通常です。そのことに関しては、以前もブログで「真実の前足(まえあし)後足(あとあし)」 として紹介したものです。

ここをクリック→ #検察なう (157) 「真実の前足(まえあし)後足(あとあし)」

私は、国税局の取調べに際して、「そもそもすぐにばれるようなことをするわけがないし、手口があまりにもあからさま過ぎる」と主張しましたが、査察官は「警察署の前で殺人を犯す人もいます」と全く相手にしてくれませんでした。

その論理が破綻しているのは、警察署の前で殺人を犯す人は、殺人そのものが目的であり、あとはばれても構わないと思っているのに対し、脱税そのものを目的として、あとはばれても構わないと思う者はいないということから明らかです。しかし、ある意味、その時点で国税局も私が仮装・隠蔽をしていないと認めているということは重要です。

それは、国税局は、実務的には仮装・隠蔽をもって悪質性の尺度としているからです。

また、故意のある・なしという心の内面を立証するのは困難であるため、外形的に仮装・隠蔽が認められれば、故意を直接的に立証せずとも脱税(即ち故意あり)を「みなし」で認定しているとも言えます。

勿論、全く仮装・隠蔽を伴わない(故意の)脱税というものも理論的にはありえますが、それは金額が些少であればまだしも、金額が大きくなればなる程、「どうせばれないだろう」と何も仮装・隠蔽をしないということがありえないであろうことは言うまでもないことです。

皆さんは重加算税というものをご存知でしょうか。これは故意で行った脱税に懲罰的に課される追徴課税です。

納税においては、うっかり過失の申告漏れであっても、全くおとがめなしというわけではなく、本税の10%の過少申告加算税が課されます。そして故意の脱税のうち、悪質と認められるものに関しては、35%もの割合の重加算税が課されます。

先日の日経新聞でも、相続税の調査実績で、82.5%もの申告漏れが見つかり、そのうち故意とみなされた重加算税の対象者は16.8%に上ったと報じられていました。

この重加算税を規定しているのが国税通則法第68条です。そこでは、重加算税が課される対象を以下のように定めています。

「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたときには」

つまり、「過少申告をしていて、なおかつそれを隠そうと色々な工作をした場合には、悪質な故意ありとみなして、かなり厳しいペナルティーを科すぞ」ということです。

どんな仮装・隠蔽の手段があるのか、具体的には単純なものから人智を尽くした難易度の高い巧妙なものまで色々あるのだろうと想像されますが、そこは国税局もかなりのノウハウを蓄積していると思われます。

そして彼らは実務レベルで、どのようなものが仮装・隠蔽に該当するかを通達で類型化しています。役所仕事のイケてないことは、融通が利かないことですが、逆にいいのは、恣意的な適用を防ぐため、きちんとマニュアル化していることです。

ここをクリック→ 申告所得税の重加算税の取扱いについて(事務運営指針)

ここでは8つの類型が挙げられていますが、私の事案に関し、一つ一つチェックいきましょう。

(1) いわゆる二重帳簿を作成していること。
→ 二重帳簿は自営業者の所得隠しの常套手段で、私には該当しません。

(2) 帳簿書類の隠匿、虚偽記載等 があること。
→ 同じく該当しません。

(3) 事業の経営、売買、賃貸借、消費貸借、資産の譲渡又はその他の取引について、本人以外の名義又は架空名義で行っていること。
→ 私が、株式の売却や売却金送金の取引について他人名義で行っているとすれば該当しますが、そのような事実はありません。

(4) 所得の源泉となる資産(株式、不動産等)を本人以外の名義又は架空名義により所有していること。
→ 私が、株式及び売却金を保有していた口座を他人名義のものとしたり匿名口座のものとしていれば該当しますが、私本人の名義でしか保有していませんから、明らかにこれも違います。

(5) 秘匿した売上代金等をもって本人以外の名義又は架空名義の預貯金その他の資産を取得していること。
→ 私の資産の一部でも他人名義や匿名で保有していれば該当しますが、そのような事実はありません。

(6) 居住用財産の買換えその他各種の課税の特例の適用を受けるため、所得控除若しくは税額控除を過大にするため、又は変動・臨時所得の調整課税の利益を受けるため、虚偽の証明書その他の書類を自ら作成し、又は他人をして作成させていること。
→ 全く関係ありません。

(7) 源泉徴収票、支払調書等の記載事項を改ざんし、 若しくは架空の源泉徴収票等を作成し、又は他人をして源泉徴収票等に虚偽の記載をさせ、若しくは源泉徴収票等を提出させていないこと。
→ 私が、源泉徴収票を改ざんしていれば該当しますが、そのような事実はありません。

(8) 調査等の際の具体的事実についての質問に対し、虚偽の答弁等を行い、又は相手先をして虚偽の答弁等を行わせていること及びその他の事実関係を総合的に判断して、申告時における隠ぺい又は仮装が合理的に推認できること。 
→ 実は、上の1~7に該当しないものを包括的にピックアップするのが、この8であり、これを恣意的に適用すれば、全ての過少申告に対して仮装・隠蔽がテクニカルに認定できます。私の場合でいえば、国税局が「八田は過失であると虚偽の答弁をしている」と判断しさえすれば、この項目が適用されかねないものです。しかし、私は虚偽の答弁を一切していませんし、国税局も私の答弁が虚偽であることの立証はできていません。

つまり、私が、例えば株式の売却金を他人名義や匿名の口座に移し替える、といった外形が認められれば、当然仮装・隠蔽を問われますが、私は全くそうしたことをしていません。そもそも私は、脱税しようなどとは思っていなかったからです。

そして、仮装・隠蔽が認められた脱税の中でも、特に悪質なものが刑事告発の対象となります。刑事告発ともなれば、社会に警鐘を鳴らすべき極悪非道の脱税犯ということになるものです。

しかし、私には刑事告発レベルそれ以前の、脱税の認定レベルで必要となる仮装・隠蔽すらありません。

私は、数千万円もの重加算税を2010年4月に支払った上で、その後、同年6月に異議申立てを納税地である目黒税務署にしています。

通常は異議申立てに対する決定は2-3ヶ月を待たずにされるものですが、2年経った今も、何ら決定もされず、放置されているという異常な状態が続いています。

そしてこの間、再三に亘って、重加算税を課した理由の開示を目黒税務署及び国税局に求めていますが、彼らは沈黙しています。税金を取り立てるだけ取り立てておいて、その根拠を示さないというのは、公平・中立・簡素の租税原則に反するものだと思います。

彼らにここまで横紙破りな行動を取らせたのも、結局は、結論ありきの「告発したら起訴してやるよ」という検察を頼みにしていたのだと思います。それは、告発してしまえば、メディアも同調し、私も諦め、裁判所は言うがままという検察の驕りです。

そもそも真実を歪めた行動には、どこかでほころびが出るものです。何ら実質的な立証なしに起訴を強行し、その結果公判で露呈している彼らの全くお粗末な論理展開がそれを物語っています。

どこまで検察がこじつけの論法を展開するのか、そして裁判所がそれに対してどのような判断を下すのか、引き続きご注目下さい。

7/28/2012



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category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2012/07/28 Sat. 08:20 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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