「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

02« 2017 / 03 »03
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31.

#検察なう (327) 「「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」とはどういうものであったか」 9/5/2013  

#検察なう (327) 「「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」とはどういうものであったか」 9/5/2013

(強制捜査から1724日、弁護側控訴答弁書提出期限まで1日)

いよいよ明日9月6日が弁護側控訴答弁書の提出期限です。準備万端、弁護団は答弁書に続くその次の一手も立案中です。

その前に、私が巻き込まれた「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」とはどういうものであったかをおさらいしたいと思います。

経緯説明をアップデートしましたので、事件の詳細については是非こちらをご覧下さい。

ここをクリック→ 経緯説明「真実は一つである」

この経緯説明のオリジナルは、2010年2月の刑事告発報道後、私の人物評を知人・友人に書いてもらった嘆願書を集める際、事件のあらましを説明するために作成したものです。それがベースになっていますので、時系列での説明のほとんどが税務調査開始~告発前に関するものです。またより多くの人に理解してもらおうと、平易な説明を心掛けて書いた当時の雰囲気をなるべく残したいと思い修正は一部に留めています。

この事件のことを振り返って考えると、当初は非常にシンプルなものであったと思います。国税局査察部の見込み違いという単なる初動ミスが全ての始まりです。

この事件に関する私のイメージを野球で言えば、サードの私とレフトの会社の間のレフト線上に上がったポップフライのようなものです。ランナーがベースに出ている場合、そのポップフライは無条件にレフトが取るという取り決めがあったとします。これを「源泉徴収ルール」と呼ぶことにします。

私はソロモン・ブラザーズ球団から、クレディ・スイス球団に移籍して、守備の基本的動作であるその「源泉徴収ルール」に従って、自分の後ろに上がったポップフライの打球の行方をレフトが取るものだと思って、見ることもせず球を追うことはありませんでした。ところが、クレディ・スイス球団では、なぜか「外人バッターの打った球だけは、サードが取る」となっていました。

私としては「そんなこと聞いてないよー」でしたが、自分に過少申告というエラーの記録がつくことに関しては、まあ仕方ないかと思いました。ところが、私が問われたのは「相手に点をやるために、わざとフライを取らなかった八百長行為だ」というものでした。これは全く事実に反しています。

今ではクレディ・スイス球団でも、ランナーがベースに出ている場合、サードとレフトの間に上がったポップフライは日本人が打とうが外人が打とうが無条件にレフトの会社が取るようになりました(つまり、私が申告漏れとなった株式報酬も会社は源泉徴収しています)。

雰囲気としてはそんな感じです。

当初「2~3ヶ月は覚悟して下さい」と言っていた査察部の捜査が長期化する中で、査察部は当然自らの過ちを知ることになったと思います。しかし、初動ミスを理解しながら、後に引けないというのは捜査権力の陥り易い過ちであることは残念ながら歴史上繰り返された事実です。多くの冤罪の原因が、この「初動ミスを捜査権力自ら認めることができない」という「引く勇気の欠如」にあります。

ここまでは普通の冤罪なのですが、「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」の場合は更に特殊要因が加わっています。それは、この事件が特捜部事案だということです。

国税局の脱税の線引きは仮装・隠蔽です。彼らの常識では、脱税犯は何らかの仮装・隠蔽をするということから、それのあるなしが悪質性の見極めです。例えば茂木健一郎氏の巨額の申告漏れは、明らかな故意がありながら、なぜ脱税に問われていないかと言えば、(その是非は置くとして)仮装・隠蔽がないからだと言えます。

私の場合、そもそも脱税しようなどとは思っていなかったため、そうした故意の証拠である仮装・隠蔽があるはずもありません。国税局としては到底告発はできないと考えたものと思われます。それではなぜこの無理筋の事案が告発されることになったのか。

そこで登場するのが「告発要否勘案協議会」なるものです。(注)

簡単に言えば、告発の前には検察と国税局の間で話し合いが持たれ、検察が起訴をするといった場合のみ国税局は告発をするということです。私の第二回公判では、弁護団はこの告発要否勘案協議会の議事録の証拠開示命令申立を行いましたが、結局それは開示されることなく闇の中でした。

その当時、東京地検特捜部長は一連の小沢一郎氏の事件の黒幕とも言える佐久間達哉氏でした。彼の就任記者会見で、「いい事件をやりたい」と功名心を隠すことなく発言した彼が演出したのがこの「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」です。国税局に恩を売っておけば後々覚えも高かろうという読みだったと思います。その背景には、特捜部が起訴をすれば100%有罪に持ち込める、裁判所は検察の自動販売機だという奢りがあったものです。

この段階で、「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」は特捜部によるゴリ押し捏造事件に昇格(?)したものです。そして更にこの事件の経緯のツイストには、大阪の郵便不正事件による影響があります。

郵便不正事件の検察に与えた影響は小さいものではありませんでした。マグニチュード9クラスの激震です。私の告発はこの郵便不正事件の前にされ、検察の取調べが開始したのは郵便不正事件後のことでした。批判にさらされる検察は、告発を受理した時点には持ち得なかった危機意識を取調べ開始時には持ったものだと思われます。全ての捜査を最初からやり直したことは、1年以上に亘る国税局査察部の調査ですら十分でなかったということを彼ら自身認識していたということを表しています。

一般的な常識で言えば、否認即ち逮捕ですが、私が結局最後まで逮捕されなかったことは検察も最後まで不起訴の可能性を探ったのだと思われます。当然、はしごを外されたくない国税局とのメンツをめぐってのつばぜり合いがあったことでしょう。不起訴にして、引く勇気が讃えられるのは検察だけです。告発=100%起訴にこだわった国税局としては、「何としても起訴をしてもらわないと困る。そっちが起訴をすると言うから、こっちも無理を承知で告発したんだ」と押し込んだことは容易に想像できます。激震によっても結局何ら検察は変わるところはなかったということは、陸山会事件に係る虚偽報告書問題でも如実に表れています。

この事件の捜査には億単位の莫大な経費が費やされています。正義のためであれば我々の税金が使われることは勿論必要なことですが、こうした役所のメンツを保つための責任のなすり合いに費やされるのは全くもってナンセンスだと思われます。彼ら捜査権力には公益の代表者だという自覚が全く存在していないと言わざるを得ません。そもそもの捜査が、適正な納税のためという経済的な動機であるのに、この非経済性は役所仕事の情けないまでのセンスのなさを物語っています。

そして一審裁判体は、阿吽の呼吸を期待する検察に対し、そんなものはないと厳しい答えを突き付けました。一審無罪判決に対する検察控訴は、その裁判体を文字通り愚弄したものです。税務事案を集中的に扱う地裁刑事部をもってして、「確定申告が何たるかも分かっていない」と控訴趣意書で主張したのですから、検察の傲慢さもここに極まれりというものです。

そしてこれから控訴審を迎えます。以上が「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」の全貌です。是非ともご注目頂き、事の成行きを見届けて頂きたいと思います。皆様の正義を希求する声は必ず高裁裁判体に届くものと信じています。自浄作用のない検察には「喝!」です。

(注)告発要否勘案協議会が何であるかは、詳しくは私の無罪判決後の落合洋司氏のブログをご参照下さい。

ここをクリック→ 『弁護士落合洋司の「日々是好日」』

9/5/2013












ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―





TwitterやFacebookでの拡散お願いします。

category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2013/09/05 Thu. 04:10 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://fugathegameplayer.blog51.fc2.com/tb.php/595-5225da3e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top