「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (271) 「陳情書一例」 3/6/2013 

#検察なう (271) 「陳情書一例」 3/6/2013

(強制捜査から1541日、無罪判決から5日)

検察の自浄作用を促すべく、皆さんに検察上訴を踏み止まらせるよう陳情書をお願いしています.締め切りは来週月曜日ですが、この時点で続々と陳情書が集まっています。その中の一つを今日は紹介させてもらいます。

東京地方検察庁御中

陳情書

私は医師であります。病理医という仕事をしています。被告人が妻の同窓であることから、今回の事例を知りました。

私は今回の事例の詳しい内容は知りませんし、控訴すべきか・すべきでないかを判断する法的知識はありません。したがって検察は絶対に控訴すべきでないという論旨ではありません。しかし、無罪の判決に対し安易に控訴することには断固反対します。

その理由を「病理医と検察官との類似性」をもとに述べさせていただきます。

病理医は、内科や外科などの臨床医が患者様から採取した臓器の一部を顕微鏡で観察し、病名を診断しています。これを病理診断とよびます。例えば大腸内視鏡検査で大腸ポリープが見つかると、内視鏡担当医師はポリープから組織を採取し病理医へ提出します。これを生検といい、大概の場合、提出される組織検体は2~3mmの大きさです。このわずかな検体で良性か悪性、つまり「がん」か、を診断します。基本的に良性か悪性かの最終診断は病理診断が決め手となります。病理医が「がん」と病理診断した場合には手術によって臓器が切除されることがしばしばです。病理診断はほぼ最終診断となるので間違ってはいけません。絶対に「がん」と確信した場合にのみ「がん」と病理診断して臨床の先生に報告します。

しかし、残念ながら間違えは稀に起こります。「がん」にきわめて類似する「がん」でない病気があります。「がん」と確信をもって診断したのに、手術で取り出した臓器に「がん」が見つからない場合があります。このような場合には、病理医はまず生検の病理診断が正しかったか確認します。その際は、「自分の病理診断は100%確実であり間違っているはずがない」とか、「しまった、間違った、でも間違ったと認めては権威にかかわる」などという態度はいけません。もう一度生検された組織を観察し、「がん」でなかった可能性、つまり間違えてしまった可能性を再検討します。そして間違えであったなら、間違えた原因を検証し、再び同じような病気に出会ったときに間違えないように学習します。

病理医も検察官も人の人生を左右する重大な判断をしなければなりません。

検察官は被告人(=組織)を有罪(=「がん」)と確信したからこそ起訴し裁判(=手術)に持ち込んだのだと思います。病理医の病理診断と同様に、検察官が有罪の判断し起訴しても無罪ばかりであっては困ります。しかし病理診断と同様に、人間の仕業である以上、必ず間違えは起こるでしょう。1審といえどもその判決は重視すべきです。裁判で無罪(=手術で「がん」がなかった)なら、「傲慢な自己過信」や「保身」ではなく、もう一度冷静に間違えたことを前提にして検討してみる態度が大事ではないでしょうか。

裁判が勝敗のゲームになってはいけません。勝つことが大事ではなく、間違えないことが大事です。「疑わしきは罰せず」とはそういうことだと理解しています。病理診断の間違えで切除された臓器はもとにもどりません。同様に、検察官の間違えで失われた被告人の時間はもとにもどりません。類似する仕事をする病理医として検察官のつらい心情は十分理解できます。繰り返しますが、私は今回の事例の詳しい内容は知りませんし、控訴すべきか・すべきでないかを判断する法的知識はありません。しかし、無罪の判決に対し安易に控訴することには反対します。

被告人無罪の判決は検察側の「負け」ではありません。病理医の診断ミスと同様に起訴判断のミスととらえるべきだと思います。そして控訴可能であるかを検討するのではなく、つまり、どうすれば「勝てる」のかを検討するのではなく、「間違えたことを前提として」どこに間違えがあったかを充分に再検討すべきと考えます。「間違え」と「負け」を混同することなく、間違えは間違えと認識し、そのリスクを減そうとする姿勢が検察の信頼へとつながるのではないでしょうか。どうか慎重なご判断にてご英断くださるようお願いいたします。

平成25年3月5日

自己の経験に基づいたバランス感覚あふれた陳情書だと思いました。

公正な判断をした一審裁判体の尊厳を踏みにじるような行為を未然に防ぐべく、是非とも陳情書のご協力をお願いします。

3/6/2013







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2013/03/06 Wed. 07:00 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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