「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (334) 「パンドラの箱を開かなかった大坪元特捜部長の執行猶予は予定調和」 9/30/2013  

#検察なう (334) 「パンドラの箱を開かなかった大坪元特捜部長の執行猶予は予定調和」 9/30/2013

(強制捜査から1749日、控訴審まで46日)

ここをクリック→ 「元特捜部長ら二審も有罪」9/25 報道

この公判の推移において、注目していたのはただ一点。大坪元特捜部長が過去を総括して、三井環事件の内幕を明かすかどうか、ひいては(弁護団ではなく)彼自身が真摯な態度で検察の捜査の在り方そのものを問うかどうかでした。それがないという時点で、私は全く興味を失ってしまいました。

まず以下の前田恒彦元特捜検事の6月18日付フェイスブック書き込みをお読み下さい(彼の書き込みは公開設定されていますので、フェイスブックアカウントがなくても見ることができます。アカウントをお持ちの方は、是非「前田恒彦―元特捜部主任検事のつぶやき」をご購読下さい)。

<大阪地検特捜部の犯人隠避事件>
公判に出ていない事実を含め、「事案の真相」を知る張本人として、両被告人の弁解は虚偽だと断言できます。他方、両被告人が最高検のやり方、とりわけ陸山会・虚偽報告書事件で示した不公平な捜査手法や処分結果に強い憤りを覚え、なお古巣に徹底抗戦しようとする気持ちも理解できます。

因果は巡る、と言います。元特捜部長には、検察の裏金問題を内部告発しようとして検察に息の根を止められた元大阪高検公安部長に対する捜査の背景事情、特に元特捜部長が取調べを担当した贈賄被疑者の取調べ状況の真相を、また、元副部長には、東京勤務時に関与した日債銀事件など、無理に無理を重ねる検察捜査・公判の実態を、それぞれ控訴審の場などで明らかにし、少しでも「検察の闇」を示していただくことを期待しています。真の検察改革のために。

両被告人のような組織力や影響力のない私にできるのは、こうしたネット媒体を使い、志ある若手に少しでも届くように、これからも静かに語り続けることくらいだろうと思っています。
(引用以上)

大坪氏が「とかげのしっぽ」であることは火を見るより明らかであり、検察の組織防衛のため(これが彼の犯人隠避の理由とされているのは非常に皮肉です)、詰め腹を切らされたことは、彼も相当腹に据えかねたでしょう。しかも西の郵便不正事件に対し、それよりはるかに悪質な東の陸山会事件に関わる虚偽報告書問題では、実行犯の田代政弘元検事はあっさり民間に天下りし(注1)、上司の佐久間達哉元特捜部長は検事正に栄転(注2)しているわけですから、なぜ自分は有罪なんだと不公平感を抱くことは容易に想像できます。

しかし、だからといって彼が郵便不正事件において、更に検事としてそれまで行ってきたことが免罪されるわけでもなく、この期に及んで全く反省の弁、村木厚子氏に謝罪の一言もないということでは国民の共感は得られないと思います。

郵便不正事件における証拠の改竄は、末端の更に末端の議論であって(それは証拠の全面開示をしないことと五十歩百歩であり、検察の常態です)、そもそも検察のストーリーに沿って無実の者を自白強要のため長期勾留するという検察の捜査手法そのものが問題であり、現場のトップであった大坪氏の関与はどうやっても否定できないものです。

検察の最大のタブーである裏金問題隠蔽の最大の功労者(注3)である大坪氏が、過去を総括することなく、被害者意識一杯の弁明はちゃんちゃらおかしいものです。彼や検察組織が三井環事件で行ったことが、自分の身に降りかかったという事実を謙虚に受け止めるべきです。

彼が当事者の立場から、検察の実態を暴露するというパンドラの箱を開けることで、そこに「希望」が見出せたはずでした。結局、執行猶予とバーターに彼がそれを開くことはなかったのだと思わざるを得ません。

彼は勾留の体験を著書に記していますが、彼の著書は歴史的資料として是非とも保存してほしいものです。

ここをクリック→ #検察なう (118) 「大坪弘道著『勾留百二十日 特捜部長はなぜ逮捕されたか』を読んで」

「大坪氏vs検察上層部の戦い」は、どちらにも正義のない悪党同士の内輪もめとしか一般市民の目には映りません。そして大坪氏に同情は全くできないものの、勿論、彼より悪者であるのは、郵便不正事件を現場の暴走と矮小化して幕引きをしようとする検察上層部です。とかげのしっぽより頭の方が悪いのは説明を要しないと思います。自分たちは悪くないと嘘をつき通せば国民は騙されると思っていることが実に浅はかです。

大坪氏、佐賀氏が犯人隠避の罪状(刑法103条、2年以下の懲役または20万円以下の罰金)で有罪になったことは重大な誤りです。なぜならそれは、彼らの行為が検察の捜査手法のディフォルトを逸脱した不法行為ということを前提にしているからです。彼らが行ったことは、まさに検察捜査のプロトコルに則ったものであり、特別公務員職権濫用罪(刑法194条、10年以下の懲役又は禁固)で罰せられるべきです。

またもや検察は自浄作用を世に示す機会を逸してしまったというのがこの事件の結論です。郵便不正事件というショックを受けても、彼らは何も変わっていないということです。

長らく組織の風土に浴してきた上層部は腐っているかもしれませんが、それでも私はまだ希望を捨てているわけではありません。若くて(あるいは若くなくても)意識の高い検察官の方々には、是非ともこの逆風の中踏ん張って、検察組織を中から改革してほしいものです。検察が正しくあることが、我々国民全体の利益です。

(注1)
「天下り一覧」 p.5 田代政弘 三菱化学メディエンス 嘱託職員
ここをクリック→ 「天下り一覧」

(注2)
ここをクリック→ #検察なう (311) 「佐久間元東京地検特捜部長、佐賀地検検事正に栄転」

(注3)
検察が調査活動費として架空の領収書で経費を水増しして私的流用していたことは、いかにもせこい役人が考えそうなことで全く驚きもしませんが、最大の問題はそれを隠蔽するため、逮捕権、起訴権といった公権力を恣意的に濫用したことです。検察は、内部告発しようとした三井環氏(当時大阪高検公安部長)をメディア取材の直前に逮捕して、起訴し実刑まで追い込みました。

三井氏を有罪に導いたのが山口系組員渡真利忠光の証言でした。その調書を作り上げた取調べ検事が大坪氏です。彼はこの論功報償で、通常の人事では絶対にありえない三階級特進で赤レンガの法務省保護局総務課長に昇進し、後の特捜部長への切符を手に入れることになります。

検察裏金問題については、2010年5月16日放映の『ザ・スクープ』映像をご覧下さい。

ここをクリック→ 『ザ・スクープ』 検察裏金(1/5)

ここをクリック→ 『ザ・スクープ』 検察裏金(2/5)
12分37秒から、裁判所に入る検事たちの映像がありますが、大坪氏もその中にいます。公判検事をサポートして取調べ検事も裁判に臨むところに検察の本気度が表れています。

ここをクリック→ 『ザ・スクープ』 検察裏金(3/5)

ここをクリック→ 『ザ・スクープ』 検察裏金(4/5)

ここをクリック→ 『ザ・スクープ』 検察裏金(5/5)
三井環氏お得意のフレーズ「裁判所は検察の自動販売機」炸裂です。

検察の裏金問題は過去の汚点だと思っていますが、過去の時点で認めないと、いつまでも亡霊のように出てきます。陸山会事件に関わる虚偽報告書問題もしかり。いつまで検察組織は襟を正すことなく、その場限りの保身を続けるのでしょうか。

9/30/2013
















法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は sienhatta@gmail.com までご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

#検察なう


ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

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category: 刑事司法改革への道

2013/09/30 Mon. 02:33 [edit]   TB: 0 | CM: 2

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この記事に対するコメント

控訴審判決後の大坪被告の記者会見を見ました。保釈後の記者会見の勢いは何処へやら、これ以上の戦いは諦めたような発言とも受けとめられる言葉もありましたね!彼自身が現在の司法制度の仕組みを身近に感じているはずですから自分だけ特別な人間と思っていたのでしょうか?逮捕・起訴・有罪判決と最初から決まっていた事案だと私は思っておりました。否認をしようが黙秘をしようが最初からストーリーありきなのは本人自らが行ってきた行為と同じなのです。それが現在の検察の実態なのは本人が一番理解もしていたでしょうに…足掻くほどに世間の目は彼に冷たいものになっていくと感じます。前田元検事のようにブログでも作り検察官としての誇り?など捨て、まず自らの過去の取り調べ手法など赤裸々に告白して検察に巣くう悪を正す、また司法改革のために
残りの人生を償うくらいの気持ちを持ってこれから歩んでもらいたいものです。彼によって罪人とされた方もいると思います。自信が被告人となって感じたこともあると思うので人間としての良心に期待したいと思います。東京地検特捜は不起訴、大阪地検特捜は起訴と片手落ちの判断に怒りを感じているのなら検察の実態を訴えて欲しいと願うばかりです。

名無し #- | URL | 2013/10/02 Wed. 17:26 * edit *

コメントありがとうございます

全くおっしゃる通りのことを私も期待していました。彼の言う「義憤」が本物であることを望んでいました。しかし、それは裏切られました。記者会見で何度も繰り返した「結論ありきの捜査」の問題が、検察捜査の在り方の根本的な問題であることは彼も重々承知しているはず。それを彼自身の事件だけではなく、「自分もそれに加担してきた。自分がこれまでそうした捜査をしてきた人たちに対し、申し訳なく思う」と言ってくれれば、私の捉え方も180度違っていたと思います。特捜部長といえば検察官の中ではエリート中のエリート。それがこれほど器が小さい人物だと、ほかの検察官も推して知るべしなのでしょうか。そうではないことを願ってやみません。

八田隆 #- | URL | 2013/10/02 Wed. 17:41 * edit *

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