「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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上申書 (7/60) 岸本理和 

上申書 (7/60) 岸本理和

裁判所に提出する目的で、私の知人・友人に「あなたが裁判員になったとしたら」という観点で上申書を書いてもらうことを依頼しました。1ヶ月で60通の上申書が集まりました。ところが上申書の裁判所提出は検察の不同意で阻まれ、それはかないませんでした。彼らの正義を希求する声を無駄にしないために、本人の了承を得た上でブログでの実名公開に踏み切ります。

ここをクリック→ #検察なう (183) 「上申書に関して」

今回は私の幼稚園から高校の友人の上申書を紹介します。

彼女に嘆願書を依頼した際には、随分と事件のことについて質問されました。そもそも嘆願書の趣旨は、あくまで私の人物評定であり、事件のことすら知らなくていいという前提だったこともあり、敢えて事件のことは詳しく説明せず、友人・知人の知っているままの私という人間を書いてもらえばいいと思っていました。

しかし、彼女のように自分で事件の事に関しても納得して、無実の心証が得られないと書きたくない、書けないという人もいました。勿論、それらの人にはとことん説明し、納得して嘆願書を書いてもらったものです。

彼女がこだわっていた部分は、やはり多くの人がひっかかるであろう「金額」のことでした。

起訴は2年分の確定申告に対してされています。平成18年度分に関しては、自分でインターネットを使って確定申告をしていますが、約5000万円の過少申告、それに対する所得税約1850万円をほ脱したとされています。また、平成19年度分に関しては、税理士に確定申告を依頼していますが、約2億7500万円の過少申告、それに対する所得税約1億1300万円をほ脱したとされています。

「自分で源泉徴収票を確認してインターネット上に打ち込みながら、5000万円収入が少ない金額に気付かないのか」「源泉徴収票を受け取った時や、税理士が作成した確定申告書を確認すれば、2億7500万円少ない収入が記載されていることに気付いたのではないか」というものです。

答えを最初から知っていれば簡単に分かると思ってしまうことも、答えがふせられている場合にはなかなか分からなかったり、あるいはそもそも間違っていると思わなければ、間違いを見つけることはできないものです。

テレビで芸能人がだまされるどっきりカメラを見ていると、架空の番組の打ち合わせと称して、アイドルが変顔させられたり、大御所芸能人が変な振り付けの踊りを踊らされても、彼らは全く疑っていないので気付きません。彼らにとっては番組の打ち合わせは日常であり、日常の中の繰り返しには疑問をはさまないものです。

国税局や検察の取調べでも、「給与明細・源泉徴収票を確認しない人はいない」「なぜ税理士の作成した書類を確認しないで押印するということがあるのか」と問われ、同じような疑問を人からぶつけられたこともあります。それに対し、「いや、私はそうではない」と言ってもなかなか納得してもらえないのは、それが彼らの思い込みだからです。

それが納得できないほど思い込みが強いからこそほかの事実が受け入れられないということに思い至れば、「源泉徴収票の金額が間違っているなど全く想定しなかった」という思い込みがあれば、数字の間違いになぜ気付かないかということが分かるはずです。

これは「予断」と言ってもいいものです。人は予断があれば、それ以外の判断を排除する傾向があります。つまり「人は見たいものしか見ない」ということです。

捜査権力は、この予断を持つように訓練されていると言えます。被疑者は犯罪者であり、自分の保身のために嘘をつくものだ、という予断をもって捜査に当たります。ゆえに真実が見えてこないのだと思います。

裁判官はさすがにそうした訓練はされていませんが、それでも予断を持たざるを得ない環境にあるのではないかと思います。彼らは年間に100件程度の事件を扱いますが、有罪率99.9%という場合には、無罪は10年に1回しか遭遇しません。1/1000の確率であっても、それが命のかかったロシアン・ルーレットであれば、一回一回引き金を引く度に緊張しますが、誤審をしても全く責任を取る必要がない環境で、緊張を保てというのはなかなか難しいと思われます。

私は、税理士が確定申告書類の作成ミスをするなど全く想定していませんでしたし、またプロの彼がするミスを素人の私が見つけられるとも思っていませんでした。それよりも「コストをかけて労力を避けようとしているのに、自分が確認する労力を割くはずがない」と思い、税理士が作成した確定申告書を確認することはありませんでした。しかし、もし仮定で確認したとして、その数字を見ても、そもそも「間違っているはずがない」という予断があった以上、どんなにとんちんんかんな数字が書かれていようが、その間違いを見つけることはなかったと思います。

「思い込み」や「予断」が真実から目を逸らさせるというのは非常に重要なテーマだと思います。

「上申書

私は幼稚園から高校まで八田隆さんの同級生だった者です。

私が八田さんから最初に申告漏れの話を聞いた時の率直な感想は『なぜ億単位の申告漏れに気がつかなかったのか?』ということです。『普通気がつくよね?』と感じ、それに関して八田さんともずいぶんやり取りしました。

私は夫の分を含め、毎年確定申告していますが、その経験から言えば、毎年の誤差範囲であれば間違えていてもなかなか気付くことはできません。実際、これまでも2、3回間違えて税務署から連絡が入り、修正したことがあります。

なので、八田さんの場合もそれが誤差範囲であるなら気がつかないことも理解できると思ったのですが、八田さんによると誤差と言える金額ではないそうで、それならなぜ?と疑問に思いました。八田さんは税理士に確定申告を依頼していたそうですが、私ならたとえ税理士に依頼していても、例年の金額と比べて誤差を超える収入や税額であれば間違いに気がつくと思います。

ただ、確定申告を私に任せている夫は私が説明すればその内容を理解しますが、確定申告の用紙を見ることすらしません。私が計算を間違っていても気付かないだろうし、ましてや税理士に依頼していたら、プロが間違えるとは思いませんから疑うことはないと思います。夫に八田さんの件を話して『あなたなら気付く?』と聞いたところ、『100%気付かないね。』と答えました。夫の場合はたとえ自分で確定申告していても、会社が源泉徴収していると信じていたら、八田さんのように気がつかない可能性が極めて高いと思います。

このように、申告の間違いに気付くかどうかは個人の性格による部分がかなり大きいと思います。

私が八田さんが故意に脱税したのではないだろうと考える一番のポイントは、分かりやすい海外の口座に送金している点です。八田さんほどの知識と知恵のある人が脱税しようと思うなら、もっといくらでもいい方法を考えるだろうと思います。

一方で八田さんの能力や収入を考えると、いくらいい方法があってもわざわざそんな面倒な脱税をして、発覚を恐れて暮らすようなことはしないだろうとも思います。プライドも能力も高い割に案外小心者の八田さんがそんなリスクを負うとは到底考えられません。

私が八田隆でも、そんなことをするよりも普通に仕事をして稼いだ方がよっぽど楽で得な人生だと思いますし、それは今回の話を聞いた多くの人が感じることだと思います。

今回、社員の1/3が申告漏れになったと言うことからも、会社側のアナウンスが不十分であったことは否定できないと考えます。一方で2/3の人たちはきちんと認識して納税していたのですから、八田さんの注意が足りなかったことも間違いないと思います。そういう意味で八田さんの過失はあると思いますが、故意の脱税を疑うような証拠は全くないと考えます。

岸本理和」

ここをクリック→ 岸本理和上申書









ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―





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category: 上申書

2012/09/03 Mon. 08:08 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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