「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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ブック・レビュー 『夢を売る男』 百田尚樹著 

ブック・レビュー 『夢を売る男』 百田尚樹著

夢を売る男

『海賊とよばれた男』が好評を博している百田尚樹の作。但し、私にとってはこれが初百田体験だった。

モチーフとされているのが共同出版(作者はこれを「ジョイント・プレス」方式と呼んでいる)の内実。共同出版とは、著者と出版社が経費を折半して本を出版する形態を指す。出版業界の不況と、個人の自己顕示欲の高まりから生み出された新しいビジネスと言えよう。これがどれだけポピュラーかというと、私もセールスを受けたことがあり、私の高校生の息子もセールスを受けたことがあることからも分かる(彼は、ある出版社の詩のコンテストに応募したことがきっかけだった模様。ちなみに私は丁重にお断りし、舞い上がる息子には「ゲームを買うお金がなくなってもいいならいいよ」と言ったら諦めた)。

私は個人的には共同出版がいけないとは全く思わない。本を出したいと思う人がいても全然不思議ではないと思う。ではなぜ自費出版ではいけないのか、という問いに対する答えも明らか。プロの書き手でなければ、編集がその素材のよさを引き出す技術であり、そのほか書店への配本のノウハウ等、個人では全くない付加価値を共同出版では得られることができるからである。そうしたサービスには当然対価が生じ、「近くの印刷所で聞いたら、本の出版のコストは~くらいなのに、共同出版の値段が法外に高い」という指摘も(この作品にも同様のクレームを言う登場人物が描かれている)、全く当を得ていない。但し、それは出版社の質にもよるだろうし、悪質な業者もいても不思議はない。

そうした出版業界の内幕を披露しながらも、私には、大量消費されるプロの仕事に対する作者の批判の方が印象的だった。

「ノンフィクションや学術書なら売れなくても出す意味はあるかもしれん。しかし売れない小説なんて、出す意味がどこにある。それがエンタメなら存在価値はゼロだ。文化的に価値が高い?価値の高い低いなんて誰が決めるんだ。興行的に成り立たない文楽や能を税金で支えるのもどうかと思うが、売れない文芸を私企業が支えている状況は、もっとおかしいぞ」

これは売れない純文学系の小説誌と寄稿する作家を揶揄した主人公(大手出版社の編集長を辞め、共同出版で売り上げを伸ばす新興の出版社の編集長をしている)の言葉である。

こうした今日の文壇に対する批判がふんだんに盛り込まれていると、同業者から嫌われるのではないかと心配したところ、そこは策を講じていた。同じ主人公と部下の編集者の会話である。

「常に新しい読者を開拓すればいいんだ。若い世代の読者を掴む作品を出し続けていれば、読者が死に絶えることはない。固定客ばかりを相手にして、同じメニューばかり出している店は、やがてじり貧になって閉店してしまうのと同じだ」
「でも、新しいメニューに挑戦して失敗したら、元も子もないですよ」
「それはそうだ。だからたいていの作家は、自分の得意料理だけを後生大事に作り続ける。かといって、元テレビ屋の百田何某みたいに、毎日、全然違うメニューを出す作家も問題だがな。前に食ったラーメンが美味かったから、また来てみたらカレー屋になっているような店に顧客がつくはずもない。しかも次に来てみれば、たこ焼き屋になってる始末だからな」
「馬鹿ですね」
「まあ、じきに消える作家だ」

作者にすれば、ラーメンを作っても、カレーを作っても、そしてたこ焼きを作っても美味いものができるという自負があるのであろう。このラーメンは美味しかったか?
「普通。ほかのメニューを試してみないと分からないな」

ここをクリック→ ブクレコ 『夢を売る男』















ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 「20分で分かる『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』~日本の司法を正す会ダイジェスト版」(動画)


ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

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category: ブック・レビュー

2013/05/12 Sun. 02:24 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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