「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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経過報告 (27) 「羽賀研二氏の事件に関して」 6/26/2011 

経過報告 (27) 「羽賀研二氏の事件に関して」 6/26/2011

日本は暑い日が続いているようですが、皆さま変わりなくお元気でしょうか。嘆願書は1通増え、合計140通になりました。

日本の捜査機関は冤罪メーカーではないかという状況が続いています。また世間の注目を集める事件で冤罪が作られたと思われます。今回の被害者は皆さんもよくご存知の羽賀研二です。羽賀研二も冤罪?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、このケースは実に単純で、なぜこんなことがあり得るのかと思うほどです。

まず報道されている彼の状況はこのようなものではないでしょうか。「未公開株を知人の会社社長に売りつけ4億円近くを詐取、その会社が倒産したためその代金返還を請求する会社社長を、友人の元ボクサー渡辺二郎と山口組系暴力団員に頼んで恐喝し債権を棒引きさせた」。今でもインターネットで検索して出てくるニュースはこのようなものです。そして以下は私が知るところの事件の概要です。

会社社長を恐喝していたとする山口組系暴力団員は、もともと羽賀研二から金を脅し取るためにその会社社長が雇っていたというのはご存知でしょうか。「え?」と驚くばかりですが、最初から順を追ってかいつまんで説明します。

まず事の発端は、未公開株を買うために羽賀研二は以前から知人の会社社長に借金を依願します。会社社長はその借金の使途が、会社から直接買える未上場株であることを知ると、是非自分も買わせてほしいと羽賀研二に頼みました。羽賀研二は8000万円をその会社社長から借金して株式を購入。また会社社長の購入分も上乗せして株式購入しました。羽賀研二が会社から未上場株を購入した価額は40万円。それを120万円で会社社長に転売し、その利益も全てその未上場株購入の追加資金に充てました。

その後、羽賀研二は8000万円の借金を一部返済し、1700万円まで減らしていました。

問題はその後。会社は上場することなく倒産。その株は紙くずとなりました。以前は羽振りのよかった会社社長は事業に失敗し、金を工面しようと、その未上場株の購入資金を羽賀研二から回収しようとします。それでヤクザを雇って追い込みを掛けることにしました。取り立ての言い分は売買契約の損失補填条項。しかし、その損失補填条項は「上場した後に、購入価額を割った場合」というものでした。即ち、未上場で倒産したのですから、会社社長は本来何の債権も有していないことになります。もし彼に正当な債権が発生していたのであれば、ヤクザを雇う必要などなく、民事訴訟を起こせばいいだけの話です。ニュースでは3億7000万円の債権と報道されていますが、羽賀がそのヤクザから受けていた恐喝は12億円という金額でした。

羽賀研二の持つ1700万円の借金を、二日以内に返済するなら1000万円に割引くということで弁護士を介して和解に至ることになりましたが、その交渉の場に現れたのが渡辺二郎です(その交渉の場には弁護士が羽賀の代理人として出席し、羽賀は同席していませんでした)。渡辺二郎と羽賀研二は以前から交友があり、この件に関しても相談していたのだと思います。渡辺二郎は「元ボクサー」と紹介されることが多いのですが、Wikipediaをご覧になって頂いても分かるように、山口組系極心連合会相談役、筋金入りの「現ヤクザ」です。彼は、幹部クラスですから、下っ端のヤクザに「羽賀からは金は取れん。こんな無茶な取り立てする会社社長から取り立てた方が金になるぞ」とでも教唆したのでしょう。ヤクザはそもそも会社社長に雇われていながら、今度は矛先を渡辺二郎と共に会社社長に向けたというわけです。

そしてそれが大阪府警の知るところとなり、羽賀研二は4年前に逮捕となりました。罪状は当初、恐喝未遂。その後、詐欺罪が追訴されました。

ところが、一審は無罪。それは羽賀の知り合いの医師が、「会社社長は、羽賀が未上場株を買った購入価額(40万円)を知っていた」と証言したからです。それがなぜ今回、高裁で羽賀研二が逆転有罪となったのでしょう。それは、検察が羽賀を控訴後、一審で証言した医師を偽証罪で起訴し、結果その医師が有罪となっていたからです。直接の偽証内容は、先の40万円の件ではありません。羽賀との仲を「時々会う関係」としていたのですが、検察は羽賀のハワイでの結婚式にその医師が映っていることを証拠として、「時々会う」=「それ程仲はよくない」ではなく、非常に懇意であり、「時々会う」関係が偽証だとしました。それが裁判で認定され、一部怪しい証言は全て怪しいとして、会社社長が初めから未上場株の元値を知っていたということも偽証とされました。

問題点を整理すると、恐喝未遂に関しては、羽賀も現場に同席しておらず、渡辺二郎との共謀も否認しています。それよりもまず動機がありません。むしろ彼は恐喝されていた立場です。詐欺に関してはどうでしょうか。羽賀も会社社長も、その未上場株は上場すれば10倍―20倍になると信じていました。羽賀がその未上場株をクズ株だと思っていた節は見当たりません。もし、いずれ無価値になると予想して売り抜くならば、転売で得た利益をまたその株につぎ込むような愚かな行為は取らないでしょう。一審、二審での判決の違いは、未上場株に120万円を払った会社社長が40万円の元値を知っていたかどうかが争点となっているようですが、私にはどうしても納得できるものではありません。未上場株といったハイ・リスク・ハイ・リターンの投機で、40万円の商品を120万円で売り、元値を隠していたからといって詐欺に問われるのかはなはだ疑問です。ましてや会社社長も「いくらでもいいから買わせてくれ」と羽賀に頼んだことは自ら公判で認めています。売買契約で、売主が原価を隠していたからといって直ちに詐欺行為となることはないことは明らかです。皆さんも買い物をする際に、いちいち「この原価は?」なんてことは問わないはずです。

羽賀研二は実刑6年。渡辺二郎は実刑2年。会社社長が罪に問われたという話は寡聞にして聞いておりません。6年間、刑務所に入るというのはかなり厳しい処罰です。もしそれが冤罪であるならばとんでもないことです。

なぜこのようなことが起こりうるのでしょう。

ここからは私の完全な推測ですが、警察・検察は「芸能人と暴力団の関係を摘発する」との錦の御旗を上げ、羽賀を突破口としてほかの暴力団との関係のある芸能人を摘発しようとしたか、少なくとも暴力団との関係のある芸能人に対して睨みを利かせようとしたのではないかと思います。そして、裁判所もそれを阿吽の呼吸で汲み取ったのだと思います。実際、羽賀の取調べを担当した大阪府警の部署は、経済犯を扱う部署ではなく、暴力団を扱う部署でした。

それでも「羽賀研二がどうなろうとも関係ない」と思われる方もいらっしゃるでしょう。百歩譲ってそれもよしとしましょう。今回の事件で一番重要なポイントは、検察が被疑者側の証人を偽証罪でつぶしたことです。もし被疑者の弁護をすると、偽証罪となって自分が罪に問われるリスクがあるのなら、今後、誰も被疑者の弁護に立つ人間がいなくなることも考えられます(羽賀の事件では、一審で証言をした知人の医師が偽証罪とされた後に、ほかの友人が同じ証言をすると言って名乗り出ました。非常に勇気ある行動だと思います。そして、裁判所はその証言を証拠採用しませんでした。「必要なし」という理由です)。被疑者に有利な証人を偽証罪でつぶすという禁じ手を許してしまった、今回の判決は将来に禍根を残すものと思っています。

明日、私と息子は日本に向けて出発です。今週末、有志総勢24人で宮城県石巻市の瓦礫撤去に向かいます。息子にとって貴重な体験となることを期待しています。

引き続きご支援のほど、よろしくお願いします。

6/26/2011



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category: 冤罪事件に関して

2011/09/24 Sat. 19:05 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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