「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (294) 「犯人血液型当てクイズ」 5/6/2013 

#検察なう (294) 「犯人血液型当てクイズ」 5/6/2013

(強制捜査から1602日、検察控訴から55日)

皆さんに、殺人事件の犯人の血液型を推理してもらいます。事件はこのようなものでした。

事件概要

空室のアパートの一室から女性の死体が見つかった。歳の頃は40手前といったところ。死因は絞殺であった。

女性の着衣は、バーバリーのベージュのコートの下に青のツーピース。OLらしい服装である。下着に乱れはなかった。

死体の頭部近くには取っ手が取れたショルダーバッグがあり、口が開いていた。バッグの中にあった財布の中には現金が473円しか入っていなかった。現金は抜き取られた可能性があり、物取りの犯行を伺わせた。そして不思議な事に未使用のコンドームが28個も入っていた。

身元はすぐに判明した。所持品の中に名刺入れがあったからである。一流企業の本社企画部副室長という肩書であった。

死体の発見者は、このアパートの管理を任されていた男性。被害者との面識はないという。

発見の状況は以下のとおりである。

前日、この男性が部屋の前を通りかかると、空室であるはずの部屋の玄関脇の小窓が10センチほど開いていた。そこで覗くと仰向けに寝た状態の女性の上半身が見えたので、玄関のドアノブを回すと鍵はかかっておらずドアは開いた。そこには女性用の靴が一足きちんと揃えてあった。声をかけたが、返事がないので熟睡しているものと思い、その場を立ち去った。しかし、さすがに気になって、翌日、部屋をもう一度覗いたところ、同じ状態だったので、もしやと思い、警察に通報した。

検死の結果、死後10日ほど経過していることが判明した。

物取りの犯行であったとして、なぜ空室のアパートの一室に死体があったのか。アパート周囲の状況、及び殺害現場の状況からは、ほかの場所で殺害されて運び込まれたとは考えにくかった。

警察の聞き込みで、驚くべきことが判明した。この女性は、昼間は一流企業に勤めるOLでありながら、夜は売春をしていたという。これでバッグの中の未使用のコンドームが説明された。

売春と殺害は関係あるのだろうか。その女性が売春をしていた「縄張り」は確かにそのアパート近隣のホテル街を中心にしていたことがさらなる聞き込みで明らかとなった。

抵抗なく部屋に入ったと思われる状況では、犯人は顔見知りか、買春客であることを伺わせる。怨恨という線はなさそうである。

以上が、死体発見の状況です。これで犯人の血液型は?と聞かれても分からないですよね。それでは、血液型に関する証拠を一つ提示します。

証拠1) 死体の口唇周り及び乳房から血液型O型の唾液が検出された。

どうですか?お分かりになりますか?この時点で、あなたは「それなら分かり切っているじゃないか」とお思いかと思います。早まらないで下さい。更に証拠を追加します。

証拠 2) 更なる聞き込みにより、犯行当日と思われる日に、その女性は常連客と性交渉を行っているが、その常連客にはアリバイがあり、その常連客が犯人である可能性はない。そしてその常連客の血液型はO型である。

どうですか?おやおや、ですね。更に証拠を追加します。

証拠 3) 空室のアパートの和式水洗便所の便器の中から使用済みのコンドームが見つかり、中に残留した精液の血液型はB型であった。

おっと。少なくともこの部屋に出入りした人間の中には、あなたが最初に思ったであろう血液型と違う血液型の人間が出入りしてた可能性が出てきましたね。

「その精液ってのはいつのもの?犯行の月日と近いものなの?」

いい質問です。その答えは「不明」としときます。ちなみにコンドームの外袋は部屋の中からは発見されていません。この便器に捨てられたコンドームが犯人が残したものであるなら、犯人は外袋は持ち帰ったものの、自分の精液が入ったコンドームはわざわざ残していったことになります。更に証拠を追加します。

証拠 4) 常連客は、性交渉の後、その女性がシャワーを浴びたと証言。ホテルを午後10時過ぎにチェックアウト、10時半頃別れている。そしてその日、11時25分頃から45分頃までの間に、その女性と別の男性がそのアパートに入って行くのが目撃されている。

さあ、どうでしょう。犯人の血液型が何型か、合理的な推認はどのようになるでしょうか。

血液型O型の常連客と性交渉した後に、シャワーを浴びたのであれば、口唇周りや乳房についた唾液は常連客のものではありません。そしてその常連客と別れた時間からすると、殺害されるまでに、ほかの客を取って、そして三人目の客に殺害されたという可能性もないでしょう。まさか、誰かが死体を見つけて、その死体をなめまわしたと考える人はいないでしょう。

そうです。証拠から合理的に推認される犯人の血液型はO型です。簡単でした?ですよね。

さて、この事件の様態から、この事件が実際のものであることは、少なからずの人がお気付きかと思います。1997年(平成9年)3月に起こった東電OL殺人事件です。

犯人とされたゴビンダさんの血液型は何型かご存知ですか?B型です。

彼が犯人ではないと合理的な推認をするためにDNA鑑定は必要でしたか?上に示した証拠とDNA鑑定は全く関係ないことがお分かりかと思います。

先日、私がブログで紹介したジャパンタイムズの記事でも「新たなDNA鑑定により」という文言がありました。また、最近、本屋で見かけた書籍で、全国紙の社会部が書いた東電OL事件に関する本のサブタイトルは「DNAが暴いた闇」というものでした。捜査権力による見事なメディア・コントロールです。

真犯人がゴビンダさんでないと合理的な推認をするのにDNA鑑定は全く必要ありません。

こんな簡単なことをなぜ弁護側が主張できなかったか。それは証拠1)を警察・検察が隠蔽していたからです。

証拠1)の唾液の血液型鑑定は、事件発覚から半月しか経っていない1997年4月3日、警視庁科学捜査研究所の久保田寛研究員によって鑑定されました。その証拠は長らく開示されることなく、昨年(!!)9月2日の再審請求審での証拠開示によって開示された証拠の一つでした。

ゴビンダさんの逮捕は、その鑑定の1ヶ月半も後の1997年5月20日です。つまり警察も犯人の血液型はO型であることを分かりながら、B型のゴビンダさんを逮捕し、彼を有罪とするのに不都合な証拠を検察は15年も隠し続けたのです。

それを、足利事件同様、「新たなDNA鑑定が事実認定を変えた」かのように見せかけているのは、捜査権力による明らかな情報操作です。この事件を追い続けているメディア関係者であれば、そのことは分かっているはずです。

足利事件で菅家さんに謝罪をした捜査権力は、東電OL殺人事件では、頑なにゴビンダさんに謝罪を拒んでいます。なぜか。それは彼らが確信犯だからです。

ゴビンダさんは再審で無罪になりました。しかし、再審制度の非常に大きな欠陥は、誤判の原因追求を行わないことです。「無罪にしてやったんだから、それでいいだろう」というのが日本の再審制度です。冤罪の再発を防止するために、なぜその冤罪が起こったか、どのように冤罪が作られたかを全く検証しないというのは、日本の刑事司法が、大きな病巣を見て見ぬふりをするものです。

個人的には、是非、ゴビンダさんには国家賠償請求をして、国家の犯罪を日の当たるところに引きずり出してほしいと思います。

現在、布川事件の冤罪被害者、桜井昌司さんはそのために戦っています。過去の過ちを認めるところから明日への再生があるものです。司法の英断を期待します。

最後まで読んで頂いてありがとうございます。

参考資料: 『冤罪File 2012年11月号』「東電OL事件 再審開始が確定 裁判所に届いた15年の無実の訴え」 今井恭平

5/6/2013















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category: 東電OL殺人事件

2013/05/06 Mon. 02:26 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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