「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (184) 「検察制度の根本的問題 その(1)~証拠の同意・不同意とは」 9/7/2012 

#検察なう (184) 「検察制度の根本的問題 その(1)~証拠の同意・不同意とは」 9/7/2012

私の第四回公判で、弁号証の証拠調請求で弁護側が採用を求めた証拠のかなりの部分が不同意とされました。

これに関し、多くの人から「なんでやねん?フェアじゃないんちゃう?」という違和感ありのコメントを頂き、掘り下げて考えてみることとしました。そして検察制度の根本的問題に思い至り、今回はそれを二部構成で論じてみたいと思います。

第一部の今回は、その「証拠の同意、不同意とは」という各論について考えます。素人考えなのでディテールで不正確な部分もあるとは思いますが、大雑把な議論としては以下のようになると思います。

まず証拠の種類には、供述証拠と非供述証拠があります。読んで字のごとく、誰かの言葉を、その言葉どおりの事実があることを証明するために用いようとする証拠が前者であり、それ以外が後者となります。典型的なものとしては、例えば殺人事件の場合、目撃者の説明を検事が調書化した検面調書は前者であり、被疑者の指紋と被害者の血痕がついたナイフは後者となります。

供述証拠に関しては、法廷での証言を除き、基本的には証拠能力がない(裁判所が証拠として採用できない)と考えた方がすっきりします。つまり基本的には、言葉を記録した調書は証拠にできません。「?」ですか?

それは、供述証拠に依拠しすぎるのは危険だから、法廷の外で作られた供述証拠はなるべく証拠とするのは止めようという考え方(伝聞法則)があるからです。供述証拠は、人間の知覚・記憶・表現・叙述が基になっており、見間違い、記憶違い、言い間違いということがある以上、それは必ずしも信用できない、ましてや供述する人間が嘘をついてる可能性さえあるということによります。

但し、法廷の外でできあがった供述証拠が公判で証拠採用される例外として、相手側が同意した場合があるということです。

つまり証拠はなんでもかんでも相手側が同意しないと公判で証拠採用されない、というものではなく、供述証拠以外のものは基本、相手側の同意がなくても証拠採用されるものです。そして供述証拠に限っては、相手側の同意を前提として証拠採用されるというのが原則です(相手の同意がなくても証拠能力をもつ供述証拠は、後述のような一定の条件を満たした検面調書など、ごく一部です)。

ただし、供述証拠・非供述証拠の区分けは、相対的、かつ、とてもテクニカルです。例えば、新聞記事などは供述証拠にも、非供述証拠にもなり得ます。新聞記事どおりの事実があったことを示すために用いようとすると、新聞記事は供述証拠として不同意の対象となります(私の第四回公判でも、新聞記事の多くが不同意とされました)。

その具体例を挙げます。「カルガモがお堀を引越しした」という報道の新聞記事を証拠請求する場合、もしその報道の内容どおりの事実があったことを立証趣旨とする場合(例えば、「親ガモが先導して、子ガモが10羽いた」という事実を立証したい場合)であれば、これは供述証拠として、不同意の対象となります。しかし、そのような「報道があった」という事実そのものを立証趣旨とする場合は、これを非供述証拠と扱うことができます。

しかし、そのように立証趣旨を限定しても、公判に提出されれば、当然その内容自体も裁判官の目に触れることになるので、この扱いはかなりテクニカルな印象です。

なぜ供述証拠を、不同意によって排除することができるかということの背景は、本来は「とんでもないでたらめの証拠で有罪にされたらたまったものではない」という被告人保護の精神から来ているものです。しかし、「当事者対等の原則」によって、弁護側と同じ権利を検察にも認めたものです。

そして現実には、自分たちに不利な証拠を排除しようという場合に、このことを利用しているような向きが少なからずあるのは、裁判が真実の追求からは離れて、有罪・無罪がゲームの勝ち負けのようになっている以上(検察の、手段を選ばず、何が何でも有罪にするという姿勢を見ているとそうとしか思えません)致し方ないことかもしれません。

次のステップです。

もし提出したい供述証拠が不同意となった場合はどうするか。その場合は、その証拠請求を取り下げて諦めるか、証人尋問を行い、公判での証言でその供述内容を再現するかのいずれかとなります。

証人の心理として、出たくもない法廷で尋問される場合、検察から呼ばれるのと、弁護人から呼ばれるのでは心理的プレッシャーが違うということは全く考慮されていません。

そして最大の問題は、証人が検面調書と異なる証言をした場合です。

検察の取調べにおいて、虚偽の供述をしてもそれのみで罪に問われることはありません。それに対し、法廷で嘘をついた場合には偽証罪とされます。その点では、法廷での証言の方が重視されているのですが、法廷での証言が検面調書と異なる場合で、かつ、法廷証言よりも検面調書の方が信用性が高い(それを「相対的特信状況がある」と呼びます)場合には、例外的にその検面調書には証拠能力が認められます。これが相手側の同意がなくても供述証拠に証拠能力が認められる例外の一つです。

検察が作る調書には検察にとって有利な内容しか書かれていないはずにもかかわらず、法廷での証言より、検面調書の方が信用性が高いといえるかどうかは、本来は慎重に判断しなければなりません。しかし、これまでの刑事裁判では、検察官が検面調書のほうが信用できると主張した場合に、比較的緩やかに検面調書が採用されてきました。

なぜここまで検察にアドバンテージを与える必要があるのか。それを考えた時に、はたと検察制度の根本的な問題を理解しました。

ここで述べたことはあくまで運用上の手続きが多いので、はっきり言えばテクニカルな事柄で、どうでもいいことも多いのです。なぜこのような不自然な制度があるのかという背景の方がはるかに重要です。

それに関しては次回のブログで説明したいと思います。

9/7/2012




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category: 刑事司法改革への道

2012/09/07 Fri. 07:55 [edit]   TB: 0 | CM: 1

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不同意証拠がネット公開された原田國男の裏刑事判決事件
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遂犯無罪 #1S0t/Q7o | URL | 2017/06/05 Mon. 20:25 * edit *

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