「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (266) 「最終弁論解説・了 ~ 検察論告に対する反論 (4)」 2/22/2013 

#検察なう (266) 「最終弁論解説・了 ~ 検察論告に対する反論 (4)」 2/22/2013

(強制捜査から1529日、判決まであと7日)

最終弁論解説における「検察論告に対する反論」の最後の論点です。

(3) 「被告人が、そもそも源泉徴収票の金額に含まれ得ない利子収入、株式売却益、不動産収入等についても認識しながら申告を行っていなかったこと」に対する反論

これは株式報酬以外の申告漏れに関するものです。

私は、毎年数千万円の納税を20年続けてきて、国民の一人として十分に納税の義務を果たしてきたと思っていました。その自負は今でも全く変わっていません。

「正しい納税をしていたと思うか」という質問に対する答えは微妙です。

私は、税金に関する関心が極端に低かったので、例えば郵便料金で言えば、「普通郵便料金で済むかどうか分かんないな。80円か90円だろうけど、120円貼っとけばいいだろ。」という感じです。それが実は150円だと困るので、私は税理士に依頼していたという感覚です。

通常、税務に関心が高いとなると、節税に意識が向かいますが、私はその税理士に節税対策をお願いしたことは一切ありませんでした。

つまり、節税をきっちり駆使して、上の例で言う「90円を払う」のが正しい納税であったとしても、全く意に介しなかったといったものです。

外資系証券に従事していると、とにかく時間の有効利用が最優先事項です。勿論、経済的なリターンは追求しますが、それは節税というみみっちいものではなく、「働いて稼ぐ」というもっとダイナミックなものです。

結果、納税額が高くなっていたわけですから、これは私個人にとっても、国の税収にとっても「win-win」の状況だと思われます。つまり、国にしてみれば「税金のことなんか気にせず、一生懸命働け」というのが、効率論から言えばあるべきものだと思います。

勿論、それで申告漏れということが起こると困るので、国家の方策として選択されたのが、給与所得者に対する源泉徴収制度だと思います。

私は、その制度になんら疑問を感じることなく、営々と年間数千万円もの納税を20年続けてきたにも関わらず、いきなりはしごをはずされたのが今回の事件です。全く納税者を馬鹿にしていると感じたものです。

なおかつ、役所のメンツにこだわったこの4年以上の捜査の税金の無駄遣いたるや、全くナンセンスなものです。

少し言い過ぎました。元に戻ります。

まず、強制捜査の際に、私が疑われたことは、仕方ない部分もあると思っています。査察部は、強制捜査の前に十分な内偵を行っていると思われがちですが、彼らに海外口座の捜査権はないため、私の海外口座での運用の状況が分かっていなかったことが大きな誤算でした。

「こいつは海外口座を持っている。しかし、過去の確定申告にこの口座の運用益が全く申告されていない。この口座を隠す意図はそれで立証できる。」

受け取った株式を売却し、その売却金をこの海外口座に送金していた事実を税務調査開始後に知った時は、彼らは小躍りしたと思います。

「これは海外送金を行って、仮装・隠蔽を図っている。実に簡単な事件だ。」

ところが実際には、私は、この海外口座で金融商品を買い持ちしていただけで、全く売却実績がなく、過去に申告すべき譲渡益がなかったということまでは、内偵段階では分かっていなかったものです。

私は、会社に在籍していた頃は、外資系証券業界にいることで雇用において相当のリスクを取っているという認識から、自己資金の運用は、コンサバ一辺倒で、FX取引や株式取引の売買で利ザヤを稼ぐような運用は全く行っていませんでした。この辺りは、個人の投資哲学の問題だと思います。

いわゆる(アクティブ運用に対する)パッシブ運用というもので、一方向のリスクを取らないよう、分散投資をすることで、リスクを中和しつつ安定したリターンを目指すというのが、当時の運用スタンスでした。つまり私の運用は、分散効果を勘案しながら買うだけで(そのためにスプレッドシートを作って、分散比率を計算していました)、「買って売る」という、税務処理が必要な運用は全くしていなかったものです。

それでも、先に述べたような税務に関する関心の低さですから、国税局がギリギリ重箱の隅を突く様な捜査をすれば、個人の運用においても、いくつかの申告漏れは出てきます(源泉徴収されていると思った債券や預金の利子収入です)。

私は、税務調査開始後、その捜査を待つことなく、税理士の力を借りながら、彼と多大な労力をかけて自らの申告漏れを洗い出しました。勿論、その頃は、まだ税務調査が始まったばかりで、告発とか起訴とかそんな大袈裟なことになるとは、微塵も思っていなかったのですが、こんなことなら、あれほど苦労して、資料を取り寄せたり、数字を集計して、自分の申告漏れの状況の把握に努める必要もなかったなあ、と馬鹿馬鹿しく感じてしまいます。

ということで、実際に、株式報酬以外の申告漏れもありましたが、自分としては故意でやったつもりは全くありません。税務に関する関心の低さゆえのミスです。預金口座の利子の課税なんて意識したこともありませんでした。普通あります?税務に勘どころのある人にとってみれば「そんなもん当然じゃん!」ということなんでしょうけど。

株式報酬の譲渡益に関して付け加えます。

現物株式は4回もらっています。それを機械的に売却して現金化する際に、入庫時の価格との差損益が生じていました。私は、税務調査が始まって、自分でこの差損益を確認するまで、それがプラスであるかマイナスであるか全く理解していませんでした。それ以前に、売却によって差損益が生じていたことも、意識の中にはありませんでした。

それはこの株式報酬が、「賞与の現物支給」であり、売却という行為が「その現金化」に過ぎなかったからです。通常の、「購入」とセットになった「売却」の場合には、購入価格の意識があり、それよりも高く売れれば差益、安くしか売れなければ差損という意識がありますが、株式報酬も現金給与・賞与と全く同じであるという認識しかなかったので、差損益が生じることに思い至らなかったものです。現金をもらって引き出す際に、売却差損益を意識しないのと同じです。

実際には、4回のうち、差益が生じたのが2回、差損が生じたのが2回で、通算すると益の方が上回っていました。

これに関し、検察論告では「被告人は、株式売却益に関し、「株式を無償で得るという状況から売却によって譲渡益が出るという認識がなかった」などと弁解するが、無償かどうかは取得原価の問題に過ぎず、そもそも弁解の体をなしていない」とされています。

私の日本語の理解力では、それが何を意味するのかは全く意味不明です。

申告漏れのあった不動産収入に関しては、むしろ無実の証拠であることは、弁論において「故意犯であれば説明のつかない事実」で述べられたところです。

ここをクリック→ #検察なう (260) 「最終弁論解説 ~ 無実の論証 (4)」

弁論の小括を引用してまとめます。

「以上のとおり、検察官の主張は、被告人が故意であっても矛盾しないといえなくもない事実ばかりを集め、その全てを無理に被告人の故意と結びつけて、有罪ありきの偏見をもって糾弾するだけのものである。

検察官は、被告人が故意であるとすると説明がつかない事実や被告人が故意であったならば当然存在したはずの事実の不存在といった被告人の無罪を裏付ける証拠や事実には、完全黙秘を貫いている。

検察官の論告主張は全く失当である。」

2/22/2013











ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 「20分で分かる『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』~日本の司法を正す会ダイジェスト版」(動画)


ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

ここをクリック→ 過去のお勧めブログ記事 Part 4

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category: 訴訟記録等

2013/02/22 Fri. 07:00 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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