「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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日刊ゲンダイ 実録「マルサの事件簿」 7/12/2011 

日刊ゲンダイ 実録「マルサの事件簿」 7/12/2011 

クレディ・スイス集団申告漏れ 第2回


 社内の賞与制度「ファントム・ストック(FS)」で得た所得を、取得対象者の約3分の1に当たる約100人が税務申告していなかった「クレディ・スイス(CS)証券」。会社から社員に与えられた自社株に税務申告の義務があることは社内で周知徹底されていなかったのか。

 FS制度に基づく親会社「クレディ・スイス・グループ」の株式は、社員が米国のCS系証券会社に設けた証券口座に振り込まれる。

 「日本の会社が日本で社員に支払う分については、会社に源泉徴収の義務がありますが、海外で支払う分についてはその義務はない。かと言って『確定申告しなさい』と会社から指導された記憶もない。だから、あれだけ大規模な申告漏れが起きてしまった」CS証券の元社員が話す。

 「クレディ・スイス・グループ」の株式が、賞与としてCS証券社員に与えられるのは年に1回。社員は毎年1月、「クレディ・スイス・グループ基本株式プラン」に沿って会社と交渉し、与えられる株式数を決める。その数や振り込まれる月は毎年異なっており、株式が証券口座に振り込まれるとA4サイズ1枚の通告文(覚書)が当人に送られてくる。全文が英語で書かれた覚書のうち、税務申告に関する部分はこうなっている。

  「かかる株式の交付について、雇用する側は所得税の報告や源泉徴収を求められておらず、将来のある時点で日本の国税当局から詳細について尋ねられる可能性があることに留意して下さい。そのような場合、われわれは貴殿に別途ご連絡することなく、この覚書に記載された情報を国税当局に提供します」「こうした報酬に対する税務上の取り扱いや、所得税の申告義務に従うために取るべき手順について、個別に助言を受けられることを強くお勧めします」

 原文は英語独特の何とも持って回った表現だ。①会社に源泉徴収の義務はない②税務上のことは専門家に相談せよ―ということを言っているのだが「源泉徴収していない」とは書かれていない。

  「専門用語で『ディスクレーマー』と呼ばれる、法的責任を回避するための文言です。しかし、この覚書自体が株式の振り込みから2、3週間後に社内便で配布されるものなので、すでに株式を売却していればわざわざ読んだりしません」(元社員)

 CS証券は多数の社員の申告漏れが発覚した当時、マスコミ各社の取材に「当社としては適正に申告するよう指導している」と話していた。

  これについて前出の元社員は、憤懣やるかたない表情でこう話す。「『会社が税金を源泉徴収するものではない。税務に関しては専門家に相談しなさい』という非常に消極的な文言をもって『指導している』と言っているわけです。でも、同じような賞与の仕組みを採用している会社の中には、社員向けの税務セミナーを開いたり、確定申告の時期になると社員に申告するよう何度も通知して、周知徹底させているところがある。CS証券では、そんなことは一度もありませんでした」

  税務署では「外資系金融機関に勤めていて学歴も高いのに、本当にこんなことも知らないのか」と言われた社員もいた。

  「金融の知識と税務の知識は全く別物。整備された源泉徴収制度にどっぷりつかっていて、親会社の株式を海外でもらうのが初めてなら、教えてもらわなければ分かりません」(元社員)

  こうした思いはあったものの、税務署に呼び出されたCS証券の社員のほとんどが修正申告した。約100人分の申告漏れ総額は約20億円、追徴税額は過少申告加算税を含めて数億円に上った。
(つづく)

ここをクリック→ 日刊ゲンダイ記事 「実録 マルサの事件簿」


 

category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2011/07/12 Tue. 05:28 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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