「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (317) 「控訴審とは」 8/1/2013 

#検察なう (317) 「控訴審とは」 8/1/2013

(強制捜査から1689日、弁護側控訴答弁書提出期限まで36日)

これから私の公判手続きは控訴審に突入します。その前に控訴審についておさらいをしておきたいと思います。

「控訴」とは第一審判決に対して行う上訴のことです(上訴には控訴のほかに、控訴審判決に対して行う「上告」と決定または命令に対して行う「抗告」があります)。

私もそうでしたが、「日本では三審制度が取られ、三回チャンスがある」と思われている人が多いのではないでしょうか。しかし、裁判所の組織はピラミッドのように上級審に行けば行くほど裁判所の数も少なくなっていき、同じ数の裁判を行うことは困難となるため、下級審の判断を覆すハードルは相当高く設定されています。

特に国を相手取る刑事裁判での控訴審は、「事後審」と呼ばれ、原則的には新たな証拠調べは行われません。そこでは、原判決の当否を原審の訴訟資料に基づいて審理します(これに対して個人対個人の民事裁判は「続審」と呼ばれ、控訴審でも新たな訴訟資料の提出を認めて事件の審理を続行します)。

そして重要なことは、控訴事由が刑事訴訟法により限定されていることです。それにより控訴審は原審での審理・判決が法令違反の有無を判断する「法律審」であり、事実認定を行う「事実審」ではないというのが控訴審の基本的な在り方です。

しかし、この事後審、法律審である控訴審が、限定的な場合に、事実認定を新たに行う事実審となり、続審的に機能します。その限定的な場合とは、控訴事由が量刑不当(刑事訴訟法381条)ないし事実誤認(刑事訴訟法382条)の場合です。

「事実誤認」とは、「原審での事実認定が間違っていた」ということを言っているので、私は何でもこれに当てはまるのではないか、即ち事実誤認を控訴事由とすれば、何でも控訴できるのではないかと思いました。しかし、実際にはそうではないようです。その範囲を限定する最高裁判例が昨年(平成24年)2月にあり、事実誤認のハードルは非常に高くなりました。この最高裁判例が出された「チョコレート缶事件」に関しては、次回以降のブログで取り上げたいと思います。

なにぶん新しい判例なので、実際の運用がその通りになっていない可能性もあります。新たな事実認定が行われるかどうかということに関しては、新証拠の採用がなされるかどうかということが非常に重要になりますが(新証拠が採用されなければ新たな事実認定がなされないというわけではありませんが、逆に新証拠が採用されれば新たな事実認定がされることになります)、それに関し従前の運用では下記のようにWikipediaに書かれている状況だったようです。

Wikipedia「控訴」

実態:
刑事訴訟では、「やむを得ない事由によって第一審の弁論終結前に取調を請求することができなかった」場合でない限り、新しい証拠を取調べないという刑事訴訟法382条の2、393条第1項を厳格に適用し、被告人の証拠申請を全て却下する一方で、検察官の証拠申請は認めるという不公平な取り扱いがあるともいわれている。

ここをクリック→ Wikipedia「控訴」

こここまでのところを整理すると、「三審制に関する一般人の感覚で、一審有罪判決を不満として被告人控訴しても、大概は門前払いだが、実際の運用では検察控訴に関しては証拠申請を認め、新たな事実認定を行うことが多かった。しかし、事実誤認を控訴事由とすることに関しては、新しい最高裁判例で相当ハードルが上げられた(実際の運用がそれを反映しているかどうかは不明)」というものです。

控訴審の実状に関しては、裁判所が作成した『高等裁判所における刑事訴訟事件(控訴審)の審理の状況』に詳しく書かれています。データも豊富な資料です。ここから、いくつか重要なポイントをピックアップしてみます。

ここをクリック→ 『高等裁判所における刑事訴訟事件(控訴審)の審理の状況』

「控訴審の審理の流れについてみると、控訴裁判所は、第1回公判期日前に、控訴趣意書、答弁書、第一審裁判所から送付された訴訟記録について検討を加え(起訴状一本主義、予断排除の原則は、控訴審にはその性質上妥当しない)」(p.290)とあります。一審においては、第1回公判までに裁判官が目にするものは検察による起訴状だけで、事件に関しては全く予断を持たないことが前提ですが、控訴審ではそうではなく、裁判官は自らの心証を持って臨むことが大きな差異です。

また申立人別終局結果(p.292)を見ると、被告人側控訴(一審有罪)では、控訴棄却(二審有罪)が63.5%で最も高い結果であるのに対し、検察官控訴(一審無罪)では、原判決破棄(二審有罪)が69.4%と最も高い結果となっていることが見て取れます。刑事裁判においては、非常に高い有罪率であり、一審・控訴審を共に無罪を得ることが困難であるが、この検察官控訴の破棄率からも分かります。

申立人別の審理期間を見てみると、「被告人控訴事件よりも、検察官控訴の方が、平均開廷回数が多く、かつ、開廷回数が多い事件の割合が高い」(p.298)とあり、被告人側控訴の平均審理期間が3.1月であるのに対し、検察官控訴のそれは倍の6.4月となっています。

最後に、原判決破棄により終局した事件について、その「破棄理由別の平均審理期間及び審理期間の分布」を見ると(p.314)、事実誤認の平均審理期間は9.0月であることが分かります。つまり、私の一審無罪が控訴審で覆される場合には、相当審理に時間がかかることをうかがわせています。

当然、我々弁護団は、短期決戦で控訴棄却を狙うものです。引き続き私の控訴審にもご注目下さい。

8/1/2013















ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 「20分で分かる『クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件』~日本の司法を正す会ダイジェスト版」(動画)


ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

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category: 刑事司法改革への道

2013/08/01 Thu. 06:30 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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