「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (313) 「レペタ裁判&刑事司法を喜田村洋一弁護士に聞く」 7/18/2013 

#検察なう (313) 「レペタ裁判&刑事司法を喜田村洋一弁護士に聞く」 7/18/2013

(強制捜査から1675日、弁護側控訴答弁書提出期限まで50日)

江川紹子氏記事『裁判の公開とは何か~法廷メモを解禁させたレペタさんに聞く』をフェイスブックにアップしたところ、ジャーナリストやメディアの在り方に感度の高い友人の多くがシェアしてくれました。

ここをクリック→ 江川紹子氏記事『裁判の「公開」とは何か~法廷メモを解禁させたレペタさんに聞く』 

江川氏がインタビューをしたレペタ氏は米シアトル州の弁護士です。彼は日本の裁判を傍聴した際、メモを取ることが認められなかったため、憲法21条の知る権利を主張して損害賠償を求めたのが1989年(平成元年)最高裁判決となった「レペタ裁判(法廷メモ訴訟)」です。判決では「メモを取ることは権利として認められない」として上告は棄却されましたが、「筆記行為の自由は憲法21条1項の規定の精神に照らして尊重されるべきである」としました。これ以降、法廷でメモを取ることが許されるようになりました。

このレペタ氏の代理人となった日本人弁護士5人のうちの一人が、私の控訴審の弁護団に加わった喜田村洋一弁護士です。

ここをクリック→ #検察なう (290) 「控訴審弁護団新編成」

先日、私の控訴審に向けて弁護団ミーティングがあり、その際、レペタ裁判や刑事司法に関して彼の考えを「取材」させてもらいました。以下がそのやりとりです。

八 「興味があるのは、もしレペタさんがアメリカ人ではなく日本人だったら違った結果になっていたんでしょうか」

喜 「彼は、アメリカ人の弁護士、しかも国際交流基金の招きで来て日本の証券市場の勉強をしていた。脱税事案の傍聴をしていたんだけど、そこでは数字や固有名詞が多くて、2時間の公判が終わってから記録するなんて無理だよね。しかも彼のような属性の人だと証人に対して威力妨害をすることもありえない。そういう全てよい条件を満たした原告でやるというのがこういう事案では必要だね」

八 「制度に風穴を開けるにはということですね。日本の文化って黒船に弱いところがあるじゃないですか。だからレペタさんのように外人だからという要素もあったのかなと」

喜 「それはあるかもしれないね。認めなかったら全世界に発信されるよね、という気持ちはあったんじゃない。それ以降、法廷でのメモを禁止するためには個別の特殊事情に基づいて必要がある場合と限定されるようになるんだけど、それは実質的には無理な話。ただ単にメモが悪用されるという抽象的な表現ではだめなわけですよ。あれが平成元年、1989年3月8日で、その午後からメモが取れるようになったけれど、それ以来何の弊害もないじゃない。メモを取らせると弊害があるというのは、何の根拠もない杞憂だった。裁判官の思う危険性なんてそんな程度のものでしかないわけ」

八 「その杞憂はその当時の裁判官の一般的な感覚だったんですか」

喜 「そう、刑事裁判官のね。しかもそれは具体的な根拠があっての話ではなくて。例えばメモを取らせるとそれを使って証人威迫をするおそれがあるとか言うけれども、メモを取らせなくても証人威迫をする人はするんだから」

八 「それってこの間の江川さんの記事(注)の原田國男元判事が言っていた「罪証隠滅のおそれ」があるっていうだけで、裁判官が保釈を認めない。普通の人の感覚だとそんなことしないだろうと思うのが、裁判官の意識の中ではその「おそれ」がどんどん膨らんでいるような感じですか」

喜 「そう、それに非常に近いね」

八 「レペタ裁判の最高裁判決に際しては、大法廷の裁判官もそれまで本当はおかしいと思っていたけれども、きっかけがなくて運用上変わっていなかったということなんでしょうか」

喜 「うーん、正確には民事裁判官が刑事裁判官を駆逐したんだよね。刑事裁判官が一人反対意見書いてるもんね、四ツ谷裁判官が。その後も元あるいは現職の刑事裁判官から批判は出たけれど、実際やってみて20数年間何の弊害もないじゃない。むしろきちんとした記録がされて、裁判に対する理解が進むわけ。正しい情報が出るということが一番よいことなんだよ」

八 「裁判官に限らず検察も、なぜそこまで秘密主義にしたがるんですか。そこがよく分かんないんですけど」

喜 「よく分かるよ(笑)。自分たちだけでやりたいんだもん。批判されたくないからね」

八 「あー、将来の批判を未然に防ぐ。誰にも見せなきゃ批判されませんもんね。でもそれって国民の知る権利に明らかにバッティングしてるじゃないですか」

喜 「知る権利なんか興味ないんだもん、全然」

八 「なるほど。その知る権利に限らず、それに類似した基本的人権を無視したことって刑事司法に一杯あるわけじゃないですか。その制度全体を変えるには個別ケースでやるしかないということですね」

喜 「個別にというか、テストケースでやったんだよね、レペタのはね」

八 「テストケースというと、これに続く何かほかにあるんですか」

喜 「刑事じゃないけども在外邦人選挙権制限違憲訴訟とかね。あれもいい原告じゃない。現地のロスに20年住んで日本人会の会長やってますとか」

八 「制度を変えるには具体的なところに落し込んで、しかもいいタマをもってこないといけないということですね」

喜 「(いい原告で戦うというのは)一番大切なことだよ」

八 「一般論で勝負してもだめだってことですか。一般論でやるのは改革にはつながらないみたいな」

喜 「裁判でやるにはね。具象化というか、この事件でとかこの人がとかね」

八 「判決にならないと運用が変わらないからですね。取調べの全面可視化が急務だと言われてますけど、それも一般論での議論だから変わらないんですかね」

喜 「刑事事件でやるのは難しいよね。いい被告人を選ぶってことができないから(笑)」

八 「村木さんのケースも彼女本人の取調べを可視化したからといって冤罪が防げたわけじゃないですもんね。これを可視化しとけば冤罪が防げたのにっていう具体的、個別の事案があれば、流れがぐっと変わるということですね」

喜 「僕がやってた小沢さんの事件で石川さんがテープを取ってたでしょ。検察官の取調べを。身柄拘束中と保釈になってたからの取調べの調書があるんだけど、テープ取ってたやつは保釈になってからのね。検察としてはそれら調書で石川さんが同じことを言っているというものが欲しかったわけ。保釈になってからも同じことを言っていれば、身柄拘束中の調書も任意性と信用性を問われることがないから。でもああいう不適切が取調べがあって、それが分かったのはなぜか。『音』があったからですよ。それがなければ水掛け論になっちゃって、それだと裁判官が認定できない」

八 「確かに石川さんの調書の話は大変なことだと思うんですけど、あのセルフ可視化の結果をてこに、可視化につなげていくっていう議論になってないように思いますね。やはりそうした個別の具体的な事案で主張していく必要があるということですね。話は変わるんですけど、証拠の目的外使用に関して議論が盛り上がってますが、検察が証拠の全面開示を拒むっていうのも、結局、証拠は彼らの所有物みたいな感覚があると思うんですよね。本来は国民の財産なのに」

喜 「検察庁に保管されてるからね。それは法律を変えないとどうしようもないね。確定審に提出された証拠は裁判所が管理すべきだとは思うけど、法律でそうなっている以上ねえ」

八 「やはりどこに管理されているというのは精神論的にも重要ですね。やはり全体をいきなり変えるのは無理なので、レペタ裁判のような局地戦で勝ちを積み重ねて変えるしかないですね」

喜 「そうだね」

八 「刑事司法の矛盾に関心がある人も、本当に変えようとしているのか分からない時があるんですよ。弁護士会とか。ただ単に批判だけしてるみたいな。本当に変えるのであれば、相手の懐に飛び込んで、膝を突き合わせて日本を一緒によくしよう、そのために話し合おうという態度が必要だと思うんです。それが、何か遠くから…」

喜 「石投げてるだけだもんね。そしたら相手も防御しちゃうもんね」

八 「それじゃ何も変わらないですよね。それを言うとどんどん暗くなっちゃうんですけど。それを考えるとレペタ裁判は意義がありましたね」

喜 「そうだね。ほんとにきれいに決まったね。ジャーナリストは随分恩恵受けてるよ」

(注)
ここをクリック→ 江川紹子氏記事『「罪証隠滅のおそれ」って何?~名(元)裁判官・原田國男氏が語る"裁判官マインド"』

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7/18/2013













ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 「20分で分かる『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』~日本の司法を正す会ダイジェスト版」(動画)






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category: 刑事司法改革への道

2013/07/18 Thu. 06:30 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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