「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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上申書 (6/60) 石川隆道 

上申書 (6/60) 石川隆道

裁判所に提出する目的で、私の知人・友人に「あなたが裁判員になったとしたら」という観点で上申書を書いてもらうことを依頼しました。1ヶ月で60通の上申書が集まりました。ところが上申書の裁判所提出は検察の不同意で阻まれ、それはかないませんでした。彼らの正義を希求する声を無駄にしないために、本人の了承を得た上でブログでの実名公開に踏み切ります。

ここをクリック→ #検察なう (183) 「上申書に関して」

このようなたとえ話で始めさせて頂きます。

お百姓さんのミハエルが宗教裁判にかけられることになりました。教会が彼にかけた嫌疑は、「聖書には『地球は平たい』と書かれていることを知りながら、『地球は丸い』という聖書に反することを流布した邪教徒である」というものでした。

ミハエルは言いました、「おらは農作業が忙しいし、不信心だで、聖書なんぞ読んでおらん。地球も宇宙の一部ということは知っているだで、太陽も丸いさ、月も丸いさ、だから地球も丸いと思っただけだべ」。

ミハエルの家からは、聖書も発見されず、彼が聖書を読んでいたということを知る者もいません。ところが、教会は聖書に背く者はとにかく何が何でも罰せねばという姿勢でした。

村人の中で彼を知る者は、誰も彼が聖書を冒涜するなぞ大それたことをするとは思いませんでした。ところが、彼を知らない人の多くは「教会が言うんだから間違いねえべ。ミハエルは聖書に書かれていることと違うことを言っているんだから、聖書を冒涜しようとしたに違いねえべ」と悪口を叩きました。

裁判で、弁護側証人として立ったのは哲学者のプラトンでした。

「ミハエルが聖書を読んだかどうかは分からない。しかし地球は丸いぞよ。なぜなら沖から近付く船は上から見え出すし、月食の時に月に写る地球の影は丸いではないか」

ここでの争点は、ミハエルが聖書の創世記にある記述を読んでいたかどうかであり、地球が丸いかどうかではありません。しかし、ミハエルの思い込みが全く根拠がないものであるかどうかは重要です。誤解を生じる可能性が高ければ、そう思い込んだとしても仕方ないと考えることができるからです。

給与の一部が株式で支払われた場合、「それが源泉徴収されることはない」と誰が決めたのでしょうか。クレディ・スイス証券では当時こそしていませんでしたが、この事件後、源泉徴収に切り替えています。当時からゴールドマンサックス証券ほかの証券会社では、株式報酬も源泉徴収されていました。

第三回公判のクレディ・スイス証券の法務・コンプライアンス本部長の証人尋問での最重要質疑応答の一つが以下のものです。

検事 「当時の時点で、他社は一般的に株式報酬についても源泉徴収している、そういったことを聞かれたことは、そもそもありますか」
証人 「あったと思います」

検事 「していない会社もあるというのは聞いたことがありますか」
証人 「していない会社の方が多数だという理解でした」

検事 「あなたとして、だから当社も株式報酬も源泉徴収すべきであると、当時そういった概念を持ったことはありましたか」
証人 「ありました」「源泉徴収した方がいいのではないかとは思いました」

弁護士である法務・コンプライアンス本部長ですら、会社は源泉徴収すべきであるという意見を持っていたことは非常に重要です。

私の弁護団は、第四回公判の弁号証証拠調請求において、「会社は株式報酬も現金報酬同様源泉徴収すべきであった」との法解釈に基づいた意見書を提出しています。これに関しては、検察は意見を留保しています。

今回紹介する上申書は、その株式報酬も源泉徴収されていた外資系証券に勤務していた友人/後輩からのものです。

外資系証券に従事する者の税務に関する感覚・理解度を示すためにも重要なものだと思います。

「上申書

八田隆氏申告漏れ裁判に関して思うところを述べたいと思います。

裁判自体はまだ結審しておりませんが特に第三回公判を傍聴させていただき強く感じたことは本事案の刑事責任を個人に問うてよいかということです。

私自身八田氏が勤務していたような外資系証券会社に10年以上在籍しております。前職も今の会社も株、オプションによるボーナスは社員に権利が移転したタイミングで源泉徴収を会社が行っています。基本的に会社からのみ収入を得るサラリーマンの立場からはとても簡潔かつ明瞭な処理の方法だと思います。

八田氏の勤務していたクレディ・スイスを含め外資系金融機関の中には処理が複雑、煩雑な深刻の作業を社員自身に求めていた企業があることを近年知りました。とても不親切、不整備に感じたのは言うまでもありません。

第三回公判ではクレディ・スイスの法務コンプライアンス部長が検察側証人として出廷しておりました。証人が企業をまもる立場にありながら質問への回答へ窮していた姿が印象的でした。特筆すべきは証人の部下であるコンプライアンス部長が申告漏れをしていた事実。これは一般社員よりも英語文書に関して一層の理解力を持っている立場のものでさえ処理方法を理解できずに過ちを犯してしまう可能性が十分にあったことを如実に示しています。私がこれまで感じていた支払・徴収の複雑さ、社員個人へそれを託す不親切さを改めて思い知らされました。

明らかに支払者である企業側の体制、処理に問題があったといわざるを得ません。事実、国税が調査を開始し本事案などが公けになって以降、殆どの外資系金融機関は会社が源泉徴収義務を負うように処理方法を変えています。企業側が問題の責任を感じているという明らかな証です。  

企業側が責任を感じていることの本質を刑事責任として一被雇用者に問うてよいのでしょうか。

八田氏は申告漏れがあったことを素直に認め、収めるべき税額をきちんと収めています。そして本事案が遅滞して処理されてきたこの数年間定職につくことが出来ず社会的に十分すぎるほどの制裁を受けています。その上に刑事責任を問うというのは一般市民的な刑事罰の感覚から逸脱していると思うのです。

何卒この点を本事案を検討されるに当たりご考慮いただきたいと思います。

源泉徴収の責任は本来どこに課されるのが雇用者と被雇用者の関係を考える上で妥当であったのか、必要以上に社会制裁を受けている個人にこれ以上刑事責任を問うてよいものなのか、ぜひ市民感覚に則した法の正義を実現していただきたいと願っております。

以上

石川隆道」

ここをクリック→ 石川隆道上申書








ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―





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category: 上申書

2012/09/02 Sun. 08:01 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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