「蟷螂の斧となろうとも」 by 元外資系証券マン

クレディ・スイス証券集団申告漏れ事件(http://goo.gl/v0xQYP)において、国税局査察部告発、検察特捜部起訴の事案で史上初の無罪判決。 著書『勝率ゼロへの挑戦 史上初の無罪はいかにして生まれたか』(光文社)。 ツイッター(@thatta0529)で「#検察なう」の情報発信を続けます。

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経過報告 (61) 「検察取調べ第十六回」 11/8/2011 

経過報告 (61) 「検察取調べ第十六回」 11/8/2011

前回、炎上した後だったので、若干緊張して取調べ室に入りました。驚いたことに、今日はいきなり検事が上着を着ていました。今までもクールビズ終了後はネクタイはしていたのですが、上着を着ていたのは初めてです。そして通常であればすぐに取調べ+調書作成ということになるのですが、今日は検事が「取調べを開始する前に、これからの方針を確認させてほしい」と切り出しました。前回、調書に署名しなかったことがよほど応えているようです。

彼は「もし質問の内容が意に沿わないことで署名できないということなら、すぐにその場で言ってほしい」と言ってきました。随分と低姿勢です。それから30分ほど、調書を取らずに取調べの進捗や内容について議論しました。

私「この事案は起訴をしても到底公判が維持できない無理筋であり、通常の検察の基準からすると、流すのが適当なのではないか。それをここまでこだわっているのは、やはり国税局とのしがらみで諦めきれないのではないか」
検事「そう言っても信じてもらえないかもしれないが、あくまで検察の判断が付きかねるということで時間がかかっている。そして、今、私の立場から言及するのは不適当な部分もあるが、この時点でも起訴・不起訴の決定はできていない」

私「どうしてここまで時間がかかっているのか。脱税事案としては、むしろ単純なものであり、税務調査開始から既に3年も経過しているというのは異常ではないか」
検事「告発からも既に相当時間が経過しており、それに関しては個人的に謝りたい。私が事件を担当してからはそれ程時間が経っているわけではないが、最初に資料を見た時の印象は『これはよく分からない』というものだった。独自調査ではなく、外部から持ち込まれた案件を一旦受理した以上、『分からない』ということで付き返すわけにもいかず、全て最初から調べ直している」

私「先日の取調べで署名を拒否した際、検事は『もし署名ができないということであるなら、取調べをすること自体考えないといけない』と言ったが、それは、取調べが真実を追求しようとするものではなく、単に公判のための証拠作りをしているだけなのではないか。私は、以前にも述べたように、この検察の取調べ自体が日本の司法の実態では第一審の性格を有していると思っており、そこで真実が追求されないというのは甚だ忌々しいことではないか」
検事「これも言っても信じてもらえないかもしれないが、私たちの取調べが単なる証拠集めであるということは決してない。勿論、起訴ということになれば、検面調書は重要な証拠として公判に提出されるが、私たちは取調べにおいては、私たちが疑問に感じて確認したいことを聞いている。初めから八田さんのことを有罪だとか、無罪だとか決めつけて取調べをしているわけではない」

その後、彼は上着を脱いで取調べが開始しました(上着はそれほど意味がないのかもしれませんが、ちょっと印象に残りました)。

取調べの内容は、先日署名をしなかったものを繰り返すものでした。前回の調書の「源泉徴収の言葉の意味を知っていたか否か」の部分以前のみを生かすということは、私が認めたとしてもできないとのことでした(通常の検面調書とは証拠能力に差があるものだそうです)。そして取調べは、会社から提示された各々の書面に、“There are no employers tax withholding obligations (会社には源泉徴収をする義務はない)”という例の一文が入っている個所を示し、「これを読んだのではないか」ということに終始しました。私の主張は、仕事に忙殺される中で、膨大な資料の中に入っている一文を読んだということは可能性として極めて低いのに加え、給与の所得税は天引きという常識の中で、もしこの文章を読んでも、その思い込みを覆すには至らなかったであろう、というものです。また、「会社が真摯に税務指導をするという姿勢があるのであれば、日本人の従業員に対しては、日本語で、誤解のないよう明示的に記載する必要があるのではないか。“There are no employers tax withholding obligations ”という英文の記載と、『確定申告の際には自己申告の必要がある』という日本語の記載では、意味するところは同じでも、説明能力には格段の差があると思う」と述べました。

1時半に開始した取調べが終了したのは6時半。そして取調べは明日で終了とのことです。「聞きたい点はあと一点ありますが、このまま続けると少し遅くなるので、明日にしましょう。それで取り合えず、聞きたいところは全てカバーできます」と言われました。明日は朝10時半から最終ラウンドのゴングです。

ここまで私がリングに立ち続けることができたのも、皆さんの支援のおかげだと思っています。嘆願書を皆さんに頼んだ時は、皆さんもここまで大事になるとは思ってらっしゃらなかったかもしれません(私は告発まで既に国税局と15ヶ月も戦ってきたので、ある程度の覚悟はありましたが、それでもここまでしんどいとは思っていませんでした)。本当に感謝しております。最後までリングに立ち続けることができれば、判定は勝利であるはずです。今しばらく経過を見守って頂ければと思います。

P.S.
この10月末に出版された由良秀之著「司法記者」読了。由良秀之は、時の人、あの郷原信郎氏のペンネーム(のはず)。現場にいた人間でしか書けないリアリティーにあふれています。さっき、彼にTwitterのDMを送りました。

「『司法記者』読ませて頂きました。渾身の一作ではないでしょうか。ここまで完成度が高いと、小説家としては一発屋で終わってしまうのではと危惧すらしてしまいます。検察小説という新ジャンルの次作を切に希望します」

まだ返信はありません(3分前に送ったばかり)。

11/8/2011


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category: 地検特捜部との死闘実況

2011/11/07 Mon. 08:40 [edit]   TB: 0 | CM: 0

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