「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (346) 「控訴審初公判前日」 11/14/2013 

#検察なう (346) 「控訴審初公判前日」 11/14/2013

(強制捜査から1794日、控訴審初公判まで1日)

とうとう検察控訴による控訴審が明日から始まります。

一審が始まる直前のブログを読み返してみて、あの頃は全く緊張していなかったなと思い出します。その頃と比較して、今の方がナーバスになっています。一審が始まる直前のブログは、堀江貴文氏がメルマガの書評で、田中周紀著『国税記者 実録マルサの世界』(この中にクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件が詳しく書かれています)を取り上げてくれたとはしゃいでいました。

一審では公判前整理手続を行わなかったため、公判は長丁場になると思っていました。また、結果には執着しない、ただできる限りのことをやろうという思いが強かったので、かえって気楽でした。

今の心境を例えれば、菊花賞を人気薄の馬に騎乗して淀の3000メートルをあれよあれよと逃げ切ったジョッキーが、今度は中山1200メートルのスプリンターズSで本命グリグリの一番人気馬に騎乗する様な気分です(実際の秋のGI戦線では、スプリンターズSの方が菊花賞より先ですが)。長距離戦では、馬なりにゲートを出て、あとは展開次第でレースを組み立てることができるのに対し、短距離戦では、ゲートを出負けるとそれで勝負が決します。

明日の初公判の内容如何で、今後の展開が場合によっては決まってしまいます。それを解説したいと思います。

これまでの実務においては、被告人控訴(一審有罪)と検察官控訴(一審無罪)ではその取扱いが大きく異なると言われていました。被告人控訴の場合はほぼ門前払いで一回結審の控訴棄却であるのに対し、検察官控訴の場合はどんなにしょーもない証拠でも採用され、本来事後審である控訴審が続審のように新たな審理に入るというものです。

しかし、控訴審の事後審としての在り方を確認する判例が昨年2月13日に最高裁で出されました。それが「チョコレート缶事件」の判例です。(注)この判例は、被告人控訴・検察官控訴に関わらず、控訴審が続審化することに抑制的であるべきであるとすると同時に控訴のハードルを上げるものです。私の控訴審では、まだ日の浅いこの最高裁判例が下級審実務に反映するのかどうかが注目されるところです。

私の一審無罪判決は、刑事司法どっぷりの者であればあるほど驚いたことと思います。それは刑事司法の世界では、「推定有罪」がディフォルトだからです。一番驚いたのは検察だったのではないでしょうか。

私が故意に過少申告した、つまり脱税をしたという客観証拠は存在しません(もし私が脱税をしていれば不合理な事実関係は山積みですが、過失ゆえの過少申告であったという直接的証拠も存在しようがありません)。しかし、犯行の故意性という実にあいまいなものは、客観証拠がなくても「知っていたはずだ」「気がついたはずだ」という推認で有罪にできるというのが刑事司法の世界の常識でした。有り体に言えば、「検察が有罪と言えば有罪」というものです。

しかし一審裁判体は、刑事司法の大原則である推定無罪原則に忠実であれという強い意思表示をしました。それが一審無罪判決の意義です。その判決は、正しくあるべきものが正しいことを知らしめ、多くの人に感動と希望を与えました。

一審裁判体が「検察司法」の悪弊を断ち切る勇気ある判断をしたにも関わらず、そのメッセージを受け取れない検察は控訴し、更に控訴趣意書で一審裁判体を「確定申告が何たるかも知らない」と愚弄しました。この奢った検察の目を覚まさせるために私が期待するのは、検察官控訴では例を見ない門前払いの一回結審です。それがあるかどうかが、明日の最大の見せ場です。

そうなれば歴史が動いたという感動ものですが、検察官控訴は自動的に新たな審理に入るという旧来通りの展開だとしても落胆するには早いものです。確かに過去のデータでは、検察官控訴の場合7割の確率で原判決破棄=有罪となりますが、一審で有罪率99.9%以上ということを考えると、控訴審での無罪の可能性は優に300倍以上です。その場合は控訴審でも楽しみが増えたくらいに考えたいと思っています。

一審判決直後は、自分の無罪判決を素直に喜ぶことができませんでした。その複雑な気持ちはサバイバーズ・ギルトに近いものだったと思います。自分が冤罪の当事者となって、この世には冤罪に苦しむ人が数多くいることを知り、彼らの中には自分の無実が「無罪」という形で証明されることを渇望する人も少なくないと思います。そういった方々の気持ちを思うと自分だけが無罪でいいのだろうかと考えてしまいました。

しかしその後、多くの人が私の一審無罪に、刑事司法において正義が実現したことを喜んでくれ、少しずつ無罪判決でよかったのだと思い、元気が出てきました。やはり冤罪を戦うには支援する人々の力が助けとなることを痛感したものです。そうした支援してくれた方々への恩返しのためにも心を強くして、控訴審では結果にこだわりたいと思ってきました。

明日の公判は5分ほどで終わると思いますが、その凝縮した時間に緊張感を味わいたい方は、是非傍聴をお願いします。霞が関の東京高裁第720号法廷にて1400開廷です。また例によって「#検察なう」のハッシュタグ付きツイートもお願いします。

刑事司法の歴史が変わるか。見どころ満載のクレディ・スイス証券集団申告漏れ事件に今後ともご注目お願いします。

(注)
ここをクリック→ #検察なう (318) 「「チョコレート缶事件」と論理則・経験則違背」

11/14/2013











法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は sienhatta@gmail.com までご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

#検察なう


ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―





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category: 刑事裁判公判報告

2013/11/14 Thu. 00:53 [edit]   TB: 0 | CM: 5

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この記事に対するコメント

いよいよ明日、第一回目の控訴審ですか。何故、こうまでして有罪に
持ち込みたいのでしょうか?検察の威信・面子?
検察の組織としての誇りや権威、信頼感などより検察官も人間としての
あるべき姿…引く勇気・潔さ、これこそが威信を保つのではないでしょうか…
八田さんのブログは「冤罪で苦しんでおられる多くの方々に」勇気を
与えていると思っています。
八田裁判にて(佐藤裁判長)
「今回のことで(長い)時間が過ぎ、大切なものをなくしてきたと思います。
それを取り戻すのは難しいと思いますが、(そんな中でも)家族やいろんな人が
残ってくれましたね。そういった人のために前を向いて、残りの人生を、
一回しかない人生を、しっかり歩んで欲しいと思います」 と言った
佐藤裁判長さんのような…今回もまた同じ思いの裁判官であってほしいと
願っております。

名無し #- | URL | 2013/11/14 Thu. 20:38 * edit *

コメントありがとうございます

わがままな言い方を許して頂ければ、冤罪被害者の気持ちは冤罪被害者が一番よく分かると思っています。そして声を出せない冤罪被害者も多いと思います。その方々の気持ちを代弁したいという思いでブログを続けています。

引き続き応援のほど、よろしくお願いします。

八田

八田隆 #- | URL | 2013/11/15 Fri. 08:51 * edit *

八田さん頑張ってください。


 有罪することに努力を惜しまない検察、検察に寄り添う裁判官でないこ

 とを願います。一日も早く無罪になられるよう応援しています。

 

aiko miyake #- | URL | 2013/11/16 Sat. 22:55 * edit *

ありがとうございます

お気持ち本当にうれしく思います。私の望みは控訴審も勝って、検察が上告することです。そして検察に三立てを食らわせたいと思っています。判例としての重みが全く違います。そこまで心を強くして頑張りたいと思っています。引き続き応援お願いします。

八田

八田隆 #- | URL | 2013/11/17 Sun. 09:49 * edit *

こういう馬鹿な裁判長は即刻首にすべき。脱税有り有りだろ。
偽ユダヤ証券から金もらってるんだろうよ。

#- | URL | 2014/01/31 Fri. 18:13 * edit *

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