「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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冤罪ファイル その7 「山梨キャンプ場殺人事件」 

冤罪ファイル その7 「山梨キャンプ場殺人事件」

注目してほしい最高裁判決が12月11日にあります。1審、2審で死刑判決を受けた元建設会社社長、阿佐吉広被告の上告審判決です。

この事件は、客観的物的証拠がなく、関係者(3人の共犯者及び1人の目撃者)の証言が証拠となって死刑の判決が下されています。ところが、目撃者は早くに証言を翻し、「不本意ながら検察の意向に沿った」証言であることを報道機関に訴えています(後述の記事参照)。

そして今回の上告審に際し、弁護団が新しい証拠として、共犯者の1人による「被告人は犯人ではない」という陳述書を提出しています。

つまり有罪の決定的証拠とされた関係者の4人の証言のうち、2人までもが証言を翻して、被告人は犯人ではないとしました。

これに対し、検察は、上告審は事実認定を争うものではなく、下級審の判断が憲法違反ないし判例違反に当たるかどうかの審理をするものであるため、上告棄却をすべきであると主張しています。

検察の大概の無法ぶりには免疫ができた私も、冤罪の可能性がある者を死刑にしろ、という検察の思考回路には、さすがに驚いてしまいます。これに対し裁判所がどういう判断を下すかどうかが注目されます。

<事件経緯>
建設作業員2人が殺害され、山梨県の山中に埋められました。3年半後に警察に情報が寄せられ、死体が掘り出されました。そして犯人として逮捕されたのは、彼らを雇い、工事現場に派遣していた派遣会社の社長でした。この会社は労働者への給料の不払いがあったとして、労働争議団に押しかけられたこともある、いわく付きの会社でした。

裁判でこの社長は無実を訴えましたが、「社長がワンボックスカーの中で首を絞めている姿を見た」「社長に命じられて殺害を手伝った」という証言が採用され、死刑が言い渡されました。「従業員寮で刃物を持って暴れた男とその連れを、怒った社長が山の中で首を絞めて殺した上、部下を使って埋めてしまった」というのが、検察が主張し、また裁判所が認めた事件のあらましです。

当初の報道の抜粋を掲載します。

ここをクリック→ 山梨キャンプ場殺人事件

当初の報道の多くでは、いかにこの建設会社が劣悪な労働条件で労働者を酷使していたかという「悪者作り」の報道が集中的になされたようです。

<裁判経緯>
殺人・傷害致死等で起訴 (2004年) -> 殺人に問われた共犯に懲役9年、その他の共犯に執行猶予判決 (2004年) –> 一審死刑判決 (2006年) –> 控訴棄却 (2008年)

共犯者の審理がスピーディーで、処罰が比較的軽いところが一つのポイントです。

<争点>
被告人にはアリバイがあります。殺害の当日とされる2000年5月14日は母の日でした。この偶然が、事件の発覚まで3年半の時間が経過してもアリバイが特定できた理由です。

被告人は、その日、夕方から家族及び前の日から泊っていた長女の親友と一緒にいたことが、証言で明らかになっています。母親に贈る花を買いに行くために、父親の被告人を電話で呼び寄せ、花を買った後、家に一緒に帰り夕食を共にしたということが、長女の手帳の記録、関係者の記憶から証言されており、犯行時間とされる午後7時頃には被告人は家にいました。

それでも裁判所は、共犯者3人の供述を持ち出し、「被告人がキャンプ場に来たことなどを一致して証言し、アリバイ証言の内容を聞かされた上でも従前の証言内容を維持した3人の証言等の対比からして信用することはできない」という意味不明の理由で、このアリバイ証言を切り捨てています。

この共犯者3人も、その初期の証言では、被告人が殺害現場にいたという証言は一切しておらず、変遷に変遷をかさねた最終段階の証言で、被告人が殺害現場にいたと一致したものです。それは検察の並々ならぬ努力のたまものというべきものです。

偽証している彼らが、被告人のアリバイ証言を聞いて、「嘘をついていました。すみません。」などと言う訳もなく、「アリバイ証言を聞いても従前の証言を維持した」ということに何の意味があるのか、私には全く理解できません。

<論評>
一審において、キャンプ場で被告人を目撃したと証言したキャンプ場の管理人は、一審の死刑判決後、その証言を翻します。

そのキャンプ場管理人の言葉です。
「実際にはすれ違ったことなどないのに、なぜすれ違ったことにしたかというと、私のところに取調べに来た検事から『橋のところで社長と会ったことにしてくれ』と言われたためです。私としては変なことを言うなと思いましたが、大したことではないだろうという思いがありましたし、また、友人であった~さんを阿佐社長らが殺したと思って、恨んでいたこともあり、検事の言う通り、橋のところで阿佐社長と会ったことにしました。」

それを報道したのが、以下の記事です。

ここをクリック→ 「検察の意向でうそ」

このキャンプ場管理人の証言があっても、高裁では一審の死刑判決が維持されました。いかに裁判所というところが、検察の言うことを信用して、そのほかの事には耳を貸さないかということがよく分かります。

そして被告人弁護団は最高裁に上告します。その上告に際し、弁護団は、さらに共犯者3人のうちの1人から得た、被告人は殺害現場にいなかったとする陳述書を新証拠として提出しています。

ここをクリック→ 「被告は現場にいなかった」

上告審では、下級審の判決が憲法違反あるいは判例違反であるかのみを判断するのが原則とはいえ、死刑判決の場合、人の命が関わっています。それを手続き上の制約だけを理由に、審理する必要なしという検察の感覚には、およそ正義とはかけ離れた病的なものを感じます。

裁判所がバランス感覚を失っていないことを望むだけです。判決は12月11日です。ご注目下さい。

参考資料 冤罪File No.15 山梨キャンプ場殺人事件 「被告のアリバイが証明されても有罪!? そして死刑が言い渡された!!」 里見繁

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ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―





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category: 冤罪ファイル

2012/12/03 Mon. 07:00 [edit]   TB: 1 | CM: 0

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