「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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ブック・レビュー 『名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の半世紀 』 東海テレビ取材班著 

ブック・レビュー 『名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の半世紀』 東海テレビ取材班著

名張毒ぶどう酒事件 死刑囚の半世紀

今年2月に上梓された名張毒ぶどう酒事件関連最新本。著者が東海テレビ取材班であることから分かるように、この作品は、映画『約束 名張毒ぶどう酒事件死刑囚の生涯』製作のための取材をもとに書かれている。非常に詳細な記述から、映画『約束』が十分かつ綿密な取材をふまえて製作されていることがよく分かる。

私は、殺人事件のような様態の犯罪においては、動機が非常に重要だと考える。無差別殺人を含めて、大罪に踏み切らせる何らかの契機が必ずある。名張毒ぶどう酒事件において、一番不合理だと思われることは、検察の主張する動機だと思う。「わずか25戸しかない山村で、幼い2人の子供を抱えながら、三角関係を清算するために妻と愛人を同時に殺害する」ということが、なぜ動機としてありえると考えられるのか不思議でならない。しかもその妻は、夫と愛人との関係を知り悩みながらも、深刻な確執には至っていない。奥西氏には、その三角関係を清算する必要は全くなかったのである。

この作品には事件に関する事実の詳細な記述が多く書かれている。例えばその一つとして、奥西氏が事件の数日前にコンドームを購入したことが書かれている。検察は、殺害は計画的なもので事件の10日程前から準備をしていたと主張するが、殺害の準備をしながら、コンドームを購入するというのは、奥西氏を犯人とすると説明が不可能な事実である(この事実は一審無罪の心証形成に寄与したようである)。

また、この事件では、ぶどう酒を町会長宅に届けた時間が非常に重要な鍵を握っている。町会長宅から公民館へぶどう酒を届けたのは奥西氏であるため、農薬を入れる機会があったのが、奥西氏だけであったかどうかは、町会長宅にぶどう酒が放置されていた時間が3時間なのかあるいはわずかの時間であったのかで大きく変ってくるからである。

一審の無罪判決で裁判官が認定したように、警察・検察の誘導により村人の証言が全て翻ることで、この空白の3時間は消えてしまう。この作品の中での、空白の3時間に関する検証は、実に克明・細密で説得力がある。

そうした事件の検証のほかに、特別面会人(死刑囚には弁護士と家族以外の面会は通常認められない)の川村富左吉氏の面会ノートと、母タツノの奥西氏に宛てた手紙に、多くの紙面を割いている。奥西氏と関係者の生々しい姿がそこに描かれている。

そしてこの作品が訴え、我々が考えなければいけないことは、今まさに起こっていることである。過去の出来事の記録ではない。奥西氏は今も獄中にいる。今年87歳。わずか数日前に彼の危篤が伝えられた。彼の時間は限られている。もし彼を獄死させるようなことがあれば、司法は、自らの過ちを正す機会を永遠に失ってしまう。公権力に権限を与えているのは我々国民であり、司法の問題を看過することは同罪に等しい。是非とも、この事件を知り、考え、声を上げてほしい。

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ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―





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category: ブック・レビュー

2013/05/19 Sun. 04:44 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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