「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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上申書 (23/60) 福留浩太郎 

上申書 (23/60) 福留浩太郎

裁判所に提出する目的で、私の知人・友人に「あなたが裁判員になったとしたら」という観点で上申書を書いてもらうことを依頼しました。1ヶ月で60通の上申書が集まりました。ところが上申書の裁判所提出は検察の不同意で阻まれ、それはかないませんでした。彼らの正義を希求する声を無駄にしないために、本人の了承を得た上でブログでの実名公開に踏み切ります。

ここをクリック→ #検察なう (183) 「上申書に関して」

私は、2008年3月に申告書を提出した2007年分の確定申告で2億7500万円をほ脱したとされています。

それがありえないということを確信をもって感じることが出来る人間を一人挙げろと言われたら、私は迷うことなく彼の名前を挙げると思います。

我々二人は、その前年2007年の9月に前後してベア―・スターンズ証券に入社し、債券部共同営業部長として戦火をくぐり抜けた戦友だからです。

私は外資系証券に足かけ21年いましたが、ベア―・スターンズ証券入社後、会社が合併吸収されるまでの6ヶ月間が最もプレッシャーが大きく、最も忙しかった時間でした。

あまりの多忙さに、前年自分で四苦八苦してやった確定申告(それはその前年までの確定申告を前任の税理士が懈怠で申告していなかったため懲りたという特殊事情があったためですが)を、またやろうなどという気は全く起こらず、今思い起こしても、よく書類を税理士に提出することができたな、というくらいでした。

ベア―・スターンズ証券は、ゴールドマン・サックス証券、モルガン・スタンレー証券、メリルリンチ証券、リーマン・ブラザーズ証券に次ぐ、全米第5位の証券会社でした。ところが他社に比べ国際市場での出遅れが顕著で、そのテコ入れとして東京オフィスでは一大改編が行われ、その目玉が我々二人を同時に債券部共同営業部長として据えることでした。それまでは事実上空席(トレーディングとセキュリタイゼーション・グループのヘッド二人が兼任)で、長らくそのポジションの人間を探していたものです。

私のバックグラウンドが外債トレーディングであり、円債セールスというバックグラウンドの彼とのコラボレーションは、互いに補完するように機能しました。最初から人としてもウマが合い(なかなか両雄並び立つというのはこの業界では珍しいことです)、困難な大事業に一致団結して当たれました。

その当時、中国市場がアメリカの証券会社にとって国際市場では最重要市場と目されていましたが、各社苦戦していました。資本提携でお金は出すものの、ビジネスになかなかつながらなかったためです。ベア―・スターンズ証券は後発でありながら、先を行く競合他社をぶっこ抜く戦略を取りました。それが中国の証券会社(中国第4位のCITIC証券)との合弁会社設立です。

ここをクリック→ ベア―・スターンズ証券、中国CITIC証券と合弁

東京オフィスもその合弁会社の傘下となり、中国ビジネスを日本の投資家に供給するベストポジションにいきなりつけるという外資系証券会社の中での大躍進でした。

既存スタッフも、個人プレイヤーとしては、上がっていた数字以上に優秀な人材が多く、それまで会社がうまくいっていなかったのはフランチャイズ・バリューとチームとして顧客に当たるマインドの問題だと思ったものです。短期間の間にセールスのチームを倍増して、東京でも躍進するというまばゆいばかりのビジネス・チャンスに、二人してそれこそ粉骨砕身、日々の業務に没頭していました。

その会社が突然死したのは、入社わずか6ヶ月のことでした。私は、ロンドン出張に行っており、帰国して降り立った成田空港で買った新聞で、自分の会社が吸収合併されることを知りました。金融機関が破産するには時間は入りません。銀行が大規模な取り付け騒ぎに合えば、数日持たないのと同様、証券会社も短期の貸付を引き上げられれば、アメリカ第5位の証券会社といえども1週間はもちませんでした。

リーマンショックに先立つこと半年前、サブプライム問題に端を発する金融恐慌のまさに第一波でした。世界規模の激震の予兆がその時既にあったということです。

外資系証券マンとして120%の力を出し切って全力疾走していたまさにその時、そしてあの人生最大のチャンスを目の前にして、「脱税?ありえんね」ともし立場が彼と逆だったとしても私は言下に言い切るだけの自信があります。

彼の上申書はそうした背景で書かれたものとご理解頂ければ、より納得して頂けると思います。

「上申書

私は八田隆氏とは2007年8月に都内のホテルのレストランで初めて会いました。私と彼は同年9月からベアー・スターンズ証券会社東京支店にて共同債券営業部長として就任することが内定していました。その時は我々2人の顔合わせの機会でした。スーツ姿の私とは対照的に八田氏はやや派手な出で立ちで、スーツではないその服装に当初驚いたことを憶えています。一方、語り口は明快で、かつ裏表のない性格だということがすぐに分かりました。
 
当時、私は故郷にいる末期がんの母の介護をしていたため、東京と九州を行き来する日々を送っていました。そして、ベアー・スターンズへの入社直前にその母が他界し、私の出社日は1週間ほど遅れることとなりました。その間、海外からの来訪者の応対や顧客訪問を私の分までひとりで精力的にこなしてくれた八田氏の思いやりに私は感謝の気持ちでいっぱいでした。さらに、母の葬儀には代行として社員を1名派遣し、供花もいただきました。彼はそのような心配りのできる人です。
 
その後、ベアー・スターンズ証券がJPモルガンに吸収合併され、我々二人も会う機会が減りました。そんな中、金融業界の知人から八田氏の脱税報道の話を聞きました。正直、私は耳を疑いました。八田氏と共に働いたベアー・スターンズ時代、彼は社員による経費の無駄使いや不正使用について、強い改善意欲を示し、その発生防止に心を砕いていたからです。その人が自ら故意に申告しないというのは考え難いことです。また、普段の彼の正義感の強さに触れた経験のある者として、彼がそのような行為に及ぶことは想像だにできません。
 
私自身も外資金融業界に15年超の期間勤め、税務申告の難しさを痛感してきました。1990年代には税務署に申告方法を確認しようとしても正しい見解が得られず苦労しました。それほど一般的申告制度からは乖離した制度だったと言えます。
 
さらに、外資金融業界に対する世の中の偏見のようなものも常に感じてきました。「金の亡者」や「金のためなら何でもする」など、陰に陽によく批判されてきたものです。しかし、邦銀から転職してきた私から見て、それはほんの一握りの人あるいは事象のみを取り上げて全体の印象を形成された感が強いのです。私の周囲には真摯に業務に取り組み、顧客のために奉仕する外資金融業界の人々がほとんどでした。八田氏もこういう人々のうちの一人です。

業績がいい、収入が多いということで世間から叩かれることは日本の悪しき特徴のように思います。今回の裁判において、外資金融業界に対する、あるいは高額所得者ということに対する偏見および批判が、判断基準の基礎とならないことを祈っています。個人的にはそうでないことを信じています。
八田氏が故意に脱税しようとしたか否か、これは本人にしか分からないことではありますが、リーマンショック後の厳しい環境の中、共に顧客のために奔走し、共に社内改革を進めた同志として彼が故意ではなかったことについて強い確信があります。
 
さらに、もし私が裁判員であった場合、かつ八田氏をよく知らない立場であった場合でも、本件の状況を鑑みて、彼が故意であったことを立証できる根拠は極めて薄いという印象を持たざるを得ません。300名の対象者のうち100名にも及ぶ申告漏れがあった事実、人事部が十分な説明をしていなかったことを認めた事実は、本件を考える上で、重大な判断の根拠となり得るものだと考えます。依って、私の判断は、八田氏は無実です。
 
正しい納税は国民が順守すべき義務です。故意か否かに依らず、申告漏れがあったことに対する責任はあると考えます。ただ、この点につきましても八田氏は社会的制裁は既に十分に受けていると思います。故意か否かの根拠が曖昧なまま、これ以上彼を追求することに社会的意義があるとは私には思えません。
 
何卒、公明正大なるご判断をお願いいたします。

福留浩太郎」

ここをクリック→ 福留浩太郎上申書















ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―





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category: 上申書

2012/09/23 Sun. 17:20 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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