「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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フィルム・レビュー 『ハンナ・アーレント』 マルガレーテ・フォン・トロッタ監督 

フィルム・レビュー 『ハンナ・アーレント』 マルガレーテ・フォン・トロッタ監督

ハンナアーレント

今、一番話題の映画『ハンナ・アーレント』。東京では10月末の公開以来、毎回満席と聞いていて、混んでる映画館が苦手な私はここまで待っていました。

国家権力が悪魔的な行為をする際、手を下す者は義務感と良心をいかに自分の中でバランスするのかを私は考えてきました。そして彼らは「思考停止」状態なのではと思い至るまでに5年かかりました。そう考える私にとっては、まさに我が意を得たりというテーマだったのでこの映画は楽しみにしていました。

主人公のハンナ・アーレントは収容所を経験し、アメリカに亡命したドイツ系ユダヤ人の哲学者。彼女がナチスの戦犯アドルフ・アイヒマンの裁判を傍聴し、その傍聴記を『ザ・ニューヨーカー』誌に掲載します。アウシュビッツの最大級の犯罪者に人々はメフィストフェレス像を期待しますが、アーレントは「陳腐な(あるいは凡庸な)悪」として根源的な悪ではないとし、世間の大批判を浴びます。

ちなみにアイヒマンは、ゲシュタポのユダヤ人課課長で、ユダヤ人収容者の収容先を決めていた人物です。アーレント自身も、収容所から逃れることができなければ、アイヒマンその人にアウシュビッツに送られていたはずです(同じ収容所の多くの女性が夫の助けを待って結局アウシュビッツ行きになった)。アイヒマンが公判で語った「一人の死は悲劇だが、集団の死は統計上の数字に過ぎない」という言葉はあまりに有名です。処刑前に「最後の望みは」と聞かれ、「ユダヤ教徒になる」と答え、なぜかと尋ねられると「これでまた一人ユダヤ人を殺せる」と言ったという逸話も残っています。

ハンナ・アーレントに自分を投影してあっという間の113分でした。ところがテーマがテーマだけに、終わりのエンド・クレジット直前に立つ人が1割くらいいたかな。やはりホロコーストがテーマといえば、弾圧されたユダヤ人が強く生き抜くお涙頂戴系の方が分かりやすいとは思いますが。

哲学者を主人公とする映画ですが、せりふは実に分かりやすく噛み砕かれて書かれているように思えました。

せりふを引用します(最後のハイライトの8分間のスピーチより)。

「世界最大の悪は、平凡な人間が行う悪なのです。そんな人には動機もなく、信念も邪心も悪魔的な意図もない。人間であることを拒絶した者なのです。そしてこの現象を、私は『悪の凡庸さ』となづけました」

とてもいい作品なのですが、敢えて難を言えば、ハイデッガー(アーレントはかつて不倫の関係にあった)との再会のシーンはいらないかな。存在の意味を問うたハイデッガーを登場させることで、思考しないアイヒマンの「非」人間性を対比させたというのも考え過ぎだろうし。あと、アーレントを演じたバルバラ・スコヴァ(クローネンバーグの『エム・バタフライ』に出てたらしいが、記憶になし)は哲学者、女性、友人をよく演じているけれど、傲慢さ(映画では何度も人から言われている)が弱かったかな。よき理解者(そして批判にさらされている時は数少ない理解者)の夫を愛する非常にチャーミングな女性でした。

もう一度是非観たい作品です。興味のある人はお見逃しなく。

ここをクリック→ 『ハンナ・アーレント』予告編

(Facebook 11/24/2013より転載)
















ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

ここをクリック→ #検察なう 冤罪と戦う八田隆を支援する会





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category: フィルム・レビュー

2013/12/01 Sun. 06:03 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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