「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (300) 「『クローズアップ現代』「取調べ可視化」番組放送延期問題について」 6/3/2013 

#検察なう (300) 「『クローズアップ現代』「取調べ可視化」番組放送延期問題について」 6/3/2013

(強制捜査から1630日、検察控訴から83日)

無題

最近、にわかに熱気を帯びている証拠の目的外使用に関わる問題に触れたいと思います。背景をご存じない方のために概略からご説明します。

発端は、NHKの関西ローカル番組『かんさい熱視線』でした。4/8に関西地区で、映画監督の周防正行氏を迎え『”虚偽自白”取調室で何が』と題した番組が放映されました。この番組では、取調べを可視化したDVDが公判で公開された結果、検面調書に信用性がないとされた実際にあった事件を扱い、番組でもそのDVDの映像を放送したものです。

この番組はもともと全国ネットの『クローズアップ現代』に編成し直すことを前提に作られた番組でしたが、「検察取調べの可視化」を扱った4/15放映予定の『クローズアップ現代』の番組は直前に延期されます。私も同番組の放送予定のページで、この番組をクリックすると、実際に放映された『北朝鮮相次ぐ挑発の謎』の番組案内が出てくるという混乱状態を目の当たりにしました(現在はHPから消されています)。

現在発売中の雑誌『週間ポスト』に「NHKが検察に屈した「取調べ可視化」番組放送延期事件」として記事が掲載されています。NHK関係者の言葉として次のようなコメントがあります。

「NHK東京本社の記者が検察の激怒を知って、上層部に進言したそうです。『証拠DVDを再度放送すれば番組関係者が検察に捜査される可能性もある』として、番組中止を訴えた。当局にすり寄る記者連中と、それに反発するディレクターの対立というのはNHKではよくある構図ですが、今回はあまりにもひどい」

つまり、検察からの圧力は少なからずあったものの、番組延期に関しては検察の意向を忖度したNHK自身の決定ということのようです。

そして問題は、このDVDをNHKに提供した弁護士の懲戒請求に発展します。大阪地検が、刑事訴訟法で禁じられた「証拠の目的外使用」に当たるとしたものです。

この刑事訴訟法の証拠の目的外使用に関する規定は比較的新しく制定されたもので、2004年5月28日の刑事訴訟法改正によって定められたものです。

刑事訴訟法第281条の3では「弁護人は、検察官において被告事件の審理の準備のために閲覧又は謄写の機会を与えた証拠に係る複製等を適正に管理し、その保管をみだりに他人にゆだねてはならない」と規定し、このような証拠を、目的外、すなわち、当該刑事裁判の準備以外の目的で他人に交付することは禁じられ(刑事訴訟法第281条の4)、罰則が科せられます。

この刑事訴訟法の「改悪」は、公判前整理手続導入に際し、検察官が開示すべき証拠の範囲が決められたことに伴って行われたものです。証拠を開示した際の弊害とされる罪障隠滅、証人威迫や、証拠に現れた第三者のプライバシーの保護などの問題を防止するために、新しく制定されたのが、刑事訴訟法第281条の3以下です。

そこに見られるのは、検察官が持っている訴訟記録は検察官の支配下にあるもので、それを裁判以外の目的で自由に使用することを許さないという極めて古い発想であり、情報公開の流れに逆行する内容です。

この刑事訴訟法「改悪」に関しては、日本弁護士連合会長が「刑訴法改正法案から証拠の目的外使用条項の削除を求める会長声明」を出しています。

ここをクリック→ 刑訴法改正法案から証拠の目的外使用条項の削除を求める日弁連会長声明

ここで指摘されているように、「供述調書などを対価を得る目的で第三者に売却したり、被害者や第三者のプライバシーを含む証拠をインターネット上で公開する」弊害を阻止するという立法趣旨に則した適用であれば、こうした規定もなんら問題がないものです。

しかし、今回のケースのように、取調べの全面可視化に対し抵抗する捜査権力が、まさにその有効であった事案を報道機関が報道した場合、その関係者を指弾しようとしているというように、恣意的に悪用されてしまう危険性があるものです。

ちなみに番組で放映された映像にはモザイクがかけられ、被告人の了承も得た上でNHK大阪は放送しています。既に公判には提出され、無罪が確定した事件の証拠です。そして何よりも、この番組の制作の趣旨から、検察の主張が自分たちの保身を図るものであることは明らかです。これが、検察をほめたたえる番組であれば、そこで証拠の目的外使用が認められようが、検察は何ら問題にしなかったと思います。

NHK大阪の番組で取り扱った事件は、兄弟げんかの末に弟の首を絞めて窒息死させたとして兄が逮捕・起訴された事件です。調書には、「手加減しなかった」などと書かれていましたが取調べの模様を録画したDVDには「結果的にそうなってしまった」と話すシーンが録画されており、そのDVDが裁判員裁判で公開され、検察のストーリーは崩壊しました。結局、兄は無罪判決、大阪地検は控訴を断念して、無罪が確定しています。まさに取調べの全面可視化が冤罪を未然に防いだという好例でした。

『週間ポスト』の取材に答えた大手紙記者はこう語ります。「番組を見れば検察の”誘導”は一目瞭然です。DVDは既に公判で公開されていましたが、見たのは裁判員だけ。それをオンエアすることは、報道として大いに意義があると思います」

懲戒請求された弁護士は全国紙の取材に応じてこう語っています。

「取り調べの全面可視化を訴える番組の趣旨に賛同した。多くの国民は捜査当局の取り調べを受けたことがない。国民全体で可視化を議論するには、多くの人に現場の映像を見てもらう必要があると考えた」

検察による懲戒請求について、「放送で実害を受けた人は誰もいない。結局、検察から弁護士へのけん制の意味しかない」と分析する。そして「検察が税金を使って集めた刑事裁判の記録は国民の共有財産。自由に報道できないのはおかしい。言論の自由にかかわる問題だ」と指摘した。

結局、この一件は
「検察が犯罪を捏造しようとした」
「取調べの全面可視化がそれを未然に防いだ」
「それを報道機関が番組として取り上げてローカルで放送した」
「それに検察が激怒した」
「検察の激怒を知った報道機関が全国ネットでの放映を取りやめた」
「検察は難癖をつけて、検察の犯罪を暴く手助けをした弁護士を懲戒請求した」
というのが全体像です。

ここですべきは「証拠は検察のもの」という発想自体を問題視し、更に取調べの全面可視化の議論を深めると共に、メディアには社会の木鐸としての矜持を求めるものです。

6/3/2013















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#検察なう


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category: 刑事事件一般

2013/06/03 Mon. 03:48 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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