「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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ブック・レビュー 『弟を殺した彼と、僕。』 原田正治/前川ヨウ著 

ブック・レビュー 『弟を殺した彼と、僕。』 原田正治/前川ヨウ著

弟を殺した彼と、僕。

先進国で死刑を存置しているのは、アメリカと日本のみ。アメリカでは、州によっては死刑を認めていないところもある。ところが日本では、圧倒的に死刑存置支持率が高いとされている(但し、この統計はかなり恣意的に操作されている可能性が高いが)。

なぜ死刑制度の存続を望むのかという質問に対して、「説得力がある」とされる理由の一つは「被害者感情を鑑みた場合当然」というものではないだろうか。そのように考えている人は、是非この本を読んで、もう一度死刑制度に関して考えてみるべきであろう。

著者(実際には原田氏から聞き取りをした前川ヨウ氏が執筆)の原田氏の弟が、保険金殺人の被害者となってから、彼の人生は大きく暗転する。

早くに父を亡くした原田氏は一家の父代わりであった。実弟が殺され、「なぜ自分がこうした不幸に見舞われなければならないのか」という気持ちから生活は荒んでいく。

彼も最初は、殺人を犯した犯人には極刑を望んでいたのだが、それが時間の経過とともに「発酵」し、処刑されてしまうより、生きて償いの気持ちを持ち続けて欲しいと思うようになる。

「決して赦したわけではない」と自分にも言い聞かせながら、殺人犯の死刑に反対する運動を始める。結局、彼は「国家に裏切られ」犯人は処刑されてしまう。そしてその後も死刑制度に反対する姿勢を変えない中で、「死刑は望まないけれど、『赦してもいない』と話してきた。しかし、果たして僕には、彼を赦す権利があるのだろうか」「生きる、死ぬは、人間が判断する事柄ではない」と思い至るのである。

「被害者感情を考えれば、殺人の罰として死刑は当然」とする人に彼は次のように語る。是非、心して読んで欲しい。

「『被害者遺族の気持ちを考えたことがあるのか』と言いますが、彼らもまた考えたことはないのです。一方的に、『被害者遺族は、怒りに凝り固まって、死刑を望んでいる』と決めつけているのだと思います。

僕は、彼に『被害者遺族の気持ちに同情するので、死刑に賛成する』と言ってもらうより、被害者遺族の肉声に直接耳を傾け、受け止める時間を少しでも持ってほしい、と思いました。単に『被害者遺族の気持ちを考えて死刑に賛成する』という声に、僕は寂しさや怖さを感じます。

そのような人は、僕のような者を、『家族を殺された彼らは、平穏に暮らす自分より気の毒でかわいそうな人』と、一段下に見ていると感じます。その上、自分のことを偽善者よろしく、『言われなくても被害者遺族の気持ちを推し量ることができる自分は、人間らしい情のある者だ』と、心のどこかで考えている気がします。被害者のことなど真剣に考えてはいないのです。

死刑に使う税金は容認して、被害者救済のために国が税金を支出することなど、想像もしていません。これは僕のひがみでしょうか。ひがみであったとしても、僕がそのように考えてしまうことすら、多くの人は知らないのです。」

勿論、人間一人一人の生き方、考え方が異なるように、全ての被害者遺族が彼のように考えるわけではなく、憎しみに囚われ続け、死刑を求める人もいるであろう。その是非は判断できないが、少なくとも彼のような遺族もいる以上、被害者感情が死刑存置の理由であるということは欺瞞でしかないであろう。

人の命にかかわる重要な問題であるだけに、是非考えて欲しい。

ここをクリック→ ブクレコ 『弟を殺した彼と、僕。』













ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

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category: ブック・レビュー

2013/08/22 Thu. 06:05 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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