「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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日刊ゲンダイ 実録「マルサの事件簿」 7/15/2011 

日刊ゲンダイ 実録「マルサの事件簿」 7/15/2011

クレディ・スイス集団申告漏れ第4回


 2008年12月16日、冬の気配が漂う早朝の石川県金沢市。兼六園に程近い閑静な住宅街に東京国税局査察部の実施班、通称「ミノリ」の査察官4人の姿があった。強制調査の対象者は八田隆氏(当時45歳)。スイスの大手金融機関「クレディ・スイス・グループ」系列の証券会社「クレディ・スイス(CS)証券」で債券トレーディング兼外国債券部長を務め、07年に4月にCS証券を退職していた。

 八田元部長は、社内の賞与支払制度「ファントム・ストック(FS)」で受け取った株式に絡む所得税を申告していなかった。海外の証券口座で親会社の株式を受け取るFS分の所得税については、CS証券側に源泉徴収する義務はなかった。

 しかし、税務申告についての会社側の指導が不徹底だったため、他の約100人のCS証券社員と同様、会社側が源泉徴収しているものと勘違いしていた。

 東京国税局との話し合いのため、移住先のカナダ・バンクーバー市から12月初めに帰国した八田元部長。調査した課税1部資料調査課との2度にわたる面談で修正申告を決意した。だが、次の面談が先方の都合でキャンセルされ、この日は金沢市の実家に戻っていた。

 強制調査は午前8時から実施され、夕方まで続いた。この他にも東京都内や神奈川県内に所有する不動産4ヵ所に査察官が踏み込み、八田元部長自身も自宅の調査が終了した午後4時過ぎから翌日未明まで、最寄りの金沢国税局の一室で査察官の事情聴取を受けた。

 「資料調査課との面談が一方的にキャンセルになったのでおかしいとは思ったけど、まさか査察に入られるとは。あれほど『意図的に申告しなかったのではない』と説明したのに」

 問答無用の強制調査を受けたことに、八田元部長は全く納得がいかなかった。

 「企業であれば調査期間は半年かかるのが普通ですが、個人の一件ですから、2ヵ月から3ヵ月くらいで終わると思います」

 強制調査の当日、査察官のひとりは八田元部長にこう説明したという。聴取は翌09年1月から本格化し、強制調査から2月までの2ヵ月半で合わせて12回に及んだ。

 査察部が突いてきたのは、八田元部長が米国にある証券口座で受け取った株式を売却した後、その利益をシンガポールにあるスイス系銀行の口座に移し替えたという点だった。「ストック・オプション」(自社株購入権)をめぐる脱税でよく見受ける「外外」の資金移動で、銀行口座も自分が管理するペーパー会社の名義だったりすることが考えられるからだ。ところが、この銀行口座は本人の名義だった。

 「ずいぶん前に日本国内から送金して開設した自分名義のものです。海外勤務も長く、海外業務も多かったので、外貨資産の管理運用は以前から、使い勝手のよいシンガポールの口座を使っています。銀行はスイスのユニオン・バンクですが、富裕層がよく利用する、いわゆる『ナンバーアカウント』ではない。隠し口座でも何でもないんです」(八田元部長)

 査察部はさらに「納税セミナーを年1回開催していた」とするCS証券の資料や、セミナー開催を告知する社員あてのメールを持ち出したが、それは見覚えが全くないものだった。14回目の聴取を終えた同年4月。「今月はもう終わりです」と告げた担当査察官に、八田元部長はこんな質問をぶつけた。

 「なぜこんなに時間がかかるのですか?」。
(つづく)

ここをクリック→ 日刊ゲンダイ記事 「実録 マルサの事件簿」


category: クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件

2011/07/16 Sat. 00:39 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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