「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

09« 2017 / 10 »11
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

#検察なう (187) 「第五回公判報告」 9/15/2012 

#検察なう (187) 「第五回公判報告」 9/15/2012

昨日、第五回公判が無事終了しました。成果は上々です。

第五回公判は、第三回公判に続く、二人目の証人尋問でした。二人目の証人は弁護側証人として、私の確定申告をして頂いた税理士です。

第三回公判は、検察側証人でしたので、ロンドン・オリンピックのボクシング村田諒太選手のように、「あれ、金取っちゃったの」という感じでしたが、今回の気分はレスリング吉田沙保里選手状態でした。「金を取るべくして取る」という状況です。

なぜなら、彼が唯一、税務調査開始以来、この4年近い長きに亘っての全ての状況を把握しており、特に税務調査開始直後、国税局査察部の強制調査が入るまでという、私の故意・過失を見極めるには一番重要な時期に相当な分量の意思疎通を行っているからです。つまり、彼は真実に一番近い人間ということができると思います。

検察が取りうるストーリーには2つの可能性があったと思います。一つは、税理士も共犯であったとする説、もう一つは、税理士は完全に騙されていたとする説です。

彼は、私以外の人間で唯一強制捜査を受けており、国税局・検察は、彼の事務所から資料を押収しています。そして複数回に亘る、国税局及び検察の取調べで、彼の実直な人柄に接し、彼が共犯であるとするストーリーは早晩に諦めたものと思われます。

残る選択肢が、彼は私に完全に騙されて知らず知らずのうちに脱税の片棒を担がされ、虚偽の確定申告をしたというものです。

元々、私は別の税理士に確定申告をお願いしていました。私が毎年書類をその税理士に送って確定申告をしていた気になっていたところ、その税理士から「実は今まで申告していませんでした」という驚天の告白をされ、書類を取り返そうとしたものの、「これからやります」を繰り返すばかりで、全く埒があきませんでした。やむをえず弁護士に相談して、なんとかその税理士から書類を取り戻しました。

税理士に確定申告に必要と思われる書類一式を提出すれば、自分の中では、私の確定申告が完了していたものです。

そしてその弁護士から紹介され、4年分の過年度申告を依頼したのが、今回証言をして頂いた税理士と知り合ったきっかけでした。そして、2008年8月の私の海外移住に伴って、彼の申し出により、納税管理人をお願いしたものです。2008年11月の税務調査開始までは、電話で話すのみで会ったことさえありませんでした。

今回の公判に先立ち、彼とのやり取りのメールを再度チェックして、余りの膨大さに改めてびっくりしました。税務調査開始後のやり取りのメールは200通近くに及び、添付資料の量の多さから、プリントすると1200ページにもなります。

それは、申告漏れの事実が徐々に明らかになるにつれ、けじめをつけようと、私が自分の申告の状況を、自ら完全に洗い出した経緯があったからです。またそれと同時に、問題の株式報酬の申告漏れの実情を把握しようと努めました。税務に関しては全く門外漢であった私をサポートしてくれたのが彼です。

その200通近くのメールを読み返して、自分でもよくここまで調べるだけの気力があったなと思い、またそれに嫌なそぶり一つ見せず誠実に付き合ってくれた彼には本当に感謝をしています。

税務調査直後の税理士とのメールといえば、税務申告に関する最重要証拠であることは説明を要しないと思います。

勿論、その一連のメールは査察部の強制捜査で押収されていますが(彼らが真っ先に差し押さえたのが私のパソコンです)、それに関して、国税局、検察で取調べで問われたことはありません。また今回の法廷でも、検察は証拠調請求を行っていません。その一連のメールは弁護側から証拠調請求され、さすがに検察も不同意し切れなかったものです。

今回の公判では、弁護士により、その一連のメールに関して証拠の主張が行われました。前回公判で、弁号証の要旨の告知で、裁判長から「意見を交えず簡潔に」という指摘があったことは記憶に新しいところです。しかし裁判長の意図するところは、意見を述べてはいけないということではなく、要旨の告知の中でそれを行うのは不適切という手続き上の問題だったようです。

ここをクリック→ #検察なう (182) 「第四回公判法廷画」 

そのため、今回は採用された証拠に関して、その大まかな立証趣旨を証拠の主張として述べました。膨大な量のメールを、何の脈絡もなく渡されても、裁判官も困るだろうという配慮です。ただ、これは本来、弁護士が最後の意見を述べる弁論で行うものです。それを一部先取りすることのデメリットは、真実の追求ではなく、有罪にすることが自分たちの使命だと勘違いしている検察が、自分たちの目的遂行のために、それをつぶす準備をすることです。つまり、我々弁護団は、敢えて自分たちの手の内を見せて、裁判官に真実に近づいて欲しいという意図で、証拠の主張をしたものです。

その主張の結びを引用します。

「そして、重要な点は、このような被告人の無実を証明する証拠の存在および内容を東京地検特捜部は十二分に認識しながら、その証拠価値に関する捜査を行っていないという点です。

仮に、特捜部が真実被告人を故意犯であると認識していたのであれば、当然、故意犯であるとしたら説明のつかない本件証拠について被告人に取調で問い質し真実の追及を行っていたはずですが、特捜部の目的は真実の追及ではなく被告人を有罪に陥れることであったために、故意犯であるとしたら説明のつかない証拠については、あえて取調でも聞かず、被告人が無実であることが調書上明らかにならないように工夫していたということです。

従って、本件証拠は、被告人の無実を証明するだけでなく、特捜部が被告人の無実を知りながら故意にことさらに起訴をしたという公訴権濫用の実態を証明するものでもあります。」

私は、これまで何度も、捜査機関は優秀であると述べてきました。その優秀な捜査機関が、真実に到達しないわけはなく、ただその真実が自分たちに都合の悪いものであったため、彼らはそれを捻じ曲げてきたと主張してきました。権力を恣意的に悪用しているというものです。それがここで述べられている「公訴権濫用」です。

税理士の質疑では、やはり税理士ならではの税務に対する深い理解、鋭い感覚に基づいた証言がなされました。

税務調査開始前に4年分まとめて行った過年度申告や、私が自分で行った確定申告での期限後申告(私が自分で行った確定申告は、締め切りを一日過ぎたため、期限後申告となっています)は、それだけで税務署の目を引くものであること。そもそも申告の意思が強くなければ、税理士の過怠で無申告となった年度の過年度申告はしないこと。源泉徴収票には、会社の支払う給与の全てが含まれると考えることは自然であること。海外口座に支払われるものであっても(私の株式報酬はアメリカの口座に支払われていました)、会社は源泉徴収すべきであるということなどです。

特に、なぜ海外口座に支払われる給与も源泉徴収の対象とすべきか、ということに関して、「そうしなければ、国内企業が、従業員に海外に給与受取口座を開設させ、海外の関連会社を通じて給与を支給すれば、源泉徴収義務を免れることができてしまいます」という主張は、なるほどと思ったものです。

また、私がクレディ・スイスで働いていた頃は、電話もろくに取れない程忙しいことが多かったという経験も証言しました。

これまでの傍聴をしてこられた方には、着実に真実が明らかにされ、検察の牽強付会の論理のもろさが露呈してきたことを感じ取ることが出来ると思います。

検察は創造主ではありません。無から有を作り出すことは不可能です。しかし彼らがその幻想に溺れていることが、我々の悲劇です。検察が正しくなければ日本に正義はありません。是非とも彼らに自分たちの過ちを気付いてほしいものです。

9/15/2012











ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

ここをクリック→ #検察なう 冤罪と戦う八田隆を支援する会





TwitterやFacebookでの拡散お願いします。

category: 刑事裁判公判報告

2012/09/15 Sat. 09:32 [edit]   TB: 0 | CM: 2

go page top

この記事に対するコメント

八田君
”確定申告をしていた気になっていたところ”
というところでもうアウトで
社会人としての責任をはたしていないのではないだろうか?
大半は過失なのだろうけど
他の人たちはちゃんとやっているのをご存知ですか?
もう、書き込みはしないけど
出直されることを祈ります。

すまんけどとくめい #- | URL | 2012/09/16 Sun. 01:24 * edit *

「とくめい」さんへ

過失だとご理解頂きありがとうございます。

「社会人としての責任をはたしていない」と言うことに関しては、既にその過失以上の断罪はされているものと思っています(外資系証券業界全体で数百人単位の私と同じ株式報酬の申告漏れは修正申告で済んでおります)。

サラリーマンが税務に関し「ちゃんとやっている」ということが、会社が源泉徴収をしている以上のどの程度のものなのかは分かりかねます。税金を払っていたという点では、社会人の20数年において、人様の数十倍の税金を払っていたという自負はあります。

そして「出直す」ということに関しては、捜査権力の不正を暴き、冤罪をなくすことに尽力することが今私に課せられた使命だと思い、必死の覚悟で臨んでいます。

ブログを読んで頂きありがとうございます。これからも温かく見守って下さい。

八田

> 八田君
> ”確定申告をしていた気になっていたところ”
> というところでもうアウトで
> 社会人としての責任をはたしていないのではないだろうか?
> 大半は過失なのだろうけど
> 他の人たちはちゃんとやっているのをご存知ですか?
> もう、書き込みはしないけど
> 出直されることを祈ります。

八田隆 #- | URL | 2012/09/16 Sun. 01:56 * edit *

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://fugathegameplayer.blog51.fc2.com/tb.php/390-42d5c44c
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top