「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (361) 「『知らなかったではすまされない』~故意と過失」 1/9/2014 

#検察なう (361) 「『知らなかったではすまされない』~故意と過失」 1/9/2014

(強制捜査から1851日、控訴審判決まで21日)

「知らなかったではすまされない」と非難されることがあります。

人を非難する場合、感情に流されてあまり論理的でないことはままありますが、やはりその真意を問い質したいものです。

もしそれが「お前は嘘をついている。裁判官はだませても、俺はだまされない」ということであれば、私は憤慨し「あなたは裁判官と同じだけ証拠を精査したのですか。言い逃れが通用するほど有罪率99.98%の刑事司法は甘いものではないということを御存じないのですか」と言いたくなります。

もしそれが「税金を払うのは国民の大切な義務だ。その義務を怠ったからには責任を取らなければならない」ということであれば、「その通りですね。しかし、私は既に相応のペナルティーを払ってます」と説明することになります。

税金を払っていなかったことが故意でないと認定され、結果裁判で無罪となっても「修正申告してお咎めなし」というわけではありません。過失により税金の支払いが遅れたことに対する罰則が科せられます。私は既に、億単位の本税に対する10%の過少申告加算税と年14.6%(期限後申告分)もの延滞税を支払っています。

私は、税務調査の当初より過失による責任に関しては全く争っていません。私が争っているのは故意によるペナルティーです。それは35%(過少申告加算税と差し引き25%)の重加算税と私を前科者とする刑事罰です。

勿論、無罪放免となってもこの5年間に刑事被告人として失ったものが戻ってくるわけではありません。それでも「知らなかったではすまされない」と言われるのであれば、「分かっちゃいないなあ」と残念に思うばかりです。

刑法では、犯罪を行う故意がない場合の行為は罰せられないと規定されています。

刑法第38条第1項
「罪を犯す意思がない行為は、罰しない」

しかし、その後段で「知らなかったではすまされない」という場合があることも規定されています。

「法律に特段の規定がある場合は、この限りではない」

即ち、特別の規定がある場合は過失でも罰せられることになります。過失であれば罰せられないということを原則としながら、過失でも罰せられる場合があることが決められています。

より重大な結果をもたらす行為に対しては、故意によるものと過失によるものを分け、それぞれに異なる罰則を規定しています。例えば人を殺した場合、故意であれば殺人罪(刑法第199条)、過失であれば過失致死罪(刑法第210条)や業務上過失致死罪(刑法第211条)となります。即ち、「知らなかったではすまされない」過失による行為にも罰則が決められています。

税金を払わないということに関しても、重大な結果をもたらすものとして、過失でも罰則があります。それが過少申告加算税(国税通則法第65条)や延滞税(国税通則法第60条)です。そしていわゆる「脱税」である所得税法違反に関しては、条文で「偽りその他不正な行為により」(所得税法第238条)と故意が要件であることが規定されています。

「知らなかったではすまされない」ということはごもっともですが、「それ相応のペナルティーは払っているのになあ」というのが私の気持ちです。

また道路交通法のようないわゆる軽犯罪では、故意であろうが過失であろうが一様に罰せられることが定められています。「うっかり赤信号を見落とした」といった「うっかりミス」の言い訳ができないようになっています。

また、過失の主張をするハードルが非常に高いことには、法律を知らなかったという言い訳は全く通用しないということがあります。ルールを知らなかったという言い訳が通用すれば、法律に詳しい者がより罰せられるという不公平な状況ができるからです。

例えば狩猟法(現在の鳥獣保護法)では「タヌキを捕獲してはいけない」と定められていました。この規定を知らなかったとしても、それは言い訳になりません。これを「法の不知」といいます。

この「法の不知」と間違われやすいのが「事実の錯誤」です。ある猟師の住む地域では、タヌキがムジナと呼ばれていて、彼はそのムジナを獲ったと思っていたという場合です。「タヌキを捕獲してはいけない」という規定を知りながら、自分が獲ったものはムジナであると思い込んでいたものです。これは実際にあった事例で、判例で無罪となっています。

ここをクリック→ Wikipedia たぬき・むじな事件

ここで重要なことは、彼に「ムジナはタヌキではない」という明確な認識があったことです。

私の場合も、私は株式報酬に対する所得税を払う必要がないと思っていたわけではなく、株式報酬も給与・賞与・退職金の一部である以上、税金は当然払うべきであり、給与天引きで払っていると思っていました。

誤解を受けるそもそもの発端が自分にあったことは反省しつつ、その誤解を解いていくよう努めたいと思っています。

1/9/2014












ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 経緯説明 「真実は一つである」

ここをクリック→ 被告人最終陳述

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

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category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2014/01/09 Thu. 07:18 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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