「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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#検察なう (370) 「検察上告を促すべく、不服審判請求をしました」 2/10/2014 

#検察なう (370) 「検察上告を促すべく、不服審判請求をしました」 2/10/2014

(強制捜査から1882日、検察上告期限まであと4日)

主任弁護人の小松正和弁護士といつも考えを巡らせているのは「次の一手は何にするか」ということです。控訴審で検察控訴棄却後も、いつも同様次の一手をディスカッションしました。

小 「八田さん、次は重加算税の返還を求めて不服審判ですね。結論は刑事(裁判)と連動していますから、(無罪が)確定してからすればいいと思います」
八 「いや、先生、検察に上告させたいと思ってるんです」
小 「真剣に言ってるんですか」
八 「真剣です」
小 「それならただちにしましょう」

この会話を理解するための背景として、この事件と国税局・検察の関わりを説明します。

国税局ですら「証拠はない」(私と面談した統括官の言葉)と言っていたこの無理筋の事件の告発の段階では、佐久間達哉元特捜部部長率いるイケイケドンドンの特捜部がむしろ積極的であったと思われます(彼の功名心が引き金となっているという点では、「クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件」の背景には、一連の小沢氏の事件との相似性が認められます)。

その後に起こった郵便不正事件は、状況を一変させました。本来告発=起訴というのが彼らの常識でしたが(注)、あまりにも脆弱な証拠に、弱体化した特捜部は起訴を躊躇します。そして特捜部の取った行動は、捜査を全て最初からやり直すという異例中の異例のものでした。告発を受理しておきながら、国税局査察部の捜査が不十分であるとする自己撞着がそこにはあります。

特捜部取調べは3ヶ月の長期に亘りますが、その間も役所間の責任のなすり付け合いがあったと思われます。検察は土・日も営業していますが、国税局は週末休みであるため、取調べが行われなかった月曜日に彼らの間の調整が行われていたようです。週終わりに向けて、こちらが押し込んだと思っていたところ、週明けの火曜日にはまたねじを巻かれた検事が態度を硬化させて取調べが再開するということが度々ありました。

結局、はしごをはずされたくない国税局が押し切る形で、私は起訴されました。やはり「誰のおかげで飯を食ってられるんだ」という財布のヒモを握った役所の強さです。

それでも起訴の段階では、特捜案件は裁判所が救ってくれるであろうという甘い読みが特捜部にはあったと思います。一審の判決は「そんな阿吽の呼吸はない」という一審裁判体の強いメッセージでした。3月1日の無罪判決というのは、確定申告シーズン真っ盛りの折、国税局にとっては最悪のタイミングでした。国税局は無罪を確定させたくなかったものと思われます。起訴に続いて検察が泥をかぶる形で無理筋控訴がなされました。

さすれば、もう一度国税局に一働きしてもらって、検察に上告を無理強いしてもらおうというものです。そのための国税不服審判所への審判請求です。先週金曜日に、餅は餅屋ということで税理士の加賀聡先生と小松先生を代理人とした審判請求を東京国税不服審判所に行いました。

ここで国税の不服申立制度をご説明します。次の添付資料「制度の概要図」をご覧下さい。

ここをクリック→ 国税の不服申立制度の概要図

私の過少申告が故意の脱税であったとして、国税局は重加算税を課しています。私はそれを一旦払った上で、それを不服として納税地の目黒税務署長に異議申立をしています。「制度の概要図」で、「3か月を経過しても意義決定がない場合」に国税不服審判所への審査請求をしたという状況が現段階です。

異議申立は2010年6月にしており、通常は概ね3ヶ月以内に決定がなされるところが、なんとこれまで放置されていたものです。その間、2010年末に目黒税務署長から「審査請求をすることができる旨の教示書」なるものが届いています。つまり異議申立の決定はパスして次の段階に進んでくれというものです。

その教示書には「原処分の理由」として重加算税の賦課決定の理由が書かれています。重加算税の要件は仮装・隠蔽(国税通則法第68条)ですが、私の行った仮装・隠蔽とは「所得金額を殊更過少に記載した内容虚偽の本件各確定申告書を原処分庁へそれぞれ提出したこと」とされています。確定申告書への誤った金額の記載のみが仮装・隠蔽ということが国税局によっても認定されており、それは勿論、過失であれば仮装・隠蔽でないことは明らかです。

冒頭、小松先生の言葉の中の「結論は刑事(裁判)と連動」しているというのは、私がこれまで戦ってきた刑事裁判で脱税の故意性が否定されれば、私は全く仮装・隠蔽をしていないことになり、重加算税を課す理由が消滅することを意味しています。

元々国税局の付属機関である国税不服審判所が、国税局の決定が誤りであったという審判を避けるには、検察が上告するしかないということを我々は計算しています。

是非とも、検察には上告してもらい、検察司法に開けた風穴を更にドでかいものにして、今後の検察改革に拍車をかけたいと思っています。

我々は依然追撃の手を緩めていません。引き続きご注目下さい。

(注)
このあたりの経緯は元特捜部主任検事前田恒彦氏の『週刊ダイヤモンド』今週号掲載「クレディ・スイス証券元部長に再び無罪判決 当局が告発や起訴に至った背景とその問題点」に詳しいので是非、ご参照下さい。

ここをクリック→ 「クレディ・スイス証券元部長に再び無罪判決 当局が告発や起訴に至った背景とその問題点」

これは有料記事になります。本誌を購入し(690円)掲載のパスワードを入力するか、Web版を1回購入(690円)すればそのまま読めます。

2/10/2014

















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category: 刑事裁判公判報告

2014/02/10 Mon. 01:05 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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