「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

05« 2017 / 06 »07
1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.

#検察なう (366) 「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件これまでの公判の流れ」 1/27/14 

#検察なう (366) 「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件これまでの公判の流れ」 1/27/14

(強制捜査から1868日、控訴審判決まで4日)

とうとう今週金曜日、1月31日に私の控訴審判決が下されます。

控訴審初公判前には、クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件の概要を振り返りました。

ここをクリック→ #検察なう (327) 「「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」とはどういうものであったか」

今回のブログでは、これまでの公判の流れをおさらいしてみようと思います。

一審第一回公判 (2012年2月22日)
待ち望んだ初公判の時には、強制捜査から既に3年2ヶ月が経過していました。

裁判長は野口佳子裁判官(現在前橋地・家裁判事)、右陪席は佐藤弘規裁判官(現在水戸地・家裁判事)でした。通常の合議審では、右陪席はあまり関与しないと聞いていたので、野口裁判長と佐藤裁判官が頻繁に話をしていたのが印象的でした。

私の罪状認否を途中で野口裁判長に遮られたことが少なからずショックでした。その罪状認否で言えなかったことを江川紹子氏が「封じられた八田陳述」としてツイートしてくれました。ツイッターは、これ以降の公判においても場外サポーターをつなぐ強力なツールとなりました。それを友人がまとめたトゥギャッタ―は、私の公判の「ライブ感」をパッケージしたタイムカプセルです。

通常初公判では検察冒頭陳述のみが行われるのですが、傍聴人への配慮として弁護側冒頭陳述を行い弁護側の主張を明らかにしました。その中では私の無罪主張のほか、公訴権濫用を争点として挙げました。検察は私の無実を知りながら起訴したというものです。

ここをクリック→ #検察なう (106) 「初公判報告」

ここをクリック→ 初公判トゥギャッタ―

一審第二回公判 (2012年4月11日)
第二回公判以降、裁判長は初公判で右陪席を務めていた佐藤弘規裁判官、右陪席は渡辺美紀子裁判官となりました。この第二回公判以降においても、右陪席が随分関与していたことが私の一審公判を通しての一つの特徴でした。

この第二回公判で、イレギュラーなことですが裁判官の許可を得て、私の被告人陳述を行いました。まだ裁判体は私や弁護人に対して懐疑的だったと思いますが、言い分は言わせてやろうという訴訟指揮でした。

この第二回公判以降、私の友人のこれから売れる予定の漫画家が公判画を描いてくれ、以降毎回、中央最前列に陣取ってスケッチをする彼女の姿は私の公判の名物になりました。「開かれた裁判」の一つの試みと思って頂けると幸いです。

ここをクリック→ #検察なう (119) 「第二回公判報告」

ここをクリック→ 第二回公判法廷画

ここをクリック→ 第二回公判トゥギャッタ―

一審第三回公判 (2012年6月8日)
公判の流れにおける大きな分水嶺がこの第三回公判でした。検察側証人としてクレディ・スイス証券法務・コンプライアンス本部長の証人尋問が行われました。この証人尋問で、検察の主張の大きな柱が崩れることになります。「税務指導は会社の責任ではなく、会社は株式報酬に関する税務指導はしていなかった」ということが明らかになったからです。

その証言内容を知りツイッター上でも、「検察側証人ではなかったのか」という驚きの声が上がりました。検察側証人を相互申請して証人テストを行った弁護人の高度な戦略が功を奏したものです。公判の流れは、以降大きく有利に展開していくことになります。弁護人も期日間協議での裁判官とのやり取りを通じてそれを感じていたようです。

ここをクリック→ #検察なう (147) 「第三回公判報告 検察の主張崩れる!」

ここをクリック→ 第三回公判法廷画

ここをクリック→ 第三回公判トゥギャッタ―

一審第四回公判 (2012年8月22日)
これまでの公判では検察による証拠調請求が行われ、弁護側はほぼ全ての証拠を同意。それに対し、この第四回公判で請求された弁号証(弁護側証拠)を検察はほとんどを不同意としました。

相手側請求の証拠の「同意」「不同意」は訴訟戦略としては非常に重要であり、駆け引きや高度なストラテジーが必要とされます。弁護人は、自らは控訴審も戦えるだけの余力を残しつつ、検察側にはその余裕を与えないよう、ほとんど全ての検察側証拠を同意する戦略を取りました。それにより、一審を「検察側は些末な証拠しか提出できない」という心証を裁判官に与えて有利に進めるとともに、控訴審において検察は出涸らしの証拠をもってでしか戦えないという結果となっています。

ここをクリック→ #検察なう (180) 「第四回公判報告」

ここをクリック→ 第四回公判法廷画

ここをクリック→ 第四回公判トゥギャッタ―

一審第五回公判 (2012年9月14日)
二人目の証人尋問が弁護側請求により行われました。私の確定申告をしていた税理士です。彼は、税務調査の開始当初から全てのやり取りを知る私以外の唯一の者です。また私以外で唯一強制捜査を受けた者でもあります。それだけ重要な人間でありながら、彼と私の間で交わされた200通近いメールを検察は証拠調請求せず、そのメールは弁護側から証拠調請求されています。

取調べでは検察の聞きたいことしか聞かれず、調書には被告人に有利なことが書かれることは基本ありません(それを証拠として最優先する「調書主義」で真実に到達するという幻想を裁判官は即刻捨てるべきだと思います)。それゆえ弁護側証人の尋問は、被告人に有利な情報を裁判官に知ってもらう非常に重要な機会となります。

彼の証言で、客観的事実に裏付けられた私の税務に関する知識や関心が明らかになりました。また、「源泉徴収票に会社支給の給与が全て反映されていることは社会通念である」「源泉徴収という社会的制度に会社の都合で例外を設けることは適当ではない」といった税務に精通する者の知識・感覚に裏打ちされた意見も出されました。

ここをクリック→ #検察なう (187) 「第五回公判報告」

ここをクリック→ 第五回公判法廷画

ここをクリック→ 第五回公判トゥギャッタ―

一審第六回公判 (2012年9月28日)
公判の流れは佳境に入ります。この第六回公判から被告人質問が行われました。第六回公判では弁護人主尋問3時間、検察官反対尋問2時間の計5時間の被告人質問が行われました。

今回の弁護人主尋問では、時系列に沿って、様々な状況下で私の思考パターンを追体験してもらうような質問を重ねました。同じ状況に置かれたなら、私の取った行動が合理的であることを理解してもらうためです。それは傍聴に来てくれた方々にも理解してもらえたようです。

それに対して、検察官反対尋問の噛み合わないこと。頭からこちらが嘘をついていると決めつけている態度には真実を追求するという意欲は全く見られませんでした。裁判官も検察官も弁護人も真実追求という同じ目的意識を共有しているのが公判の本来あるべき姿だと思います。公判検事の「ほんとですか~?」の連発に私がいらっとして「その「ほんとですか~?」をやめてもらえませんか。ここは真実を追求する場ですから」と発言する一幕も。

ここをクリック→ #検察なう (189) 「第六回公判報告 検事自ら公訴権濫用暴露」

ここをクリック→ 第六回公判法廷画

ここをクリック→ 第六回公判トゥギャッタ―

一審第七回公判 (2012年10月26日)
前回に引き続き、計3時間半に及ぶ被告人質問。弁護人主尋問の質問内容は、故意性の有無という核心に迫る濃い内容に。対する検察官反対尋問は、終始彼らのストーリーの押し付けでした。過失でも矛盾のない事実をこじつけて推認を独白する、尋問の体をなしていない反対尋問でした。

そして裁判官による補充尋問が開始。言うまでもなく最重要の公判手続きです。非常に細かい論点を突いてくるため、答えるのに四苦八苦。なんとか答えを記憶の中から掘り出そうとするのですが、後から「記憶にありません」とはっきり言うことも必要だったなと反省することしきり。

私としては、うまく答えられたという実感のない補充尋問でしたが、弁護人はこの補充尋問の内容をもって無罪を確信したとのことでした。「有罪判決を書くつもりならあのような質問はしませんよ」でしたが、私には今一つそうした実感は得られませんでした。そして、予想外の補充尋問延長の追加公判が次回期日となりました。

ここをクリック→ #検察なう (204) 「第七回公判報告、被告人質問終了…..と思いきや延長戦突入」

ここをクリック→ 第七回公判法廷画

ここをクリック→ 第七回公判トゥギャッタ―

一審第八回公判 (2012年11月7日)
前回に引き続き裁判官による補充尋問が1時間半行われました。相変わらず実に細かい論点をつぶしてくる裁判官は、相当証拠を読み込んでいることが伺えました。

そして前回の反省も功を奏さない私の不器用な応対が続きました。ただ「分かりません」とか「記憶にありません」と言うだけだと、言い逃れをしているようで気持ちが悪いので「記憶にあるわけではありませんが、~ではないかと思います」というような答えが多くなってしまいました。そもそも関心が低いからこそ、あるいはそのことに注意力が散漫だからこその申告漏れなので、はっきり記憶しているわけもないのですが。

ここをクリック→ #検察なう (210) 「第八回公判報告」

ここをクリック→ 第八回公判法廷画

ここをクリック→ 第八回公判トゥギャッタ―

一審第九回公判 (2012年11月26日)
検察論告求刑。1時間半に亘って朗読されたその内容は、これが国家の最強捜査権力の論告なのかと思わせるほど空疎なものでした。それまでの公判で明らかになったことは全て私に利する事実であったため、論告は内容的には冒頭陳述から一歩も出ないどころか数歩後退し、ただ単にボリュームだけ倍に希釈させたような推認・推論の連続でした。

「脱税は、国家の税収を減少させ、市民社会、ひいては国家を根底から揺るがす結果を招く反社会的性格の強い重大な犯罪類型だ」とする紋切り型の主張に対し、私は当日のブログで「(そうした)講釈を垂れるのであれば、「役所のメンツのために冤罪をものともせず、公権力を振りかざす行為こそ、より重大な犯罪類型に相当する」と、のしをつけて返したいものです」と書きました。

論告求刑、懲役2年罰金4000万円。

ここをクリック→ #検察なう (222) 「第九回公判報告」

ここをクリック→ 第九回公判法廷画

ここをクリック→ 第九回公判トゥギャッタ―

一審第十回公判 (2012年12月21日)
大詰めの最終弁論及び被告人最終陳述が行われました。

通常、二言三言の最終陳述に私は20分時間を頂き、自分の主張をすることができました。是非全文をご参照頂ければ幸いです。それが佐藤弘規裁判長の判決後の説諭の伏線になっています。

ここをクリック→ #検察なう (238) 「第十回公判報告 最終弁論+被告人最終陳述」

ここをクリック→ 第十回公判法廷画

ここをクリック→ 第十回公判トゥギャッタ―

一審第十一回公判 (2013年3月1日)
判決。「主文、被告人は無罪。もう一度言います。被告人は無罪」

しびれました。その後、一斉に席を立つ記者のざわめき。その喧騒、傍聴席の熱気に小さな一歩かもしれませんが、刑事司法に確かな楔を打ち込んだ手応えを感じました。

多くの友人・知人が傍聴に来てくれましたが、彼らにとっては佐藤裁判長の説諭は最大級の贈り物だったと思います。

判決直前のブログでも書きましたが、判決には全くこだわっていませんでした。刑事司法の現実を知れば知るほど、一般人の常識とはかけ離れたことが刑事司法の世界では起こっていることを理解し、自分では当たり前のことが当然に起こっただけの無罪判決が、今振り返っても奇跡のようなふわふわした感じです。

その後、佐藤裁判長の真摯な言葉を踏みにじるかのように検察は控訴をします。更に検察控訴趣意書で、「一審裁判体は確定申告が何たるかも理解していない」という侮辱的な主張を展開したことには驚かされました。

ここをクリック→ #検察なう (269) 「第十一回公判報告~無罪判決」

ここをクリック→ 第十一回公判無罪判決法廷画

ここをクリック→ 第十一回公判無罪判決トゥギャッタ―

控訴審第一回公判 (2013年11月15日)
一審初公判や一審判決よりも緊張したのがこの控訴審初公判でした。裁判長は角田正紀裁判官。法制審議会「新時代の刑事司法制度特別部会」のメンバーにもなっている方です。

一審と控訴審では全くそのスタイルが違います。一審では裁判体の感触を伺いながら、検察の出方次第で防御や攻撃のストラテジーを立案・修正することができますが、控訴審は事前の証拠検討で勝負が決まり、公判はまさに一発勝負。それは居合い切りのような感じです。弁護人に喜田村洋一先生を迎え、一審主任弁護人の小松正和先生とのツートップの新体制をもって必勝の構えで臨んだ控訴審でした。

支援者の方には、「勝負は5分で決まるから」と告知していましたが、実際には6分。その6分の間にも凝縮したドラマがありました。

注目は検察証拠請求が認められるか否か。それが認められれば新たに審理が再開することを意味し、歴史的なデータは7-8割逆転有罪というものです。認められなければ、ほぼ「ゲームセット」。

そして裁判長は、書証及び2回に分けて請求された人証(被告人質問)をそれぞれ却下。そのわずか30秒の間にも随分気を持たされたものです。

これで完全勝利のお膳立ては整いました。注目の控訴審判決は今週金曜日1月31日です。

ここをクリック→ #検察なう (347) 「控訴審初公判報告~検察官控訴で門前払いの一回結審」

ここをクリック→ 控訴審初公判法廷画

ここをクリック→ 控訴審初公判トゥギャッタ―

1/27/14













法廷画が冊子化されました。正(第2回公判~第7回公判、400円)、続(第8回公判~第11回公判無罪判決、500円)の2冊です。代金(実費)は、無償で法廷画を描いてくれた漫画家にカンパされます。ご希望の方は「#検察なう」フェイスブック・コミュニティのメッセージでご連絡下さい(送料9冊まで80円、10冊以上160円)。

#検察なう


ここをクリック→ Wikipedia クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

ここをクリック→ 八田隆ツイッタ―

ここをクリック→ #検察なう フェイスブック・コミュニティ





TwitterやFacebookでの拡散お願いします。

category: 刑事裁判公判報告

2014/01/27 Mon. 00:28 [edit]   TB: 0 | CM: 0

go page top

この記事に対するコメント

go page top

コメントの投稿

Secret

go page top

トラックバック

トラックバックURL
→http://fugathegameplayer.blog51.fc2.com/tb.php/658-e585c2a4
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

go page top