「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (220) 「東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点~Part I~検察による証拠隠蔽という犯罪行為」 11/22/2012 

#検察なう (220) 「東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点~Part I~検察による証拠隠蔽という犯罪行為」 11/22/2012

(強制捜査から1437日)

散々報道されている東電OL殺人事件ですが、私なりに総括すべく、「東電OL殺人事件に見る刑事司法の問題点」と題して、二回に分けて論じてみたいと思います。

その一回目は「検察による証拠隠蔽という犯罪行為」です。

まず東電OL殺人事件で、ゴビンダさんが無実を勝ち得た再審制度を確認しておきます。

日本の司法制度が三審制に基づいていることは勿論ご存知だと思います。そして最高裁まで審理を経て確定した判決に対し、再審理をすることを「再審」といいます。

再審について定めた法律は、刑事訴訟法第435条で、その6号には次のように定められています。

「無罪を言い渡すべき明白な証拠が新しく発見された」場合に再審を開始するとあります。

ゴビンダさんは、この刑事訴訟法の条文にある「新規明白な証拠」が見つかったため再審が行われ、無罪となったと思われている方も多いと思います。

報道を注意深く読んでいる方の中には「いや、新しい証拠といっても、実は検察が元々もっていたサンプルを新たにDNA鑑定して判明した事実なんだよね」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。

もしあなたがそう思っているのであれば、それは、被害者の膣内に残された精液を新たにDNA鑑定した結果、殺害現場の室内に残された陰毛と同じDNA型が検出されたことを指していると思います。

そしてそのDNA型検査がこれまでなされていなかったことを、「初動捜査の誤りだったんだな。最初から調べていればよかったのに。」と考えているとしたら、問題の本質を見誤っていると私は考えます。

事実関係を整理します。

2005年3月の再審請求以来、弁護団は粘り強く証拠の開示を請求してきました。そして6年経た昨年3月、検察はようやく42点の証拠を開示し、そのDNA鑑定が行われることになりました。

そして昨年7月、この鑑定から、確定判決を完全に覆す新証拠が発見されました。それが先に述べた、被害者の膣内残留の精液のDNA型と殺害現場から発見された陰毛のDNA型の一致でした。

事件のことを少しご存知の方は、ゴビンダさんが犯人とされた有力な証拠の一つが、殺害現場の室内のトイレに捨てられたコンドームの中の精液のDNA型が、ゴビンダさんのものと一致したことであることはご承知かと思います。

「ん?なんでいつか分からない、もしかしたら殺害の随分前に捨てられたかもしれないトイレのコンドーム内のDNA鑑定をわざわざしながら、被害者の膣内残留という、犯人に一番近いであろう精液のDNA鑑定をしなかったのだろう。」と思われた方には、座布団一枚です。

それに対し、「あー、それはね、その精液の血液型はO型だったのだけど、犯行当日被害者は常連客の男性を客として取っていて、彼の血液型がO型だったんだよ。で、彼にははっきりとしたアリバイがあったから、彼は容疑者リストからは最初からはずされてたんだ。で、警察・検察は、その常連客の精液だと思い込んだってのが、DNA鑑定をしなかった理由なんだよ。それが大きな間違いだったんだけどね。」と答えた方に、もう一度、先の疑問を問い直してみて下さい。あなたの答えは、単に警察・検察の言い訳だと思いませんか。

私は、そうした理由を聞いたときに、それは実に不自然なものだと思いました。捜査当局が、血液型がB型のゴビンダさんを犯人とするために、意図的に検査をサボタージュしたのではないかと考えました。そして、それはしかも、もし捜査当局がDNA検査をして、ゴビンダさんのものではないという結果を得ていたにも関わらず、それを隠していたということがなかったとしたらという場合です。

それほど私には、捜査当局が間抜けにも被害者の膣内残留の精液のDNA鑑定をしなかったということが信じられませんでした。日本の捜査当局は、かなり優秀だと私は思っています。

それで、私は今年7月16日に開催された「無実のゴビンダさんを支える会 再審開始決定報告集会」に出席した際に、ゴビンダさん弁護団の弁護士に質問をしました。

私は、膣内の残留精液から、被害者と未知の男性(証拠番号から「376の男」と呼ばれます)の2人分のDNAしか検出されなかったことに着目しました。

「常連客の男性は、犯行当日、コンドームを付けることなく性行為をしたことを証言しています。なぜ彼のDNAが検出されなかったのでしょうか。つまり、膣内からは2人ではなく3人分のDNAが検出されるべきなのではないでしょうか。2人分のDNAしか検出されていない以上、常連客の偽証の可能性があるのではないでしょうか。」という疑問を問いかけました。

そのココロは、「常連客はコンドームをつけてたんじゃないの?そういう偽証をするメリットはその常連客にはないはずだから、それは捜査当局が偽証させたんじゃないの?もっと言えば、捜査当局は初めからゴビンダさんが犯人でないと分かってたんじゃないの?」という意味の質問でした。

弁護士は、私の質問の意図が読めなかったようで、「被害者はその常連客との行為の後シャワーを浴びたと証言があるので、完全に洗い流されたのではないか。常連客が偽証をすることは考えにくい。」との回答でした。

おいおい、それって検察の言い分でしょ。弁護士ならなんでそこを疑わんの?と思ったものです。

そこで登場が、冤罪File記者の今井恭平氏です。彼が言ったことは衝撃の事実でした。

「そんなことは重要じゃないよ。重要なのは、事件直後の捜査の段階で既に、被害者女性の口唇や乳房にO型の唾液があったことを警察・検察が知っていたことだよ。」

ここをクリック→ #検察なう (166) 「無実のゴビンダさんを支える会『7・16再審開始決定報告集会』」

検察は、昨年3月の証拠開示に続き、9月にも追加の「新証拠」を開示します。3月の証拠開示の時点では、「DNA鑑定可能な証拠はこれで全てである」と言いながらです。つまり最初の証拠開示は、自分たちに極めて都合の悪いものだったと分かった途端に、後出しジャンケンをしようとしたということです。

しかしこの後出しジャンケンも、こっちがグーを出してるのに、チョキを出してくるようなものでした。

被害者の左右の乳房付近と口唇周辺から唾液が検出され、その血液型がO型であることが判明していた、というのがそれです。その唾液の血液型鑑定は、事件から半月後で、「ゴビンダさん逮捕の1ヶ月半も前」のことです。

よく考えて下さい。被害者は常連客を客として取った後にシャワーを浴びています。乳房付近や口の周りの唾液などは、完全に洗い流されてしまうはずです(膣内の精液を洗い流すより難易度は低いことは言うまでもないでしょう)。

被害者女性の遺体にO型の血液型の唾液が各所から検出されているという事実だけで、「犯人は最後に被害者と買春客として接した血液型O型男性の可能性が高い」と100人の人に聞けば、100人が答えるのではないでしょうか。

つまり、DNA鑑定をするまでもなく、検察が15年前に持っていた証拠で、十分に血液型B型のゴビンダさんが犯人ではないであろう(少なくとも合理的な疑いは入る)ということは分かっていたものです。

この証拠を始め数々の重大な証拠、ゴビンダさんが犯人ではないと「合理的な疑いが入る」に足る十分な証拠を検察が隠していたことは、証拠の捏造と全く同じことです。無辜の者を罪に陥れる、完全な犯罪行為です。

もう一度言います。

東電OL殺人事件の被害者女性を殺害した真犯人は、数々の証拠から「376の男」であると思われますが、その真犯人は野放しにされています。そしてゴビンダさんを被害者とする「もう一つの東電OL殺人事件」の犯人は、検察の中にいながら、これも刑事追及されずに野放しにされています。

これが犯罪を摘発する強大な権力をもった捜査権力の真の姿であり、冤罪を作り出すリバイアサンに我々は怯えて暮さなければならないというのが現実なのです。

郵便不正事件や、陸山会事件の虚偽捜査報告書問題という一連の検察不祥事でも全く自浄能力を見せず保身に務める検察からは、「彼らが常に正しい」という前提に立った強大な権力を剥奪しなければ我々国民の安全、平和は望めません。

検察が、異常なまでに強大な権力を持っていることの背景については以前のブログで書いたところです。

ここをクリック→ #検察なう (185) 「検察制度の根本的問題 その (2)~国民の信頼こそが検察制度の基礎」

我々は「人は過ちを犯すものである」という当たり前のことに立脚した制度作りを考えなければならないのではないでしょうか。

次回は、第二部として「再審制度の限界」について述べさせて頂きます。

参考資料
冤罪File 第14号 (2011年9月発行) 「真犯人は別にいた!『東電OL殺人事件』検察の証拠隠しがまたもや発覚!」 本誌検証取材班
冤罪File 第17号 (2012年9月発行) 「『東電OL殺人事件』裁判所に届いた15年の無実の訴え」 今井恭平

11/22/2012











ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 「20分で分かる『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』~日本の司法を正す会動画ダイジェスト版」


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category: 東電OL殺人事件

2012/11/22 Thu. 07:54 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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